住宅メーカーのカタログや、すてきな家の実例写真を見ていると、最新の住宅設備が目に入るはず。ここでは、主な住宅設備について、費用の目安とおすすめポイントを紹介していく。予算には限りがあるので、本当に必要な住宅設備・機能なのか?基本設計プランに追加選択していく場合は、本当に必要なオプションなのか?を見極めてほしい。
まずはキッチンなど、設備ごとのカタログを手に入れて、どんな機能があるのか、その中で何が欲しいのか挙げてみることから始めてみよう。最近では設備メーカー各社のホームページ上でカタログを見ることができるため、手軽にたくさんの設備を比較検討することができる。
また、ひと昔前と比べて技術が飛躍的に進歩しているため、知らなかった便利な機能もたくさんあるはず。標準でこんな機能もついているの?とうれしくなるような機能があることも。まずは各社の設備にどんな機能があるのか、調べてみることから始めよう。
欲しい機能が決まったら、次に優先順位をつけてリストにする。そうすることで、予算に応じて欲しい機能を取捨選択しやすくなるはずだ。
住宅設備・オプションの価格を大きく左右する要素は、基本的に機能の有無と、もう一つ見逃せないのがデザイン性。一般的にデザイン性が高くなるほど価格は上がる。これらを踏まえて、設備ごとのおおよその価格感とおすすめのポイントを紹介していく。自分たちの暮らしに必要な住宅設備なのかを、見極める際の参考にしてほしい。
キッチンの場合、同じメーカーでも商品名の異なる複数のキッチンが用意されていることが多く、商品によって価格も大きく変わる。大手メーカー数社のキッチンで見てみると、お手ごろなタイプで約50万円から、高級モデルとなると200万円を超える場合もあるなど、かなり差がある。この差は機能のほか、素材、デザイン性の違いも含まれる。一般的に高いキッチンほど選べる機能や扉材の種類が豊富になる。まずはどの商品にするのかをある程度決めてから機能を選ぶようにしよう。
さらに同じ商品でも、下記の要素によって価格が変わってくる。
●レイアウト
キッチンのレイアウトによって価格は大きく変わる。価格の安い順に挙げると、一般的に以下となる。
・壁付I型キッチン:壁に向かって一直線にコンロ・シンク・調理スペースが並ぶキッチン
・ペニンシュラ型キッチン:コンロ・シンク・調理スペースが壁から半島(英語でペニンシュラ)のように突き出ているキッチン
・アイランド型キッチン:コンロ・シンク・調理スペースが壁から離れて配置されるキッチン
・2列型キッチン:コンロ・シンク・調理スペースが2列に分かれて配置されるキッチン
・L型キッチン:コンロ・シンク・調理スペースがL字型に配置されるキッチン
商品にもよるが例えば壁付I型とL型で約40万円違うこともある。壁付I型は主に独立したキッチンルームを設けたいときに便利。
料理が好きで作業するスペースをたくさん取りたいという場合はL型や2列型がオススメだ。
一方、対面型キッチンにしてリビングに向かって調理をしたいときはペニンシュラ型やアイランド型が、家族や友達とワイワイやりながら楽しみたい場合はアイランド型が向いている。
最近は対面式が人気だが、上記のとおり、壁付I型よりペニンシュラ型やアイランド型価格は高くなる。しかし裏技として壁付I型を対面式に用いる方法もある。その場合、リビングに向かう側を大工工事にすることで自分の好きなデザインにできる。リビング側のデザインや材料次第だが、ペニンシュラ型やアイランド型を購入するよりも安くできることもある。まずは施工会社に相談してみよう。
●扉材の種類
色だけでなく素材や質感も多様になり、中には100種類以上の扉材から選べるシステムキッチンもあるほど。扉材の価格差だけで50万円以上になることもある。
また素材や仕上げ方によって同じ色でも、微妙に色あいが異なる。インテリアにこだわりたい人は、自分の好みを探すために、カタログだけでなくショールームでサンプルを目で見て確かめることをおすすめする。
●ガスコンロ/IHクッキングヒーターの機能
単に煮たり、焼いたりする機能以外に、最近は安全のために自動で熱源が止まったり、手軽に料理のレパートリーを増やしてくれる機能がたくさん用意されている。
オーブン機能やボタン一つで本格的な料理が出来上がるオートメニューなどは、機種によってさまざまだが、価格はたいてい10万円ほど高くなる。料理を楽しみたいという人だけでなく、料理を時短したい人もどんな機能があるのか調べてみよう。
●食洗機の有無
ビルトインタイプの食器洗い乾燥機があれば、後片付けがラクに。最近は除菌機能や節水・節電といった省エネ機能などが備わる高機能タイプもある。商品や機能によって価格差は異なるが、プラス約10万円から付けることができる。共働き世帯など家事をラクにしたい人におすすめだ。
●レンジフードの種類
壁付I型の場合はたいてい一般的な換気扇が標準装備として用意されている。最近のレンジフードは掃除の簡単なタイプがあり、機種によるがプラス10万円前後で変更も可能。油汚れがつきにくいファンや掃除が不要なフィルターのあるタイプ、ボタン一つで自動洗浄してくれるタイプなどさまざまあるので各社のカタログをチェックしてみよう。こちらも家事をラクにしたい人向き。
●つり戸棚の昇降機能
