株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘、以下リクルート)が運営する『SUUMO』では、不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査を実施しましたのでご報告させていただきます。
また、こちらの調査の詳細に関しては、こちらのリリース内でも掲載しています。
記事の目次
不動産売却検討者のうち、実際に売却したのは36.1%
不動産売却までのハードルは情報収集・訪問査定・媒介契約
1位…「希望する価格で売れなさそうだから」(29.0%)
2位…「不要不急だから」(28.5%)
3位…「売却の前にしないといけないことが増えたから」(17.0%)
ついで、4位「かけられる時間がなくなったから」(16.0%)、5位・6位「売却のきっかけとなっていた理由が変わったから」(14.5%)、「よい仲介会社と出会えなかったから」(14.5%)という結果となりました。
【SUUMO副編集長からのアドバイス】 不動産売却のハードルを乗り越えるコツ
上記のように、検討者が売却を停止してしまう理由はさまざま。売却活動をあきらめずにすむためのコツをSUUMO副編集長の笠松美香氏に聞きました。
1位:希望する価格で売れなさそうだから
思い入れのある家ほど最低いくらで売りたいという希望があることも多いでしょうが、まずはその希望価格が適正なのかを知る必要があります。そのためには、複数の不動産会社に客観的に査定してもらうことが大切です。
査定には簡易査定と訪問査定があり、簡易査定は手軽に受けられるのがメリットです。訪問査定は売り出し前に必ず受けることをおススメします。訪問査定ではその査定価格の根拠となる情報が具体的に提示されます。たとえば周辺にある類似物件の過去の売却の実績、同時期に周辺に売り出されている同条件や近い条件の物件の価格など、さまざまな情報が出てくるでしょう。
不動産会社によって査定額が異なるケースもあります。過去の売却価格や周辺の類似物件の取引価格などのデータは、どの不動産会社もアクセスできますが、査定額の算出方法は会社によって異なるため価格差が出るのです。
また、不動産会社のなかには、すでに見込み客を持っているところもあります。あのお客さんがこういう条件で探していた、あの企業のニーズにとても合っている、という売却先のイメージがつく場合は、提案される価格は、より確度が高いといえ、売却活動期間が長くなって値下げしなければならなかったりといったリスクも小さくなります。このように、査定価格は相場以外の要素によっても多少変わってくることがあります。だからこそ、複数の会社に聞いてみることが大切なのです。
2位:不要不急だから
売却を急がずそのまま保有する場合、いい条件で売れるタイミングを逃してしまうという事態にもなりかねません。
たとえば近くに人気のある施設ができたとか、交通の便がよくなったとか、その逆に悪くなったとか、条件の変化によっても物件の価値は上がったり下がったりすることがあります。また、子どもの進学のシーズン前に物件のニーズが高まったり、周辺の競合物件が少ない時期ならば、希望価格で売りやすくなることも。
こういった情報は、一般の人より不動産会社のほうが早くつかんでいる可能性が高いので、それを知るという意味でも、複数の不動産会社に相談してみるのがおすすめです。
不要不急だから今はまだいいと放置せず、この物件は現時点でどのように評価されているのかをチェックしておくこと、そして時期や周辺の状況が変わったらまたチェックしてみることが大事です。
3位:売却の前にしないといけないことが増えたから
不動産売却に必要な書類の準備や家の片付けなど、関連する雑務の多さで売却をあきらめてしまうこともあるでしょう。
事前の準備があまりにたいへんな場合は「買取」という選択肢もあります。通常の不動産売却は、不動産会社が買主を探し出して売買を成立させる「仲介」ですが、買取は、不動産会社がその不動産を直接買い取ります。
買取の場合、提示された買取価格やそのほかの条件に合意すれば、売買契約、引き渡しまで、短期間で済ませることができます。仲介よりもスピーディかつ手間の少ないのがメリットですが、一方で価格は仲介より抑えられがちです。売却までにかけられる期間や手間と、売却代金との兼ね合いを考えて検討すると良いでしょう。
売却の準備が特にたいへんなのは相続した不動産の場合。突然の相続だったり、相続関係の手続きも大変だったりと、なかなか売却まで気が回らないケースも多いでしょう。特に古い家の場合は必要な書類を探すのに手一杯ということもあります。
「売却の前にしないといけないこと」が相続の手続きなどの場合は、整理しやすいように、早めに話し合いをしておきたいものです。たとえば親などが元気なうちに、亡くなった後の話はしたくないという気持ちもあると思いますが、家を残したいのかどうか、誰にどうしてほしいなどの意向などについては、元気なうちにこそ話しておく必要があります。加えて、重要書類や金庫の鍵などの保管場所も聞いておきましょう。
