定期借地権とは、一定期間の間だけ土地を借りる権利のこと。住宅の場合、借地期間は50年以上と定められているので、借りた土地に一戸建てを建ててもマンションを建てても、建物の寿命が気になるころまでは安心して住めるわけだ。このように、定期借地権で借りた土地に住宅を建てて分譲する契約形態は、「定期借地権付き住宅」「定期借地権マンション」などと呼ばれている。
定期借地権は借地借家法の抜本的な見直しにより1992年に創設された制度。それ以前からある「旧借地権」と大きく異なるのは、契約の期限が終了したら必ず「土地を更地にして地主に返さなくてはならない」点だ。旧借地権では契約の更新が可能だが、定期借地権では更新はできない。このため現行法では、借地契約の更新が可能な「普通借地権」という制度も設けられている。
定期借地権は、地主にとっては借した土地が確実に戻ってくるというメリットがある。このため、交通アクセスのよい好立地や有名な施設の隣といった希少立地など、手放したくない所有地を定期借地権マンションにして有効利用するケースが多い。つまり、購入者にとっては好立地や希少立地の物件が割安で購入できるという魅力がある。
定期借地権を買うときには、土地分のコストとして「敷金(保証金)」や「権利金(土地の定期借地権の代金)、「前払い地代」などの一時金を支払う。
住宅購入後は、地主に対して「地代」を毎月支払うのが一般的だ。地代は2~3年ごとに見直され、固定資産税の増減や消費者物価の変動などに応じて改定されることが多い。一方、土地分の固定資産税・都市計画税はかからない(建物分はかかる)。
このほか、マンションの場合は「解体準備金(土地を更地にして返すための解体費用の積立金)」が毎月徴収される。定期借地権マンションの多くは、地代の見直し時期や見直し金額の計算方法などについてあらかじめルールをつくっているので、モデルルームで確認しておこう。
定期借地権付き住宅は、借地期間中であれば相続が可能で、売却や賃貸、リフォームもできる。ただし、築年が経って借地の残存期間が短くなるにつれ売るのが難しくなることもあり得る。一方、賃貸については所有権マンションと同じ水準の家賃で貸すことができるため、残存期間によっては賃貸を選択したほうが有利なこともある。