
現在住んでいるマンションとその前に住んでいた一戸建て、ふたつの物件を都内に所有していたSさん。国分寺市にある一戸建てに住む予定はなく売却を決めました。アプローチしてきた不動産仲介会社のなかで提示額の高い所を選び3300万円で売却しました。
| 不動産区分 | 一戸建て |
|---|---|
| 所在地 | 東京都国分寺市 |
| 築年数 | 約30年 |
| 間取り・面積 | 家:3LDK(90m2) 土地:115m2 |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 2800~3500万円 |
| 売り出し価格 | 3300万円 |
| 成約価格 | 3300万円 |
以前から売りたいと思っていた一戸建て。一社目の不動産会社とは相性が悪く販売活動を中断
妻と千代田区のマンションに住んでいたSさん。以前住んでいた90m2・3LDKの一戸建てを都内に所有していました。静かな住宅街にあり駅からは徒歩12分で築年数は30年。中古で購入し、残債はありません。住んでいたころ、何度か不動産会社から「売りませんか」という電話がありました。
「2018年ころ、大手不動産会社からの連絡で一度売ってみたことがあります。購入したころとは時代が変わったので仕方ないのですが、中古で7200万円で購入したのに査定価格は2800万円。専属専任媒介契約で販売活動をしましたが、担当者が契約義務を履行しないので不信感が募っていました」
契約をしても不動産仲介会社が定期連絡を怠ったり、約束した広告活動を行わない場合には、事前に通告すれば契約の解除が可能です。さらに、説明義務違反や不正行為があった場合は、事前の通告なしに解除が可能になります。
契約から3カ月後、Sさんは事前に通告した上で、契約解除し、いったん売却活動をやめてしまいました。
2019年に今住んでいるマンションの一部屋を購入。2020年にはより気に入った間取りの部屋にマンション内で住み替え、国分寺市の一戸建てにはもう住まない可能性が高くなっていました。
「売ろうかなと思っていたところ、2020年の10月に妻が亡くなってしまったんです。いくつも住居を持っていても仕方ないという気持ちがますます強くなりました」
妻の死後、名義変更したタイミングでアプローチしてきた不動産会社と契約
「国分寺市の一戸建ては妻との共有名義で、妻の分は子どもが相続し、私が9割、子どもが1割の持ち分になりました。亡くなって1カ月も経たないうちに地元の不動産会社2社から『売りませんか』と電話があったんです。どうしてわかったのか驚きましたが聞いてみると不動産登記受付帳から相続した情報を抽出して調べるらしいですね。最初は不審に思いましたが、良いタイミングだったので話を聞いてみることにしました」
相続税の申告・納税の期限は、10カ月以内です。相続した財産・不動産をどうするか検討しなくてはと焦っているときにタイミングよく電話やDMが届くと安易に信用してしまいがちです。しかし、妻と共有名義だったSさんの場合、子どもが相続したのは1割。急いで一戸建てを現金化する必要もなく、あわてることはありませんでした。
2社に訪問査定を依頼してみると1社は2800万円の査定額でしたが、もう1社からは『3300万円で購入したい人がいる』と申し出がありました。最初契約した不動産仲介会社より高い査定額だったので、専属専任媒介契約を結び、話を進めることにしました。
不動産仲介会社が購入希望の会社を紹介。値引き・条件なしの3300万円で売却
購入を希望していたのは、国分寺市内で一戸建ての建売をしている会社でした。先方から値引きや条件はなくすぐに話はまとまり、2020年11月に3300万円で売買契約を結びました。
残置物撤去や解体費用には170万円がかかりましたが、すべてを終え、2021年3月に引き渡しました。販売から売却まではひと月以内と短い間でしたが、担当者とのやりとりはスムーズでした。
「今度の不動産仲介会社の担当者は誠実で、連絡もマメ。電話の留守電に入れるとすぐに折り返し電話があり、レスポンスが早く、やりとりが気持ちよかったです」

■住まなくなった一戸建ての維持費用について
人が住まない一戸建てを空き家のまま維持する場合、設備の点検や庭木や雑草の手入れなどを行い、適切に管理する必要があります。税金では、土地・建物にかかる毎年の固定資産税・都市計画税があります。そのほか、水道・電気などの維持も必要になり、その基本料金だけでも年間数万円かかります。税金と水道・電気代だけで、毎年20万~30万円程度の保有コストがかかるのが一般的です。そのほか、定期的に訪れるための交通費や雑費、庭の管理などを業者に依頼すれば、そのための費用も必要になります。適切に管理されず放置されたままの空き家は、地域の条例に基づいて改善や撤去の指導・勧告が入る場合も。従わないと、最終的に自治体のホームページに氏名を公表されたり、自治体が行政代執行で家屋を解体した場合、その費用を徴収されます。さらに「特定空き家」と判断されると、その土地にかかる固定資産税や都市計画税の軽減措置がなくなり、今までより重い税負担が課されることになりかねないため、注意が必要です。
▼住まなくなった一戸建ての維持管理についての記事を読む
「【空き家問題】放置すると税金がかかる!空き家オーナーが知っておきたい解決策」
希望価格より上の売却価格。管理コストが負担だった不動産を整理できて満足
「3000万円以上を希望していたので、納得しています。住む予定がない不動産を持っているほうが私にはリスクにしか思えませんでしたから」
物件は老朽化してきて頻繁に修理が必要でSさんはトイレやキッチンなど水まわりのリフォーム費用など近年かかった維持費を計算し、12万円ほどの固定資産税と合わせて、年間のコストを把握していました。そのため、思い入れのある家でも、これ以上は維持管理できないと冷静な決断ができたのです。
「最初はさびしかったですが、ひとり暮らしにも慣れてきました」と話すSさん。これから、身の回りの物を少しずつ整理していくつもりだそうです。
| 2018年秋ころ | ・不動産仲介会社から営業電話がある ・1社目の不動産仲介会社と専属専任媒介契約締結 |
|---|---|
| 2018年11月 | ・1社目の不動産仲介会社との契約を解除する |
| 2020年11月 | ・2社目の不動産仲介会社から営業電話がある ・2社目の不動産会社と専属専任媒介契約を締結 ・購入したい業者を紹介される ・売買契約を結ぶ |
| 2021年3月 | ・物件の引き渡し |
まとめ
- 契約した不動産会社が契約義務を履行しない場合、事前に通告すれば契約を解除できる
- 住む予定のない不動産が年間どのくらいのコストがかかっているか理解しておく
- 相続による名義変更後、不動産会社からアプローチがあることも。活用する場合は、慌てずに自分で見つけてきた不動産会社の提示内容と比較検討する
取材・文/内田優子 イラスト/いぢちひろゆき


