
埼玉県入間郡のマンション(70m2・3LDK)で一人暮らしだったUさんは病気療養のため実家に戻ることに。ひと月以内で希望額以上の1280万円での売却が決まり、ローンの残債1000万円を支払うことができました。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 埼玉県入間郡 |
| 築年数 | 約30年 |
| 間取り・面積 | 3LDK(70m2) |
| ローン残高 | 1000万円 |
| 査定価格 | 1000万円 |
| 売り出し価格 | なし(売り出し前に買い手が決まったため) |
| 成約価格 | 1280万円 |
病気のため一人暮らしをやめて、実家に帰るために売却を決める
マンションで一人暮らしをしていたUさんでしたが、2018年10月、かねてより患っていた病気が悪化し、自分で家事をすることが難しくなりました。両親から療養を勧められ、マンションを売却して、実家に戻ることを決めました。
中古で購入した70m2・3LDKのマンションは、駅から徒歩7分で築30年がたっていました。徒歩圏内にスーパーがあり、大通りに面していないため静かな環境です。
「ローンを組み、1450万円で購入しましたが、1000万円程残債がありました。とにかくローンをすべて払える額で売りたいと思いました」
体調が優れないなかでの不動産会社探し、いちばん早く連絡があった会社と契約
まず、インターネットで一括査定を行ったところ、6社から連絡がありました。そのうち一番早く連絡があった大手不動産仲介会社と2018年10月に専属専任媒介契約を結びました。
「体がしんどくて多くの不動産会社を比較する気力はありませんでした。契約を結んだ不動産仲介会社は、査定を依頼してすぐに電話があり、30分後には訪問査定してくれましたから、即決でした」
不動産仲介会社は1000万円前後と査定し、販売活動の準備に入りました。

売り出し前に他社から買取の連絡。不動産会社同士で相談してもらう
不動産仲介会社と売り出し価格を相談していたころ、Uさんに電話がかかってきました。
「別の不動産会社からでした。1250万円で買取したいというのです。契約を結んだ不動産仲介会社の査定より250万円も高いので即決したい気持ちでしたが、専属専任媒介契約を結んでいたため、不動産会社同士で相談してほしいと言いました」
■専属専任媒介とは
専任媒介契約は、売却活動を1社に任せる契約です。売主側には、ほかの不動産仲介会社に、重ねて仲介を依頼しないことや、自分で買い手を見つけた場合も、依頼した不動産会社を通して取引することが条件になっています。不動産仲介会社側は、売却物件を指定流通機構に登録すること、1週間に1回以上、販売活動の状況などを売主に報告をすること、契約の有効期間を3カ月以内とすることが、義務として法規制されています。メリットは、活動状況の報告義務があるため、積極的に売却活動が行われること。しかし、不動産仲介会社が買主を見つけると売主・買主の両方から仲介手数料をもらえるため、自社で買主を見つけようと、物件情報を広く流通させないケースがあります。その結果、商談のチャンスが少なくなる点がデメリットといえるでしょう。
買取を希望した不動産会社に1280万円で売却。ローンの残りを払えてほっとした
二社が相談したところ、二社目の不動産会社が購入することになり、売却を検討し始めてから一カ月もたたないうちに売買契約ができました。
「当初先方から提示された買取価格は1250万円でしたが、専任媒介契約を結んだ不動産会社が値上げを交渉してくれた結果、30万円上乗せした1280万円で売却できました」
売却活動中、良かったことを「不動産仲介会社にすべてお任せできたこと」と語るUさん。
「体調が悪くて何もかも面倒で関わりたくなかったんです。最初に病気であることを伝えてありました。担当者と顔を合わせたのは、訪問査定時と契約・引き渡しのときだけ。それから、電話は極力かけずに細かくメール対応してもらい、感謝しています」
マンションのローンを完済し、実家に戻ったUさんは元気を取り戻し、今では新しいマンションで一人暮らしを再開しています。
| 2018年10月 | ・一括査定を依頼する ・一社が訪問査定する ・不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ ・購入したい不動産会社が現れる ・売買契約を結ぶ |
|---|---|
| 2018年11月 | ・引き渡し |
まとめ
- 媒介契約を結ぶ不動産会社は、可能な限り一括査定の返事が出そろってから検討したほうがよい
- 病気などプライベートな困りごとも担当者に伝えることで、配慮をしてもらえる
- 専属専任媒介契約締結後の他社の問い合わせ対応は、契約を結んだ不動産仲介会社に任せる
取材・文/内田優子 イラスト/石山好宏


