
妻の単身赴任で週末婚状態が約2年続いたのち、離婚することになったSさん。夫婦共同名義で購入した新築タワーマンションでしたが、2人一緒の新婚生活を送ることなく売却することになりました。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 北海道札幌市東区 |
| 築年数 | 約2年 |
| 間取り・面積 | 2LDK(65m2) |
| ローン残高 | 1850万円 |
| 査定価格 | 3200万〜3800万円 |
| 売り出し価格 | 3180万円 |
| 成約価格 | 3100万円 |
離婚に向け2年前に完成したばかりの駅近タワーマンションを売却
2013年に新築タワーマンションを購入したSさん夫妻。
「駅から徒歩5分の新築タワーマンションは利便性もさることながら、自走式駐車場なのが気に入って購入を決めました。65m2の2LDKで価格は2750万円。販売開始直後の1期販売期間中に購入を決めたので、キッチンの棚などオプション仕様も選択でき、オプション費用に100万円ほどかけました。頭金800万円を妻と折半し、2200万円ほど借りたローンも5対5の共有名義で組みました」
物件の完成は2年後の2015年、Sさん夫妻は完成を心待ちにしていました。しかし……。
「マンション購入当時の2013年から2年間、妻は単身赴任していたんです。ずっと週末だけお互いが行ったり来たりするような生活でした。2015年にようやくマンションが完成した後も私だけが入居して、妻がこのマンションで暮らすことはありませんでした。新婚生活を送るために夫婦で購入した住まいでしたが、2人で一緒に暮らすことなく、2016年10月ごろから離婚に向けての話し合いが始まりました」
物件査定額の相場や売却ノウハウはインターネットで情報収集
「共有名義なので売却については妻と一緒に決めないといけないのですが、妻と直接連絡が取れず、妻に委任された弁護士さんを通してのやりとりが始まりました。マンションには私だけが住んでいる状態だったため、売却活動は私に一任してもらえるとのことでした。まずはどうやって売るのかなど、一からインターネットで検索して売り方を調べることからスタートしました」
インターネットで情報を集めたSさんは、仲介してくれる不動産会社との契約には3種類あり、それぞれメリット・デメリットがあること、物件の条件を入力するだけで複数社の査定額がわかるサービスがネット上にあることなどを知りました。仕事をしながら1人で売却活動をするには、面倒なやりとりがいらないインターネットの一括査定を利用して、売却価格の相場を調べてみることにしました。
「3200万円〜3800万円と価格幅が結構ありましたね。でも、購入金額よりも高く売れることがわかり、これは思ったより早く売れるんじゃないかと少しほっとしました」
人気物件なのでよりよい条件で売れる一般媒介契約を選択
マンションの売却方法を調べてわかった3種類の媒介契約。その中からSさんは一般媒介契約を選びました。その理由をこう語ります。
「札幌市内中心部にある地下鉄最寄駅からは徒歩5分と非常に便利な立地。タワーマンションとしては低層階の部屋でしたが、自走式駐車場で人気の高い物件です。築2年とまだまだ新しい物件ですし、購入希望者はたくさんいらっしゃるんじゃないかと思いました。ネットの一括査定を利用した際に連絡のあった大手不動産会社に依頼するのが安心かなと思ったのですが、知人の不動産会社からも積極的に売却活動をしてくれると連絡をもらい、自由度の高い一般媒介契約を選びました」
売り出し中であることは広く周知された方が良いと考え、不動産流通標準情報システム「レインズ」に登録をしてもらえるよう契約前に伝えておいたそうです。
「一般媒介契約なら複数の購入希望者が見つかった場合、より条件の良い方を選ぶことができ、希望価格で売りやすいのではないかと考えたんです。それに動きがあったときだけ連絡をもらえれば十分なので、わずらわしくなくてよかったですね」
売り出し価格は、一括査定額の相場と、ちょうど一年前に売り出されていた別の階の住戸の成約実績を参考に、3180万円に設定しました。
■媒介契約の種類とそれぞれのメリット・デメリット
