著: 白方はるか(鳩)

フリーライター・イラストレーターの鳩さんが、街の魅力を実際に住んでいる人、住んでいた人と散策しながら発見する「ぐるっと街観察」。4回目の今回は、「光が丘・成増」へ。
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今回の案内人:小川夫婦(夫・みき & 妻・れな)

高校時代から付き合いはじめ、7年間の交際を経て2017年に結婚。みきの実家が成増、れなの実家が光が丘だった。現在は東京都心在住。
【これまでの引越し遍歴】
みき
・〜2017年 成増
・2017年〜 東京都心
れな
・〜2003年 父親の転勤で転々と
・2003年〜2015年 光が丘
・2015年〜2017年 埼玉県
・2017年〜 東京都心
小川夫婦が光が丘と成増に住んでいた理由
みきさんの祖父が九州から東京へ出てきたとき成増に住んだことをきっかけに、3代にわたりこの地に暮らしてきました。れなさんは、小学生のころに家族で光が丘へ引越してきて、大学4年生までの約12年間この街で暮らしました。現在ご実家は、別の街へ引越されています。
光が丘と成増の基本情報
今回歩いたのは「光が丘駅」と「成増駅」の間。「光が丘駅」は練馬区にある都営大江戸線の終着駅で、新宿駅から30分ほどでアクセスできます。一方「成増駅」は板橋区にある駅。東武東上線のほか、ほぼ隣接した「地下鉄成増駅」の東京メトロ有楽町線・副都心線が通っていて、池袋へ10分、渋谷へ35分ほどでアクセスできます。2つの駅間は、バスや自転車が主な移動手段です。

1942年、光が丘周辺には、日本陸軍の飛行場がありました。戦時中は神風特攻隊の出撃基地としても使われていた飛行場ですが、戦後の1947年から70年代までアメリカ空軍の家族宿舎「グラントハイツ」が建設され、多くのアメリカ人たちが生活を営んでいたそうです。その後、その敷地は日本へと返還され、都内有数の大団地として生まれ変わりました。
今回は、そんなグラントハイツの跡地の3分の1を使ってつくられた「光が丘公園」を中心に、街を散策します。
住んで歩いて気がつく街のこと
待ち合わせは、光が丘駅の改札前。小川夫婦の案内のもと、駅直結のショッピングモール「IMA(イマ)」の地下1階、フードコートへ向かいます。

訪れたのは「東京ラーメン 大盛軒(たいせいけん)」。昭和53年、江古田駅前に創業、光が丘に移転した昭和59年から30年以上にわたり地元に愛されているラーメン店です。日曜日のランチタイム、店の前にはフードコートのテーブルが空くのを待つ10人以上の列が。SUUMO編集部の岡さんと合流して、私たちも並びます。
小川夫婦が注文したのは「チャーシューメン」と「四川麺」と「餃子」、岡さんは「火焔湯麺(かえんたんめん)」、私は「四川麺」の少なめ。

真っ赤な火炎湯麺は、ビリビリしびれる辛さ。真っ赤なスープとギンガムチェックのトレイの組み合わせが、かわいい

大きめの、もち豚餃子。一口噛むと肉汁がぶしゅぅっと飛び出る。餃子はテイクアウトも可能
みき「光が丘でラーメンといったらココで決まりです。ショピングモールのラーメンの味のレベルを超えてるんですよ。麺も具もしっかり量があります」
れな「たぶん3年ぶりに食べたけど、やっぱりおいしいですね。子どものことから、ずっと食べていたから、味の記憶に思い出補正が入ってるかも……と心配していたけど、期待を裏切らないおいしさでした(笑)」
ラーメンでお腹を満たしたあとは、ショッピングモールをぐるっと散策。スーパーから鮮魚店、豆腐屋、レストランもファストフードもファッションも。生活に必要な有名チェーン店が、まるっと網羅されている印象です(個人的には、サイゼリヤもサブウェイもあって、羨ましい)。

れな「友だちとおしゃべりしたり買い物したり、懐かしいなー。私、このモールの上層階にあるピアノ教室に通ってたんですけど、発表会も同じフロアにあるホールでやったんです(笑)このモールには、小・中学生時代の思い出がたくさん詰まっています」

ショッピングモールを出ると、目に入るのは高層マンションと団地の棟。光が丘団地は「団地」と聞いてイメージするとおりの、きれいに整備された風景が広がっていることもあり、ドラマやアニメ作品の舞台にもよく使われています。

驚いたのは、駅→ショッピングモール→公園と、道が直結していて、車道を通ることなく公園へ向かうことができること(まるでテーマパークのよう)。公園の入り口まで続く歩道は、道幅が広く、両脇に背の高い街路樹とベンチ、飲食店などが並びます。
れな「私たちの初デートは、そこにあるドトールだったね」
みき「僕たちは違う高校に通っていたんですが部活をきっかけに出会って、たまたま家が成増と光が丘で近かったので、僕が帰り道の方向を口実に一緒に帰ろうと誘ってました。ここらへんは当時も一緒に歩いた場所です」

光が丘公園へと通じる贅沢な歩道。買い物帰りの人、犬の散歩をする人、ベンチに座って休憩する人、デートする人、楽しみ方も人それぞれ
あらゆる場所にアクセスしやすく、子育てはもちろん、高齢になっても暮らしやすいだろうなと、街との長い関わり方がイメージできます。大きな歩道をまっすぐ進んで3分「光が丘公園」の入り口に到着しました。

歴史を感じさせる公園の案内図
図書館や体育館、テニスコート、野球場、ゲートボール場、芝生広場、バーベキュー広場……さまざまな施設が内包されている、光が丘公園。練馬区最大の面積を誇り、23区内にある公園の中では、代々木公園や駒沢オリンピック公園よりも広く、その順位はなんと4位。Googleマップで見るとその広大さに驚かされます。

