緑に囲まれた将棋の街、千駄ヶ谷 - 住んだことのない街に、一週間住んでみる -

著: pha

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初めて千駄ヶ谷で降りたとき、良いなと思ったのは駅前の空の広さだった。

東京に住んでもう10年になる。東京の生活は楽しいんだけど、地方出身のせいか、どこに行っても高い建物が多くて空が狭くて、どの駅で降りても店も人も多くて、少しだけ窮屈だと思ってしまうところがある。

そんななかでJR千駄ケ谷駅の駅前は、新宿に近いにもかかわらず高い建物や店が少ないし人もあまりいなくて、とてもスカッと広々としているので好きだ。まるで地方の県庁所在地の駅で、何もないほうの出口から出てしまったような感じだ。

そんな風にずっと千駄ヶ谷には良い印象を抱いていて、ときどきふらっと訪れたりしていたので、「SUUMOタウンで一週間どこかの街に住んで記事を書いてみませんか」というオファーが来たとき、「千駄ヶ谷はどうでしょうか」と答えたのだった。

この街で一週間過ごしてみて、見たものや感じたことを書いていきたいと思う。

10月29日(月):異空間のようなDJバー

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JR千駄ケ谷駅は改札もホームも一つしかなくてシンプルなところが好きだ。改札を出ると、東京体育館くらいしか見えるものはなくて、その上にはずっと空が広がっている。

なぜ千駄ヶ谷の空は広いのか。それは地図を見るとすぐに分かる。

東京体育館、国立競技場、新宿御苑、明治神宮外苑、明治神宮などの施設や公園や神社に周りを囲まれているからだ。こんなに都心でこんなに緑が多い場所は珍しいと思う。

そして千駄ヶ谷の街自体は小さな路地が入り組む住宅街なので、高層ビルやマンションが少ないというのも良い。

歩いていたらこの案内標識をたまたま見かけて、強い、と思った。

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原宿、渋谷、新宿。どの地名も強い。そして地味ながらもその中心にあるのがここ千駄ヶ谷なのだ。


ちょうど今日の夜、近くのbonoboというDJバーで好きなミュージシャンのライブがあるので行ってみることにした。bonoboは千駄ヶ谷と原宿のちょうど中間にあって、どちらからも歩いて10分ちょっとで行ける。

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この季節の東京は、17時半くらいにはもう外が真っ暗になってしまう。千駄ヶ谷はわりと地味な住宅街なのだけど、原宿に近づくにしたがって少しずつお洒落な服屋やカフェやレストランが増えていく。といってもそんなにたくさん店が集まっているというわけではなく、住宅街のなかにぽつりぽつりと雰囲気の良い明かりが灯っているという感じなのだけど。途中で神社の横を通ると笙(しょう)の音が聞こえてきて、夕暮れ時の街並みとあいまって、なんだか幻想的な雰囲気だった。

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bonoboは古い一軒家を改造したような小さな店なのだけど、内装がすごく不思議で異空間のような感じがあった。ライブスペース以外に座敷やテラスがあって休めるのが良い。この日は工藤冬里とPhewのライブがあって、どちらもとても良かった。

10月30日(火):「将棋の街」に触れる

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昼前に目を覚ましてぶらっと外に出る。どこかで昼ごはんを食べたい、地元の人が普通に使うようなところで。適当に目についた普通ぽい中華料理屋に入って、A定食(豚肉と白菜の炒め物)を頼んだ。

隣のテーブルには30代くらいのお父さんと5歳くらいの男の子が座っていて、チャーハンとラーメンを頼んでいた。この場所でこの時間でこの組み合わせ。この人たちはひょっとして。

と思ったら、男の子が自分のリュックから『将棋講座(NHK出版)』を出して読み始めた。やっぱり。将棋会館に来ている子か。千駄ヶ谷には、将棋の聖地である「東京・将棋会館」があるのだ。そもそも僕が初めて千駄ヶ谷を訪れたきっかけも、将棋ファンだったからだ。

男の子は五目チャーハンを二口くらい食べたあと、そんなにご飯には興味なさそうに、また将棋のテキストを読み始めた。

賢そうな子だ、未来の名人かもな、とか一瞬思ったけれど、年を取ると若者に対してすぐ適当なことを考えてしまってよくないな、と思い直す。地元で天才だとか神童だとか讃えられた子どもたちが、もっとすごい才能の人間に打ちのめされて敗退し、残るのはほんの一握りだけ。そんな慈悲のない闘いの場がここ千駄ヶ谷なのだ。