不動産を売却する際に不動産会社と結ぶ媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つの方法があります。
「専属専任媒介契約」は不動産会社1社に仲介を任せる契約です。契約した不動産会社が見つけた売却先としか取引することができないため、不動産会社の力量に左右されやすい反面、責任が非常に大きくなるため、販売活動に全力で取り組んでくれることが期待できます。契約の有効期限は最大3カ月で、不動産会社は媒介契約成立から5日以内にレインズへの登録が義務付けられており、スピーディーな販売活動の結果、比較的早く売れやすいというメリットがあります。また、1週間に一度以上の報告義務があるため、販売戦略が練りやすく、スムーズな売却成立につながりやすいです。
「専任媒介契約」は専属専任媒介契約と同じく、不動産会社1社のみに仲介を依頼する契約ですが、異なるところは依頼者自身で買い手を見つけた場合、不動産会社を介さずに契約できることです。契約の有効期限は最大3カ月で、不動産会社は媒介契約成立から7日以内にレインズへの登録が義務付けられており、2週間に一度以上の報告義務があります。自力で買い手の目処が立ちそうだけれど、より好条件の買い手を探したい場合は、専任媒介契約を選ぶのがオススメです。
「一般媒介契約」は同時に複数の不動産会社と仲介契約を結べる契約です。契約方法には明示型と非明示型があり、明示型は他にどの不動産会社と契約を結んだかを通知する形になります。契約に有効期限はなく、依頼者への報告義務もないため、販売状況が把握しづらいというデメリットがありますが、広く買い手を探すことができるため、不動産会社選びでの失敗リスクが少なくなります。また、レインズへの登録義務がないため、物件情報を公にせずに販売活動ができます。人気物件の場合はより良い条件で売却できる可能性が高くなる一方で、人気物件でない場合は不動産会社が積極的な販売活動をしてくれない可能性もあります。 媒介契約の選択は、不動産売却を希望通り進められるかどうかの鍵となります。それぞれの特徴を見極めて選ぶようにしましょう。
1カ月強で売却活動が終了し、滞りなく財産分割をして離婚も成立
売り出してすぐ、問い合わせは4〜5組程度ありました。
「入居中だったので、見学にはすべて立ち会いました。1人暮らし状態だったので物もそれほどなくて、生活感を感じさせない良い状態を見ていただけたと思います。知人の不動産会社経由で見に来ていただいた方の中に、投資用物件として購入したいという方がいらっしゃり、トントン拍子に話がまとまっていった感じですね。端数を切ってキリの良い3100万円で購入したいと値引き交渉が入りましたが、すぐに応じました。正直なところ、もっと高く売れたかなとも思いますが、購入価格よりも高い値段で売れていますし、早く売ってスッキリしたかったので、総合的には10点満点中7点くらいの出来だったと思いますね」

売却活動にあたり、Sさんが最も重視していたのは売却までのスピード感。1月の売り出しから約1カ月での売買契約成立に満足しているといいます。
「売却益で残債の支払いを済ませ、これまで支払ってきたローンの分をどのように清算するのかなどを弁護士さんに相談し、揉めることなく財産分与をして売買契約成立後に離婚も成立しました。引き渡し後に住む家も知人の不動産会社が仲介してくれ、スムーズに引っ越しをすることができました。マンションの売却も、離婚も、初めてのことを一度にいろいろと経験し、とても勉強になりましたね」と、当時を振り返るSさんでした。
| 2016年10月 | ・売却を検討し始める |
|---|---|
| 2017年1月 | ・一括査定を利用 ・一般媒介契約を結び、売却活動を開始 |
| 2017年2月 | ・購入検討者が現れる ・売買契約が成立し、物件を引き渡し |
まとめ
- 人気エリアにある物件の場合は、購入時より高い価格での売却が可能なこともある
- 一般媒介契約ではレインズへの登録義務がないため、掲載希望の際は契約締結前に登録を依頼しよう
- 適正な売り出し価格の設定は、同物件での販売実績も参考にしよう
取材・文/馬場敦子 イラスト/松尾達


