不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

鎌倉の築50年超のマンション。購入額630万円を大きく上回る2000万円超で売却できた/神奈川県鎌倉市Hさん(60代)

神奈川県鎌倉市Hさん(60代)/鎌倉の築50年のマンション。購入額630万円を大きく上回る2000万円超で売却できた

鎌倉の海岸に近い低層マンションで暮らしていたHさん。妹との同居話が持ち上がったことをきっかけに、長年住み慣れたマンション売却を決意します。12年前に購入した額は630万円でしたが、築50年超という築年数にもかかわらず、2180万円という高値で売却に成功したといいます。

不動産区分 マンション
所在地 神奈川県鎌倉市
築年数 53年
間取り・面積 2LDK(76m2
ローン残高 なし
査定価格 1600万円〜2000万円
売り出し価格 2480万円
成約価格 2180万円

妹と一戸建てに住み替えるべく、築50年超の鎌倉のマンションを売ることに

2000年頃からHさんが単身で住んでいた、神奈川県鎌倉市の低層マンション。立地は、海岸からほど近い、一戸建てに囲まれた静かな住宅地です。鎌倉駅からはバスで10分ほどですが、通勤時間帯は渋滞が激しいため、毎日駅まで20分歩くのがHさんの日課でした。海水浴もできるビーチまでは徒歩4分。休日にはパラソルを持ってビーチへ行き、日暮れまでのんびり本を読んで過ごしていたそうです。

当初は家賃12万円の賃貸で住んでいましたが、2010年、当時のオーナーが売却したいと、まずHさんに声がかかります。「そのときで築40年くらい。修繕もいろいろと重なってきます。でもオーナーさんはそのマンションに住んでいないので、総会のたびに出向くのが大変。僕も引っ越すのは面倒くさい。じゃあ、ローンを組まずに買えるならと、貯金から出せる600万円を提示してみたところ、630万円で購入できたのです」

そこから数回リフォームを重ね、3LDKの間取りを2LDKに、またトイレなど水回りも新しくし、ひとり暮らしを満喫していたHさん。
「3年に1度は手を入れて、このまま住み続けるつもりでした。ですが2021年の秋、妹が『来年定年退職したら鎌倉で暮らしたいから、一緒に住もう』と提案してきたのです。僕のマンションは海抜6mのところにあり、妹は見晴らしのいい高台の家に住みたいと。それで、このマンションを売却しようと考えたのです」

妹と一戸建てに住み替えを決意

新居のリフォーム費用に充てようと、2000万円以上での売却を希望

まずは新居探しから始めたHさんと妹さん。上下階でふたりの生活空間を分けるべく、同じ鎌倉市内の中古一戸建てを見つけ、購入を決めました。約4000万円の購入資金はふたりの貯蓄から現金で支払いましたが、リフォームに2000万円ほどかかることが判明。「古い家なので断熱材を入れたり、太陽光パネルをのせたりしたら、予算がかさんでしまって。最終的に10年の住宅ローンを組めることになったのですが、当初はローンを組まず、マンションの売却資金をリフォーム代に充てたいと考えました」

新居のリフォームが始まる2022年6月頃、マンションの売却活動を始めます。不動産情報サイトの一括査定を利用したところ、簡易査定では1600万円。現地には5社が訪れ、2000万円前後という査定額でした。「鎌倉市内の海岸エリアはマンションが少なく、需要が多いとのこと。ここは築年数は古いですが、立地もいいし、何度かリフォームしてきれいだったのがよかったのかもしれません」とHさん。そうして5社のうち、知名度のある3社と一般媒介を結びます。「大船駅、鎌倉駅、藤沢駅に店舗がある3社を選びました。それぞれ違う路線が乗り入れているので、いろいろな人の目に付くのではと思ったのです。あとは3社ならどこかが売ってくれるだろうと」

新居のリフォーム費用の2000万円を死守すべく、売り出し価格は高めの2480万円に決めました。時期は急がず、半年くらいで決まればいいな、と考えていたそうです。

内覧対応がだんだん億劫に。300万円値下げし、リノベーション会社に売却

一般媒介契約だったものの、3社とも週に1度はメールで反響を知らせてくれました。内覧も月に3〜4組ペースで入ります。「その内覧に立ち会うのがなかなか面倒で。出かけたくても家にいなくてはならないし。最初は急がずのんびり売却できればいいと思っていたのが、できれば早く決めたいなと思うようになりました」とHさんは苦笑します。
購入希望者もいましたが、2組がローン審査を通らず断念。また値下げ交渉もあったものの、2000万円以下は応じなかったといいます。

9月に契約が切れたため、3社と再び契約。その後、1社を通じて「2180万円で買い取りたい」という会社が現れます。リノベーションして再販売する会社でした。「これで決めようと思いました。2000万円を超えていたこと、住み替え先のリフォームのローンが組めたこと、あとは内覧対応が大変で長引かせたくなかったことが理由です」

先方の不動産会社の都合から9月末に仮契約を行い、10月、正式に売買契約。引き渡しの時期は相談して、リフォームが終わる12月中旬に決まりました。

約4カ月で売却完了。希望時期に引き渡しもでき、満足度は80点

売却活動スタートから約4カ月。リフォームが済んだ新居に引っ越したあと、無事マンションの引き渡しを終えました。「当初は急がず、年明けになってもいいと思っていましたが、結果的に年内に引き渡しまで終わってほっとしました」

売却活動を振り返ると、満足度は80点だといいます。「マイナス20点は、繰り返すようですが内覧の対応が大変だったことと、価格を少し下げたことですね。初めてのマンション売却でわからないことも多い中、3社ともよくやってくれたと思います」

その後、売却したマンションがリノベーションされたことを知ったHさん。ネットで平面図を見て、ここがこんなふうに変わったのか、と興味深かったといいます。
Hさんの新居は、2階から海や富士山が見えるそう。一足先に生活を始めたHさんに続き、妹さんは半年後に引っ越してくる予定です。「地元から上京した当時、妹と2年くらい一緒に住んでいたことがあるんです。だから40年ぶり。これまでずっとひとり暮らしだったから、どうなりますかね」と、新生活に期待を寄せるHさんでした。

2021年10月 ・妹から一緒に住みたいと提案され、家探しをスタート
・マンション売却を考え始める
2022年2月 ・住み替え先の一戸建てが見つかる
2022年4月 ・住み替え先の売買契約を結ぶ
2022年6月 ・住み替え先のリフォームに着手
・不動産情報サイトの一括査定を利用する
2022年7月 ・大手不動産会社3社と一般媒介契約を結ぶ。2480万円で売り出しスタート
・購入希望者が現れるも、ローン審査が通らず
2022年9月 ・同3社と再契約
・リノベーション会社から購入を希望される
2022年10月 ・2180万円で売買契約を結ぶ
2022年12月 ・住み替え先に引っ越し
・物件引き渡し

まとめ

  • 買い先行とは、希望の住み替え先を見つけてから売却すること。引き渡しの時期は相談を
  • 内覧の対応が大変に感じてきた場合は、長引かせず値下げの検討も
  • 築年数が古い物件は、買取再販会社に売却する手も

イラスト/杉崎アチャ

●構成・取材・文/塚田真理子
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