
相続した愛知県碧南市の古家付き土地(150m2)を売却して新居購入の資金にすることにしたJさん。不動産仲介会社のアドバイスで個人向けの需要はないと判断。事業者に絞って営業し、2700万円で売却できました。
| 不動産区分 | 古家付き土地 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県碧南市 |
| 築年数 | 約50年 |
| 間取り・面積 | 150m2 |
| ローン残高 | なし |
| 査定価格 | 3000万円 |
| 売り出し価格 | 3000万円 |
| 成約価格 | 2700万円 |
新居購入の資金にするため、父から相続した古家付き土地を処分することに
大阪市で暮らしていたJさんは、父親から愛知県碧南市の古家付き土地を相続しました。150m2の敷地に築50年の木造2階建て(120m2・4LDK)があり、周囲には畑が多くのどかな場所です。
「親類の不動産関係者に相談すると、『そのままにしておくのはもったいない』と言われました。住む予定はなく、2017年春ごろから、売却して得たお金で新しい家を買いたいなと思うようになりました。家を購入するなら、2018年10月の消費税増税前に買いたいと考え、それまでに売却をしようと思いました」
売却の時期などの相談のしやすさを考え、住み替え先と同じ不動産会社と契約
2017年の年末ごろから住み替え探し先を始めていたJさんは、そのときにお願いしていた大手不動産会社に売却も依頼することにしました。住み替え先探しでも相談しやすく頼りになると考えたからです。2018年4月に専属専任媒介契約を結び、担当者に相談すると、「土地が広いので個人向けに売るより、事業者向けに販売活動をしましょう」と提案されました。
Jさんは当初、時期より価格の希望を優先し、2500万円が売却額の最低ラインだと伝えていました。担当者に訪問査定をしてもらうと査定額は、3000万円。その価格で売り出すことにしました。
土地が広いため、個人向けの販売活動はせず営業先を事業者にしぼる
担当者は個人の顧客向けの広告活動はせず、近隣のめぼしい事業者へ営業を行いました。ところが、値引きの要求が大きかった1件目の希望業者を断ったあとは、全く反響がなくなってしまったのです。
「当初は、2018年10月の消費税増税前に住み替え先を購入したかったのですが、結局魅力的な住み替え先が見つからず、住み替え先探しも売却もじっくりやろうと思いなおしました。不動産会社からは値引きを勧められましたが、もう少し待つことにしました」
担当者からは「古い家を使いたい業者はいないから、建物付きで売るのは諦めましょう」とアドバイスされ、Jさんが建物の解体費用を持つという一文を宣伝に加えました。
すると、近くの業者から「駐車場にしたいので購入したい」と連絡がありました。400万円の値引き交渉がありましたが、その年の固定資産税をJさんが支払うことを条件に300万円のみ値引きすることに。2019年2月に2700万円で売却することを決め、建物を解体後、4月に引き渡しました。
■建物の解体費用
解体費用は、主に解体する建物の「構造」と「広さ」から決まります。木造なら3万~5万円/坪、鉄骨造なら4万~6万円/坪、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造なら6万~8万円/坪などが目安となります。さらに2階建てや建物地下に構造物がある場合は、壊す面積と手間が増えるので費用が割高になります。そのほか、広さに比例して解体費用があがりますが、立地条件も重要です。重機が作業しにくい立地の場合は、さらに費用がかかります。どのくらいコストがかかるのかは、それぞれ個別に判断しなくてはいけないため、業者に現地を確認してもらい、見積もりを依頼しましょう。
2700万円で売却できて満足だが、解体費用が予想よりかかる誤算も
住み替え先に決めた大阪市内の中古マンション(80m2・3LDK)は、4000万円でした。そのうち2000万円を売却して得たお金で支払い、残りは20年の住宅ローンを組みました。
「売却と購入が同じ不動産会社だと資金繰りの話がしやすくてとてもよかったです。不動産仲介会社が、売却物件と購入物件の売買契約の時期や支払いのタイミングを合わせてくれました。住宅ローンの返済計画もアドバイスしてくれ、助かりました」
予想外だったのは、解体費用が思いのほか高かったこと。家が広かったので、約600万円かかりました。「宣伝文に加える前に見積もりをしておけば」と後悔しています。
「中古マンションですが、フルリノベーションをしたので、水まわりもピカピカ。とても快適です」父親が遺した遠方の不動産を有効活用して得た新しい住まいで、家族と楽しく暮らしています。
| 2017年春ごろ | ・売却を意識しはじめる |
|---|---|
| 2017年冬ごろ | ・住み替え先を探し始める |
| 2018年4月 | ・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ ・3000万円で売り出す |
| 2019年1月 | ・購入希望者が現れる |
| 2019年2月 | ・売買契約を結ぶ ・住み替え先の売買契約を結ぶ |
| 2019年3月 | ・住み替え先に引っ越す |
| 2019年4月 | ・物件の引き渡し |
まとめ
- 不動産の売買時は、使える控除など税金関連の情報をチェックしよう
- 解体する場合は費用の見積もりをとって、事前に把握したほうがよい
- 個人には向かない条件の物件でも事業者向けなら需要がある場合も
取材・文/内田優子 イラスト/カワモトトモカ


