
千葉県印西市の築4年のマンションに住んでいたFさん夫婦は、コロナ禍での子育てを考えて庭付きの一戸建てに住み替えることを検討。住宅ローンの残債もあり、マンションが売れたら住み替えようと、マンションの売却活動と一戸建て探しをほぼ同時に進めていました。あるとき、心から気に入った一戸建てに出合い、マンションの売却価格を下げてすぐに売買契約が成立。売却と購入の決済をほぼ同じタイミングで行い、スムーズな住み替えに成功しました。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県印西市 |
| 築年数 | 築4年 |
| 間取り・面積 | 4LDK(約97m2) |
| ローン残高 | 2050万円 |
| 査定価格 | 3400万円台~3640万円 |
| 売り出し価格 | 3880万円 |
| 成約価格 | 3540万円 |
子どもが2人になりマンションから庭付き一戸建てへの住み替えを考え始める
2018年、第一子が生まれて間もなく、Fさん夫妻は千葉県印西市にある築1年8カ月の未入居・中古マンションを購入し引っ越しました。最寄駅から徒歩7分、東京都内へも電車で乗り換えなしで行けることもあって人気が高いエリアに立地。住戸も4LDK・約97m2で収納スペースも充実、子どもが2人いても余裕の広さでした。けれども、2020年10月に第2子が誕生し、育休中の夫が散歩中に「一戸建てっていいな」と思ったことをきっかけに住み替えを意識し始めました。
「コロナ禍の子育ては、庭付きの一戸建ての方がいいと思いました。マンションのベランダは広くても、ビニールプールを広げて遊ぶのは禁止というルールがあったり、子どもがベランダから落ちる事故をニュースで見たのも気になっていました。
また、大規模マンションゆえに住戸から駐車場まで、敷地入口までの距離が遠かったことや、何かあったときに管理組合の意見がまとまりにくいことなども気になる点でした。
ただし、マンションの住宅ローンの残債が2050万円ありました。最初はマンションが高く売れたら住み替えようという軽い気持ちでした」と話すFさん。同時にマンションの売却活動をしながら、モデルハウス見学を開始しました。
査定額が高く手数料が安い不動産仲介会社と仲介契約を結ぶ
モデルハウスを見学する一方で、マンションの売却活動を開始。始めに、ポストに投函されていたチラシの不動産仲介会社(A社)に電話して訪問査定をしてもらいました。
3598万円で購入したマンションはアクセスが良く暮らしやすいと人気があるエリアで、物件は広く、南向きの角住戸、しかも築4年の築浅と好条件がそろっており、A社の査定額は3540万円でした。FさんはA社に頼もうと話を進めていましたが、同時に住み替え先を探すためにモデルハウスをいくつか見て回る中で、住み替えを検討していると話すと、モデルハウスのスタッフが過去の取引事例から査定額を出してくれたり、系列の不動産仲介会社を紹介してくれることがあり、一括査定サイトは利用しなかったそうです。
訪問したモデルハウスから紹介してもらった4社に査定額を提示してもらったところ、3400万円台~3640万円と200万円近い幅がありました。その中で最も査定額が高かったのはB社でした。
「B社は査定額が最も高く、仲介手数料はキャンペーンでA社よりも安かったんです。しかも、地元に強い会社で、担当者も感じが良かったので、B社に仲介をお願いすることにしました」
6~7組内覧しても決まらない。4カ月後に3540万円に価格を下げて売却成立
2020年12月、FさんはB社と専属専任媒介契約を結びました。B社は、仲介契約を結んですぐに売却活動を開始。売り出し価格は査定額より高く3880万円に設定しました。チラシのポスティングや配布、新聞広告、自社のホームページ、SUUMOネットにも売却情報を掲載し、週1回、活動状況とレスポンス状況を郵送で報告してくれました。
