不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

静岡県静岡市Sさん(50代)/静岡市のタワーマンションを4年前の購入時より高値で売却

静岡県静岡市Sさん(50代)/静岡市のタワーマンションを4年前の購入時より高値で売却

両親の介護のために、実家のある静岡市のタワーマンションを購入したSさん。介護が終わった2020年、タワーマンションを売却し、その資金で東京にマンションを購入することを決めました。抜群の眺望を誇るタワーマンションに内見者の反応は上々。購入時より高値で売却することができました。

不動産区分 マンション
所在地 静岡県静岡市
築年数 築10年
間取り・面積 3LDK(72m2
ローン残高 なし
査定価格 なし
売り出し価格 3480万円
成約価格 3280万円

介護のために購入した静岡市のタワーマンション。介護が終わり、売却を決意

Sさんは親の介護のため2016年に両親の住む静岡県静岡市にタワーマンションを購入し、妻、息子とともに東京から移り住みました。

母の介護のため静岡市に移住

4年間の介護の末、母を看取った2020年、タワーマンションを売却して東京へ戻ろうと決めました。
「私は東京、妻は埼玉出身。静岡は親が隠居のために住んでいただけで、私たち家族には縁もゆかりもなかったんです。私の仕事も、介護を理由に東京勤務から静岡市の営業所に転勤させてもらっていました。介護が終わり静岡に住む意味はもうなくなったので、売却して東京生活に戻りたいというのが家族全員の希望でした」

住んでいたのは静岡市内の再開発エリアに立つタワーマンション。Sさんの住戸は14階部分でした。

「景色が良く、サービスやセキュリティーもしっかりしていて、住み心地の良いマンションでした。玄関の前にゴミ出ししておけばコンシェルジュが持って行ってくれるし、タクシーを呼んでくれたり、宅配の取り次ぎもしてくれたり。それでも管理費1万8000円と、東京と比べると安かったですね」

同じマンションの別住戸の中古価格を参考に売り出し価格を決める

Sさんが仲介を依頼したのは地元の不動産仲介会社。家を売るのは2回目で、売却の流れは概ね理解していたというSさん。訪問査定はあえて受けず、自分の希望する価格で売り出してほしいと希望したそうです。

「このあたりは一戸建てに住んでいる人が多く、マンション売買の実績数が少ないので、査定する意味があまりないと思いました。同じマンションで4住戸ほど売りに出ており、それらの価格を参考に売り出し価格を決め、あとは購入希望者との交渉次第。価格は市場が決めることだから、査定は受けませんでした」

Sさんは2016年にこのマンションを3000万円で購入。売却を考えた2020年2月には同じマンションの24階部分が6000万円で売り出されており、それより下の14階部分であることや広さなどを考え、売り出し価格を3480万円に決めました。
地元の不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結び、売却活動を開始しました。

ローンを組まずに次のマンションを購入するため、「売買契約後、即購入」を実現

売り出したところ、内見者は次々に訪れ、反響は上々でした。

「見学者は10組や20組ではなかったです。景色は抜群、セキュリティーも良く、絶対に多くの人が欲しいと思うマンションだと確信していたので、特に驚きはしませんでした。実際、見学された人はみなさん、部屋に入った瞬間『うわー、すごい』という感想を述べられ、非常に手応えを感じました」

マンションの価値に自信を持っていたSさん。「売れなかったらどうしよう」という不安は一切なかったといいます。

そんなSさんが売却活動で最も重視したのは、住み替え先のローンを組まないための“資金の流れ”でした。
Sさんはタワーマンションを売ったお金と手持ち資金で東京にマンションを購入すると決めていました。

「住宅ローンを組むのは面倒だし、売却益が出て現金を手にできれば、わざわざ借金をする必要もないですよね。ただ、売れたのはいいけれど次に住むところがないのは困るので、まず次に購入する東京の物件を先に決め、不動産仲介会社には手付金を払っておきました。ローンを組みたくなかったので、売却した時点で購入の契約ができるよう、同時進行で進めたんです。売却後、一旦賃貸に入って……というのは困るので、売却したその足で引っ越せるようにしたかったんです」

内見者は多かったものの、引き渡し日をこちらの都合に合わせることを条件にしたため、成約に結びつけるのに苦労したといいます。
しかし、2020年5月に、セカンドハウスとして利用したいので、引き渡し日はいつでもいいという購入希望者が現れました。
不動産仲介会社を通じて価格交渉をした結果、売り出し価格から200万円引き下げた3280万円で売買契約が成立しました。

手付け金を支払っておいた東京のマンションを契約したのは、タワーマンションの売却が決まった3日後。築40年のマンションで3620万円。売却の手続きをすべて終えた3日後には引っ越し可能となり、日程的にもスムーズな流れでした。

■住み替えのタイミング

住み替えのタイミングには、今住んでいる家を売却してから次の家を購入する「売り先行」と、先に次の家を買ってから売却する「買い先行」があり、どちらもメリット、デメリットがあります。
「売り先行」のメリットは堅実な資金計画が立てられること。家を売却した資金が先に手に入るため、ローン残債の返済にあてたり、売却益をベースに新居の予算を立てたりすることが可能です。ただ、先に家を売却してしまうため、次の住まいが見つかるまでの仮住まいが必要になるなどのデメリットもあります。
一方、「買い先行」の場合は、新居に引っ越してから売却活動を実施するため、仮住まいが不要です。また空き家状態で売却活動ができるのもメリット。クリーニングやリフォームで生活感を感じさせない状況で内見が可能ですし、内見に立ち会う必要もありません。しかし、新居購入してから売却が成立する期間、二重の住宅ローンがかかる場合があります。また、売却金額が分からない状況で新居を購入するので、資金計画がたてにくいというデメリットもあります。

自分自身が住みたいと思って購入したタワーマンションなので、自信を持って売却活動ができた

今は生まれ育った東京での生活をスタートさせたSさん。
「4年間知らない土地で家族3人ともよく頑張ったと思います。息子も東京には友だちがたくさんいるので喜んでいます。家族全員が明るくなりましたね」と笑顔を見せます。

最後に売却活動を振り返っていただきました。
「とてもうまくいったと思います。買ったときより高く売れたので満足ですし、売ってすぐ入居、という日程もスムーズでした。静岡市のタワーマンションは希少価値があり、私自身もここに住みたいと思って買ったマンションなので、自信を持って売却することができました。売却活動は、売り出し価格をどうするかがポイントですが、不動産サイトを見るとなんとなく売買の仕組みが分かるので、勉強しながら世間の市況と歩幅を合わせることが売却成功のコツかな、と考えています」と話してくれました。

2020年2月 ・売却を考え出す
・地元不動産仲介会社にマンションの売却を相談
・地元不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
2020年3月 ・3480万円で売り出し
2020年5月 ・購入検討者が現れる
2020年6月 ・売買契約を結ぶ

まとめ

  • 必ずしも不動産仲介会社の査定を受けなくても、自分の希望する価格で売り出すことも可能
  • 同じマンションの売り出し価格などで相場を知った上で、購入価格やローン残債などを考慮して、希望の売り出し価格を決める
  • 資金計画だけでなく、次の住まいへの入居のタイミングなど売却後のスケジュールを立て、それに向けて活動する

取材・文/浅野真由美 イラスト/松尾達

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