オフィス街の意外な住みやすさを発見。【ぐるっと街観察 麴町】

著: 白方はるか(鳩) 

 

 

フリーライター・イラストレーターのさんが、街の魅力を実際に住んでいる人、住んでいた人と散策しながら発見する「ぐるっと街観察」。第1回の今回向かったのは「麴町(こうじまち)」です。

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今回の案内人:岡さん

岡さん

1987年生まれ。SUUMOタウンの編集担当。現在は麴町の築約40年のマンションで2人暮らし。

 

 

【これまでの引越し遍歴】
~2010年 逗子
2010年~仙台(2年)
2012年~マレーシア(1年)
2013年〜 神楽坂(約3年)
2017年〜 麴町(約2年)

 

岡さんが麴町を選んだ理由
麴町に住むことになったのは、2人暮らしを始めたのがきっかけとのこと。岡さんは元々住んでいた神楽坂の近くを、奥さんはよく通っていた渋谷の近くを希望。それぞれの街へのアクセスの良さが決めてになって、麴町に住むことに。

 

麴町の基本情報
東京都千代田区麴町。名前の由来は、町内に「小路(こうじ)」が多かった説や国府街道の出入口である「国府路(こうじ)」を意味する説など諸説あり。江戸時代の屋敷跡から味噌や麴を製造していた室(むろ)も多くみつかっているので、文字通り麴の産地でもあったようです。

今回は麴町と、隣接する住所の平河町や番町(一番町〜六番町)、さらに市ヶ谷や四ツ谷までも歩きました。

 

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住んで歩いて気がつく街のこと

1.人と店のこと

岡さんの自宅は東京メトロ有楽町線の「麴町駅」と半蔵門線の「半蔵門駅」の間ということで、今回は半蔵門駅をスタート地点に選びました。この2つの駅間は最も近い出口であれば、歩いてたったの5分。実はこの駅以外にも、麴町は複数駅にアクセスしやすい場所にあるんです。

「半蔵門駅」2番出口からすぐの麴町1丁目交差点から徒歩15~20分圏内に位置する駅は6駅(麴町、半蔵門、永田町、市ヶ谷、四ツ谷、赤坂見附)。利用できる路線は、なんと7路線。この利便性の高さから、麴町周辺には出版社やIT企業、メーカーなどのオフィスが数多くあります。


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オフィス街のため、平日は街を歩く人のほとんどがビジネスマン。ランチ営業している居酒屋にはじまり、定食屋、そば屋、ラーメン屋、お弁当屋さん、コーヒーショップ(スタバもドトールもエクセルシオールも)と、働く人にうれしいお店がたくさんあります。

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案内していただいたこの日は、平日の午前中。岡さんによると、ビジネスマンのほか、例えば観光客や若者はあまり見かけない街で、休日はかなり静かなんだそう。たしかに歩いていても洋服店・ 雑貨店・美容室などファッション系のお店は、なかなか見つかりません。自転車の通りも少なく感じます。ちなみに四ツ谷まで歩くと、上智大学があるため学生も増えますが、麴町には学生はそれほど住んでいないようです。

2.見どころ

麴町は丘の上に位置しているため、坂が多くあります。麴町駅、半蔵門駅のすぐ近くだけでも9つの坂があり、路地も多く、道は入りくんでいます。その多くに街路樹が植えられているせいか、公園は見当たらないけれども、自然が多い印象です。(歩いたときは銀杏がきれいでした)

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ビルと電線が青空を覆うオフィス街から、すこし坂をくだればいきなり視界が開け、かと思えば、今度は巨大な高層ビルが現れる。風景にアップダウンがあるので、散歩していても全く飽きません。

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駅と同じく歩いて行ける範囲には、皇居、国立劇場、国会議事堂、国立図書館、ホテルニューオータニ、上智大学、靖国神社など。新宿御苑までは約40分、頑張って歩けば、東京タワーや表参道も1時間以内で行けてしまうので、ウォーキング好きには最高な街なんだそうです。

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岡さんも週末は皇居沿い経由で日本橋、赤坂経由で六本木、四ツ谷経由で新宿、といったようにその日の気分で方向を決め、歩いてでかけることが多いとのこと。「家のある街は落ち着いた場所で、でもあちこち歩いてまわりたい」そんなアクティブな人にとって、麴町の立地と環境は魅力的かもしれません。

ちなみに今回、麴町周辺を歩いてみて気になったのは「○○○会館」が多いこと。都道府県会館、観光会館、地学会館.……。もし麴町近辺を歩くことがあれば、ビルの看板に少し注目してみてください。