「小学生のとき、友だち数人とコースを決めて自転車でよく走っていたなー」と子どものころの遊びを思い出すみきさん
園内にある施設のひとつ「バードサンクチュアリ」は、バードウォッチングできるスペース。れなさんのお父さんも、朝に通ってはカワセミを撮影していたんだそう。日曜日ということもあり、双眼鏡や一眼レフカメラを片手にした大人たちでにぎわっていました。

窓から外を覗くと……

23区とは思えない、のどかな風景が広がっていました
また、公園の中央にある芝生の広場には、大きな桜の木やテーブルもあり、春にはお花見客がにぎわいます。れなさんも、成人したあと友だちと公園でビールを飲んでカンパイした思い出があるんだとか。

園内はとにかく広いので、他人との距離感を気にせず、悠々と遊びを楽しめます。園内にいる人たちを観察してみると、スケボーする人、サックスを吹く人、将棋を打つ人、虫捕りする人、紙飛行機を飛ばす人……子どもだけでなく大人たちの趣味もいろいろ垣間見えました。
みき「光が丘まで送ったあとの帰り道、ひとりでこの公園通るの、怖かったな。夜になると山奥みたいに真っ暗になるんです」

公園の一部は深い森……(かなりの暗さ)。虫捕りしている人たちもちらほら。近くに置かれていた虫かごをそっと覗くと、カブトムシが…!
れな「そうそう。あと夏になるとセミの大合唱が始まるんですけど、それがもうロックフェスみたいな大音量で。セミが地上に出てくる前に公園を案内できてよかったです(笑)」

公園の北にある出口から、今度は成増駅方面へと向かいます。
公園の近くは光が丘と同じように小さな団地もちらほら。なだらかな坂を下ると、少しずつ、個人商店や1人暮らし向けの賃貸マンションも増えてきます。みきさんの通っていた小学校の前を通り、歩いて10分ほどで駅前の大きな交差点に到着しました。

川越街道は、車通りも激しい
美容室、花屋、カラオケ、レストラン、パチンコ店。光が丘の広々と整備された街のイメージから、小さな店が立ち並ぶコンパクトな街へと移り変わります。

交差点を超えると、東武東上線「成増駅」の南口が見えてきました。そのすぐ横にある商店街「なりますスキップ村」をみきさんに案内してもらいます。

駅前側の入り口に、モスバーガーを発見。なんとモスバーガーの1号店なんだそう。
先を歩いてみると、とにかくファストフード店が多く、連続する看板のならびに驚かされます。ハンバーガー、牛丼、天丼、ラーメン、そば、定食……有名なチェーン店の名前がほとんどリストアップされています。みきさんお気に入りのお店は、タイ料理のセーンタイ、ラーメンだと武蔵家、焼肉問屋バンバン(特にランチハンバーグ)、とのこと。
商店街の奥にはダイエー、小さい服屋と飲食店が並ぶ細い道。商店街のキャラクター、そのイラストの入った旗、道の面積に対して多すぎる自転車と歩行者……。私の実家(埼玉)も東武線沿線だからか、この風景にどこか懐かしさを感じます。
光が丘に住んでいたれなさんも、塾へ通ったり、友だちと遊ぶのに成増へ通っていたんだそう。最後に、成増のおすすめスポットを尋ねると「鳩のいるところに行こう」とれなさん。向かった先は、北口の高架でした。

ふたりでこの道を一緒に歩いたりしたんだろうなと、踏切待ちの若いカップルを見て、しみじみ昔の二人に思いを馳せました
踏切を越えると、成増駅の北口前。西友や板橋区立成増アクトホールなどがあり、先ほどいた南口に比べると静かな印象です。そしてここが、みきさんとれなさんおすすめのスポットである、成増駅の北口の高架「鳩のいるところ」。

れな「みきさん意外とロマンチストで、高いところから景色を眺めるのが好きなんですよ」みき「ロータリーを眺めたりね。晴れてる夕方にここへ来ると空がきれいに見えるんです」

ところで、なんでココが「鳩のいるところ」なんだろう……?
みき「小鳥のモニュメントが設置されてるので、それで鳩のいるところって勝手に呼んでいます。夜になると、モニュメントに混じって本物の鳩が動いているのでビクッとするんですよ」

たしかに、この時間も鳩がたくさんいました
整備されたモールが中心の「光が丘」とコンパクトな商店街が中心の「成増」。ふたつの真ん中に大きな公園があり、どちらともチェーン店とマンションを軸に街がつくられています。共通点もあれば違った魅力もある2つの街。小川夫婦と2つの街の個性を重ねながら、懐かしさとやさしい愛情を感じる街歩きになりました。


光が丘・成増はこんな人におすすめ
最後に、光が丘・成増に住むなら、こんな人がおすすめ!というイメージを小川夫婦に聞きました。
小川夫婦から一言

みき「成増は池袋や和光へ通う若い学生や社会人にぴったりです。ひとり暮らしにちょうどよい間取りの部屋がみつかりやすいと思います。ラーメン店はたくさんあるけど、ひとりでも入りやすい雰囲気のカフェやファッション系のお店は少ないので、女性よりも男性のほうが住みやすいかもしれません」
れな「光が丘は新宿方面へ通勤する人におすすめです。古い団地も多いので、3LDKもお手ごろな家賃で借りられることもあります。お店も区の施設も多く、ファミリーに特におすすめです」
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著者:白方はるか(鳩)

1988年生まれ、清澄白河在住。近所の人には「鳩」と呼ばれている。IT企業でWebディレクターをしたのち、現在はフリーライター・イラストレーターとして活動中。ビールが大好き
Twitter:@tyore









































































































































