家族タイプ別おすすめ間取り。通風遮光・収納・家事動線など後悔しない間取りポイント/注文住宅・土地探しマニュアル#15

最終更新日 2023年11月06日
家族タイプ別おすすめ間取り。通風遮光・収納・家事動線など後悔しない間取りポイント/注文住宅・土地探しマニュアル#15
家族タイプ別おすすめ間取り。通風遮光・収納・家事動線など後悔しない間取りポイント/注文住宅・土地探しマニュアル#15のイラスト

自分たちの暮らしにあったベストな間取りってどんなものだろう。そもそも間取りはどんな点を重視して決めるものなのか?そこで家族タイプ別に、間取りを考える際の基礎知識を紹介しよう。2人家族、3人家族、4人家族の家族数ごとに解説していく。家づくりの中でも容易に修正できない要素だけにしっかり考えたい。

家族数から間取りを考える

2人家族、3人家族、4人家族のおすすめ間取り

自由な間取りで家を建てられるのが注文住宅の最大の魅力。だが、家族構成と合わない間取りで建ててしまうと後悔だけが残ってしまう。

間取りを想定する上で重要なのは、そこで暮らす家族の人数や年齢層を考慮すること。例えば子どもを将来3人欲しいなら、子ども一人一人に部屋を与えるか、広い子ども部屋で共用にするなどを考える必要がある。さらに、今後親との同居を考えている場合は、親世帯が暮らす間取りや機能なども考えておかなくてはならない。

間取り決めにはどの世代が何人で暮らすという構成人員をしっかり考えることが大切なのだ。もちろん10年後や20年後まで想定することも念頭に置いておこう。

家族数から考えるおすすめの間取り

2人家族なら

夫婦やカップルなどの場合は団らん、コミュニケーションをとれる共用空間=リビング・ダイニングに加えて、各々の趣味や時間を過ごせる居室スペースがあるとベスト。また、ライフスタイルによるが、共働きなどで家にいる時間が異なる場合は、寝る時間や休む時間をお互い邪魔しないよう、寝室を分けるなどプライベート空間があったほうがストレスなく過ごしやすいだろう。

将来子どもができることも考えている場合は、ワンフロアの子ども部屋に間仕切りをして2部屋として使えるよう、広い1部屋がある間取りを想定しておくと、部屋数が足りないということが防ぎやすくなるだろう。

3人家族なら

主寝室+子ども部屋で2LDK以上が基本になる。子ども部屋と夫婦の寝室をそれぞれ確保しておけば、子どもが成長したときもプライバシーを守りやすくなる。また、子どもの荷物が増えても収納場所に困ることは少なくなる間取りだ。

ただ、子どもの人数が増えた場合に備えて、2部屋に分けても収納や各々出入りする扉を設けられるなど、ある程度のスペースを想定しておく必要がある。

一方3LDKは子どもが小さいうちは使わずにもったいないと考えるかもしれないが、将来的には、子ども部屋と主寝室、書斎や趣味の部屋などとして活用ができる。2人目が生まれた場合も子ども部屋を2つ確保できるので、家族全員が快適に過ごしやすくなる。

4人家族なら

夫婦+子ども2人と想定した場合、親と子2人それぞれで3部屋が必要になるので、3LDK以上が基本になる。来客が多い人の場合は客間、趣味のモノが多い人は収納用に、家で仕事をする場合は書斎などを想定して4LDKにする場合も。4LDKの場合、普段全く使わないともったいないので、1部屋はリビングに隣接させた間取りにして、リビングと一体で使えるような間取りにすると、無駄がなく、広いリビングで開放的な空間で過ごせる。

国土交通省策定の「住生活基本計画(全国計画)」では、世帯人数に適した住宅の面積の目安「居住面積水準」について紹介しているので参考にしてみてほしい(下図参照)。

■世帯人数別・居住面積水準
世帯人数別の面積例 最低居住面積水準 誘導居住面積水準
2人 30m2 55m2~75m2
3人 40m2 75m2~100m2
4人 50m2 95m2~125m2

