不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

売れないとあきらめていた袋地。隣の土地を買った不動産会社に買取を持ちかけて/京都府京都市中京区Kさん(50代)

京都府京都市中京区 Kさん(50代)/買い手がつかないとあきらめていた袋地。隣接地を買った不動産会社に直接買取を持ちかけ売却に成功

京都府京都市中京区の古家付き土地を相続したKさん。立地は良くても再建築ができない袋地で、不動産会社に相談しても「値段がつけられない、買い手がつかない」と聞いて困っていました。そんなとき、偶然隣接地を不動産会社が買ったことを知り、すぐに買取を打診、直接交渉で売却に成功しました。

不動産区分 古家付き土地
所在地 京都市中京区
築年数 約100年(推定)
間取り・面積 4LDK(延床面積…約268m2、土地面積…約198m2
ローン残高 なし
査定価格 0円
売り出し価格(交渉価格) 1000万円
成約価格 1000万円

立地の良いものの再建築不可の袋地を相続

京都府京都市中条区の古家付き土地を妻が相続したKさん(50代)。JR線の最寄駅に近く、商店街も徒歩1分にあり、便利な場所でしたが、公道に出るには私道を通らなければならない、接道義務を満たしていない袋地で、再建築不可の土地でした。

「以前は会社として使っていたようですが、数年空き家だったようです。建物の築年数は分かりませんが、100年はたっているようでした。私たち家族には持ち家があり将来も住む予定がありません。更地にして新たに建物を建てることもできないし、そもそも車が通れない、建物は古くて住宅には適していないため賃貸に出すこともできません」

そんなふうに活用できず、処分に困る土地をどうしたらいいか、Kさんは不動産会社に立ち寄って軽く相談したことはありましたが、場所がいいのにも関わらず、「特殊な土地なので、一般の人に売るのは無理でしょう」と断られたそうです。

「旗竿地は売りにくいと言われますが、袋地は再建築不可なのでさらに厳しい。まさに四面楚歌の状態でしたね。隣接する家に何か動きがない限りは難しいと覚悟していました」

■再建築不可物件とは

「袋地(ふくろじ)」とは、他の土地に囲まれて、公道(公の道路)に接していない土地のことです。袋地は、建築基準法で定められた「建築物の敷地が4m以上の幅員を持つ道路に2m以上接しなければならない」という接道義務を満たしていないため、「再建築不可物件」となります。「再建築不可物件」とは、現在は家が建っていても、解体して更地にすると新たに家を建てられない土地です。家の建て替えができず将来的に使い道が限られ、購入希望者がいても住宅ローンが借りられないため、一般的に売りづらいといわれています。

たまたま隣の土地を不動産会社が買ったことが分かり、売却したいと申し出る

2021年1月、思いがけなく、土地家屋調査士がKさん宅を訪れました。隣接する土地(約20坪)を不動産会社が買ったため、土地の境界線を確定させるために、調査に協力してほしいという依頼でした。

「不動産会社が買った20坪の土地は、公道とうちの土地の間の土地でした。うちの土地も合わせて利用できれば不動産会社にとっては使い勝手が広がるでしょう。売ると言ったらほしくてしょうがないくらいではないか、と考えたのです。そこで、買ってもらうチャンスを逃してはいけないと思い、その段階で土地家屋調査士に、不動産会社にうちの約60坪の土地を買ってもらえませんかと、伝えてもらうことにしました」

それから、Kさんは自分の土地の相場を一括査定サイトを利用して調べましたが、「買い手がつきません」といった返事が届くのみでした。袋地を購入した例はあっても、100万円以下でした。しかし、一般の人にとっての評価額はゼロでも、隣の土地を購入した不動産会社にとってはいろいろな可能性があります。不動産会社にとっての価値は十分にあると思ったKさんは、袋地ではない場合の相場などを調べて、1000万円で交渉することにしました。

不動産会社から連絡があり商談開始。希望額でスムーズに買取が決まった

2021年1月に不動産会社が来訪し、買取の意思があるということで、売却の仮契約を結びました。Kさんとしては価格にはこだわらず「とにかく売れればいい」という気持ちでしたが、1000万円の希望額で話がまとまりました。

「土地の調査が始まりましたが、ちょうどコロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が出て、経済状況も悪くなっていたので、もしかしたら本契約にいたらないのではないか、本当に売れるのかと心配になりましたが、4月には売却契約が成立しました。そのほかにも問題があって、建物の登記がされていなかったり、いろいろあり、時間がかかりましたが、買ってもらえて本当に良かったです」

不動産会社は立地の良さを活かして、新しい建物を建てて活かしているそうです。

隣地を購入した不動産会社と売却契約成立

売るのが難しい袋地は運とタイミングが大事。不動産会社と直接取引でスムーズに交渉成立

売却活動は、「100点満点の90点だった」と話すKさん。
「袋地は、隣接する家が売りに出るとか、動きがない限り売るのは難しいのは承知していましたが、いいタイミングで買ってもらうことができました。不動産仲介会社を探すだけでも大変なのに、不動産会社との直接取引なので、手間も時間も仲介手数料もかからず、ベストな形だと思います。」

「今回の売却が成功したのは運が良かったから。こういう運は二度とないことで、そのチャンスを捕まえたという意味では良かったと思います。交渉は思いのほか簡単で、お願いした価格で買ってもらえたことは、予想以上の結果だったかもしれません」

運に恵まれ、その運をその場でタイミングよく捕まえたことが成功のカギだったのではないでしょうか。

▼関連記事を読む

 

2021年1月 ・土地家屋調査士が調査の依頼で来訪。隣接する土地を不動産会社が購入したことを知る
・不動産会社に土地を売りたいと土地家屋調査士に伝言を依頼する
・一括査定サービスを利用して、査定額や周辺の相場を調べる
・不動産会社が来訪。商談を開始。価格を提示して買取を依頼
2021年2月 ・不動産会社と仮契約を締結
2021年4月 ・不動産会社と売買契約が成立
・建物を解体
2021年5月 ・物件を引き渡す

まとめ

  • 袋地は一括査定サービスでは査定額が出せず、一般に売り出しても買い手はつきにくい。
  • 再建築不可の土地の買い手候補のひとつは、隣地の所有者。不動産会社を通すか直接交渉してみると良い。
  • 再建築不可の土地を売却したい場合、隣地の動向には気を配ろう。売るチャンスがあればスピーディーに進める。

イラスト/杉崎アチャ

●構成・取材・文/佐藤由紀子
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