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3.家と建物

麴町はオフィス街ですが、丸の内や大手町や品川のような近代的な印象とはちょっと違った街並みです。ガラス張りの高層ビルもありますが、昭和後期・平成前期に建てられたレンガやタイル張りの低いビルが目立ちます。

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おもしろいのは、だからといってレトロな印象が先行しないところ。昭和後期以前の家屋や小さな商店街といった下町のような風景がこの街にほとんどないのです。未来の人が「平成の都会の路地」を想像して描いたら、麴町の風景になりそうな、そんな現代の懐かしさが凝縮された街並みなのです。

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さて、ビルを見上げて歩いてみると、一見オフィスや店舗でも、2階以上には洗濯物が干してあったり植木が頭をのぞかせていたり、意外と住居が多いことに気づきます。

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正直「家賃が安い」というエリアではない(むしろ基本高い)そうですが、岡さんが住んでいるマンションは駅から近いところにあるにもかかわらず、築年数が約40年のため1LDKで家賃は10万円程度とのこと。築年数さえ許容できて、かつ2人暮らしであれば費用を抑えて住むこともできそうです。

ちなみに、麴町駅のまわりには郵便局や銀行のほかスーパーが2店舗、ドラッグストアは3店舗以上、成城石井や書店もあるので、生活には不自由ないそうです。(あえていうなら価格帯低めのスーパーマーケットがあったらうれしいな、とのことでした)

市ヶ谷方面、かつて日テレのメインスタジオがあった「番町」エリアも歩きました。このあたりは、都内有数の住宅街でもあるんだそう。

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麴町通りの車と人通りの多さから一転して、閑静なマンションが立ち並びます。

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小中学校もあるため、送り迎えする若いお母さんや子どもの姿もたくさんありました。おしゃれなパン屋さんやイタリアンも多く、雰囲気としては青山と近しいと感じました。

麴町はこんな人におすすめ

ぐるっとまわって、2時間がたちました。最後に、岡さんにこんな人に麴町をおすすめしたい、というイメージを聞いてみました。

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「麴町は住む街、というイメージがあまりない街かもしれませんが、東京の真ん中なのでどこへ行くのもアクセスがよいのがなによりいいところ。なので、アクティブにいろんな街に行くのが好きな人に合ってるのかなと思っています。基本的には家賃の高い物件が多いですが、築年数などへのこだわりがなければ、ある程度安い物件も見つけられないことはないかと思います。

大学の多い市ヶ谷や四ツ谷、国会議事堂のある永田町、飲食店やホテルの多い赤坂。そういった色の強い街に挟まれた場所のせいか、麴町自体の街としての色がそれほど濃いわけではないのですが、隣接するさまざまな街へ足を運ぶたびに、違った楽しみがあります。歩くこと、自転車などが好きな人だったらきっと楽しいはず。もうすぐ住んで2年になりますが、まったく飽きないです。

街におしゃれさやつながりを求める人、特に上京したての人とかには向かない街かもしれません。温かみのある商店街もありませんし、高層ビルに囲まれていたり、閑静な印象が、冷たい東京のイメージを与えてしまいそうです。(笑)家賃少し高めでもいいから、とにかく交通利便性高いところに住みたい! という方は検討してみてもいい街ではないかな、と思います。

麴町歩き案内人のおすすめ店

最後に、今回歩いたルートのなかで岡さんおすすめのスポット、お店を紹介します。住まいを検討されている方も、そうでない方も、ぜひ麴町に訪れる際の参考にしてみてください!


■皇居沿い

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近くに皇居があり、気軽に行けるので、休日のんびり歩いたり軽く走ったりするのが楽しいとのこと。


■プティフ・ア・ラ・カンパーニュ

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岡さんが好きな欧風カレーが食べられるお店。このお店のほかにも、アジャンタ、エリックサウス 東京ガーデンテラス店など美味しいカレーが食べられるお店が近くにいくつかあるそう。


■ラ・プレシューズ 紀尾井町店

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特別な日はもちろん、そうでない日もつい帰り道に買ってしまいたくなるくらいおいしいケーキが食べられるお店とのこと。麹町を歩いた際にはぜひ寄ってみてください!


 
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著者:白方はるか(鳩)

白方はるか(鳩)

1988年生まれ、清澄白河在住。近所の人には「鳩」と呼ばれている。IT企業でWebディレクターをしたのち、現在はフリーライター・イラストレーターとして活動中。ビールが大好き

Twitter:@tyore