6~7組の内覧者がいましたが、感触は良くても決定までは進まず約3カ月後、B社のアドバイスもあって価格を3600万円に下げました。そのころ、モデルハウスで「絶対欲しい」と思う建売住宅に出合ったのです。
「建売住宅は早い者勝ち。売約済みになる前に買いたいと思いましたが、マンションが売れない限り一戸建てを申し込むことはできないと言われていたので、価格をさらに下げるしかないと思いました。
また、居住5年以内の自宅を売却する場合、マイホーム特例(3000万円控除・長期譲渡所得の軽減措置)が適用されないと聞いて、あまり利益が出ないように計算し直して、3540万円で売ることにしました。その後、内覧に訪れた夫婦に3540万円にしますと伝えると、翌日契約したいとの連絡がありました」
■居住5年以下のマイホーム売却の注意点
不動産を売却して利益を得ると、その利益(譲渡所得)に対して税金が課税されますが、マイホームは居住期間5年を節目に税率が大きく変わるので注意が必要です。居住5年を超えた不動産を売却する場合は、5年以下の『短期譲渡』に比べて所得税・住民税が半分近くに軽減される『長期譲渡所得の控除』が適用になります。
また、売却する年の前々年・前年に住宅ローン控除を使っていると、『居住用財産(マイホーム)を売却する場合の3000万円の特別控除』が利用できません。前居で住宅ローン控除を使っているときは注意しましょう。
売却活動開始から約3カ月、売り出し価格より340万円下げましたが、購入価格より50万円ほど安い3540万円で売買契約が成立。しかも、現金一括払いでの購入でした。
マンションの売却が決まってすぐに一戸建てを購入。スムーズな住み替えに成功
Fさんは、マンションの売買契約が成立してすぐに建売住宅の購入を契約。住宅ローンの事前審査を受けました。そして、マンションの引き渡しと同時に売却金額が振り込まれ、その日のうちに住宅ローンの残債を完済し、抵当権を抹消、建売住宅の頭金を支払いました。

売却と住み替え先の購入をほぼ同時進行でできたのも、縁があったからかもしれません。「気に入った一戸建てが、売れていなかったことがラッキーでした。売却活動もスムーズだったと思います。今は階下への音の響きを気にすることもなく、駐車場まで歩くことがない、とても快適です。
後悔していることは特にありませんが、強いて言えば、夫が引っ越し代を切り詰めようと小さいサイズのトラックを申し込んだことでしょうか。荷物が全部トラックに載らず、時間がないのに自分たちで運ばなければならなくて。引っ越し代は余裕をもって準備した方がいいですね」と笑うFさんでした。
| 2020年10月ごろ | ・マンションから一戸建てへの住み替えを意識 ・モデルハウスを見学に行き住み替え先を探し始める |
|---|---|
| 2020年11月 | ・チラシで見た不動産仲介会社A社に電話をして訪問査定をしてもらう |
| 2020年12月 | ・モデルハウス見学の際に、不動産仲介会社B社を紹介してもらう ・B社と専属専任媒介契約を結ぶ ・売り出し価格3880万円で販売活動を開始 |
| 2021年3月 | ・売り出し価格から280万円下げる ・気に入った一戸建てに出合う ・価格を見直し3540万円に下げる ・購入者決定 ・一戸建ての購入を申し込む |
| 2021年4月 | ・マンションの売買契約が成立 ・一戸建ての住宅ローン審査を受ける |
| 2021年7月 | ・マンションを引き渡す ・マンションの売却金額が振り込まれる ・一戸建ての頭金を支払う ・一戸建ての住宅ローンを申し込む ・住み替え先の一戸建てに引っ越す |
まとめ
- 買い替えの際、新居の購入費用の見当をつけてから売却すると売却価格の調整がしやすい
- 不動産仲介会社を決める際は、複数の会社に査定を依頼して、査定額や手数料、対応を比較検討する
イラスト/斎藤ひろこ
▼「住み替え」のおすすめ記事を読む


