費用別・建てられる注文住宅のプラン解説。費用を抑えたい場合のポイント/注文住宅・土地探しマニュアル#11

公開日 2023年07月26日
費用別・建てられる注文住宅のプラン解説。費用を抑えたい場合のポイント/注文住宅・土地探しマニュアル#11
費用別・建てられる注文住宅のプラン解説。費用を抑えたい場合のポイント/注文住宅・土地探しマニュアル#11のイラスト

自分でゼロから決められるのが注文住宅の醍醐味(だいごみ)。いくらでどのような家が建てられるのかがわかれば、自分たちの予算で満足できる家を建てられるのかがイメージできるはず。そこで、価格を抑えたい、ひとつだけこだわりを実現したい、すべての希望をかなえたい、の3つの軸でどんな家が建つのか、建てる際の注意点などを解説。

家の広さと建築費の平均

約130m2の広さで3000万円台半ば

注文住宅を建てている人は、どれくらいの広さの家に、いくらくらいの費用をかけているのだろう。住宅金融支援機構のデータによると、土地代を除く建築費の平均は約3452万円。地域によって異なるが、約130m2(約40坪)くらいの広さの家を建てる場合、建築費には3000万円台半ばくらいかかるのが相場だ。

また、価格が決まっている建売住宅と違い、家にかけられる予算によって建築費を調整できるのが注文住宅のメリットのひとつ。1000万円台から建てられる家や、2000万円台、3000万円台、それ以上など、さまざまな価格帯で建てることができる。

■エリアごとの平均床面積と価格
エリア 床面積 建築費(土地代含まず)
全国 約125.8m2 約3452.4万円
首都圏 約125.2m2 約3768.8万円
近畿圏 約125.3m2 約3553万円
東海圏 約127.8m2 約3518.6万円
その他の地域 約125.6m2 約3274.5万円
※2019年度に建てられた注文住宅の平均床面積と平均建築費
2019年度フラット35 注文住宅融資利用者の主要指標

価格を抑えたい場合の住宅プラン

シンプルなデザインでコストコントロール

価格を抑えて注文住宅を建てたいという要望の場合、いくらを想定予算とするかによって建てられる家が変わる。例えば1000万円台を想定すると、すべての工務店やハウスメーカーが対応できないということは覚えておこう。

建築費は家の形に左右されることが多いので、凹凸の少ない長方形や正方形のシンプルな家になることが多くなると考えられる。一方、コの字型やL字型、中庭を建物で囲んだロの字型といった特徴ある間取りの家だったり、出窓がたくさんある、外壁を凹ませてベランダを多く設けたりなど凹凸の多いデザインでは、例えば同じ100m2の床面積でも建築コストが増大。複雑なデザインは施工の手間もかかるので職人にかかる人件費も増えがちだ。価格を抑えて建てたいという家には向かないだろう。

さらに、コストがかかるのは建物の材料費。耐水性や防汚性が高い外壁材や屋根材は高額なものが多い。使えば使う分、建築費を押し上げてしまう。

つまり、できるだけシンプルなデザインの家。これがコストコントロールのポイントになる。

一例として、外観は長方形や正方形で、1階と2階の床面積が同じ総2階建て、屋根は本を伏せたような形の山形の切妻屋根や、傾斜が1面の片流れ屋根の家がコストが低いとされるので、覚えておこう。
また、内観デザインも外観同様シンプルにすることでコストを削減できる。コストのかさむ凝った間取りや同じく材料費がかかる無垢材(むくざい)、漆喰(しっくい)などの自然素材はワンポイントに押さえるなどの工夫も相談したい。

基本的な依頼先探しとしては、ローコストをうたう建築会社などになる。一方、高額と考えられがちなハウスメーカーも捨てたものではない。資本力やこれまでの豊富な経験を活かして、あらかじめ基本設計プランを用意して設計にかかる手間や日数を削減したり、設備や部材などを大量仕入れすることでコストを抑えている会社もある。高い性能は保ったままで手ごろな価格の住まいも探しやすくなっているので、しっかり情報収集をしてみよう。

