
先祖代々受け継ぐ土地を活用して不動産業を営むHさん一家。亡くなった父から相続した約360m2の古家付き土地は「物納するように」との遺言でしたが許可が下りず、やむなく売却することになりました。
| 不動産区分 | 古家付き土地 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府東大阪市 |
| 築年数 | 約100年 |
| 間取り・面積 | 約360m2 |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 4400万円 |
| 売り出し価格 | 4400万円 |
| 成約価格 | 4400万円 |
父から相続した古家付き土地の物納申請が却下
大阪府東大阪市内に先祖代々から受け継ぐいくつかの不動産を持ち、不動産賃貸業を営んでいるHさん。2018年末に父親から相続したのは築100年ほどになる古家付き土地でした。
「土地面積は360m2くらいで結構な広さがありました。古家はかなりの古さで、ずっと倉庫として貸していたのですが、相続したときにはすでに空き家になっていました。父からは相続税が2300万円ほどかかるので、相続したら物納申請をすればいいと言われていました。手続きなどはいつもお世話になっている税理士さんにお願いしました」

ところが、1年がたった2019年末になって物納申請却下の知らせが届きました。
「今ごろになって……という感じでしたが、しょうがないので売却することになったんです」とHさん。
■相増税の物納とは
相続税は金銭での支払いが原則ですが、分割であっても支払うことが難しい場合は、金銭に代えて相続財産で支払うことが認められています。これを「物納」と言います。相続税を分割払いで支払うことを「延納」と言い、相続税の金額からすぐに支払うことができる金銭を差し引き、残りの金額を延納制度を利用しても支払うことが難しい場合は、物納することができます。物納が認められるためには、三つの要件を全て満たす必要があります。一つ目は延納しても金銭で納付することが困難な場合です。につ目は、申告期限までに物納申請書を提出することです。三つ目は物納する財産が国による管理・処分に適格するかどうかです。例えば、担保権の目的となっている不動産や権利の帰属について争いがある不動産、境界が明らかでない土地、日本国外にある不動産などは管理処分不適格財産といい、物納できません。
また、物納できる相続財産には順位が定められており、上位の相続財産(不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式など)がある場合は下位の相続財産(非上場株式や動産など)を物納することはできません。さらに、不動産については実勢価格ではなく相続税上の評価額が物納する財産の価格となります。
懇意にしていた不動産会社に売却を依頼
「物納許可の判断がなかなか届かなかったため、もしかすると売却することになるかもしれないと、どれくらいの価格で売れるのか、母が知り合いの建売販売会社の方に相場を聞いておいてくれたんです。坪単価40万円くらいだと言われたそうです。東大阪市内の建売住宅は3000万円台でないとなかなか売れないそうで、土地代にあまりコストをかけられないとのことでした」
Hさんが相続したのは、駅からそれほど遠くない5〜6m幅の道路に面した角地で、間口の広い長方形だったので比較的貸しやすい土地でした。
「使い勝手の良い土地でしたが、広さもあり、一般の方だけでなく不動産会社の方などにも幅広く販売活動をしてもらいたくて、懇意にしている不動産会社のベテラン担当者に売却を相談し、専属専任媒介契約を結びました」
価格はやはり坪単価40万円程度が妥当ということで、4400万円からの売り出しとなりました。
築100年ほどたつ古家を解体し更地で売却
敷地内に立つ古家は築100年ほどになるため、解体してから売却するほうが良いというアドバイスを受け、売り出し前に解体しました。
「解体費用は100万円ほどかかりました。売却は特に急いでいたわけではなかったので、価格は絶対に下げないという条件で、信頼できる担当者にすべてをお任せしていました」
1年かかったものの希望価格で売買契約が成立
2019年末の売り出し開始から数件の問い合わせがあったものの、なかなか具体的な話にまで進まないまま1年がたった2020年12月にようやく購入検討者が現れました。
「近くの会社の方で、事務所と駐車場にして使いたいとのことでした。価格交渉はありましたが、値下げする予定はないとお伝えし、4400万円での売却となりました。価格交渉に少し時間がかかったので売買契約の成立は年明け2021年1月になりましたが、なんとか無事に売り切ることができました」
売却活動を振り返り、その出来を10点中7点くらいだったとHさんは振り返ります。
「比較的きれいな形の土地でしたし、大きな幹線道路まで道1本でアクセスできる使い勝手の良い立地なので、すぐに購入者が見つかるかなと思いましたが、思ったよりも時間がかかりましたね。急いでいたわけではないですが、なかなか売れないと気がかりで。不満とまでは言いませんが、もっと早く売れてほしかったですが、値下げすることなく無事に売れたことは良かったと思っています」
| 2018年末 | ・父から古家付き土地を相続 ・物納手続き開始 |
|---|---|
| 2019年末 | ・物納不許可の通達 ・懇意の不動産仲介会社に訪問査定を依頼 ・専属専任媒介契約を結ぶ ・古家を解体し4400万円で売り出し開始 |
| 2020年12月 | ・購入検討者が現れる |
| 2021年1月 | ・売買契約成立 |
まとめ
- 築年数の古い家屋付きの土地は、解体し更地にしてから売却活動をするほうが売りやすいこともある
- 広い土地は分割して販売することも検討してみよう
- 売却を急いでいない場合は、安易に値下げせずにじっくりと時期を待ってみよう
取材・文/馬場敦子 イラスト/村林タカノブ


