土地を買って家を建てる場合は、建売の一戸建てに比べ手続きやお金を支払うタイミングが多く、住宅ローンの手続きも複雑になる。いつまでに、どんな費用を用意すればいいのかしっかり把握しておこう。
家を建てる・土地を買うときは、「土地の購入」「家の建築」の2段階の手続きを踏むことになる。このため、家を買うのに使える現金(住宅資金)のうち、土地購入にいくら、建物にいくら使うのか、事前に決めておこう。購入諸費用は「土地代金+家の工事費用」の10%~12%が目安だが、土地の条件や建築工事のスケジュール、また、住宅ローンの借り方によってはこれより多くなることも。家の建築を行う会社(工務店、ハウスメーカーなど)には、全体的なスケジュールや資金計画の相談ができる会社もあるので、建築会社を先に選んで相談しながら土地を選ぶのも方法のひとつだ。
◆土地の購入時に支払うお金
【売買契約】 手付金(価格の5%~10%)など
【引き渡し前】購入物件の残代金(物件価格-手付金等-住宅ローン借入額)、
土地の購入諸費用(土地代金の6%~10%)
◆家の建築時に支払うお金
【見積もり作成時】地盤調査費用など(必要な場合)
【工事請負契約時】工事契約金(工事費用の約10%)、建築確認申請費など
【着工時】 「着工金」(工事費用の約30%)、地鎮祭費用など
【上棟時】 「中間金」(工事費用の約30%)、上棟式費用など
【引き渡し前】 建築費の残代金(工事費用の約30%)、建物の登記費用など
◆引き渡し後に支払うお金
【引越し時】引越し代や家具購入費用など
【引越し後】不動産取得税(物件により異なる)
◆家を買った後ずっと支払う
・住宅ローン返済、家の所有者にかかる税金、メンテナンス費用など。(詳しくは「購入後にかかるお金」)
※土地を売主(不動産会社等)から直接買う場合、仲介手数料が不要なため、購入諸費用の目安は上記より土地代金の3%程度少なくなる。なお、上記とは支払のタイミングや金額が異なるケースもある。
土地を買って家を建てる場合、土地代には消費税はかからない。従って、土地代2000万円、家の建築工事費用2000万円の場合、消費税は「工事費用2000万円×10%=200万円」となる。なお、後述する諸費用のうち、仲介手数料、ローン借入費用、司法書士報酬などにも消費税がかかる。
土地の売買契約時に支払う「手付金」の金額は代金の10%程度が目安だが、売主・買主の合意によって決めるため目安とは異なることもある。自分が用意できる金額を、早めに不動産会社(仲介会社)に伝えておこう。
「手付金」は売買代金の一部となるが、契約後の一定の期間に買主の都合でキャンセルする場合は戻ってこないので注意しよう。なお、売主の都合でキャンセルされる場合、売主から買主に手付金の2倍の金額が支払われる。
このほか、仲介会社を通して土地を購入する場合、契約時に仲介手数料の半金を支払う。
諸費用の名称 | 内容 |
---|---|
印紙税 | 売買契約書に収入印紙を貼る形で納める税金。税額は売買代金によって異なる。例えば物件価格が1000万円を超え5000万円以下の場合、税額は1万円(詳しくは「印紙税」) |
仲介手数料の半金 (仲介会社を通して土地を買う場合) |
売主と買主の間に仲介会社が入る「仲介」の場合、「(売買代金×3%+6万円)+消費税10%」上限とする「仲介手数料」を支払う。仲介手数料は契約時と引渡時に半金ずつ払うのが一般的だ。 |
土地の売買代金から手付金を引いた「残金」は、引き渡しの直前に指定された口座に振り込むのが一般的。これを残金決済という。なお、残金の一部を「中間金」として、残金決済より早い時期に支払うケースもある。
住宅ローンを借りる金融機関にはローン申し込みの前に必ず、「残金決済の期日までに借りたお金が支払われるか」を確認しておこう。住宅ローン借り入れ分のお金は金融機関から直接振り込んでもらうこともできる。
住宅ローンの審査を受け借入額などが確定したら、金融機関と住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を結ぶ。このとき必要なのがローン契約書に貼る印紙代(印紙税)。そして、残金決済時には下記の購入諸費用を所定の口座に振り込む。このほか、土地購入から建物引き渡しまでの間「つなぎ融資」が必要な住宅ローン(【フラット35】など)の場合は、別途利息や手数料がかかる。
諸費用の名称 | 内容 |
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印紙税 (ローン契約時) |
ローン契約書に収入印紙を貼る形で納める税金。税額は借入額によって異なる(借入額が1000万円を超え5000万円以下の場合は2万円) |