僕が千駄ヶ谷で一番好きな場所が、将棋会館の目の前にある鳩森八幡神社だ。将棋マンガなどでよく出て来る神社なので見たことがある人もいるかもしれない。

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そんなに大きい敷地ではないのだけどちょっと複雑な構造になっていて、小さな山があって登れたり、いろんな種類の木が生えていたりして、なんか楽しい感じがある。

山というのはこれ。富士塚というやつだ。

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日本人は昔から富士山が大好きなので、あちこちにミニチュアの富士山をつくって登ったりしていた。それが富士塚だ。この富士塚は都内に現存しているもののなかで最古らしく、東京都の有形民俗文化財に指定されている。

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ゴツゴツした岩山を登って頂上に立つと見晴らしが良い。

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鳩森八幡神社という名前にちなんで、結ぶと鳩型になるおみくじが売られていたので引いてみた。

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中吉かー。

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こんな風に結ぶことができてとてもかわいい。


そのあと将棋会館にも立ち寄った。

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将棋会館では棋士たちが毎日のように死闘を繰り広げているのだけど、1階のショップと2階の道場は一般の人でも入ることができる。ショップでは将棋の本や将棋グッズが売られている。そういえば前から扇子が欲しかったんだよな、と思ってついこの扇子を買ってしまった。

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助からないと思っても助かっている。昭和の大名人、大山康晴の言葉だ。つらいときはこれを見て頑張ろう……。


一度家に帰ってから、夜に再び将棋会館を訪れた。今日は将棋会館でタイトル戦の大盤解説会があるのだ。

第66期王座戦。中村太地王座に挑戦者斎藤慎太郎七段が挑み、2勝2敗のフルセットで迎えた最終の第5局。

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若手の棋士二人が大きな将棋盤を挟んで「こうかな」「こうじゃないですか」「この手がお洒落じゃないですか」などと楽しそうに検討をし合う。頭のいい人同士がテンポ良く喋ってるのを聞くのは楽しい。

戦型は角換わり。中村王座が苦しくなりながらも粘り強く指すけれど、斎藤七段が間違えず丁寧に指しすすめ、中村王座がギリギリのところで放った勝負手にも斎藤七段は冷静に対応し、中村王座が109手で投了。斎藤七段が25歳の若さで初タイトルを奪取した。


夕食は近所の蕎麦屋で肉豆腐定食を食べた。店の前には猫がいた。

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10月31日(水):数年後に変わるかもしれない風景

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JR千駄ケ谷駅前には一見店が何もないように見えるけれど、街路樹で隠れていて分かりにくくなっているだけで、実はすぐ脇にエクセルシオール カフェがある。ここのエクセルシオールは店内が広くて一人用ソファが多く、メニューも他の店より豊富で良い。

テラス席で朝食を取りながらぼーっと外を歩く人を眺める。千駄ヶ谷にはどんな人が住んでいるのだろうか。

見た感じ、地元に住んでいる年配の人と、スーツを着た男性が半々くらいな感じだろうか。そんなに若者が多いというイメージではない。大学があるからか学生ぽい人もときどきいるけれどそんなに多くはない。

原宿とかと違ってよそから遊びに来る人がいる感じではないな。自分としてはそれくらいのほうが落ち着くのでよい。

ちなみに駅前には店が少ないけれど、駅から2分ほど歩くとドトールやサブウェイや日高屋が集まっている一帯があるのでそんなに不便ではない。モスクラシックという、モスバーガーなのにワインやビールを置いている大人向けの店もある。

千駄ヶ谷に隣接する北参道エリアはちょっとお洒落なエリアらしく、そちらに近づくとカフェやビストロなどが多くなってくる。店内で服や鞄を売りつつコーヒースタンドがあってコーヒーも飲めます、みたいな洒落た店が多い。最近そういうの流行ってるのかな。僕は服も鞄もあまり買わないしコーヒーも飲まないのであまり入る用事がないのだけど。


歩いていたらこんなチラシを見つけた。

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そういえば村上春樹は昔千駄ヶ谷に住んでいて、千駄ヶ谷でジャズバーをやっていたらしい。それで村上春樹ファンの聖地になっているのか。村上春樹が野球の観戦中に小説を書こうと思い立ったという神宮球場も近くにあるし。


今日は国立競技場の周辺を歩いてみることにする。

今のJR千駄ケ谷駅の周りは人も少なく静かな感じだけれど、2020年にはたくさん人が訪れてにぎやかになるのだろう。そしてそれ以降はどうなるのだろうか。また同じような感じに戻るのだろうか。それとも全く別の雰囲気になってしまうのだろうか。