■1000万円台で建てられる住宅の特徴
  • デザイン:シンプルな形状のものに
  • 素材:自然素材をたくさん使えない
  • 自由度:凝った間取りはしない
  • 設備:建築会社やハウスメーカーの標準仕様にする

何かひとつは絶対こだわりたい場合の住宅プラン

基本仕様をベースに優先順位をしっかりつける

それほど多くの予算はないが、せっかくの注文住宅だからこれだけは絶対に譲りたくない。そんな人も多いだろう。例えば2000万~3000万円台を想定する。

ハウスメーカーはじめ、建築会社の中には、ある程度プランの決まった基本仕様の家を設定している。こうした会社を候補に入れると、ゼロから考えるよりも打ち合わせ時間が削減できたり、その会社の知見を活かした家づくりがしやすく、かかる費用もわかりやすい。費用感がわかれば、こだわりの種類や数がどれだけかなえられるのかがわかるはず。

そこで大切になるのは「優先順位」の設定だ。基本仕様を見たうえで、足りないポイントやもっとこだわりたいポイントに優先順位をつけていこう。例えば、内装にはコストをかけずに自然素材のいい家具を入れるとか、家具の買い替えはせずに今使っているものをそのまま使い、家具購入費を圧縮した分で、ドアや窓など一部分にこだわりの素材のものを使うなど。工夫次第でこだわりをかなえることが可能だ。

特に注文住宅は、家づくりへの希望を次から次へと盛り込んでしまうもの。価格の決まっている建売住宅やマンションと違い、予算オーバーになりがちなので注意が必要だ。絶対に譲れない条件、希望を明確にすることでコストをコントロールすることが大切になる。

■2000万~3000万円台で建てられる住宅の特徴
  • デザイン:塗り壁、金属系などの外壁材で個性演出
  • 素材:いくつかこだわり素材を使う
  • 自由度:バルコニーなど+αスペースなども考えて
  • 設備:最新式の設備や水まわりもチェック

全ての希望をかなえたい場合の住宅プラン

4000万円台~が想定予算

希望をすべてかなえた家。それは誰もが当然考えるものだが、全員が実現できるわけではない。ネックは予算だ。希望内容によるが、全国で建てられている注文住宅の平均的な建築費用は約3359万円。この3000万円台という価格の場合、好きなデザインや間取り、憧れの設備などを『いくつか』実現できるといわれている。しかし『全ての希望』をかなえられるかというとそうではない。

目安になる価格としては、2階建て(延床面積120m2前後)であれば、「4000万円台」が該当しやすくなる。こだわりの強い人が希望を全部詰め込むとこのくらいの金額になることが多いという。

自然素材をふんだんに使ったり、凹凸を多用した個性的なデザインにもしやすくなるばかりか、注文住宅の魅力でもある、狭小地や不整形地の建物でも敷地の形を有効活用した家も建ちやすい。さらに、門やアプローチなど外構にも費用がかけられ、外観デザインの満足度も高められるという。

依頼先も大手ハウスメーカーから中小建築会社、設計事務所など多彩な依頼先が選びやすくなる。
もちろんあれもこれもと詰め込みすぎて予算をオーバーしてしまったり、不必要な設備を入れてしまったりしないよう、しっかりと希望を整理して、暮らしに根差したプランニングを考えるのが必要だ。

