不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

千葉県千葉市中央区Sさん(50代)/娘の大好きなテーマパークの近くに住みたい!浦安市への住み替えでマンションを売却

千葉県千葉市中央区Sさん(50代)/娘の大好きなテーマパークの近くに住みたい!浦安市への住み替えでマンションを売却

大好きなテーマパークで4年後の成人式を祝いたいという妻と娘の願いをかなえるため、眺めが気に入っていた千葉市内にある築15年のマンションを売却し、浦安市内への住み替えを行った仲良し3人家族の体験談です。

不動産区分 マンション
所在地 千葉県千葉市中央区
築年数 約15年
間取り・面積 3LDK(約72m2
ローン残高 1700万円
査定価格 2400万〜2500万円
売り出し価格 2600万円
成約価格 2400万円

数年前から抱いていた娘の成人式までに浦安市内に住みたいという思いを実現

Sさんが2002年に新築で購入したのは、千葉市内に立つ15階建ての新築マンション。約72m2の3LDK、購入価格は3200万円でした。

「駅から徒歩2分の便利な立地に加え、最上階の部屋は眺めが最高でね。妻がとても気に入って購入を決めたんです」

それから月日が経ち、一人娘が東京都内の中学校への進学を目指していた2012年ごろから、漠然と住み替えについては考え始めていたそうです。

「マンション購入時は私の勤務先が成田市内にあったので千葉市内からだと通いやすかったのですが、その後都内に変わり、娘も中学からは都心の学校に進学していたので、とても時間がかかっていたんです。もう少し通勤・通学に便利な場所に住み替えるのも良いなと思っていました」

さらに、娘の成長とともに、せっかく千葉に住んでいるのだから成人式は“大好きなあの場所で祝いたい”という思いが強くなってきたのだそうです。

「学生時代にパークガイドの仕事をするほど大のディズニーランド好きなんですよ。家族そろって大好きなので、成人式をディズニーランドで迎えられる浦安市内に住みたいねってよく話していたんです」

その思いは2015年ごろからだんだん強くなってきて、良い物件が見つかれば住み替えを考えてみようかと思っていました。チラシなどで気になった物件があれば掲載されている不動産会社に問い合わせて、中古マンションも2件ほど見学していました。しかし、3000万〜3500万円の価格帯で眺めの良い最上階、今のマンションよりも広い部屋という条件に当てはまる物件には、なかなか出合えなかったといいます。そして2017年のゴールデンウィーク、Sさんはある物件広告に目を引かれました。

「ポスティングチラシだったか車内づりだったか忘れましたが、1年前に完成した浦安市内のマンションで、棟内モデルルーム見学会を開催しているという内容だったと思います。気になったので早速見に行ってみたんですよ。10戸弱の販売住戸があり、最上階は2戸残っていました。広さは希望通り。実際の物件見学なので、眺望もしっかりと確認することができ、眺めの良さに妻も気に入った様子でした。眺望が良い部屋というのが妻の最も譲れない条件だったんです。物件価格は5100万円と予算オーバーでしたが、売り出し当初は5500万〜5560万円ほどしていたようなので、かなりのお買い得物件。眺めの良さが忘れられず3回くらい見学に行きました。迷いましたが、6月中旬にはやっぱりここにしようという気持ちが固まり、契約を決めました」

住み替え先のマンションを決定するイメージ

住み替え先の販売会社から売却担当者を紹介してもらって売却活動を開始

しかし、ローンの残債が1700万円あったSさん。購入物件の価格は予算オーバーの5100万円。購入よりも先に売却を進めなければ、新たにローンを組むことが難しく、販売会社との話し合いで契約を先延ばしにして、売却活動を進めていくことになりました。

「住み替え先のマンションの販売会社さんから、同じ会社で売却を担当してくれる方をご紹介いただきお願いすることになりました。見積もりをしていただくと、査定額は2400万〜2500万円とのことでした。私としてはとても気に入っていた思い入れの深いマンションでしたし、できれば高く買い取っていただきたいと、2600万円での売り出しを希望しました」

しかし、売り出しから2カ月間はなかなか動きがみられませんでした。

担当者と相性が合わず2カ月後の契約更新はせずに別の不動産会社と媒介契約

「反響がほとんどない中で貴重な見学希望者がいたにもかかわらず、担当者の連絡ミスによってキャンセルになってしまった案件があったんです。チャットアプリでのやりとりのみで、電話確認をきちんとしてくれない担当者とコミュニケーションがうまく取れず、別の会社を新たに紹介していただきました。そこも大手不動産会社でしたが、きちんとこちらの要望を聞き入れた上でいろいろな提案をしていただける担当者でホッとしました。新しい担当者と相談の結果、価格は少し下げましょうということで2500万円でチラシを広範囲に配布していただくことになりました」