登記費用 | 不動産登記(土地所有権の移転登記)、抵当権設定登記の際に必要な登録免許税、登記を行う司法書士の報酬など。 |
ローン借入費用 | 事務手数料、保証料、火災保険料など。費用の内容や金額は、ローンの種類や金融機関によって異なる。なお、土地の引き渡しから家が完成するまでの間、「つなぎ融資」が必要なローンもある(【フラット35】など) |
仲介手数料の半金 (仲介会社を通して土地を買う場合) |
売主と買主の間に仲介会社が入る「仲介」の場合、「(売買代金×3%+6万円)+消費税10%」上限とする「仲介手数料」を支払う。仲介手数料は契約時と引渡時に半金ずつ払うのが一般的だ。 |
税金などの清算金 | 毎年かかる固定資産税や都市計画税について、日割りした金額を売主に支払う。 |
土地が決まったら、家のプランや見積もり作成の資料にするため、依頼先候補の施工業者が土地の調査をしてくれる。調査内容は、敷地の測量、法的制限のチェック、周辺状況の調査、地盤調査など。地盤調査費用の目安は5万円~10万円程度だ。
最終的に依頼先の施工会社が決まったら、細かい内容まで盛り込んだ「本見積もり」を作成してもらう。家の本体工事の内容と、家の外まわり(外構、造園)などの付帯工事費、諸費用、工事費用の支払い時期などをしっかりチェックしよう。なお、施行会社によっては、契約前に「プラン作成費」が必要となることもある。金額等は会社によって異なるので、会社選びの際に確認しておこう。
最終見積もりに合意したら「工事の請負契約」を結び工事開始。工事費用は、以下のように、工事の段階ごとに4回程度に分けて支払うことが多い。一方、住宅ローンは、建物が完成してから一括して支払われるもの(【フラット35】など)と、支払時期に合わせて分割して支払われるものがあり、前者の場合は「つなぎ融資」が必要となる。
■工事費用の支払い時期と目安額(例)
家を建てる際に必要な諸費用の目安は工事費用の10%程度。下表のように家の建築過程で発生するので、「諸費用分」の現金をまとめておき、必要なときに引き出せるようにしておこう。なお、土地の条件によっては、このほかにも費用がかかるケースがある(電柱移設費、歩道の切り下げ工事費用、水道管引き込み工事費など)。
支払時期 | 諸費用の名称 | 内容と目安額 |
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工事請負契約の前後 | 住宅性能表示制度の費用(利用する場合) | 評価書が出る前に支払う。依頼先に工事費と一括として払うケースもある。料金の目安は10万円~20万円。 |
印紙税(工事請負契約書に印紙を貼付) | 税額は建築代金により異なる。例えば1000万円を超え5000万円以下の場合、税額は1万円(2022年3月31日まで。詳しくは「印紙税」) | |
建築確認申請費用 | 申請は建築会社が代行してくれる。費用の目安は10万円~20万円 | |
着工時 | 地鎮祭の費用 | 地鎮祭の祭壇をつくる費用や神主さんへの謝礼、挨拶回りに持参する粗品代など。内容によって異なるが数万円程度のケースが多い。 |
上棟時 | 上棟式の費用 | 躯体の骨組みができ「棟上げ」を行うとき、工事関係者と行なう式典。10万円前後が目安(内容により異なる) |
ローン契約時 | 契約印紙代 (ローン契約に貼付) |
住宅ローンを土地と建物で別々に借りる場合に必要。税額は借入額によって異なり、借入額が1000万円を超え5000万円以下の場合は2万円。 |
引き渡し時 | 登記費用 | 新築建物の表示登記、所有権保存登記、抵当権設定登記の際に必要な登録免許税。また、建物の測量を行う土地家屋調査士や登記を行う司法書士の報酬など。 |
ローン借入費用 | 事務手数料、ローン保証料、火災保険料など。費用の内容や金額は、ローンの種類や金融機関によって異なる。このほか、「つなぎ融資」が必要となるローンの場合、手数料や利息がかかる。 |
ファミリーの平均的な引越し費用の目安は10万円~20万円台(移動距離、家具の量、サービスプランによって異なる)。また、カーテン、照明器具、エアコンなど、入居時に購入する家具もある。そのほかに欲しい家具のある人やインテリアにこだわりたい人は、具体的な家具購入計画を立て、必要な費用を手元に残しておこう。
「不動産取得税」は、建物や土地を取得するとかかる税金。引き渡しの半年~1年半後に、都道府県から納税通知書が送られる。床面積50平米~240平米など一定の条件を満たす新築住宅は軽減措置が受けられる。なお、この軽減措置を受けるための手続きは都道府県によって異なる。所定の期間内に申告が必要なケースもあるので、土地の購入時点で不動産会社や都道府県の担当課に問い合わせておこう。