
3人の子どもたちが独立したのを機に、東京都立川市のマンション(4LDK)を売却して、兵庫県に注文住宅を建てて住み替え。売却活動に90%満足したというSさんが、価格やスピードより重視したものは?
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 東京都立川市 |
| 築年数 | 約24年 |
| 間取り・面積 | 4LDK(約85m2) |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 2000万円~3200万円 |
| 売り出し価格 | 2490万円 |
| 成約価格 | 2400万円 |
2人暮らしには広すぎるマンションを手放し一軒家を建てることを決意
現在兵庫県に暮らすSさん(60代)が売却したのは、1996年、3人の子どもたちが小さいときに新築で購入した築24年(売却時)のマンション。東京都立川市にあり、多摩都市モノレールの最寄駅へは徒歩5分、JR中央線の駅へも徒歩約20分で2駅・2路線が利用可能。立川駅へのアクセスもスムーズで、近くにスーパーなどもある暮らしやすい環境にありました。
Sさんは単身赴任で家にいることは少なかったそうですが、専有面積約85m2のマンションは家族5人が住まうに十分な広さ。朝から夕方まで日当たりの良い角住戸で、さらに窓を開けると68m2のワイドなルーフバルコニーが広がり、天気がいい日は富士山がくっきりと見える眺望も魅力。外観や共用部分も古い印象はなく、管理組合もしっかりしていて、マンション内の人間関係も良く、お気に入りのマンションでした。
「7階建ての6階住戸で、ルーフバルコニーの上に住戸も屋根もなかったので開放感があり、プライバシー性も高かったんです。子どもたちはボール遊びや水遊び、冬はそり遊びもしました。一番下の子どもが3歳くらいのときに買って、目が届く場所で子どもたちを思いきり遊ばせることができて、子育てにうってつけでした」

けれども、ルーフバルコニーで元気に遊んでいた3人の子どもたちが成長してそれぞれ独立すると、妻は広いマンションに1人住まいになり、Sさんの単身赴任先の大阪と東京を行ったり来たりする生活でした。
「2015年ごろ、妻と2人で年齢を重ねていくことを考えて、今後の住まいをどうしようかとあらためて相談しました。東京のマンションをリフォームして住むことも考えましたが、マンションを売って、私が学生時代まで過ごした兵庫県に家を買うことを検討し始めました」
2018年11月、大阪府の住宅展示場で、気に入った建築会社と出合い、土地を購入して注文住宅を建て、それと並行して東京のマンションを売却することを決めました。
住まいから離れた不動産の売却だから信頼できる人にまかせたい!
大阪に住みながら、兵庫県で注文住宅を建てて、同時に東京のマンションを売却することになったSさん。物理的に距離があり、東京へは頻繁に足を運べないからこそ、売却は安心してまかせられる会社に頼みたいと思っていたそうです。
まずは、注文住宅を建てるハウスメーカーの営業担当者から、個人的に付き合いがあるという立川市の仲介業者を紹介してもらいました。それに加えて、相場観をつかむためにインターネットの不動産一括査定サイトを利用して3社の査定を受けました。
「査定額に1000万円以上も差があり、どの価格が信頼できるのかわかりませんでした。また、時間をかけられるなら3200万円、2カ月で売りたいなら3000万円、買い取りなら2000万円、さらに雑誌広告やポスティングなどの広告プランによっても料金が違う、などといくつもの価格を出してくる会社もあって、情報が多すぎて混乱してしまって」
「そもそも、そのハウスメーカーの担当者に会っていなければ、家を建てていなかったというくらい信頼する担当者の紹介なので、ほかの会社に頼むつもりはありませんでしたが、仲介契約は一般媒介契約にしました。そして、『マンションが売れなければ家は建てられないよ』とプレッシャーをかけましたね(笑)。最初は仲介会社の担当者に対して多少の不安はありましたが、徐々に信頼関係ができました」
価格は、現地査定をしてもらい、2490万円に設定しました。
