不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

転勤で空き家になった自宅、数年後に売却を決断。売り出し後に値下げして成約/神奈川県茅ヶ崎市Nさん(40代)

神奈川県茅ケ崎市 Nさん(40代)/転勤で住まなくなった一戸建て。売り出し後に値下げして成約

神奈川県茅ヶ崎市に建てた築12年の一戸建てが転勤で空き家になっていたため、売却を決めたNさん。住宅ローンの残債2640万円を返済できる金額で売却したいと、査定額より高い2800万円で売却をスタート。少しずつ価格を下げて、購入希望者が現れるのをじっくり待ち、2350万円で売却が決まりました。

不動産区分 一戸建て
所在地 神奈川県茅ヶ崎市
築年数 約12年
間取り・面積 3LDK(延床面積…66m2、土地面積…約100m2
ローン残高 2460万円
査定価格 1900万円~2600万円
売り出し価格 2800万円
成約価格 2350万円

転勤で帰る予定がなく、数年間空き家のままだった一戸建ての売却を決意

神奈川県茅ヶ崎市に、約100m2の土地を買って注文住宅を建てたNさん。ところが、関西方面に転勤になり、数年間自宅を空き家になった家に、今後も帰る予定がないのに持っていても仕方がないと思い、売却を決意しました。

転勤で空き家になった自宅の売却を決意

Nさんが建てた家は、コンパクトながらプロバンス風の可愛らしい外観の木造2階建て。にぎわいのある駅からバスで約10分、バス停から歩いて約4分。緑豊かな里山もあり、夏場は観光客が多く訪れる海まで歩いて行ける場所。温暖な気候で知られるエリアでオンとオフの両方を楽しめる、子育て世代にも暮らしやすい立地。そして生活面も、徒歩圏に大型ショッピングセンターや小・中学校など各種施設が充実する便利な場所にありました。

一戸建ての住宅ローンは2460万円残っていました。家は住まないと傷みますし、住宅ローンや固定資産税は払い続けなければなりません。Nさんは住宅ローンの残債と仲介手数料などを払える価格で売りたいと思っていました。

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■転勤時の自宅をどうする?

転勤で住まなくなった自宅(持ち家)は、「売る」「賃す」「空き家にする」という3つの選択肢があります。数年後に戻ってくることが確実な場合は、リロケーション(一定期間自宅を不動産会社に預けて、賃貸住宅として貸し出す)もできますが、一般的に「貸す」場合は空室リスクがあり、短期間だけ借りる人を探すのは難しくもあります。また、住宅ローンは自ら居住することが前提なので、賃貸に出すと契約違反になる可能性があります。空き家のまま所有していると、住宅ローンの支払いのほか、固定資産税や維持費もかかるので、転勤からいつ戻れるか分からない場合は「売る」ことを検討するのもひとつです。

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ネット検索で査定額をリサーチ後、知り合いがいる地元の仲介会社に売却を相談

2021年4月、一括査定サービスサイトを利用して査定額を調べると、5社からメールで連絡がありました。査定額は1900万円~2600万円と700万円の差がありました。その後、ショートメールや電話での連絡があり話をしましたが、Nさんの場合、売却したい家から離れた場所に住んでいるため、何度も行き来をして数社と会う時間の余裕がなく、最も熱心な不動産仲介会社1社と会うことを決めました。査定額が一番高い会社ではなく、査定額2100万円~2300万円の会社を選びました。

「自分の希望売却額が3000万円であることを伝えると、ガラッと否定的な態度に変わる会社もありましたが、その会社は気持ちに寄り添ってくれました。女性の担当者で、仕事が早くて熱心なベテランだということは電話で伝わりました。

また、茅ヶ崎市周辺で一戸建てを探している顧客が2組~3組いると話していましたし、訪問査定をして、『きれいに住んでいるので、リフォームも何もしないで大丈夫』と言われたので安心しました。また、わざわざ関西の転勤先まで足を運んで話をしてくれたのもありがたかったですね」

そしてNさんはこの会社なら熱心に売却活動をしてくれるだろうと思い、専属専任媒介契約を結びました。

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2800万円から売却開始。約3カ月後に価格を下げて2350万円で売買契約成立

売却活動を開始するうえで、譲れない条件は価格でした。当初は、住宅ローンの残債や仲介手数料を支払うことを考えて、3000万円での売却を希望していましたが、不動産会社と話し合って2800万円にしました。

2021年6月に売却活動をスタート。売却活動は主にネットで、自社のホームページや大手不動産ポータルサイトにも物件情報を掲載。外観、室内の写真、間取り、物件のポイントを物件情報のページに丁寧にまとめてくれたのはネットで確認できました。不動産仲介会社からは1週間に1回、電話で状況連絡がありました。「周辺で探しているという顧客にも話してくれたようですが条件が合わなかったようですし、なかなか希望者や問い合わせがありませんでした」

7月には家に置いたままの荷物を片づけて、Nさんは大阪市の賃貸マンションに引越しを済ませました。家を引き払い、問い合わせがあったらいつでも内覧できるように不動産仲介会社にカギを渡しました。

約3カ月後、Nさんは担当者と相談して価格を2400万円に下げました。すると、内覧して2350万円なら購入したいという人が現れ、売却を決めました。

「当初の希望額からは安くなりましたが、査定時には一番低い査定価格は1900万円だったわけですし、それより高いならいいと納得して、売ることにしました。購入者との商談はすべて不動産仲介会社におまかせしました」

遠隔地の売買活動もスムーズ。オーバーローンの不足分は貯蓄で清算

当初の査定額よりも高い価格での売却に成功したNさん。住宅ローンの残債が2400万円で、売却価格2350万円なので、マイナスの50万円と仲介手数料、司法書士への報酬は貯蓄で補填したそうです。

「売却を決意してからは1年弱。価格を下げればもっと早く売れたと思いますが、なかなか下げなかったので多少時間はかかりました。ただ、海や里山など自然が近い家だったので、コロナウイルス感染症の影響でテレワークなどが広がり、環境のいい所に住みたい人が増えたそうで、相場が上がった時期だったと聞きました。だから、売ったタイミングは良かったのかなと思っています」

信頼できる会社と担当者に出会えて、連絡も密で、住宅ローンのことなども詳しく教えてもらい、点数をつけたら90点ぐらいと、満足しているNさん。

「遠隔地でも連絡が密でスムーズに売却ができました。電話で信頼できる不動産仲介会社を選ぶには、高い希望額を伝えて、対応を見るのもひとつですね」とアドバイスしてくれました。

2021年1月 ・売却を意識しはじめる
2021年4月 ・一括査定サービスサイトを利用
・5社から連絡があり、電話で話をする
2021年5月 ・5社のうち1社にしぼり、訪問査定を行う
2021年6月 ・不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・売却活動を開始する
2021年7月 ・引越しをして家を明け渡し自由に内覧できるようにする
2021年9月 ・価格を2400万円に下げる
・内覧者から購入希望者が現れる
・2350万円で交渉が成立
・売買契約を結ぶ
2021年11月 ・物件を引き渡す
・住宅ローンの残債を返済

まとめ

  • 遠隔地の物件売却の際は、本音で話をして対応を見て信頼できる不動産仲介会社を見極めよう
  • さほど急がない場合は、査定価格より高い価格でスタートして反応を見ながら価格を下げる戦略もある
  • 住宅ローンの残債よりも売却価格が低いオーバーローンの場合、貯蓄などで補填する必要がある

イラスト/松尾達

●構成・取材・文/佐藤由紀子
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