■4000万円台~建てられる住宅の特徴
  • デザイン:土地に合わせたデザインの外観や間取りも
  • 素材:LDKなど家族共有のフロアに自然素材をふんだんに使えることも
  • 自由度:間取りの自由度もある程度高まる
  • 設備:場所によっては良質な床材+最新設備がつけられることも
注文住宅・土地探しマニュアル
  1. 3-1. 家・土地の購入から入居までの基本の流れ
  2. 注文住宅と建売住宅の違い。費用・流れ・間取り・期間を比較
  3. 注文住宅を建てる流れと期間。土地探し・会社選びから完成までのポイント
  4. 注文住宅建築の情報収集のコツ。情報誌・インターネット・住宅展示場など
  5. 注文住宅の購入予算を試算する方法。年収や頭金などポイント解説
  6. 注文住宅の間取りの決め方。理想の暮らしやマネープランから考えよう
  7. 注文住宅のための土地探しのコツ。建てられる家の広さの計算方法も解説
  8. 注文住宅を建てる会社の選び方。ハウスメーカー・工務店・設計事務所の特徴
  9. 注文住宅を建てる費用と支払時期まとめ。住宅ローン、つなぎ融資も解説
  10. 3-2. 家・土地の購入にかかる費用と資金計画のたて方
  11. 土地・注文住宅を購入するのに必要な費用と支払いタイミングを解説
  12. 年収別・借りられる住宅ローン額と住宅購入金額の目安
  13. 費用別・建てられる注文住宅のプラン解説。費用を抑えたい場合のポイント
  14. 住宅購入にかかる頭金・手付金とは。金額の目安と支払いタイミング
  15. 頭金とは。目安の金額や頭金ゼロで購入する場合の注意点などを解説
  16. 3-3. 家・土地探しの前に、理想の家・暮らしを考える
  17. 注文住宅を建てる前に家族で相談すべきこと。理想の暮らしとライフプラン
  18. 家族タイプ別おすすめ間取り。通風遮光・収納・家事動線など公開しない間取りポイント
  19. 3-4. 住む場所や土地探しのポイント
  20. 後悔しない土地探しのチェックポイント。依頼先の選び方、事前準備など
  21. 土地探しの相談先の選び方。ハウスメーカー・工務店・不動産会社の特徴
  22. 土地購入の流れとは。売買契約から登記までの手続き・必要書類・注意点
  23. 土地の売買契約書のチェックポイントとは。必要書類や契約前後の流れも解説
  24. 土地の価格相場とは。4種類の土地価格の調べ方や、相場を左右する要素など
  25. 3-5. ハウスメーカーや工務店など、家を建てる会社の選び方
  26. 注文住宅の建築会社。ハウスメーカー・工務店・設計事務所それぞれの特徴
  27. 失敗しない建築会社選び。事前に決めておくことや見極めポイントとは
  28. 注文住宅の工法・構造の種類と特徴。建築会社選びの前に決めておこう
  29. 3-6. 間取りや設備など、家を設計する時のポイント
  30. 実例付き・使いやすい間取りの考え方。動線やゾーニングなどポイント解説
  31. 失敗しない間取り解説。二世帯住宅、3階建て、狭小地などケーススタディ
  32. 注文住宅の設備・オプションの選び方。後悔ポイントを知って正しく選ぼう
  33. 省エネ・エコ住宅の補助金や優遇制度とは。ZEH・高断熱・高気密なども解説
  34. 地震に強い家を作る!構造(免振・制震・耐震)、地盤、基礎のポイント解説
  35. 3-7. 注文住宅における契約の流れや注意点
  36. 注文住宅の工事請負契約とは。契約書類の確認ポイント、トラブル事例など
  37. 注文住宅の契約を解除するときの流れ。返金・違約金や注意点を解説
  38. 注文住宅購入時の契約の流れ。各段階の必要書類とダンドリを解説
  39. 住宅完成保証制度とは。保証の対象と限度額、手続き方法などを解説
  40. 3-8. 住宅ローンを決める時に知っておくべきこと
  41. 住宅ローンの種類と特徴。公的融資と民間融資の違い、金利プランなど解説
  42. 住宅ローンの借り方。銀行、ローン専門の金融機関の特徴を解説
  43. 新築購入時にかかる税金と優遇制度。住宅ローン控除やすまい給付金など解説
  44. 3-9. 着工後、家が完成するまでにやるべきこと
  45. 注文住宅の着工から完成までの流れ。各段階のポイントを解説
  46. 3-10. 新居の引き渡し後にすること
  47. 新居引き渡しの準備・必要書類と当日の流れ。トラブル防止のコツも解説
  48. 新居への入居前にやるべきこと。引越し準備や各種手続きの流れを解説
  49. 入居後にかかる税金と軽減制度とは。住宅瑕疵担保責任と保証制度も解説
注文住宅の会社を探す
土地を探す
新築一戸建てを探す
中古一戸建てを探す
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
賃貸物件を探す
リフォーム会社を探す
中古マンションを探す
新築マンションを探す
売却査定する
引越し見積もりをする
取材・文/山口俊介
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る