住宅購入資金の贈与のポイント。非課税枠の金額と要件、相続時精算課税など/住まいのお金・制度のマニュアル#21

最終更新日 2024年04月19日
住宅購入資金の贈与のポイント。非課税枠の金額と要件、相続時精算課税など/住まいのお金・制度のマニュアル#21
住宅購入資金の贈与のポイント。非課税枠の金額と要件、相続時精算課税など/住まいのお金・制度のマニュアル#21

親や祖父母からの住宅資金の贈与は、一定額まで非課税に

耐震、省エネ住宅等は非課税額が500万円アップ

親兄弟も含め、人から財産をもらうと贈与税がかかる。ただし、1年間にもらった財産の合計額が110万円(基礎控除額)以内であれば贈与税はかからない(暦年課税)。

また、親や祖父母から、住宅取得のための資金をもらって一定期間中に購入・新築・増改築等の契約をすると、贈与税が非課税になる「住宅取得等資金贈与の非課税特例」も併用できる。例えば、一般住宅の購入契約(工事請負契約)を結んだ場合、「610万円(特例の非課税枠500万円+基礎控除110万円)」の贈与まで贈与税が非課税となる。

さらに、「耐震・省エネ・バリアフリー」性能のいずれかが一定基準を満たす住宅は優遇が受けられ、下表のように一般住宅より非課税枠が500万円アップする。

ここで注意したいのは、贈与税の対象になるのは資金贈与をする人(贈与者)ではなく、資金をもらう人(受贈者)であること。

つまり、上の例で、ある人(Aさん)が父と祖父から1000万円ずつ(合計2000万円)贈与を受けて住宅を購入する場合、非課税になるのは2000万円のうち610万円まで。Aさんは、非課税枠を除いた贈与額(1390万円)に対する贈与税を納めることになる。

■住宅取得等資金贈与の非課税特例(非課税限度額)
契約時期 住宅の種別(※1) 非課税枠(※2)
2022年1月1日~2026年12月31日 一般住宅 500万円
一定基準を満たす住宅 1000万円
※1 「一定基準を満たす住宅」は住宅性能表示制度、の「断熱性能等級5以上かつ、一次エネルギー消費量等級6以上の住宅(2024年7月以降に建築された新築住宅等)・断熱性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上(中古住宅・買取再販住宅・2023年中に建築確認を受けるか、または2024年6月末までに建築された新築住宅)」、「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物」、「高齢者等配慮対策等級3以上」のいずれかを満たす住宅。
※2 東日本大震災により滅失した住宅再建等の非課税枠は、1000万円(一般住宅)と1500万円(一定基準を満たす住宅)

「住宅取得等資金贈与の非課税特例」を受けるための条件と手続き

「住宅取得等資金贈与の非課税特例」は、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自分が住むための家屋の新築、取得又は増改築等の費用を取得した場合に適用される。

特例の適用には、取得する住宅の床面積など下記のような要件がある。2022年4月1日以降に契約を結ぶ場合、贈与を受ける子の年齢の条件が「20歳以上」から「18歳以上」に改正された。

■主な要件
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された金額の全額を充てて、住宅の購入、新築、増改築等をすること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、当住宅に居住すること。または、その後遅滞なく入居することが確実と見込まれること(翌年の年末までに入居しない場合、当制度は適用されず修正申告が必要となる)
  • 住宅の床面積(登記簿面積)が40m2以上240m2以下
  • 贈与を受けた年の子の合計所得金額が2000万円以下(住宅の床面積が40m2以上50m2未満の場合は1000万円以下)であること
  • 子の年齢が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
  • 中古住宅の場合は1982年以降に建築された住宅用家屋であること(それ以前に建築されたものは、新耐震基準を満たすことが建築士等によって証明されていること)
  • 増改築などの場合、工事費用の額が100万円以上であること

■特例を受けるための手続き
「住宅取得等資金贈与の非課税特例」を受けるためには、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に、税務署に贈与税の申告をする必要がある。

贈与税申告のしかた(国税庁サイト)

2500万円まで非課税の「相続時精算課税」も選べる

贈与税には「相続時精算課税」という制度もあり、贈与税の申告時に、暦年課税と相続時精算課税のいずれかを選ぶことができる。

2024年以降の贈与については、相続時精算課税制度でも、暦年課税と同じ「110万円の基礎控除」が適用される。さらに「父母・祖父母からの贈与は累計2500万円まで贈与税がかからない」という特別控除と、先述した「住宅取得資金贈与の非課税特例」も500万円利用できる(一般的な住宅を取得する場合/上表参照)。つまり住宅の取得を機に父母・祖父母から贈与を受ける場合、最高3110万円の贈与まで、贈与税がゼロになるのだ。

ただし、2500万円の特別控除分は相続時に相続財産に加算され、相続税で精算される。また、一度相続時精算課税を選ぶと、その後は暦年課税に戻すことができないので注意しよう。

相続時精算課税の対象は「60歳以上の父母・祖父母が18歳以上の子や孫に贈与を行う場合」が対象だが、相続時精算課税を選択して「住宅取得資金贈与の非課税特例」を利用する場合は、父母等の年齢が60歳未満でも相続時精算課税を選択できる。また、「住宅の床面積(登記簿面積)が40m2以上(上限がない)」「子の収入制限がない」など、暦年課税の「住宅取得資金贈与の非課税特例」とは異なる条件もある。

住まいのお金・制度のマニュアル
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