国土交通省「住生活基本計画における居住面積水準」。※最低居住面積とは、世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基本とし、必要不可欠な住宅面積に関する水準。誘導居住面積水準とは、世帯人数に応じて、
豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積に関する水準

一方、近年、「断捨離」や「ミニマルライフ」がブームとなっているように、モノをあまり多くしないコンパクトな生活への関心も高まっている。フリーマーケットで着なくなった衣類を売ったり、季節外のものはレンタル倉庫などのスペースに預けたり、書籍は電子書籍にしたりなどの新しいーサービスを活用するのも手だ。また、天井を高くとり、ロフトや収納スペースを設けるなど、建物面積に含まれない空間を作り、有効活用する住宅も増えてきている。あくまでも参考として、自分たちの生活に必要十分なスペースを検討したい。

間取りを考える上で大切な3つのポイント

毎日が心地よく過ごせるかどうかがポイント

注文住宅は自由に多彩な間取りを実現できるが、長く住む上では家族が心地よく過ごせるかどうかが間取りを考える基本ポイントになる。心地よさを決めるポイントは「通風採光」「使い勝手のいい収納配置」「水まわり、家事動線がスムーズかどうか」の3つだ。

心地よい間取りを考える3つのポイント

1、通風採光がいい間取り
2、使い勝手のいい収納配置の間取り
3、家事動線がスムーズな間取り

1、通風採光がいい間取り=家の四方に開口部&吹抜け

通風採光のうち通風は、開口部の位置とサイズにこだわりたい。通常、風は大きな開口部から入り、狭い開口部に向けて抜けるため、リビングから庭など外に向けた開口部を大きく取り、LDKに風を取り込んだのち、リビングの一面や隣接するダイニング、キッチンなどの小窓に抜けさせることで風通しがよくなる。少なくとも部屋の三方向に開口部を設けることで、より通風ルートが確保され、風の抜けがよくなるだろう。

また吹抜けを設けることもおすすめだ。これは暖かい空気は上に行き、冷たい空気は下に下がる空気の流れを考えたもの。取り込んだ風の上下の動きを利用した開口プランを考えれば、1階だけでなく2階や3階など、上層階の通風も確保しやすい。

採光も基本的に開口部のつくり方がポイントになる。最も重視するのは南や東など太陽光を採り込みやすい方角に開口部を設けること。また高台立地などでは、2階にリビングを設けることで、隣家など周辺環境の影響を軽減しながら光を採り込みやすい場合もある。また、四方を家などに囲まれた立地の場合は、上に開口部を設けることもおすすめ。トップライトが代表例で、屋根や天井に開口部を設けることで、方角を気にすることなく、光を採り込むことができる。暗くなりがちな階段や玄関などに設けるケースが多い。ほかには、「中庭」も同様な効果があり、周囲の家や道路からの視線は入らない開口部を作ることができる。

リビング
リビング
大きな開口部を設けるだけでなく、吹抜けを配置し、上部からも光が入り、風が抜けるリビング(画像提供/アートクラフト)

2、使い勝手のいい収納配置の間取り=使うモノが手の届く場所にある

収納配置では、やたらと収納スペースをもうけるのではなく、使い勝手を考えた配置にしたい。例えば掃除用具など普段使うものをしまう小さな収納スペースは、過ごす時間の多いリビングに設ける。また、家族が普段の暮らしで必ず通る動線上に着替えもできる大型収納をもうけると、生活しながら片づけもはかどり、効率もいい。季節物などを普段使わないものの収納は、居住スペース内に設けず屋根裏や階段下、または床下などを活用した収納計画を立てれば、暮らすスペースを圧迫せずにすむだろう。

リビングの一角に設けた造作収納
ビングの一角に設けた造作収納。ラック状建具にして、開くと掃除機や子どもが学校で使う書類など、リビングで使うものを収納している(画像提供/アートクラフト)

