不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

千葉県千葉市稲毛区Dさん(60代)/入魂の付加価値リフォームで、査定額よりも高い価格での売却に成功

千葉県千葉市稲毛区Dさん(60代)/入魂の付加価値リフォームで、査定額よりも高い価格での売却に成功


自宅とは別に所有していたマンション(築20年・3LDK)を、賃貸に出していたDさん。2019年、千葉市内でのニーズの高まりを感じていたころ、賃貸に出していたマンションが空室になり、売却活動を開始。当初の査定価格より1200万円高い3000万円で売却しました。

不動産区分 マンション
所在地 千葉県千葉市稲毛区
築年数 約20年
間取り・面積 3LDK(86m2
ローン残高 1500万円
査定価格 1500万〜1800万円
売り出し価格 3200万円
成約価格 3000万円

千葉市内の市場ニーズの高まりを感じ、保有マンションの売却を検討

Dさん夫妻と80代の両親が4人で暮らしているのは、千葉県千葉市稲毛区に立つ築20年のマンション。稲毛区は穏やかで落ち着いた生活環境に加え、東京までは高速バスで約1時間と意外に便利なアクセスが魅力の街。

「大手不動産会社が手掛けたこの物件は、躯体がしっかりしているんです。3LDKの間取りもゆったりしたつくりで気に入り、新築で売り出されたときに購入、入居しました。その際、もう一部屋購入して、賃貸に出していたんです」

自宅とは別に購入した住戸はここ5年、企業の借り上げ住宅として貸し出していたそうですが、2018年夏ごとに入居者が退去し、その後は空室になっていました。金利が今よりもずっと高かった20年前にローンを組んで購入した物件で、まだ残債が残っていたDさんは、次の借り手を探すか、売却するかを検討した結果、売却を選択しました。

「ポスティングされている周辺物件のチラシや付き合いのある不動産会社からの情報で、千葉市内の不動産市場が活発化しているように感じていたので、売却することで収益が見込めるのではないかと考えたんです」

リフォームを施し、査定額よりも高く売り出し

5年ほど暮らしていた以前の入居者はあまり丁寧に住んでいなかったようで、水まわりを中心に汚れが目立ち、リフォームが必要な状態だったそうです。

「普通にきれいにするだけのリフォームではつまらないですし、相場より高く売ることができませんからね。物件自体は購入時によく見極めてしっかりとしたつくりの物件を選んでいますから、見る目のある方に高く買っていただきたいと、住み心地を高めるための付加価値リフォームを施すことにしました。私はアメリカで暮らしていた経験があるのですが、アメリカでは基礎や構造体がしっかりしていて、こまめに手入れされた良質な中古物件なら、価値が下がるどころか、むしろ高まる物件も多いんです。日本では残念ながら文化と制度の違いもあり、不動産投資によるキャピタルゲインは得にくい状態ですが、私は不動産が大好きなので、いろんなアイデアと工夫を盛り込んだ質の高い物件を提供したい、その価値がわかる人に購入していただいて大事に暮らしていただきたいという思いが強いんですよね。だから、売却前のリフォームには力を入れているんです」

日本では買主自身が中古物件を購入後に自分好みのリフォームをするのが一般的ですが、家は投資のための資産であるという考えが根付いているアメリカでは、少しでも高く売れるように売主がリフォームをしてから売りに出すのが一般的なのだとか。

今回の売却物件では、リビングの隣にワークスペースをつくり、30センチの厚みがある防音壁を5枚も取り付けて設備を強化するなど、1000万円近くのコストを掛けて居住性を高めるリフォームを施しました。

「5社に依頼をした査定価格は1500万円〜1800万円で、ローンの残債との差し引きはほぼゼロでした。そこに約1000万円を掛けたリフォームをして付加価値を高めたので、私としてはもっと高い値段での売り出しを予定していました。一般媒介で依頼した仲介会社5社の担当者さんからは『相場でないと売りづらい』と口をそろえて忠告されましたが、できれば諸経費を引いて300万〜400万円くらいの利益が欲しいと考え、3200万円で売り出すことにしました」

購入者との交渉で、売り出し価格から200万円下げて成約成立

販売活動を開始して2カ月ほどの間に3組の問い合わせがあり、そのうち2組が内見に来たそうです。

「私自身、売却物件と同じ敷地内に自宅を所有しているため、購入者とは今後も顔を合わせる機会があります。ですから、安心できる良い方に買っていただきたかったんです。この方なら!と思った購入希望者から、銀行のローン審査が通るかどうか微妙なところだと聞き、200万円価格を下げて売却することにしました。本当はキャッシュで買ってくれる方が良かったのですが、少なからず愛着のある物件を大事にして暮らしてくれそうな方にお譲りしたかったこともあり、値引き交渉に応じました。早く売ってしまいたかったという思いもありましたしね」

■キャピタルゲインとは

不動産投資において得られる利益には、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類があります。インカムゲインは家賃収入、キャピタルゲインは売却益のことをいいます。保有している株式や不動産など資産の価格が取得時よりも値上がりすることによって、売却時に得られる収益をいいます。反対に、売却によって損失が出た時はキャピタルロスといいます。

売却益は出なかったものの、信頼できる購入者で満足

価格もさることながら、良い方に売りたいという思いが強かったDさん。今回は購入希望者の情報がたくさん入るようにと一般媒介を選択されました。しかし、思ったよりも紹介数が少なかったと振り返ります。

「一般媒介は複数の仲介会社と契約ができますが、報告義務がないので手応えがあまりなかったですね。千葉市内のニーズが高まっているのは間違いないと思うのですが、今は買い手自身がインターネットで物件検索する時代。物件の質よりも価格がネックになって、検索に引っかからないケースがあるなと感じました。築年数が古くても質の高い物件はたくさんあることを知っていただきたいですね」

しっかりとリフォームを行って物件の売却を行ったDさん。今回の売却活動を振り返って「90点の出来だった」と答えてくれました。

「住宅ローン残債があった上にリフォームコストが掛かっていますし、値引きもしたので売却益は出ませんでしたが、買い手の方にとっては良いお買い物をしていただけたのではないかと満足しています。自分が見極めて購入した良い物件を、さらに魅力ある物件に昇華させた上で売却できて良かったです」

今ご自身が住んでいる部屋も、いずれはリフォームや売却を考えているんだよと、笑顔で教えてくれたDさんでした。

2018年夏ごろ ・賃貸に出していた所有物件が空室になる
2018年12月 ・売却物件をリフォーム
2019年1月 ・5社にマンションの売却価格査定を依頼
・5社と一般媒介契約を結ぶ
・3200万円で売り出し
2019年2〜3月 ・購入検討者が現れる
・売却価格を3000万円に変更
2019年4月 ・売買契約を結ぶ

まとめ

  • 躯体がしっかりしていて、管理の行き届いた質の高い物件を選ぶのがオススメ
  • 魅力的なリフォームをすると相場よりも高く売却できる可能性も
  • 一般媒介契約は、複数の不動産会社から情報をたくさん得られる点が魅力だが、報告義務がないため手ごたえがわかりにくいことも
売却査定する

取材・文/馬場敦子 イラスト/松尾達

ページトップへ戻る