駅前の一番いい場所にあったビルもずっと工事中だ。2年後に向けて、何か建物が建つのだろうか。

JR千駄ケ谷駅の駅前から東京体育館の横を通って新国立競技場のほうへと進んで行くことにする。

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国立競技場の周りは緑が多く、人は少ない。ランニングをする人がときどきいるくらいだ。そんななかにひっそりと大江戸線の国立競技場駅がある。国立競技場が工事中ということで今はあまり利用者が多くなさそうだけど、2年後にはこの駅にも人があふれるのだろう。

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建設中の新国立競技場はとても大きくて丸く、どの方向から見ても同じに見える。

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円形の競技場を回り込むように歩いていって、隣接する明治神宮外苑へと入っていく。

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外苑は初めて来たのだけど、巨大な公園の中に野球場やラグビー場やアイススケート場などがある。こんな都心にこんな空間に余裕があるスペースがあるのはすごいな。

外苑の中心にあるのがこの聖徳記念絵画館だ。

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幕末から明治時代にかけての、明治天皇の一生と歴史的な事件(大政奉還とか)を描いた絵画が展示されているらしい。国家だなあ、国家の存立の正当性を万民に知らしめるための空間だ、とか思う。やはり東京というのは国家の中心なのだな、という実感。まあそんな難しいことを考えなくても、都心に緑の多い空間があるのは良いな、と思う。

絵画館から青山方面に向かう道には立派ないちょう並木があって、いちょうが黄色く色づく11月半ばにはいちょう祭りが開催されていろんな店が出たりするらしい。まだ少し季節が早いので、いちょうは全て緑だけれど。緑のいちょう並木も綺麗で良い。

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いちょう並木の入り口にあるカフェで休もうかと思ったのだけど、行列ができていたので断念してそのまま青山通りへと出た。そうしたら、それまで緑が豊富な広々とした空間にいたのに、突然大きなビルが立ち並んでたくさんの車が行き交う都会になったので、ちょっとびっくりした。

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そのままぶらぶらと道沿いに歩いていくと、だんだん服屋や雑貨屋やカフェなどが増えてきた。もうこのへんは表参道なのか。歩いている人たちが若いお洒落な人ばかりで、みんな不思議な構造の服を着ている。東京は本当にタイプの違ういろんな街があって、ちょっと歩くだけで別の世界に移動できる感じがすごいんだよな。

表参道のお洒落な空気にやられてついガレットなんかを食べてしまった。

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そのあとワタリウム美術館へ入った。以前来たときは中原昌也の個展をやっていたのだけど、この日は梅沢和木✕TAKU OBATAの展示をやっていた。

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無数の情報の断片が散らばるインターネットの中にいるような、誰かの脳内にいるような空間で、とても面白かった。

11月1日(木):地元の図書館で歴史を調べる

千駄ヶ谷に来てから3日間ずっと活動し続けで少し疲れたので、今日はのんびり過ごすことにする。

昼過ぎまでだらだらとしてから、原宿のちょっと手前にある渋谷区立中央図書館まで歩いて行く。千駄ヶ谷は行政区域としては渋谷区に属する。

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土地の歴史を調べるには地元の図書館に行くのが一番だ。

なぜ千駄ヶ谷の周辺には大きな公園が多いのだろうか、ということが一番気になっていた。こんな都心なのに。由来を調べてみると、新宿御苑や明治神宮はもともと御料地(皇室の土地)で、外苑は練兵場だったらしい。

明治神宮の成立の経緯について、今回調べて初めて知ったのだけど面白かった。明治天皇が亡くなったとき、東京にお墓をつくるのを望む声が多かったのだけど、明治天皇の生前の意思で京都にお墓がつくられることになった(伏見桃山陵)。しかし東京でも明治天皇のための何かをつくりたい、そうだ、明治天皇を祀る神宮をつくろう、と実業家の渋沢栄一などが動いて、明治神宮がつくられたらしい。国家主導でつくられたのだと思っていたけど違ったのか。明治神宮ができたことによって、東京は単なる徳川幕府がつくった都市から、天皇と精神的結びつきをもつ正当な首都へとなることができた、という雰囲気もあったようだ。

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参考図書:山口輝臣『明治神宮の出現』(吉川弘文館)