3、家事動線がスムーズな間取り=ひとつながり動線と回遊性

水まわり含む、家事動線も心地よい暮らしの大切なポイント。家事は毎日のことなので効率的にこなしたい。例えば、キッチン、洗面浴室と一つながりの動線をリビングとはべつに用意して、回遊性をもたせられれば、より負担が少なく料理、洗濯などを一度に済ませられやすい。同じ考え方で、洗濯機を配置する洗面浴室と洗濯物を干すバルコニーとのつながりを確保すれば、洗う、干す、しまうという工程が一連で済ませられるので、家事がラクになり、時間にも心にも余裕をもった暮らしがしやすい。

キッチンから洗濯機を置いた洗面浴室まで一つながりにした家
奥にあるキッチンから洗濯機を置いた洗面浴室まで一つながりにした家。料理、洗濯など家事をスムーズにする工夫(画像提供/アートクラフト)

子育て家族におすすめの間取り

キーワードは、コミュニケーションと可変性

注文住宅購入検討者の多くが気になるのが子育てしやすい間取り。嗜好や子どもの年齢にもよるが、子育て世代の家づくりで大切なキーワードは「コミュニケーション量」をどう増やすか。子どもの成長には、親子間のコミュニケーションが必須だからだ。
そこで、例えばリビングに向いたカウンター、アイランドキッチンであれば、家事をしながらでも子どもの様子が見やすく会話もはずみやすい。また、成長して家事を手伝うといった気持ちが芽生えてきたときにも参加しやすい設計にすれば、スムーズに実現しやすいだろう。

加えてコミュニケーションの量を増やすのが「顔を合わせる動線」の間取り。代表的な間取りがリビングイン階段だ。玄関から必ずリビングを通って居室に向かうので、大きくなってからも顔を合わせやすい。

リビングイン階段
リビングイン階段に吹抜けを合わせることで、階上階下の様子がどこにいてもわかる

最近定番になっているのがリビング学習だ。リビングやキッチンなど家族が集う空間にスタディスペースを設けることで、勉強も親の目があるからと集中したり、学校などで何かあった際も子どもの表情を常に見ることができたりするので、コミュニケーションをとれ、子どもの成長を見守りやすい。大きめのカウンターを配せば、親子で学習もでき、よりコミュニケーションが深まる。

スタディーコーナー
キッチンの一部に造作カウンターを設けたスタディーコーナーを設置。家事の合間に宿題を見てあげられる

また、空間に可変性をもたせることもポイント。子どもが小さいうちは主寝室で親子一緒に寝ることが多いが、子ども部屋はプレイスペースとして広々使わせてあげると、家の中での暮らしが楽しくなる。そしてある程度成長したり、子どもが増えたりした際には、仕切りで子ども部屋を分割できると子ども同士のプライベートも守りやすく心地よく暮らせるだろう。

こうした空間をつくるには、ある程度リビングを広く取ったり、必要な配線を工夫したりするなどの設備も考えて置きたい。どんな親子生活を送りたいのか、そのために必要なことを相談しながら間取りを考えるといいだろう。

