不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

鹿児島県姶良市Kさん(40代)/「移住先に永住するから家の処分はお前にまかせた」。父の依頼で、地方の実家を東京からリモート売却した話

鹿児島県姶良市Kさん(40代)/「移住先に永住するから家の処分はお前にまかせた」。父の依頼で、地方の実家を東京からリモート売却した話

鹿児島県の実家を父から託されたKさんは、東京からリモートで売却活動をスタートします。不動産会社3社に仲介業務を依頼し売り出しますが、反響はサッパリ。2カ月後、あきらめかけていたKさんのもとに意外な連絡が入ったそうです。

不動産区分 一戸建て
所在地 鹿児島県姶良市
築年数 27年
間取り・面積

土地面積…約744m2 

延床面積…約136m2(4LDK)

ローン残高
査定価格 2450万円~2900万円
売り出し価格 2800万円
成約価格 2230万円(買取)

空き家になった築27年の実家の売却を父から依頼される

東京都在住のKさんが、鹿児島県姶良市の実家を売却したのは2019年のことです。

「所有者の父は首都圏に移住し、しばらく空き家になっていました。それを、『自分はもう鹿児島に戻る気はないから、貸すなり売るなりおまえの好きにしていい』と父から言われたというわけです。そうは言われても、不動産についてはまったくの素人ですから、どうしたものかと戸惑いました」

実家は、築27年の一戸建てです。名義は父親のままでしたが、実家の処分についてはKさんに一任されたという形でした。

「土地面積は約744m2、建物の延床面積は約136m2の4LDKです。元々は祖父が建てた家で、広い敷地には車4台分の駐車スペースがあり、建物も大理石の玄関や浴室など、あちこちから取り寄せた凝った建材が使われていました。相当お金をかけてつくったようですが、今風の家ではないので、住みたいと思う人がいるかどうか……。ただ立地は良かったと思います。JRの2駅からどちらも徒歩12分ほど。周囲には商業施設が多く、鹿児島市のベッドタウンとしてにぎわっているエリアです。スーパーやドラッグストア、すぐ近くに小学校もあり、とくに子育て中のファミリーには暮らしやすい環境だと思います」

Kさんはすぐに売ることは考えず、賃貸することを検討したそうです。

「私自身は夫所有のマンションに家族3人で暮らしており、将来的に実家に住む可能性はほとんどありません。ただ、手放すのはもったいない気がして、最初は貸家にしようかと考えました。でも、地方ではそれほど高い賃料は見込めません。おまけに贅沢に建てた家なのでちょっとした修理や修繕にもお金がかかり、維持管理がなかなか大変です。2カ月ほど悩みましたが、秋には消費税アップが予定されていたこともあり何かとお金はかかるかと思いました。増税前に手放したほうがいいだろうと考えなおし、売却することにしました」

■親名義の不動産の売却

親名義の家や土地を子どもが勝手に売却することはできません。子どもが不動産会社とのやり取りなどを代行することはできますが、媒介契約や売買契約のタイミングでは所有者本人の確認が必要です。本人に代わって売却活動を行うには、委任状を作成し、親の代理人となる必要があります。代理人であっても、売却代金は本人である親の口座に入金されます。子どもが売却代金を受け取ると贈与となり、贈与税が発生します。子どもへの財産分与が目的であれば、不動産のまま相続したほうが相続税が安く済むケースが多く、生前に売却するのは必ずしも得策ではありません。

東京から地元3社に相談し仲介業務を依頼

実家を売却すると決めたKさんはさっそく行動を開始しました。

「まず、買い手を見つけてくれる不動産会社を探すことから始めました。丸一日がかりでパソコンにかじりついて鹿児島県姶良市周辺の不動産仲介会社をネットで検索し、会社情報や評判を調べ、地元の大手不動産会社A社、姶良市で実績が多いB社、実家の近くに店舗を構えるC社をピックアップ。3社に同時にメールを送り、売却の相談に乗ってほしいと依頼したんです。するとすぐに各社から連絡がありました」

前述したようにKさんは東京在住で、売却するのは鹿児島県の物件です。遠方にいながら売却活動ができるかどうか不安だったといいます。

「当時、私は子どもの習い事の世話役で、土日は練習や遠征でスケジュールがほとんど埋まっている状態でした。ですから、現地に行く時間はほとんど取れないと伝えたところ、各社ともに問題ないという返事でした。また、ほかに相談している会社があることも話しました。すると、3社がお互いに連絡を取り合って同じ日時に現地査定に行ってくれる段取りに。3社が連携してスピーディに対応してくれたので安心したし、頼もしいとも感じましたね」

