不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

埼玉県秩父市Nさん(50代)/父から相続した秩父の実家。地元の不動産仲介会社に任せて遠方に住みながら売却

埼玉県秩父市Nさん(50代)/父から相続した秩父の実家。地元の不動産仲介会社に任せて遠方に住みながら売却

埼玉県秩父市ののどかな田園地帯にある築39年の一戸建て(120m2・5LDK)を相続したNさん。横浜市に住むNさんは、地元に詳しい不動産会社へ依頼。遠方に住みながら空き家バンクを活かし、1380万円で売却できました。

不動産区分 古家付き土地
所在地 埼玉県秩父市
築年数 約39年
間取り・面積 約380m2
ローン残高 なし
査定価格 1300万~1500万円
売り出し価格 1380万円
成約価格 1380万円

埼玉県秩父市の一戸建てを相続。住む予定はなく売却を決める

横浜市に暮らしていたNさんは、2019年に父が亡くなり、埼玉県秩父市の実家を相続しました。1年が経ち、住む予定はなかったため、売却しようと決めました。

約380m2の敷地にある木造二階建て(約120m2・5LDK)で、新築時に1400万円で父親が購入し、相続時には住宅ローンは支払い終えていました。

「秩父市の中でも畑が多くのどかな場所で、実家も土地や家が広かったですね。成人後は実家を離れていたので、まずは、地元の不動産会社をあたってみることにしました」

横浜市に住みながら売却活動。地元の同級生が経営する不動産会社を頼る

一括査定はせず、地元の不動産会社2社と同級生が経営する不動産会社へ連絡をとりました。地元の不動産会社にはホームページがないところもありましたが、エリア外の人にもアピールできる自社サイトのある会社にしぼって依頼しました。査定価格は、3社とも1300万~1500万円でした。

実家売却を検討するイメージ

「最初は、一般媒介契約で査定の高かった2社に頼もうかと思っていたんです。同級生に連絡を取る前は、知り合いにお願いしない方がいろいろ相談しやすいのかなという気持ちもありました。でも、同級生に物件を見てもらったとき、不動産の知識が深いのに感心しました。これなら安心して任せられると思い、査定は低かったのですが、同級生が経営する不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結びました」

そして、同級生に物件を担当してもらうことに。ほかの不動産会社が出した最高査定価格は、1500万円でしたが、担当者は、地元の不動産の売買実績から、1500万円は高すぎると判断しました。

「担当者から、『この辺りで1500万円なら新築が買える。早い時期に売却を決めたいなら、1400万円を切る価格がいい』とアドバイスをもらい、できるだけ早い時期で売却が決まればと思い、1380万円で売り出すことにしました」

古い家でも売れると判断。空き家バンクに登録して移住希望者に売却

遠方に住んでいたNさんは、2019年3月からの販売活動をすべて不動産会社へ任せました。不動産仲介会社は、ローカルのラジオ局に広告の枠があり、そこで物件情報を放送しました。

当初、築年数が39年の古い家は売れないだろうと予想していたNさん。しかし担当者に相談した結果、そのまま売り出すことにしました。

「きれいな状態だったので、そのままでも購入したい人はいるだろうと。地元不動産会社で運営する空き家バンク(所有者から提供を受けた空き家情報を、空き家を活用したい人へ紹介する制度)に登録して、希望者を募ることにしたのです」

4カ月後に都心から移住を希望する人から、「ぜひ購入したい」と連絡があり、8月に1380万円で売買契約を結び、引き渡しました。

■空き家バンク

空き家バンクとは、空き家の物件情報を自治体がホームページ等で公開して利用者を募る仕組みのことです。 空き家の所有者、空き家及び空き家の利用希望者等の情報を自治体が集約し、空き家に関する情報提供等を行っています。空き家問題の解消を目的とし、自治体内にある空き家を有効活用。集落の維持及び活性化、市民と市外居住者との交流拡大、定住を促進するために設けられました。空き家バンクの利用促進を図るため、一定の要件の下、登録された空き家について、賃貸借もしくは使用貸借契約又は売買契約を締結した場合には、補助金が出る場合もあります。

遠方からの売却は情報が少ない。事情に詳しい地元の不動産会社に任せて正解

Nさんは以前、中古マンションを売却したことがあり、ファイナンシャルプランナーの資格があったので、不動産売却の流れは理解していました。それでも、地元の情報に詳しい不動産仲介会社が頼りになったといいます。何でも相談でき、安心して任せることができました。売却活動や売却価格にとても満足しています。

「実家は、高校生のころ、父と早くに亡くなった母、3人で暮らした思い入れのある家なので、さみしさはあります」と話すNさんですが、遠方にある不動産の管理をするのは大変です。大切に住みついでもらえる人に売却でき、安堵した表情を浮かべていました。

2019年2月 ・父が亡くなり、相続する
・売却を意識し始める
・簡易査定、訪問査定を行う
2019年3月 ・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・1380万円で売り出し
2020年7月 ・購入者が現れる
2020年8月 ・売買契約を結ぶ
・物件の引き渡し

まとめ

  • 地元の不動産会社は、エリアの最新事情に詳しく、遠方からの売却でも頼りになる
  • 空き家バンクを活用すれば、古い家でもほしい人がみつかる可能性がある
  • 古い家の処分に迷ったら解体やリフォームをする前に、不動産会社へ相談しよう
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取材・文/内田優子 イラスト/カワモトトモカ

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