新たな契約先である不動産会社の担当者は、一般購入検討者だけでなく、懇意にしている不動産関係の会社にも広く打診して、なんとか早く買い手を探す努力をしてくれたそうです。

それから1カ月後、ようやく地元不動産会社から、『不要になった大型家具などは残したまま清掃なども必要ないので、2400万円にしていただければ買い取ります。物件の引き渡しも、新居への引っ越しが完了してからで結構です』と連絡が入りました。住み替え先の購入契約を保留にしていたSさんは、その条件をすぐに受け入れて9月末に売買契約が無事成立しました。

■売り先行・買い先行・同時進行

住まいの買い替えのには、売却を先に進める「売り先行」と、新居購入を先に進める「買い先行」、そして売り買いのタイミングを合わせて進める「同時進行」と、大きく分けて3つの方法があります。
「買い先行」では、売却物件の引き渡し期限を気にすることなく住み替え先の物件をじっくり探す時間をもつことができます。元の家を空き家にしてから売り出すことができるので、内見対応などで気疲れすることもありません。また、仮住まいへの引っ越しの手間や費用が発生しないというメリットがあります。
いっぽうデメリットは、売却金額が確定する前に新居を購入することになるため、先の資金計画が立てづらいということ。また、購入資金に余裕がなければ新居とのダブルローンになる可能性があります。ダブルローンの審査は一般的に、かなり厳しいとされています。ローンの借入金額を抑える、ボーナス払いを避ける、といった借り方でリスクを避ける必要があるでしょう。ダブルローンが利用できない場合は、一時的な資金不足を補うための短期融資である「つなぎ融資」を利用するケースが多いです。つなぎ融資の金利は高めなので、利用する場合はしっかりとした資金計画を立てることが重要です。

市場の動きに合わせて計画的に住み替え先探しと売却活動を行うべきだった

住み替え先の条件が明確にあったSさんは、たまたま見かけた物件広告から希望通り住み替え先が見つかり、新居購入と売却活動が突然動きはじめました。思い描いていたとおりの新居との出合いには満足しているそうですが、売却に関してはもっと計画的にタイミングを見計らって動くべきだったとSさんはいいます。

「結果的に希望価格から200万円ダウンでの売却でしたからね。引っ越し需要の増える時期に合わせて動き出していれば、希望価格で売れたかもしれないなと思ったりしますよ。最初に依頼した不動産会社がもう少しきちんと対応してくれていれば……とかね。もっと時間をかけてゆっくり売る時間があればね。計画をきちんと立てずに進めてしまったことは反省点ですね。2社目の担当者は、『こういう範囲に、こんな内容のチラシを撒きます』とか『WEBにはこんな情報を掲載します』といった報告がきちんと丁寧にありました。媒介契約を結ぶ際には、会社の規模やネームバリューだけでなく、しっかりと担当者がどんな人か吟味して選ばないとダメですね。2社目は良い担当者と巡り合えて、無事に売却もできたし、10点満点中8点というところでしょうか」

住み替え先の物件は妥協せずにしっかりと実物を確認して購入することができ、とても住み心地が良いそうです。住み替えを行った当時は16歳だった娘も、先日20歳に。

「コロナ禍で1月の成人式は延期になりましたが、3月に無事にディズニーシーでの成人式が行われました。念願がかなって、妻と娘も大喜びでした」

2012年ごろ ・漠然と住み替えを考え始める
2015年ごろ ・住み替え先の物件探しを具体的に意識し始める
2017年6月中旬 ・住み替え先のマンションが見つかる
・売却物件の専属専任媒介契約を結ぶ
・2600万円で売り出し開始
2017年8月 ・売却物件の媒介契約先を変更
・価格を2500万円に下げる
2017年9月末 ・2400万円で売買契約成立
2017年10月中旬 ・住み替え先の売買契約が成立
2017年10月末 ・住み替え先の物件引き渡し
2017年11月初旬 ・住み替え先に引っ越し
・売却物件の引き渡し

まとめ

  • 住み替えを考え始めたら、早めに売却査定を依頼してみよう
  • 住み替え先探しと売却活動はタイミングを合わせて、ロスタイムが極力ないように進めよう
  • 売却を成功させるためには不動産会社の担当者との相性も重要。合わなければ早めに依頼先の変更を検討しよう
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取材・文/馬場敦子 イラスト/松尾達

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