Kさんは代表の1社に物件の鍵を送り、現地査定の結果を待ちました。

「提示された査定価格は2450万~2900万円です。このうち建物分はわずか200万円、築27年と古いので価値はほとんどないということでした。査定価格が出たところで次に迷ったのは、仲介業務を任せる不動産会社を1社に絞ったほうがいいのかどうか。そこでA社の担当者に相談すると、複数社と契約できる一般媒介を勧められたんです。専任媒介を勧めなかったのは売りにくい物件だったからかもしれませんね。でも、私としても3社で売ってくれたほうが心強いと思ったので、アドバイスに従うことにしました」

2019年3月、KさんはA社、B社、そしてC社と一般媒介契約を結びました。

「3社から提案された売り出し価格は2800万円。それ以上高くなると、この地域で購入を検討する人はほぼいないだろうということだったので、その価格で売り出すことにしました」

遠方にいながら売却活動ができるかどうか不安だった

あきらめかけた2カ月後、B社が買取を希望

2019年3月、Kさんの実家は2800万円で売り出されました。しかし、反響は芳しくありませんでした。

「3社のホームページのほか、SUUMOなどの不動産情報ポータルサイトにも情報が掲載されました。でも、反響はサッパリ。内見の申し込みどころか、サイトを見てお気に入りに登録した人が2カ月間でかろうじて2人という状況でした。不動産会社に頼んで家の前に売り家の看板を出してもらいましたが、そちらも効果はありませんでした。反響がないまま1カ月、2カ月と過ぎるうちに、やっぱり売却は無理かもしれないとあきらめモードに。半年待って売れなければ、もう一度、賃貸に出すことを考えようと思っていました」

売り出しから2カ月たった2019年5月、あきらめかけていたKさんに意外な打診があったといいます。

「B社から連絡があり、物件を買い取りたいというんです。電話を受けた時は、『ラッキー!これで売れる』と思いましたが、提示された買取価格は1900万円。あまりにも安かったので、即座に断りました。するとその日のうちに再度電話があり、買取価格を2230万円に上げるから売ってほしいと交渉してきたんです。きっと担当者が上司を説得したんでしょう。目標にしていた2500万円には届きませんが、検討することにしました」

ここで決めるべきか、もう少し粘るべきか。Kさんは、父親や家族に相談することなく、一人で考えて結論を出したそうです。

「父から一切を任されているし、夫はこの件にはノータッチですから自分で決めるしかありません。このまま待っていても売れる見込みはないと判断して、B社に買い取ってもらうことにしました。B社の担当者は若いながら対応がとても丁寧で、仕事がスピーディでしたね。買取が決まってからはこまめに連絡をくれ、売買契約、引き渡しとスムーズに進めてくれました」

2019年6月、KさんはB社と売買契約を結び、7月に物件を引き渡しました。
不動産の売却代金は所有者である父親の口座に振り込まれました。

「書類のやり取りはすべて郵送で行い、売却活動の開始から終了まで、私は一度も現地に行っていません。終わってみて、遠方からでも問題なく不動産の売却ができたことに驚いています」

リモート売却ができたのは信頼できるパートナーがいたから

売却活動全体を振り返って、Kさんは「ほぼ満足しています」と答えてくれました。

「目標より安くなってしまいましたが、予想より早く売れたこと、何より離れていても売却できたことに満足しています。不動産会社は3社とも誠実に対応してくれ、遠方にいても安心して任せられました。売却の流れから丁寧に説明してくれ、私の相談に対するアドバイスも的確だったと思います。地元に精通した不動産会社を選んでよかったです。

ただ、今となってみれば、もう少し売るのを待ってもよかったかなという思いも。というのは、コロナ禍で田舎暮らしや二拠点居住を実践する人が増えてきたので、借り手がついたかもしれません。私自身も、あの広々とした家をもっと楽しんでおけばよかったなと、ちょっとだけ後悔しています。

その後、売却した家はB社が更地にして分譲し、今は一戸建てが数戸立っています。旅行がてら立ち寄ってみたら、今風のおしゃれな家が並んでいて、感慨深いものがありました」

2019年3月 ・一戸建ての売却価格査定
・地元の不動産会社3社と一般媒介契約を結ぶ
・2800万円で売り出し
2019年5月 ・B社から買取の打診がある
・買取価格2230万円で合意
2020年6月 ・売買契約を結ぶ

まとめ

  • 遠方からでも不動産売却は可能。信頼できる不動産会社を見つけることが大事。
  • 複数社と契約可能な一般媒介を選び、競って売ってもらう方法もある。
  • 査定価格より安くなるが買取も一つの手段。なかなか購入希望者が現れないときは、前向きに検討しよう。

取材・文/小宮山悦子 イラスト/杉崎アチャさん

 

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