不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

母親から相続した遠方の実家。地元の不動産会社に依頼し無事売却に成功/北海道函館市Nさん(60代)

北海道函館市Nさん(60代)/母親から相続した遠方の実家を、地元の不動産会社に依頼し無事売却に成功

大学への進学を機に、地元の北海道函館市から首都圏に移り住んだNさん。母親が亡くなり、実家を相続しましたが、遠方でなかなか足を運べませんでした。そこで昔から付き合いのある地元の不動産会社に依頼し無事売却することができました。

不動産区分 古家付き土地
所在地 北海道函館市
築年数 約40年
間取り・面積 約600m2
ローン残高 なし
査定価格 2600万円
売り出し価格 2300万円
成約価格 2000万円

1人で暮らしていた母親が亡くなり、空き家になった実家を売却することに

大学進学を機に東京へ出て、そのまま首都圏で暮らすようになったNさん。兄弟はなく、父親が亡くなった後、北海道函館市にある実家には母親が1人で暮らしていました。函館市の市街地にある実家は、JRの駅からは徒歩10分、函館市電の駅は徒歩5分程度という立地で、住宅が多く建ち並ぶようなエリアです。一方で目の前は片側2車線の広い道路が走っているため、周辺にはロードサイド店もいくつかありました。

「そのエリアの中で、敷地が約200坪ある実家はかなり広いほうでした。一人暮らしには広すぎるため、父親が亡くなってしばらくした後、母親から『マンションに移り住んで、実家を処分しようと思う』と言われていました」

実際に母親は、契約こそしていないものの、昔から付き合いのある地元の不動産会社に声をかけて、マンション探しと、実家の売却を相談していたそうです。

ところが、なかなか母親の気に入るマンションが見つからず、そうこうしているうちに母親は体調を崩し、2016年10月に亡くなってしまいました。そのため約200坪の土地とともにNさんは実家を相続することになりました。

「けれど私は首都圏に生活基盤があり、実家へ戻る気はありませんでした。また首都圏と北海道では距離がありますから、そう何度も足を運ぶわけにもいきません。ですから母親が声をかけていた、昔から馴染みのある地元の不動産会社に、そのまま売却を依頼することにしたのです」

空き家の状態が不安だったので、家屋を取り壊して売ることに

母親が生前に相談していた不動産会社は、規模は大きくありませんでしたが、Nさんが幼い頃から何かと付き合いのあった会社でした。なかなか地元へ帰れないNさんにとっては、すべてを任せても安心できるところにお願いしたかったので、母親が亡くなった1カ月後の2016年11月、その不動産会社と専属専任契約を結びました。

売り出し価格は、母親が相談していた時から不動産会社が提示していた2600万円。「私は『そんなに高く売れるのかな?』という感覚でしたが、昔から知っている不動産会社は『任せておけ!』というような具合で(笑)」

しかし一冬を越えても何の反応もありませんでした。Nさんによれば、冬の厳しい函館市では10月から3月までの間は、一般的にあまり取引をしないという商習慣があるそうです。

また、空き家になった実家に何のノボリや看板も立てなかったことが影響していたと思われます。「実家にノボリや看板を立てると、地元にいる同級生たちに『あいつ、親が亡くなってすぐに家を売りに出したぞ』と言われるんじゃないかと……」

そのため販売情報は、離れた所にある不動産会社の窓にある張り紙のみ。不動産会社としては情報網等を使って他の不動産会社から買い手を探していたようですが、強気な価格もあり、なかなかうまく見つかりません。

一方、Nさんは一冬を越してみて、実家が積雪で壊れたらどうしようとか、知らない車が実家の敷地に止まっていたと近所の人から連絡が入ったこともあって、「このまま建物を残していて何かあったら大変じゃないか」と思うようになりました。

遠方の実家を心配しているイメージ

すると、相続手続きでお世話になった司法書士から「今なら空き家対策として、建物を壊しても譲渡所得の3000万円まで特別控除される制度がありますよ」と教えてもらいました。

そこでNさんは更地にして改めて売り出すことにしました。「不動産会社は家があるままでいいのに、と不満そうでしたが(笑)何しろ私が実家の様子を見に行ったりできないので、押し切りました」

その際に、販売価格も見直すことに。「私は素人ながら少し調べてみて、1700万〜1800万円くらいでと言ったのですが、不動産会社は絶対に2000万円以上で売れると強気でした」。こうして2300万円で約200坪の土地を改めて販売することになりました。

購入希望者がいると司法書士から電話があり、無事売却することに成功

Nさんは、もともと相続をあてにしていなかったので、売却時期にもこだわらなかったのですが、建物がなくなって不安がなくなったため、ますます長期戦でもいいやと思っていたそうです。「あとは欲しい人が見つかれば、という気持ちになりました」

更地にしたことで、年2〜3回の雑草処分が必要になりましたが、市からシルバー人材センターの利用を紹介してもらいました。また更地なので積雪による心配がなくなっただけでなく、むしろ町内会の管理下のもと除雪した雪の置き場に活用してもらうようになりました。「固定資産税も、首都圏で暮らす私からすればびっくりするほど安いですから」

こうして更地にしてから約2年がたった頃、Nさんに電話が入りました。「司法書士さんからでした。以前実家に隣りあった土地を購入して駐車場にしていた、近くのロードサイド店が、購入したいようだという内容でした」

商売が繁盛していたロードサイド店は、隣の土地だけでは駐車場が足りなくなり、新しい土地を探していたのですが、何しろNさんの実家の土地にはノボリも何もありません。たまたまNさんのお世話になっている司法書士さんのところへ同店の関係者が行った際、何気ない世間話からNさんの土地が販売されていることを知ったそうです。

そこでNさんは不動産会社とロードサイド店をつないで、あとは任せることに。最終的には2000万円で売却することに成功しました。

不動産会社の対応で、築古かつ遠方、コロナ禍での売却でも不安感はなし

売却活動全体を振り返って、Nさんは「おおむね満足」と答えてくれました。
「私としては1500万円くらいでも御の字でしたが、何しろ不動産会社の社長は私の小さい頃も知っている方。だから『知り合いの若いやつのために頑張ろう』という姿勢でしたので(笑)強気な価格設定をしていたのかもしれません。とはいえ、私は現地にまったく足を運べないので、そんな姿勢がとても頼りになりました。また看板やノボリのない中で、購入希望者が見つかったのも幸運でした」
売却価格も、不動産会社が粘り強く交渉してくれたことで、Nさんの腹づもりより高い価格で売ることができました。

2014年頃 ・母親の新居(マンション)探しと、実家の売却を地元の不動産会社に相談
2016年10月 ・母親が亡くなり実家を相続
2016年11月 ・母親が相談していた不動産会社と仲介契約を結ぶ
2017年5月 ・実家の家屋を壊して更地にする
2019年3月

・購入希望者から連絡が入る<br/ >・売買契約を結ぶ
・物件を引き渡す

まとめ

  • 2023年末まで、相続した実家に住んでいなくても譲渡所得3000万円までなら課税額は実質的にゼロになる
  • 地域によっては固定資産税がそれほど負担にならないことがあるので、空き家の状態が不安ならば更地化を検討する価値はある
  • 離れた地域にある不動産を売却する場合、信頼できる不動産会社に依頼するといい

取材・文/籠島康弘 イラスト/松尾達

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