不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

息子家族と同居が決まり、マンションを売却して二世帯住宅に住み替え/東京都西東京市Sさん(50代)

東京都西東京市Sさん(50代)/息子家族と同居が決まり、マンションを売却して二世帯住宅に住み替え

子どもの独立後、西東京市のマンション(築20年・3LDK)で妻と2人暮らしをしていたSさん。リフォームを検討していたところ、息子から「家を建てて一緒に住みたい」と申し出があり、マンションを売却することに。新しい家の完成後の引き渡しを譲れない条件として販売活動を行いました。

不動産区分 マンション
所在地 東京都西東京市
築年数 約20年
間取り・面積 3LDK(75m2
ローン残高 なし
査定価格 3400万円
売り出し価格 3400万円
成約価格 3300万円

息子から二世帯暮らしの提案を受け、マンションを売却して家を建てることに

子育てを終えたあとは、マンションで妻と2人暮らしをしていたSさん。5300万円で購入した75m2・3LDKのマンションは、4500万円のローンを組んでいましたが、2016年の末に完済。年が明けたらリフォームをしようと考えていました。正月にその話を息子にしたところ、「一緒に住んでほしい」と言われました。

「2人の孫の面倒を見てほしいのだろうと思い、同居を受け入れました。マンションを売却し、一緒に住む家を建てることにしたのです」

販売エリアを確認し、同等物件の販売実績が豊富な担当者がいる不動産会社に決める

2017年4月ころに地元の不動産会社数社に電話をかけ、そのうちの2社に訪問査定をしてもらいました。査定価格は、いずれも3400万円でした。

「マンションは60戸ありましたが、うちは、景観もよく角住戸でほかの住戸より条件は良かったんです。3400万円は、ほかの住戸の売却価格より少し高めだったので、査定価格は妥当かなと思いました」

訪問査定時に、それぞれの担当者の得意なエリアを聞き、同じ系列マンションの販売経験を確認。2社のうち、実績のある担当者がいた大手の不動産会社と専属専任媒介契約を結びました。

売却価格は、3300万円までは妥協できると思っていたSさんでしたが、譲れなかったのは時期でした。

「住み替え先の家が建つより先に引き渡しをすると、仮住まいをしなくてはいけません。それがいやだったので、新しい家が完成してから引き渡したいと思っていました。買主には、新居が完成してから引き渡すことを条件にしてほしいと担当者に伝えました」

購入検討者に引き渡し時期の条件を伝え、了解できる人に売却

2017年4月に3400万円で売却活動を開始すると、すぐに購入検討者が現れました。マンションに住んでいて、同じマンション内で住み替えを検討していた人でした。

「うちは、8階建てのマンションの2階、家の下は車庫で、住居はありません。買主には小さなお子さんがいたので、足音を気にしなくていいことを喜んでいましたね。2階でも眺望が良く、公園やグラウンドが見渡せるのも気に入ってくれました」

交渉時に100万円の値引き交渉をされ、受け入れましたが、引き渡しの時期は快諾してくれ、2017年5月に3300万円で売買契約を結びました。

一方、2017年3月に息子が通勤しやすい埼玉県内に土地を買い、年末までに注文住宅を建築。12月に引っ越しをしてから、引き渡しをしました。

■共用部の真上の住戸のメリット・デメリット

共用部分とは、分譲マンションなどで、専有部分以外の建物部分や専有部分に属さない建物の附属物のことです。廊下や階段室、エントランス等構造上共用とされる部分や管理員室や集会室等、管理規約で定められた場所などがあります。共用部分の真上の住戸のメリットは、下に住戸がないので、足音など自分が出す音に気兼ねすることなく生活できること。デメリットは、共用部分を利用している人の音が聞こえてしまう可能性があることです。家族に小さな子どもがいるなど、自室の音がほかの住人の迷惑になることが心配な場合は、借りたい部屋の間取図だけでなく、物件全体の平面図を確認して、共用部に面した物件を検討してみるのも良いでしょう。

希望通りの期間で終えた売却活動。売却したお金を二世帯住宅の建築費用に

二世帯住宅は、土地に2200万円、家に2800万円かかりました。

「息子は住宅ローンを組みましたが、うちはマンションを売却して得たお金を使いました。二世帯で暮らすには、お金の分担は大事です。もめないように、土地代や建築費は、息子と10円単位まで折半しました」

息子の職場に近い場所を優先したので、Sさんの通勤時間は長くなりましたが、息子は自転車通勤ができるようになりました。

「わが家も息子世帯も、家事はそれぞれの妻が担当しているので、家は2人が話し合ってこだわりました。以前は車を所持していなかったのですが、2台分の駐車場をつくったので、家族でドライブに出かけるようになりました」

まわりは自然が多くてのどかな環境です。同じエリアで同時期に越してきたご近所の方の付き合いも楽しいといいます。「孫はとてもかわいいですよ」とSさん。息子家族のことを話すSさんの顔は、楽しそうにほころんでいました。

2017年1月 ・息子家族と住む家を建てることが決定
・住み替え先を探しはじめる
2017年3月 ・住み替え先の土地を買う
・注文住宅を建て始める
2017年4月 ・簡易査定・訪問査定を行う
・不動産会社と契約
・購入検討者が現れる
2017年5月 ・売買契約を結ぶ
2017年12月 ・住み替え先に引っ越す
・物件の引き渡し

まとめ

  • 不動産会社の担当者の実績を見て、同じようなマンションの売却に強い人を選ぶ
  • 仮住まいをしたくない場合は、引き渡しの時期を売却の条件として伝える
  • 売却において譲れる条件と譲れない条件を、事前に整理しておく
売却査定する

取材・文/内田優子 イラスト/カワモトトモカ

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