売却資金を住み替える家の費用に充てるため、価格よりスピードを重視
2018年11月に注文住宅の契約を結んだハウスメーカーとSさんの間では、2019年の3月31日までに注文住宅を引き渡す約束をしていました。「注文住宅の支払いにマンションの売却費用を充てるつもりだったので、注文住宅の引き渡し前、2019年1月末までには売りたいと思っていました」
2018年11月に売却活動を開始。仲介会社にマンションの鍵を渡して、希望者には生活しているままの住戸を見てもらうことに。仲介会社からは週1回電話連絡があったほか、希望者に住戸を案内することが決まるたびに報告があり、連絡は密にとれていました。12月には住宅雑誌に物件広告が掲載されているのも確認しました。
Sさんは価格より早く売却することにこだわっていましたが、さらに譲れない条件は買い手でした。「68m2のルーフバルコニー付き、眺望良好、ほぼ南向きの角住戸」と付加価値が高いファミリー型マンション。「私たちが気に入って購入した愛着のあるマンションだから、価値がわかってちゃんと住んでくれる人に売りたい」という思いが強かったのです。
物件を内見したのは2組で、小学校低学年の子どもが3人いるご家族が購入しました。もともと一戸建てに住んでいて、日当たりのいい一戸建てへの住み替えを探していましたが条件に合う物件が見つからず、Sさんのマンションを見て、「ここなら」と納得して即決断したそう。「仲介会社からは、売れないときはここに広告を出そうとか、いろいろ提案してくれましたが、策を講じる前にすんなりと買い手が見つかりました」。価格は売り出し時から90万円引いた2400万円で成約しました。
住み替えを決断してから2カ月弱で売却、約5カ月で新居での新生活がスタート
2018年11月に売却活動を開始してから2カ月弱、2019年1月に売買契約が成立し、3月末に住み替える注文住宅が完成し、4月に引っ越しと、スムーズだった売却活動。
「注文住宅の建築費は、マンションが3000万円くらいで売れると想定して資金計画を立てていたので、売却価格が希望価格より600万円安くなった分、自己資金は減ってしまいました。ただ、5160万円で購入して24年間暮らしたことを考えると仕方ないと思っています。また、希望価格より安くても、いい人に買ってもらえたので良かったと思っています」
マンションの購入者とは電話番号を交換して「何かあったらいつでも連絡してください」と伝えているSさん。「購入者さんは、日当たりが良くて、コロナ禍でも子どもを安心して遊ばせられると喜んでいます」と満足そう。
単身赴任で離れていることが多かったご夫妻ですが、2人暮らしにちょうどいい大きさの注文住宅で新生活がスタートしました。
「妻のために建てた家です。妻も私も自分のスペースをつくることができて、コロナ禍の在宅勤務中も快適に過ごすことができました。これから、近所をドライブしたり、野菜を育てたり、今までできなかったこともしたいですね」
ライフステージの変化に応じて、住まいのあり方を見直し、思いきって住み替えることで新鮮な第二の人生がスタートしました。
| 2015年ごろ | ・住み替えを意識し始める |
|---|---|
| 2018年11月 | ・住宅展示場を見学 ・土地の購入と注文住宅建築を決意 ・依頼するハウスメーカーを決定 ・ハウスメーカーと建築契約を結ぶ ・簡易査定を行う ・現地査定を行う ・不動産会社と仲介契約を結ぶ ・売却活動の開始 |
| 2018年12月 | ・購入者が現れる |
| 2019年1月 | ・売買契約を結ぶ |
| 2019年2月 | ・物件を引き渡す ・妻は売却物件引き渡し後、夫の単身赴任先の大阪へ引っ越し (注文住宅が完成するまでの一時居住) |
| 2019年3月末 | ・住み替え先の住宅の引き渡しが完了 ・外構工事などを行う |
| 2019年4月 | ・住み替え先に引っ越し |
まとめ
- 子どもの独立や定年退職などのライフステージを見据え、住み替えを考えよう
- ルーフバルコニー付きや眺望などの付加価値の高い物件は、内見時に良い印象を与えやすい
- 売却価格や期間も大事だが、信頼できる人に売却することで満足度が高くなることも
取材・文/佐藤由紀子 イラスト/村林タカノブ


