
コロナ禍で自宅周辺で過ごすことが多くなり、より快適な住環境を求めて世田谷区の築15年のマンションの売却を検討し始めたOさん。販売活動を始める時期、価格設定など、早めの判断で、約一カ月の間に4900万円で売却を成功させました。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 東京都世田谷区 |
| 築年数 | 約15年 |
| 間取り・面積 | 3LDK・72m2 |
| ローン残高 | 2700万円 |
| 査定価格 | 4900万円 |
| 成約価格 | 4900万円 |
通勤に便利で、高齢の父親が安心して暮らせる家に住み替えたいと売却を検討
Oさん(50代)は、2020年11月、父親と共有名義の築15年のマンション(世田谷区・3LDK)を売却しました。
マンションは最寄駅から歩いて20分ほどの距離にあり、職場へは電車を2回乗り換えて片道1時間15分位と、毎日の通勤に時間がかかっていました。住戸は中高層マンションの7階。約72m2・3LDKの間取りは、父親と2人住まいのOさんにとって十分にゆとりがもてる広さでした。
「西向きの住戸で日当たりは南向きに比べるといまひとつかもしれませんが、目の前に遮るものがなく開放感があり、見晴らしは抜群でした。晴れた日は正面に富士山が見える眺望の良さが魅力でした」とOさん。
■西向き住戸
日当たりは住まいを購入する人にとって大事なポイント。マンションの西向き住戸は、Oさんが言うように南向き住戸ほどの日当たりは得られませんが、午後から直射日光が差し込み、夕方に向けて部屋の奥まで明るい日差しが届きます。夏の午後は西日で暑くなる傾向がありますが、冬は暖かく過ごせる、洗濯物が乾きやすいといったメリットがあります。また、Oさんが所有していたような中高層階で周囲に高い建物がない西向き住戸は、部屋から美しい夕焼けや夕日を眺められる場合もあります。
特別な不満はありませんでしたが、病院など、日常的に利用する生活施設が近い住まいに移りたいと思うように。「特に、高齢の父親の足が弱くなり、住居を出入りする際の移動や階段の上り下りができるだけ少ない所に住みたい気持ちが強くなりました」
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「マンションを購入した会社に売却も頼みたい」と専属専任媒介契約を結ぶ
Oさんがマンションの売却を意識し始めたのは2020年3月の、ちょうど新型コロナウイルス感染症が広がってきたときでした。前向きに売却を検討していましたが、まもなく緊急事態宣言が発出になり、今売却しても希望価格で売るのは難しいと考え、しばらく景気の状況などを見ることにしました。
コロナ禍がやや落ち着いた9月ごろ、マンションを購入した不動産仲介会社に電話をして、売却を依頼することに。販売実績が豊富で購入時の対応も良かったので、ほかの会社には声を掛けず、1社にしぼって話を進め、2020年10月、専属専任媒介契約を結びました。
マンションを販売した会社であることから、マンションの状態も熟知していたため、総合的に査定して価格を提案してくれました。
売却を進めるのと並行して、地元の不動産会社に相談し、より便利に暮らせる賃貸マンションかアパートを探し、同じ世田谷区にある、最寄駅から徒歩14分の築約20年のアパートを見つけました。
「駅からの距離は以前住んでいたマンションより少し近くなっただけですが、バス便は2、3路線使えて本数も多く、バスを使うとかなり便利になりました。病院など日常でよく使う施設や、繁華街にも近く、外食にも事欠かない環境です。1階なので階段の上り下りがないことも、高齢の父への負担が軽くなって良かったと思います。また、部屋は南向きの三面採光で日当たりが良く、日中は電気をつけなくても明るいのもいいですね」
販売活動開始から10日間反応なし。価格を下げたら購入希望者が現れた
マンションを購入した際に借りた住宅ローンは3100万円、売り出し時に残っていたローン残債は2700万円でした。ローンを完済し、かつまとまったお金を手に入れることができればと考えていたOさん。マンションを買ったときの価格より少しでも高く売りたいと、売り出し価格は査定価格よりやや高く設定しました。ただし、不動産会社からは最長10日間反応がないときは価格設定を見直しましょうと言われていました。
「第一段階として、レインズや不動産会社のポータルサイトに掲載し、第二段階では周辺地域にチラシをまいて、3日に1度くらいの間隔で、不動産仲介会社が電話で状況を報告してくれました。けれども、最初の価格設定が高かったのか反応がなくて。10日くらいたって、担当者から価格を下げましょうと提案され、自分もほかに作戦がないと納得して価格の見直しに同意しました」
価格を下げると早速動きがあり、7、8組が物件の見学に訪れました。「部屋の掃除はしましたが、特別良く見せることはしないで、ありのままを見てもらいました。内見者からは、駅からのアクセスや住み心地、生活環境、日当たり、自治会活動などについて聞かれて正直に答えました」
そして、販売活動を開始してから約1カ月後の2020年11月、近くに住んでいる方と売買契約が成立、引き渡しまでスムーズに進みました。
不動産会社のアドバイスに耳を傾け、トータルで満足できる売買契約が成立
「成約価格は4900万円でした。売り出し価格から大きく値下げしたので、もう少し高く売れたら良かったとは思いますが、予想より早く、しかも購入したときの価格より高く売りたいという、自分なりの最低限の条件はクリアできました。契約時期や住み替え先の引っ越しなど、いろいろなタイミングをもとに判断したので、100%満足ではありませんが、全体的にはうまくいったと思います」と語るOさん。
売主の心理として少しでも高く売りたいのはやまやまですが、いつまでも期待して待って、売り時を逃す可能性もあります。Oさんは、住宅ローン残高を十分に上回る金額で売却。初めから、値下げを行う時期を決めておき、早めに価格を見直したことで、スピード契約に結びつきました。
住み替え後は、よく利用する日常生活施設が身近に充実し、利便性が向上したそう。新型コロナウイルス感染症の拡大でテレワークをする機会が増え、日中家にいる時間が多くなったOさんにとって、日当たりが良く明るい住まいは快適そのもので、満足されているそうです。
| 2020年3月 | ・売却を検討し始める |
|---|---|
| 2020年4月 | ・コロナ禍で売却は様子を見て決めることに |
| 2020年9月~10月 | ・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ |
| 2020年11月初旬 | ・販売活動を開始 |
| 2020年11月中旬 | ・価格を下げる ・住み替え先の賃貸住宅を探す |
| 2020年11月下旬 | ・購入者が現れる ・4900万円で売買契約が成立 ・物件を引き渡す ・住み替え先に引っ越し |
まとめ
- 長く付き合いのある仲介会社があれば査定を依頼してみよう
- 売却活動前に価格の値下げを決断する状況とタイミングを決めておく
- 内覧者に誠実に対応し、質問には正直に答えよう
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