注文住宅・土地探しマニュアル
  1. 3-1. 家・土地の購入から入居までの基本の流れ
  2. 注文住宅と建売住宅の違い。費用・流れ・間取り・期間を比較
  3. 注文住宅を建てる流れと期間。土地探し・会社選びから完成までのポイント
  4. 注文住宅建築の情報収集のコツ。情報誌・インターネット・住宅展示場など
  5. 注文住宅の購入予算を試算する方法。年収や頭金などポイント解説
  6. 注文住宅の間取りの決め方。理想の暮らしやマネープランから考えよう
  7. 注文住宅のための土地探しのコツ。建てられる家の広さの計算方法も解説
  8. 注文住宅を建てる会社の選び方。ハウスメーカー・工務店・設計事務所の特徴
  9. 注文住宅を建てる費用と支払時期まとめ。住宅ローン、つなぎ融資も解説
  10. 3-2. 家・土地の購入にかかる費用と資金計画のたて方
  11. 土地・注文住宅を購入するのに必要な費用と支払いタイミングを解説
  12. 年収別・借りられる住宅ローン額と住宅購入金額の目安
  13. 費用別・建てられる注文住宅のプラン解説。費用を抑えたい場合のポイント
  14. 住宅購入にかかる頭金・手付金とは。金額の目安と支払いタイミング
  15. 頭金とは。目安の金額や頭金ゼロで購入する場合の注意点などを解説
  16. 3-3. 家・土地探しの前に、理想の家・暮らしを考える
  17. 注文住宅を建てる前に家族で相談すべきこと。理想の暮らしとライフプラン
  18. 家族タイプ別おすすめ間取り。通風遮光・収納・家事動線など公開しない間取りポイント
  19. 3-4. 住む場所や土地探しのポイント
  20. 後悔しない土地探しのチェックポイント。依頼先の選び方、事前準備など
  21. 土地探しの相談先の選び方。ハウスメーカー・工務店・不動産会社の特徴
  22. 土地購入の流れとは。売買契約から登記までの手続き・必要書類・注意点
  23. 土地の売買契約書のチェックポイントとは。必要書類や契約前後の流れも解説
  24. 土地の価格相場とは。4種類の土地価格の調べ方や、相場を左右する要素など
  25. 3-5. ハウスメーカーや工務店など、家を建てる会社の選び方
  26. 注文住宅の建築会社。ハウスメーカー・工務店・設計事務所それぞれの特徴
  27. 失敗しない建築会社選び。事前に決めておくことや見極めポイントとは
  28. 注文住宅の工法・構造の種類と特徴。建築会社選びの前に決めておこう
  29. 3-6. 間取りや設備など、家を設計する時のポイント
  30. 実例付き・使いやすい間取りの考え方。動線やゾーニングなどポイント解説
  31. 失敗しない間取り解説。二世帯住宅、3階建て、狭小地などケーススタディ
  32. 注文住宅の設備・オプションの選び方。後悔ポイントを知って正しく選ぼう
  33. 省エネ・エコ住宅の補助金や優遇制度とは。ZEH・高断熱・高気密なども解説
  34. 地震に強い家を作る!構造(免振・制震・耐震)、地盤、基礎のポイント解説
  35. 3-7. 注文住宅における契約の流れや注意点
  36. 注文住宅の工事請負契約とは。契約書類の確認ポイント、トラブル事例など
  37. 注文住宅の契約を解除するときの流れ。返金・違約金や注意点を解説
  38. 注文住宅購入時の契約の流れ。各段階の必要書類とダンドリを解説
  39. 住宅完成保証制度とは。保証の対象と限度額、手続き方法などを解説
  40. 3-8. 住宅ローンを決める時に知っておくべきこと
  41. 住宅ローンの種類と特徴。公的融資と民間融資の違い、金利プランなど解説
  42. 住宅ローンの借り方。銀行、ローン専門の金融機関の特徴を解説
  43. 新築購入時にかかる税金と優遇制度。住宅ローン控除やすまい給付金など解説
  44. 3-9. 着工後、家が完成するまでにやるべきこと
  45. 注文住宅の着工から完成までの流れ。各段階のポイントを解説
  46. 3-10. 新居の引き渡し後にすること
  47. 新居引き渡しの準備・必要書類と当日の流れ。トラブル防止のコツも解説
  48. 新居への入居前にやるべきこと。引越し準備や各種手続きの流れを解説
  49. 入居後にかかる税金と軽減制度とは。住宅瑕疵担保責任と保証制度も解説
注文住宅の会社を探す
土地を探す
新築一戸建てを探す
中古一戸建てを探す
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
賃貸物件を探す
リフォーム会社を探す
中古マンションを探す
新築マンションを探す
売却査定する
引越し見積もりをする
取材・文/山口俊介
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る