明治神宮を囲む鬱蒼(うっそう)とした森、そしてさまざまな文化的施設を含む外苑。これらが百年前に計画されて、現在も都市のなかでその効果を発揮しているということに驚く。明治神宮の森にはとても立派な木がたくさん生い茂っているけれど、それも人工的につくられたもので、原っぱだった土地に当時の最先端の技術で植林をして、現在まで残る常緑の森をつくり上げたのだ。すごいなあ。百年の計だ。

帰り道、明治神宮の中で座って休もうか、と思って北参道のほうから入ってみたのだけど、全く座る場所がなく(神社だからそんなものか)、荘厳な雰囲気の森の中でひたすら立ち尽くしてしまった。神宮本体まで行くには疲れていたので、森の途中で引き返して帰った。

11月2日(金):10年ぶりの原宿と夜の散歩

今日もいい天気だ。ここに来てからずっと秋晴れの気持ちのいい気候が続いている。

千駄ヶ谷をぶらぶらと散歩していてなんとなく足が向くのはやはり鳩森八幡神社だ。神社のすぐそばのミルクティー専門店でミルクティーを買って、境内で座ってぼんやりと飲む。いい季節だなあ。

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今日は今まで行ったことのない方向に散歩をしようと思って、原宿まで行ってみることにする。

原宿か……。10年前に東京に来たばかりのときに一度見物に行ってみたけれど、竹下通りの人の多さに辟易(へきえき)してしまい、それきり行ったことがない。

明治通りを歩いて南下していく。原宿に近づくにつれて服屋がどんどん多くなっていく。僕は服を買うのがそんなに好きじゃないので、こんなに服屋ばっかりあってどうするんだろう、と思うんだけど、服好きの人にとっては素晴らしい場所なのだろう。

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竹下通りまでたどり着いたのでちょっとだけ歩いてみる。人間が大量にいて、みんなクレープやジェラートを食べている。やっぱり自分には特に用がない場所だということを確認。脇道にそれて坂を登る。竹下通りは人がうじゃうじゃいるけれど、道を一本裏側に入ると途端に人がいなくなる。ここには太田記念美術館という浮世絵専門の美術館がある。前から一度来てみたかったのだけど、原宿にあるということで敬遠して来たことがなかったのだ。

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毎月展示を入れ替えているようで、このときは花魁(おいらん)の絵ばかりが展示されていた。風景画とかも見たいのでまた別のときにも来てみたい。原宿に来る気力があれば……。

帰りは大きな通りを避けて裏通りのほうを通って帰ったのだけど、狭い路地にも服屋がたくさんあった。このへんが裏原宿というやつなのだろうか。よく分からないけれど。

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帰宅後、歩き疲れたので家でしばらく休んでいたら、テレビで『紅の豚』が始まったので見た。初めてちゃんと見たけどこんな話だったのか。

映画が終わったあと、お腹が空いたので何か食べに行きたくなった。23時を過ぎると千駄ヶ谷はもうあまり開いてる店がなさそうだけど、10分くらい歩いて代々木まで行けば何かあるはずだ。

明治通りを渡って代々木駅に向かう途中に、「ほぼ新宿のれん街」という古民家を改装した飲み屋が集まっている一角があって、雰囲気が良さそうだった。

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だけど今はそんなにお酒を飲みたい気分じゃないのでまた改めて来たい。

代々木駅周辺まで歩いて行くとまだまだにぎわっていて、深夜までやってる店がたくさんあったので適当にご飯を食べた。夜中にふらっと行ける店が徒歩圏内にあるのは良いなあ。

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11月3日(土):新宿御苑でのんびり過ごす

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今日は新宿御苑に行ってみることにする。新宿御苑といえば新宿から入るイメージが強いけれど、実は千駄ヶ谷にも千駄ヶ谷門という入り口があるのだ。

公園は好きなのだけど新宿御苑に行くのは初めてだ。いや、実は一度来ようとして来れなかったことがある。以前、春に花見をしようとしてビールを買って行ったのだけど、アルコールの持ち込みが禁止で入り口で持ち物検査をしていたので、入らずに引き返したことがあったのだった。今度こそは入るぞ、と意気込む。

今日も持ち物検査をやっているのかな、と思いながら千駄ヶ谷門に来ると、やっていないようだ。しかし、アルコールなどの持ち込みは一年を通してだめらしい。

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というか、普段は入るのに200円かかるのだけど、今日は無料で入れるようだ。貼り紙を見ると「明治150年記念事業の一環として、明治天皇の誕生日である文化の日 11/3(土) は無料開園いたします。」とのこと。

