家を建てるのに必要な費用の目安と支払いタイミングを事前に把握しておけば、安心して家づくりができる。ここでは「土地購入」と「注文住宅の建築」のそれぞれについて、どんな費用をいつ支払うのか紹介する。
土地を買って注文住宅を建てる人は、土地探しと並行して施工会社選びも進めたい。土地購入と家の建築にかかるお金の全体像が分かるからだ。すでに土地を入手している人は、「注文住宅の建築」時に支払う費用の部分をチェックしよう。
→費用の目安などについて詳しくは「家を建てる・土地を買う手続きと費用」
土地購入の費用は「購入契約時」と「引き渡し時」に支払う。それぞれのタイミングで支払う費用の種類と金額の目安をまとめよう。
購入契約時には「手付金」と「購入諸費用の一部」を支払う。
手付金は、契約の成立を明確に示すために支払うお金で、引き渡し時には土地代金の一部に充当される。ただし、契約後一定期間内に、買主の都合で契約をキャンセルする場合、手付金は戻ってこない。また、売主の都合でキャンセルする場合は、売主から買主に手付金の2倍の金額が支払われる。
金額の目安は土地の購入代金の5%~10%程度が一般的だが、売主と買主の合意によって決めるため、目安とは異なることもある。手付金として支払える金額は、早めに不動産会社等に伝えておこう。
契約時に支払う購入諸費用は、契約書に貼る「印紙代(印紙税)」と「仲介手数料(半金)」。仲介手数料は、売主と買主の間に入って取引の仲介を行う不動産仲介会社(以下「仲介会社」)に支払うお金で、契約時に半金を支払い、残りは引き渡し時に支払うのが一般的だ。
引き渡し時には、土地代金から手付金を除いた金額を支払う(残金決済)。ただし、売主との合意がある場合は、契約から引き渡しの間に残金の一部を支払うこともある(中間金)。
購入諸費用は、先に説明した「仲介手数料の残額(半金)」のほか、登記に必要な費用(登録免許税・司法書士費用)などがある。
家を建てる土地が決まったら、依頼先候補の施工会社が家のプランや見積もり作成のために土地の測量や法規上の制限の確認などの調査を行う。地盤調査も行う場合、5万~10万円程度の費用がかかる。
施工会社が決まり、建築内容や費用の見積もりに合意したら「工事の請負契約」を結ぶ。契約時に支払う「契約金」は工事費用の10%程度が目安。ほぼ同タイミングで「建築確認申請費」も発生する(申請自体は建築会社が行う)。
工事費用は、契約の後、建築着工時、上棟時、引き渡し時に分割して支払うケースが多い。また、着工時に「地鎮祭」、上棟時に「上棟式」を行う場合は、その費用もかかる。
引き渡し時には、工事費用の残金のほか、建物の登記費用、それにともなう印紙税、司法書士報酬金などがかかる。また、住宅ローンを借りる場合は、その借入費用もかかる(次章参照)。
住宅ローンを借りて家を建てる場合、ローン契約時に「契約印紙代(印紙税)」、完成した家の引き渡し時にその他のローン借入費用(事務手数料、ローン保証料、火災保険料など)を支払うのが一般的だ。
また、住宅ローンの種類や金融機関によっては「つなぎ融資」が必要なケースもある。
「つなぎ融資」は、例えば土地代を現金で支払えない場合、土地の引き渡し時から住宅ローンの融資実行時(家の引き渡し時)まで利用できるローン。土地の引き渡しから家の引き渡しまでの間は利息のみを支払い、元金は住宅ローンの融資実行時に精算するのが一般的だ。
つなぎ融資の金利は、住宅ローンより高めに設定されることが多く、融資の事務手数料も必要となる。
なお、金融機関によっては、住宅ローンの「土地先行融資(土地代分の借入金が先に融資実行される)」や「分割融資(土地の引き渡し、工事請負契約など、支払いが必要な時期に融資実行される)」が可能なケースもある。
施工会社や金融機関を選ぶ際に、住宅ローンの融資実行のタイミングや借入費用に関しても確認しておこう。
家の引き渡し後、さっそく必要なのが新居への引越し代や家具購入費用。また、建物や土地を取得するとかかる「不動産取得税」もある。ただし、一定条件を満たす新築住宅は軽減措置が受けられる。
このほか、家の引き渡しから毎月住宅ローンの返済が始まるほか、翌年から「固定資産税・都市計画税」がかかる(年4回に分けて納めるケースが多い)。
さらに、マイホームに長く住み続けるためには修繕費用の備えも大切だ。10年~15年程度の周期でまとまった修繕が発生することが常だが、建てる建物、暮らし方、環境に左右されることも多い。
設備や建物(外壁や屋根など)に、いつ、どのくらいの修繕が発生するのかを施工会社に聞いておくとよいだろう。