調理中に踏み台を使わなくても調理道具をサッと取り出しやすくしてくれるのがつり戸棚の昇降機能。最近は洗い物を簡単に乾かせる機能付なども。
調理を手早くできるため、共働き世帯など忙しい人だけでなく、調理中に無駄な時間を省けるので、その分を下ごしらえからしっかりやりたいという人にも向いている。
標準の一般的なつり戸棚と比べて、大きさにもよるが、手動で昇降するタイプならプラス10万円前後、電動昇降なら20万円前後。キッチンの収納がほかで十分確保できる場合はつり戸棚自体をつけないという人も。キッチン台の上部がオープンな空間になることで開放的なキッチンができる。
最近のシステムバスは、追い焚きの回数を減らせる高断熱浴槽など省エネ機能は標準装備か、オプションでも数万円程度の違いがある。キッチン同様、商品によって機能やデザイン性が異なり、大手メーカーで見ると価格は約30万円~150万円と差がある。事前にどんな機能があるのか調べておこう。
●壁パネルの種類
壁パネルの種類は数十種類から、中には100種類以上から選べるシステムバスもある。汚れの落ちやすさなどはほとんど同じだが、4面あるため、選び方次第で10万円程度変わる場合も。ショールームでは施工後のイメージがつきやすいようシミュレーションを用意しているところもあるので、浴室のデザインにこだわりたい人は購入前に確かめてから購入するようにするとよい。
●床材の種類
最近のシステムバスは、水はけがよく乾きやすい樹脂素材やタイル素材等を使った床材を選べたり、最初から標準で備える商品も増えている。これならカビの心配も小さくなり、掃除が簡単だ。また汚れが落ちやすい加工を施した床材も標準で備わるか、オプションの場合なら6万円前後で備えることができる。
●浴室の断熱
ヒートショックを防ぐために、床断熱を標準仕様としているシステムバスや、浴室全体を断熱材で覆うオプション(2万円前後)を用意しているシステムバスも多い。
●換気扇や浴室乾燥機の機能やリラックス機能などのオプション
換気をしないと浴室はカビが生じやすくなり、汚れの一因になる。窓を設けにくい間取りや、窓を開けられない梅雨時でも洗濯物を浴室に干したい場合は、浴室換気暖房乾燥機を備えると便利。標準で備わる換気扇と比べて15万円程度高くなるが、洗濯物を室内で干すことの多い人には向いている。また、換気扇や乾燥機機能に、発汗やリラックス効果のあるミストサウナ機能をつけたものなども人気だ。
●浴槽の素材
商品にもよるが、たいてい標準タイプの浴槽の素材はFRPと呼ばれるプラスチック樹脂製のもの。最近は湯アカなどの汚れがつきにくい人工大理石製の浴槽など、浴室の掃除がラクになる素材の浴槽を選べるシステムバスも多い。汚れの落ちやすい浴槽はFRP製と比べてプラス約10万円といったところだが、共働き世帯など家事にあまり時間をかけたくない人に向いている。
今やトイレは節水型が当たり前。汚れが付きにくい素材や機能をもつトイレがたくさんある。オプションを選ぶというよりは、メーカーによって機能や性能が異なるため、事前にどのメーカーのトイレにするかを調べることをおすすめする。タンクレストイレの価格は約20万円といったところ。
●タンクレスorタンク付き
同じメーカーでも、タンクレスよりタンク付トイレのほうが約7万円安くなる。タンクレスでも価格差があり、ベーシックな機能だけのタイプと、フタが自動開閉するなど高機能タイプとで約10万円違うことも。
タンクレスのほうがタンクの分奥行きが短いため、トイレ空間をスッキリと見せられるが、手洗いがトイレ本体につかないため、別途用意する必要がある。タンク付トイレと比べるとトータルで約20万円高くなる。
トイレ空間を大切にしたい人は、タンクレスにして手洗いのデザインにもこだわってみては。
寒い時期でもあまりエアコンや暖房機を使いたくないという人に人気なのが床暖房。床暖房は電気式と温水式の2種類があり、初期費用の目安は1畳当たり、電気式が1万2000円~1万5000円、温水式が5万円~5万5000円。これはあくまで目安であり、諸条件によって異なる。
初期費用だけでなくそれぞれメリットと注意点があるので、違いを理解してから選んでいきたい。
●電気式床暖房
床に電熱線などを組み込んだパネルを設置して床を温めるもの。温水式と比べて初期費用がリーズナブルなことと、床が暖かくなる立ち上がりが早いこと、メンテナンスがあまり必要ないことがメリットだ。
一方温水式と比べて単体では部屋全体を温めるには時間がかかるので、エアコンなどほかの暖房機との併用がオススメ。一般的に光熱費のランニングコストでは温水式よりやや割高となる。
また温度ムラが出やすく、長時間使い続けると高温になって低温やけどの恐れもあるので、書斎など小まめにオンオフする部屋に向いている。
●温水式床暖房
電気やガスを使った熱源機で温めた水を、床下に配置したパネルに送って循環させることで床を温める。電気式と比べて立ち上がりに多少時間はかかるが、部屋全体を包み込むように温めてくれる。また一定温度のお湯が循環するので、低温やけどの心配も少ない。光熱費のランニングコストでは一般的に電気式より割安といわれている。
一方で、定期的なメンテナンスが必要なため、その費用が必要になる。
住宅設備・オプションは進化し続けているので、知らなかった機能も多いはず。まずは最新の設備・オプションにどんな機能があるのか、カタログで確認してみよう。