不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

父から相続した一戸建てと駐車場。売却で管理から解放されて大満足/埼玉県春日部市Aさん(50代)

埼玉県春日部市Aさん(50代)/父から相続した一戸建てと駐車場。売却で管理から解放されて大満足

都内で家族と暮らすAさんは、父から埼玉県春日部市の一戸建てと駐車場を相続しました。遠方のため管理できないと判断して売却を決意。販売開始後、4年目に現れた購入希望者を逃さず650万円で売却できました。

不動産区分 一戸建て、駐車場
所在地 埼玉県春日部市
築年数 約48年
間取り・面積 一戸建て:3LDK(延床面積…40m2、土地面積…45m2
駐車場:40m2
ローン残高 なし
査定価格 700万円
売り出し価格 700万円
成約価格 650万円

父が遺した埼玉県の一戸建てと駐車場。管理できず売却することに

2016年夏に亡くなった父から、埼玉県春日部市の一戸建てと駐車場を相続したAさん。45m2の敷地に建つ一戸建ては40m2・3LDKの平屋で隣に40m2の駐車場がありました。一戸建ては実家で、駐車場は、隣家が取り壊され更地になった後に父が買い取り、砂利を敷いてつくったものでした。駐車場については、長年、運送業だった父が自らつかい、空いているスペースを人にも貸していました。

「子どものころ住んだ家なので、できれば母に相続してもらい、管理していけたらと思ったのですが…。すでに別の家に住んでいる高齢の母からは、自分は管理できないので相続してほしいと頼まれたんです」 相続を決めたAさんですが、Aさんは都内に住んでいるため、どうやって管理していくのが良いだろうと悩んでいました。そこで、不動産仲介会社へ相談に行くことにしたのです。

父の代から依頼していた不動産仲介会社へ頼み、700万円で売り出す

駐車場を貸していたときに父が依頼していた地元の不動産仲介会社へ行き、「いくらで売れるでしょうか?」とたずねました。

「担当者によると一戸建てと駐車場をあわせて700万円前後で売れるのではないかと。以前のように駐車場として貸すことも相談したのですが、家の解体費用を取り戻すのに何年もかかるとのことでした」

地元の人は自宅に駐車場を所有している人が多く利用者が見込めないとの実情を聞き、Aさんも売却に気持ちが決まりました。

「駐車場にしていた土地はもともと宅地なので、水道管は通っていました。そのため、駐車場にしておくのはもったいない、宅地としての需要もあるはずといわれ、その通りだなと思いました」

700万円前後の査定価格は、事前にインターネットでAさんが調べていた路線価と大差がなく、納得したAさんは2017年1月に新たに専属専任媒介契約を結び、700万円で売り出しました。

■駐車場を相続したときの注意点とは

駐車場を相続したとき、その駐車場が更地にロープを張っただけや車止めの石を置いただけの状態(青空駐車場)の場合、自用地として相続税の評価が高くなってしまいます。青空駐車場をアスファルト舗装すれば、小規模宅地等の特例のうちの「貸付事業用宅地」の50%減額が適用できます。これは、土地の評価を200m2までの部分について、相続税評価を50%の評価に下げることができる特例のこと。適用の条件は、土地の上に建物又は構築物があること。貸駐車場が相当な対価を得て継続的に行われていることです。砂利敷きの場合も、構築物とみなされ、特例の適用になりますが、敷いてから時間が経ち、地面に砂利が埋まっているなど、そもそも砂利敷きと認められないケースもあります。相続したときにはっきりと砂利敷きの状態になっているかが重要です。

3年間反響なし。4年目に現れた購入希望者を逃さず650万円で売却

父の代から依頼していた地元の不動産仲介会社を信頼し、販売活動を任せたAさんでしたが、3年たっても全く反響がありませんでした。Aさん自身の住まいのローン返済も済んでいて、特に時期も価格もこだわらなかったAさんですが、管理の面で不安がありました。

「駐車場には以前借りていた人が置いていった不用品があり、そこにまた誰かがゴミを置いていってしまって……。建物や残置物に放火されたらといつも心配していました」

4年目に入った2020年3月に680万円に値下げしたところ、翌月やっと購入希望者が現れました。30万円の値引きを受け入れて5月に成約。チャンスを逃さず650万円で売却ができました。

管理できない遠方の一戸建てと駐車場を無事売却して安心できた

売却活動での成功ポイントを、「解体費用を見込んだ売り出し価格にしたこと」と語るAさん。査定価格を出してもらうのと同時に、不動産仲介会社へ解体費用の見積もりを依頼。60万円ほどかかることがわかっていました。

「一戸建ては築48年の古家なので、解体費用を負担する場合を考えて、売り出し価格に含めていました。購入者はそのまま一戸建てを使いたいということだったので、その分、値引きできる余裕があったんです」

最初は思い出のある家を管理して残したいと考えていたAさんでしたが、3年以上に及ぶ売却活動期間中、何度か現地を訪れるうちに気持ちが変化していきました。

「思い入れのある家でしたが、現地を久しぶりに訪れてみるとずいぶんまわりの風景が変わっていて、幼いころの面影はありませんでした。売却して良かったと思っています」とAさん。すっきりした表情で売却を振り返っていました。

2016年夏ごろ ・売却を意識し始める
2017年1月 ・地元の不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・700万円で売り出し
2020年3月 ・680万円に値下げ
2020年4月 ・購入検討者が現れる
2020年5月 ・購入検討者の要望で、650万円に値下げ
・売買契約を結ぶ
・引き渡し

まとめ

  • 駅から遠くて借り手のない駐車場も宅地として需要がある場合もある
  • 遠方の一戸建ては、草取りなどの管理や放火の心配も。売却すれば解放される
  • 古家がある場合、事前に解体費の見積もりを取り、売り出し価格に含めておけば安心
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取材・文/内田優子 イラスト/めんたまんた

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