特に、相続後にきょうだい間などでモメる原因となりそうなことがあれば、特に早めに話し合っておくのがおすすめです。
また、亡くなられた方の遺品について、捨てるのか形見分けするのかなどの仕分けについても時間とパワーがかかります。親の年齢が上がるとともに物の整理をしていき、その年齢に応じて管理可能な持ち物を見極め、少しずつ整理していくことも大切です。
不動産売却を成功させるカギは、不動産会社選び
不動産売却の検討段階から売却活動で、頼りになるのが不動産仲介会社。信頼できる会社選びが成功のカギといえますが、不動産会社に不満を感じたという声も。満足できる会社について解説する前に、参考にしてみましょう。
◎周辺状況を調査してもらえず、希望金額よりかなり安い査定額がついてしまった
◎査定額の根拠に関してよくわからない専門用語が多く、それらに関する説明もやや不十分だった
◎売却活動の方針や進捗状況をしっかり説明してもらえなかった
【SUUMO副編集長からのアドバイス】 満足できる会社は、連絡がマメ
まず、査定価格の根拠を具体的に提示してもらうという意味でも、その地域のことをよく知っている不動産会社であることは重要です。特に、売却する本人が現在住んでいる家ではなく、長く帰っていなかった実家であったり、自分が知らない場所にある物件を親に代わって売るケースであったりなど、その地域のことがよくわからない状況にあってはなおさらです。かつ、その地域で状況が変わった場合にすぐに知らせてくれるなど、連絡がマメな会社であることもポイントです。
その会社が提供するサービスのメニュー、これまでの売却の実績なども重要ですが、人と人とのコミュケーションの態度も重要なポイントとなるのではないでしょうか。
また、売却活動をする本人の努力も必要。不動産会社からの報告を待つだけでなく、自分からも積極的に情報収集するとよいでしょう。たとえば周辺にどんな物件が出てきていて、競合しているのかなどをチェックすることが大事。それによっては価格を下げざるをえないケースなども出てくるかもしれませんが、自分でも周辺の動きをチェックしておくことで、不動産会社の意見だけをうのみにせずに判断できるでしょう。
たとえば大規模なマンションの場合、同じマンション内の一戸が売りに出ただけで、自分の売却活動が大きく様変わりしてしまうことも。似たような広さや間取りで、自分の物件よりも少しいい条件、少し安い価格で出てくると、売却プラン自体を見直さなければならないことがあります。特に都心部の大型マンションなどでは起こりやすいケースなので、不動産会社からの連絡だけに頼らず、自分でも関心をもって進めていく必要があります。
また、次に住む物件をローンで買う予定の場合、売却で得た資金がいつまでに必要かによって資金計画が変わり、短期間でたくさんの決断をしなければなりません。買い替えを伴う売却の場合は特に情報収集・情報交換が重要です。
そんなときに心強い相談相手を味方につけるためにも、不動産会社選びが肝心。複数の会社をじっくりと比較検討し、納得できる会社を選ぶことこそが、売却活動の成功のカギとなるでしょう。
取材/文 前川ミチコ
調査概要
<調査目的>不動産売却検討者&実施者の意識と行動の把握
<調査対象>下記条件を満たすマクロミルモニター
【スクリーニング調査】
首都圏(東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県) 在住の20-69歳男女
【本調査】
過去1年以内に居住用不動産の売却を主体的に検討し、以下いずれかの行動をした方
情報収集、仲介会社へ問い合わせ、訪問査定、媒介・代理契約、売却完了または停止
<調査方法> インターネットリサーチ
<調査時期・回答数>スクリーニング調査2021年12月18日(土)~2021年12月22日(水)
有効回答数:20,000人
本調査2021年12月21日(火)~2021年12月22日(水) 有効回答数:1,239人
<ウェイトバック集計について>
【スクリーニング調査】
首都圏×年代ごとの構成比を、令和2年国勢調査結果の実人口と一致させた。
【本調査】
首都圏、年代ごとの人口構成比(令和2年国勢調査結果を使用)に、スクリーニング調査での売却検討&実施者の出現率を掛け合わせて、市場実態に近い年代構成で回収した。
<設問について>
※「過去1年間の不動産の売却についての行動」は、スクリーニング調査での聴取設問。
※「不動産売却の検討をやめた理由」は、本調査での聴取設問。
笠松美香
2018年より「SUUMO」副編集長に着任。「SUUMOジャーナル」をはじめとする情報コンテンツを担当。またスーモ リサーチセンター研究員も兼務。住まいに関するカスタマー動向、物件の最新トレンド全般や住まいに関わる制度や住宅ローンほか、住宅購入や賃貸を借りるためのノウハウ等について幅広くメディア出演や講演などを行う。