不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

コロナ禍で夫婦共に在宅ワークが増え住み替えを決心。都内の2LDKを売却し、埼玉の3LDKを購入/東京都台東区Nさん(50代)

東京都台東区Nさん(50代)/コロナ禍で夫婦共に在宅ワークが増え住み替えを決心。都内の2LDKを売却し、埼玉の3LDKを購入

都内に住むNさんは、埼玉県の企業に転職したこと、コロナ禍で夫婦とも在宅ワークが増えたことから、台東区の自宅マンションを売却し、埼玉県へ住み替えることにしました。駅近、築1年という好条件のマンション。「できれば購入額を上回る額で売りたい」と願ったNさんでしたが…。

不動産区分 マンション
所在地 東京都台東区
築年数 1年
間取り・面積 2LDK(55m2
ローン残高 3000万円
査定価格 5300万円
売り出し価格 5300万円
成約価格 4950万円

夫婦ともに在宅ワークになり、2LDKのマンションが手狭に

夫婦共働きのNさんは、都内で駅徒歩5分という便利な立地のマンションに住んでいました。ところがコロナ禍で二人とも在宅ワークが増え、2LDKではどうしても手狭になったといいます。
Nさんが埼玉県の企業に転職したこともあり、「都内に住む必要はないのでは」と考えはじめました。

「交通アクセスの良い便利な立地で、5000万円で購入しました。まだ買って1年しかたっていなかったのですが、思い切って買い替えることにしました。埼玉なら同じ額でももっと広い家が買えるだろうと思ったからです。
都内の好立地のマンションなので、貸せるのであれば賃貸に出そうかと考えましたが、ローン残高の問題など事情があったのであきらめました」

最も高い査定額を出した大手不動産会社と契約。5300万円で売り出しをスタート

まずNさんはネットで複数の不動産仲介会社に簡易査定を依頼。数社から返事があり、最も高い査定額を出した不動産仲介会社に現地査定を依頼し、専属専任媒介契約を結ぶことにしました。

「契約を結んだのは大手の不動産会社です。他の会社の査定額は、1年前に購入した額と同じ5000万円前後でしたが、その会社だけ5300万円と高額でした。大手という信頼感もあり、専属専任媒介契約を結んでくれたら高値の売却を頑張ります、と言われたことで背中を押され、専属専任媒介契約を決めました。できれば購入価格の5000万円より高く売れたらいいなと思ったことも、その会社を選んだ理由です」

5300万円で売り出しを開始しましたが、反響はよくありません。
売り出し開始から1カ月後、不動産会社から「問い合わせは2件ありましたが、内見者はゼロ。この価格では難しいです」という知らせがありました。

「それを聞いて『やっぱりそうか』と思った反面、不動産会社が5300万円で頑張るというから専属専任媒介契約を結んだのに、という思いもありました」

■査定価格の根拠

不動産の売却を考えるとき、まずは複数の不動産仲介会社に査定を依頼してみましょう。
不動産仲介会社によって査定額の算出方法が異なるため、ほとんどの場合は査定額も幅が出ます。査定を依頼した際は価格だけでなく、査定額を算出した根拠を尋ねることも大切です。
納得できる根拠を示せるかどうかで不動産仲介会社の信頼性も分かるので、ぜひ、聞いてみることをおすすめします。

不動産売却の売り出し価格を悩むイメージ

売り出しを開始して2カ月後、不動産会社から「5000万円弱ならすぐ買いたいという人がありますが、どうしましょう」という電話がありました。

Nさんは、ほとんどの不動産仲介会社の査定額は5000万円だったことから、5300万円はやはり無理だろうと考えはじめていました。

「5000万円以上か以下かで、お客さんの反応が大きく違うようです。やはり5000万円を切る価格でないと難しいのだろうと思い、4950万円の売却価格で承諾の返事をしました」

売却活動と並行して、住み替えるマンション探しも行っていたNさん。
売却が決まる少し前に3LDKの新築マンションを埼玉に購入しました。
「広さは65m2。以前より1部屋増えたので、在宅ワークもゆとりをもってできます。ローンも3000万円残っていたので、できれば早く売りたいという気持ちがあったのも、4950万円で売った理由です」

約3カ月の売却活動を経て、購入価格とほぼ同額で売却することができました。

コロナ禍の影響を受けた結果だが、新しい生活スタイルに大満足

売却活動を振り返って、Nさんは「不動産市場はどんどん値上がりしてきた時期だったので、できれば購入価格より高く売りたかった。結果論なので仕方ないですが」といいます。
「都内の駅近、ほぼ新築に近いマンションと条件は良かったので、その思いは強いです。査定額が購入価格より300万円も高かったので期待を持ったのですが、実際はわずか50万円とはいえ購入価格に届かなかったのが心残りです。結果的に複数の会社が出した査定額に落ち着くものだな、という感想です」

一方、コロナ禍の影響で都内から埼玉県に住み替えたことは、「非常に良かったと思っています」といいます。
「購入したのは4000万円の新築マンション。以前のマンションより1000万円安かったのですが、部屋が広く、ショッピングモールも近くにあってとても便利。妻もとても気に入っています」
新しいライフスタイルをスタートさせたことに大満足のNさんでした。

2020年12月 ・売却を考え始める
・簡易査定を依頼
・現地査定を実施
・不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・5300万円で売り出し
2020年2月 ・埼玉県内に新築マンションを購入
2020年3月 ・5000万円弱での購入希望者が現れる
・4950万円で売買契約を結ぶ

まとめ

  • 査定額には根拠あるため、複数の不動産仲介会社が出した査定額と売却価格は近くなることが多い。
  • 4000万円台と5000万円台では印象が大きく違うことも、売り出し価格を決める要素に。
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取材・文/浅野真由美 イラスト/松尾達

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