不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

神奈川県相模原市Fさん(30代)/築5年の区切り直前でマンションを売却、学区内で住み替え

神奈川県相模原市Fさん(30代)/築5年の区切り直前でマンションを売却、学区内で住み替え

以前住んでいたマンションが気に入っていたFさんでしたが、子どもの学区内に大規模新築マンションができると聞き、住み替えを決意。住んでいたマンションの価値が目減りしないうちに同じ学区内で買い替えをしました。

不動産区分(一戸建て・マンション・土地) マンション
所在地(市区まで) 神奈川県相模原市
築年数 約5年
間取り・面積 3LDK+S・約80m2
ローン残高 3050万円
査定価格 3400万~3800万円
売り出し価格 3800万円
成約価格 3600万円

子どもの学区内で暮らしやすいマンションに住み替えを決意

Fさんが以前暮らしていたマンションは、駅まで徒歩5分の約80m2、間取りは3LDK+S(Sはサービスルームのことで、採光や換気が基準に満たず、居室ではありませんが、納戸や書斎として使えます)。大手デベロッパーの物件で規模は80戸ほど。築浅で設備が新しく、管理もきちんとされていました。2014年に3500万円で購入、その後の暮らしで大きな不満はありませんでしたが、全部屋を有効活用できておらず、家族に合う間取りへ住み替えたいと考えていました。

物件の環境に変化が起きたのは、2018年11月ごろ。駅周辺にマンションが続々と建設され始めたのです。住んでいたマンションから徒歩5分の距離に、ほどよい新築マンションを見つけ、住み替えを決めました。 「当時、小学1年生だった子どもは友達ができたばかりだったので、マンションを買い替えるのなら、学区内でと思っていました」とFさん。見学に訪れたのは、250戸の大規模マンションで、広さは65m2・2LDKと狭くなるものの、キッズスペース、パーティースペース、ワークスペースなど共用部分が充実していました。気に入ったFさん家族は、購入を決め、手付金の支払いを済ませました。

周辺のマンション建設ラッシュで売却を意識。不動産会社を探し始める

子どもの学区のこと以外にも、2018年11月に売却を意識し始めた理由がありました。

「当時住んでいたマンションは築5年。SUUMOなどの不動産情報サイトでは、物件検索条件で築年数の条件で検索する人が多いですよね。ぐずぐずしていると5年以内の検索条件を満たさなくなってしまう。さらに、マンションの建設ラッシュは続き、隣の駅周辺にも次々と建設されていました。部屋はきれいな状態でしたが、新築と比べると見劣りするでしょう。売るなら今だと思い、不動産会社を探し始めました」

過去の売却履歴を調べ、売却価格を物件購入額の3500万円前後と想定しました。最初に活用したのは、手軽に査定ができる一括査定でした。簡易査定を4社に依頼し、その中から3社に訪問査定を依頼。3400万~3500万円の査定価格だった2社に対し、3800万円の査定をした不動産仲介会社と、専属専任媒介契約を結ぶことに。担当者から、「広さも間取りも魅力的で、周辺にも中々ない好物件」と聞き、3800万円で売り出すことにしました。

高めの売却価格にしたので、200万円の値引き交渉にも耐えられた

2019年1月に販売を開始。不動産仲介会社は、住宅情報サイトで検索すると上位表示される広告を出すなど主にWEB上で営業活動を行いました。1カ月以内に1組の内見希望者が現れ、住みながら内見に対応しました。内見中は、担当者からのアドバイスで、小さくBGMをかけたり、玄関に芳香剤を置いたりと妻が細かな部分にも工夫。3カ月後の2組目に内見に訪れた、定年退職後のご夫婦に売却することになりました。趣味が山登りで、山へのアクセスが良いことや、ベランダから見える山並みに心を動かされたようでした。

「その後、200万円の値引き交渉があり、金額が大きくて驚きました。元々3800万円は値引きを考えた強気の価格設定だったので、3600万円で成約することにしたんです」

■一括査定とは

査定方法には、簡易査定と訪問査定があります。データから査定額を出すのが簡易査定。不動産仲介会社の担当者が実際に現地を訪れ、より細かく確認して査定するのが訪問査定です。売却一括査定サイトなどでは、物件の立地や面積、最近の取引事例などのデータを入力するだけで、無料で簡単に複数社の不動産仲介会社から簡易査定を受けることができます。その中から2~3社に絞って訪問査定を依頼すれば、効率的に妥当な売却価格を知ることができます。

物件価値の変化に敏感になり、売り時を逃さない

3500万円で購入したマンションを3600万円で売却することができたFさん。3050万円残っていたローンは完済し、120万~130万円の不動産仲介会社の手数料を引き、残りを新しいマンションの頭金に回しました。

「想定していた価格より、少し高く売れ、売却活動には満足しています。建築ラッシュは隣の駅も同様でしたし、あのまま持っていても新築に比べれば物件価値は目減りしていたでしょう。あのころはマンションも比較的高値で取引されていたように思いますし、良いタイミングで売れました」

住み替え先のマンションには、スーパーが併設されており、雨の日でもぬれずに買い物が可能です。繁華街の大通りに面しているので、夜も明るく、いずれ子どもを塾通いさせるのにも安心だといいます。引っ越し後、新型コロナウイルスが発生し、今では週の半分以上がテレワークになったFさんは、共用部分にあるワークスペースを有効活用。より暮らしやすくなったマンションで、家族の新しい生活が始まっています。

2018年8~9月 ・住み替え先が決定
2018年11月 ・訪問査定を受ける
・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ
2018年12月 ・住み替え先の売買契約を結ぶ
2019年1月 ・3800万円で売り出し
2019年3月 ・購入検討者が現れる
・値引き交渉で3600万円に下げる
・売却物件の売買契約を結ぶ
2019年4月 ・物件の引き渡し
・住み替え先に引っ越し

まとめ

  • 周囲の都市開発の状況にアンテナを張り、売り時を逃さない
  • 不動産情報サイトの築年数の検索の区切りを意識する
  • 値引き交渉されることを前提に売却価格を設定する
売却査定する

取材・文/内田優子 イラスト/松尾達

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