不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

母からの生前贈与を活用!マンションの住宅ローンを完済後、新築マンションに住み替え/神奈川県藤沢市Yさん(50代)

神奈川県藤沢市Yさん(50代)/母からの生前贈与を活用!マンションの住宅ローンを完済後、新築マンションに住み替え

神奈川県藤沢市の、駅まで徒歩20分のマンション(62m2・3LDK)から、駅に近い新築マンションへ住み替えを考えていたYさん。母からの生前贈与をきっかけに買い先行で住み替えを行い、その後、マンションも1600万円で売却できました。

不動産区分 マンション
所在地 神奈川県藤沢市
築年数 約24年
間取り・面積 3LDK(62m2
ローン残高 1400万円
査定価格 1800万円
売り出し価格 2000万円
成約価格 1600万円

母から3000万円の生前贈与を受け、マンションを住み替える話が進む

神奈川県藤沢市の120世帯が暮らすマンション(62m2・3LDK)に妻と住んでいたYさん(50代)。新築時に3300万円で購入し、24年間住んできましたが、最寄駅から徒歩20分かかることが不満でした。そのためマンションの住み替えを検討していましたが、価格面で折り合いがつかず、購入には至りませんでした。2019年1月に母から生前贈与の話が出たのをきっかけに、そのお金を使って住み替えを本格的に検討しはじめたのです。

「マンションは自然豊かな住宅街にありましたが、スーパーなどの商業施設は駅周辺にしかありません。夫婦の老後の生活のために通勤や買い物の便が良いマンションに住み替えようと思っていました。母から3000万円の生前贈与を受け、売却に向けて動き出すことができたのです」

住み替え先の不動産会社を信頼。住んでいたマンションの売却も任せる

Yさんは、住み替えの候補にしていた物件がありました。駅の近くに建設中のマンションで、少し前にモデルルームを内見していました。

「その際は金額的に折り合いがつかず断念したのですが、生前贈与を使い、残りは住宅ローンを組めば買えるのではと。さっそく建設中のマンションの不動産会社を訪ねました」

マンションは、73m2・3LDKで最寄駅からも近く、購入価格は5200万円でした。不動産会社から資料を見せてもらうとともに、元々住んでいたマンションを売る相談をしました。担当者と話が合い、住んでいたマンションの売却も任せることに決めました。

売却するマンションの訪問査定をしたのは、購入したマンションの不動産会社一社のみで、査定額は1800万円。担当者は、地元の情報に詳しく、信頼できると考え、専属専任媒介契約を結びました。

母に借金をしてマンションの住宅ローンを返済し、住み替え先を購入する

2019年3月に住み替え先のマンションの売買契約を結び、入居期間が始まる7月に引越すことが決まりました。元々の住宅ローンの残債1400万円は、生前贈与のほかに母から借りたお金で支払い、売却して得たお金で母に返済を約束。住み替え先の購入価格5200万円のうち、3000万円を生前贈与で支払い、残りは新たに住宅ローンを組みました。その際、贈与税が非課税になる制度について不動産会社から提案がありましたが、要件が合わず使いませんでした。

売却活動前に、Yさんは、住んでいたマンションのアピールポイントをまとめて、担当者に渡しました。

「不動産会社からもらったフォーマットに、修繕積立金が潤沢にあること、自走式駐車場が全戸数あることなどを箇条書きにしました。なるべく高く売りたいので、マンションの魅力を最大限アピールするように依頼。売り出し価格は、2000万円にしてほしいと伝えると、『その価格では厳しい』と言われましたが、最初は希望価格で売り出すことに決めました」

不動産情報サイトの掲載やチラシのポスティングを行った結果について、担当者より毎日レポートがありましたが、全く反響はなく、1カ月後に1800万円に値下げすることに。その後、100万円ずつ値下げし、9月に1600万円になると、内見希望者から購入したいと連絡がありました。購入者からはさらに100万円の値下げ交渉がありましたが、担当者と相談して、値下げには応じず、1600万円で売買契約を結び、売却活動を終えました。

■「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)を取得した場合、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税になる特例があります。受贈者や住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等には、満たすべき要件があります。適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。

親からの援助を使った買い先行で、希望のマンションに住み替えできた

母からのお金の援助を受け、買い先行で希望の住み替えができたYさん。売却価格は希望を下回りましたが納得しています。

「駅から離れていますから、やむを得ないです。マンション内でもすでに売った人が多く、売却相場ができていたので、仕方ないと思っています。年齢的に住宅ローンを組む最後のチャンスと思っていましたから、無事に買い替えできて良かったです」

新しいマンションは、駅に近いので、買い物も格段に便利になり、快適に暮らしています。

住み替え先での生活イメージ

「住み心地は最高です」と大満足のYさん。コロナが落ち着いたら、東京に住んでいる母に新居を見せるのを楽しみにしています。

2019年1月 ・売却を意識しはじめる
2019年3月 ・住み替え先の売買契約を結ぶ
2019年5月 ・不動産会社に査定を依頼する
・1800万円の査定価格が出る
・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・2000万円で売り出し
2019年6月 ・1800万円に値下げ
2019年7月 ・住み替え先に引越す
2019年9月 ・1600万円に値下げ
・購入検討者が現れる
2019年10月 ・売買契約を結ぶ
2019年11月 ・引き渡し

まとめ

  • 生前贈与で住宅を購入する場合、要件が合えば、贈与税が非課税になる制度がある
  • 物件の魅力を箇条書きで具体的に伝え、不動産仲介会社に伝えてアピールしてもらおう
  • 住み替えを意識したら早めに新居を探しておくことで、タイミングを逃さず購入できる
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取材・文/内田優子 イラスト/村林タカノブ

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