無料開園の日ということもあってか人が多かった。年配の夫婦や若い家族連れや、カップルや高校生や、旅行者らしき外国人など、いろんな種類の人間が全ている感じがあった。人間は公園が好きだな。

園内ではちょうど菊の展示をやっていた。立派な日本庭園の奥に新宿のビル群が見える。茶店ぽい売店で甘酒と団子を買って食べて、そのあと芝生で寝転がった。今日も気持ちのいい秋晴れで空が広い。

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隣では中国人らしき家族連れがくつろいでいて、5歳くらいの男の子と3歳くらいの女の子がひたすら楽しそうに走り回ったり転がり回ったりしていた。子どもはなんでも楽しそうでいいなあ。

千駄ヶ谷の周りには新宿御苑、外苑、明治神宮と緑の多い場所が三つあるけれど、御苑が一番普通の公園ぽいな。芝生で寝転んだり、売店で食べ物や飲み物を買ったりしてのんびりすることができる。外苑も公園ぽいのだけど、そんなに座る場所は多くなくていろいろな大きな施設が入った空間という感じがある。明治神宮は鬱蒼(うっそう)とした森が茂っていて気持ちいいのだけどあまりくつろぐ感じではない。散歩をするときに、気分次第で3つの場所を使い分けられるのは良いな。


帰りは新宿門のほうから出てみることにした。新宿門に近づくにつれて人が増えていって、門から出るとそこはもう新宿だ。公園から大都会へと一気にワープする。

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休日の新宿は人の量がすごい。せっかくだから新宿でどこか寄り道していこうか、と思ったのだけど、そんなに行きたい場所も思いつかないし、新宿はどこに行っても人が多そうだから早めに離れるのがいいなと思い、そのまま代々木駅のほうを回って千駄ヶ谷に戻った。

11月4日(日):カフェのテラス席で、道行く人を眺める

今日で千駄ヶ谷の滞在も最終日なので、午前中に起きてカフェに来た。

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千駄ヶ谷で一番好きな店はここ、ブレントウッドテラスかもしれない。店内がすごく広くて、大きなソファがたくさんあって、大体いつでもソファに座れるからだ。

だけど今日は街を観察したかったので、ソファに座らずテラス席で、温かいチャイを飲みながら道行く人をぼんやり眺めたりした。

今日は休日なのでいつもより人が少ないな。平日と違ってスーツを着た人があまりいない。年配の夫婦や家族連れなどが多く、みんな特別お洒落なわけでもなく、このあたりに住んでる人しかいない感じで、のんびりしていて良い。


一週間千駄ヶ谷に滞在していたわけだけど、あっという間だったなと思う。離れるのが名残惜しい。せっかく慣れてきたところだし、まだいっぱい行ってみたい店とかあったのにな。あと一カ月くらい住みたいところだ。

千駄ヶ谷自体は落ち着いた街で、その静かさが好きだったのだけど、ちょっと歩けば代々木や新宿や原宿や表参道など、にぎやかで店の多い場所にすぐ出ることもできて、すごく便利だった。

あとやはり何と言っても緑が多いのが良い。新宿御苑、外苑、明治神宮の三つに歩いてすぐに行けるのは散歩のしがいがある。

そして美術館、将棋会館、国立能楽堂などの文化施設や、体育館、アイススケート場、野球場などのスポーツ施設も徒歩圏にある。僕は散歩が趣味のような人間なので、徒歩でいろんな空間に移動できる感じがとても良かった。

住宅街のなかにぽつりぽつりと、良い雰囲気のカフェや居酒屋やビストロなどがある感じもよかった。もっと飲み屋街ぽいところに行きたいときは代々木や新宿もすぐそこだし。

千駄ヶ谷は、

便利なところに住みたいけど人が多いのは嫌だ
建物がいっぱい詰まっていると閉塞感がある
徒歩圏内にいろんな場所があってほしい

という自分にとっては理想的な街だったかもしれない。都心で便利な場所だけあって家賃相場は高めなのだけど、そのうち機会があったら住んでみたいなと思う。

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著者:pha (id:pha)

pha

できるだけ働かずに毎日寝て暮らしたい39歳。大阪府生まれ。京都大学総合人間学部卒業。著書に『持たない幸福論』(幻冬舎文庫)、『しないことリスト』(だいわ文庫)などがある。

ブログ:http://pha.hateblo.jp Twitter:http://twitter.com/pha

編集:はてな編集部

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