住宅ローンの名義変更は原則NG!ローン返済中に離婚する場合、名義変更はどうなる?

公開日 2024年05月17日
住宅ローンの名義変更は原則NG!ローン返済中に離婚する場合、名義変更はどうなる?

住宅ローンの名義変更は基本的にできません。返済途中で住宅ローンの名義変更ができないのであれば、離婚の際はどのような対応をすればいいのでしょうか。今回はファイナンシャルプランナー(FP)の風呂内亜矢さんに解説していただきました。

住宅ローンの名義変更は原則できない

住宅ローンを借り入れる際には審査があります。審査では物件の担保価値だけでなく、契約者の返済能力や年齢、健康状態など、さまざまな観点から融資の可否を決定しているため、ローンの返済途中で審査した契約者以外へ名義変更することを金融機関が承諾することはほとんどありません。他人はもちろん、夫から妻、妻から夫、親から子、子から親、兄弟間など、近しい間柄であっても、それぞれの返済能力などは異なるので、原則不可と考えておきましょう。

住宅ローンを契約するときには、返済の途中で名義変更はできないことを念頭にローンを組むことが大事です。

住宅ローン返済途中に離婚する場合はどうする?

離婚後、名義人以外が住み続けるのは原則NG

住宅ローンを返済している途中で離婚することになった場合、返済途中の住宅ローンをどうするのか、また、住まいはどうするのかということは悩むポイントです(※贈与についてはのちほど紹介します

まず、離婚のタイミングで住宅ローンを完済できるのであれば住宅ローンの名義変更について悩む必要はありません。

離婚のタイミングで住宅ローンの名義変更が必要なケースとしては、離婚のタイミングでの一括完済は難しく、単独ローンで住宅ローンの名義人以外が住み続けたいというケースが考えられます。

例えば、住宅ローンの名義が夫で、名義人である夫がその家に住み続けるのであれば特に問題はありませんが、離婚後、住宅ローン返済中の家に、住宅ローンの名義人ではない妻が住み続けたいという場合は問題です。

このようなケースの場合、住宅ローンは契約者がその住宅に住むことを前提としているため、住宅ローンの名義人である夫がその家に住んでいないということが、ローンの契約内容に違反してしまうことになります。

これは、住宅ローンの名義が妻で、離婚後は名義人ではない夫が住み続けたいという場合も同じです。契約違反となると、残債の一括返済や違約金などを求められる可能性があります(※費用や資料については後ほど紹介します

まずは金融機関に相談

住宅ローンはローンの名義人がその家に住むことが大原則です。離婚をきっかけに、住宅ローンの名義人がその家に住まなくなり、名義人以外の人がその家に住みたいという場合は、住宅ローンを借り入れている金融機関へまずは相談するようにしましょう。

「住宅ローンの返済途中に、やむをえない事情でその家に住むことができなくなるということは、離婚以外でもありえます。例えば、転勤などの事情で住めなくなった住まいを人に貸すという人もいるでしょう。

投資目的の住まいに住宅ローンを利用するという悪質なケースは問題ですが、やむを得ない事情でその家に住み続けられないという場合は、ローンの条件の見直しなどで、住宅ローンを継続できることもあります」(FP風呂内さん、以下同)

なお、売却や借り換えなどの方法で解決できる場合は、その家に住み続ける必然性はないと見なされ、住宅ローンの継続ではなく、売却や借り換えを勧められることもあります。いずれにせよ、どのような方法を取るべきか、まずは金融機関にたずねるようにしましょう。

金融機関への相談のイメージ
(画像/PIXTA)

売却という方法も

離婚後も一方が今の家に住み続けながら、もう一方のローンの名義人が返済を続けるというケースもあるようですが、離婚後も元パートナーと連絡をとり続ける必要があったり、住んでいない家に対して、契約者がきちんと返済を続けてくれるかどうかというリスクを抱え続けるといったデメリットもあります。

「住んでいない住宅ローンの名義人が、どこまで責任を持ってくれるのかという懸念はあるので、一番不安が残らない選択肢は、家を売却して精算するという方法になります」

特にその家に住み続けたいという強い希望がないのであれば、売却益で住宅ローンを一括返済するというのは、住宅ローンの名義の問題もスッキリと解決できる方法です。

ただし、売却という方法を選択する場合、売却額が住宅ローン残高を下回る可能性もあります。売却益で住宅ローンを完済できない場合、補填するために自己資金が必要になったり、任意売却(※)などの方法を取ることになるので注意が必要です。

※任意売却とは売却益でローンを完済できず、自己資金も用意できない場合、金融機関の許可を得た上で、家を売却する方法。売却後も残債の返済義務が残る

借り換えることで、名義を変更できる

売却ではなく、やはり名義を変更して、離婚後もその家に住み続けたいという場合はどうしたらよいのでしょうか。

最初に述べたように、住宅ローンの返済途中で審査した契約者以外へ名義変更することはできません。そのため、取れる方法としては、住宅ローンを借り換えることで住宅ローンの名義人を変更することになります。

また、夫妻どちらか一方の単独ローンではなく、夫妻の名義で契約した共有名義のローンというケースもあります。この場合も、売却ではなく離婚後もどちらか一方が住み続ける場合は、夫から妻、妻から夫というように、住み続ける人にローンを一本化するために借り換えをすることになるでしょう。

借り換えによる名義変更で、贈与税はかかる?

離婚時に夫妻の婚姻中に築いた財産を分け合うことを財産分与と言い、不動産もその対象となります。
この財産分与で譲り受けた不動産には贈与税はかからないため、離婚時の借り換えによる名義変更のケースについては、原則贈与税の心配はいりません。

ただし、あまりにも財産分与が過大であったり、贈与税を免れるための偽装離婚などの場合は、課税されることがあります。

借り換えなら、親子間、兄弟間でも名義変更をして住むことはできる?

借り換えによって、夫から妻、妻から夫に名義変更ができるのであれば、離婚後は名義人の親や子、兄弟、姉妹などに名義変更をしたいということを考える人もいるかもしれません。

ただ、離婚というやむを得ない事情がある夫妻間の借り換えは認められても、親子や兄弟となると、金融機関が認めてくれないという可能性が高いでしょう。ケースごとの事情にもよりますが、金融機関に借り換えによる名義変更を認めてもらうことは難しいため、親子間、兄弟間で名義変更をしたい場合は売買をするのが一般的です。また、親族間売買以外には、負担付贈与(※)という選択をする人もいます。

※一定のローン債務を引き受けることを条件とした贈与

住宅ローンを借り換えて、名義変更する場合の注意点

借り換えをする人には返済能力が必要

住宅ローンの借り換えをするには、金融機関の新たな審査があります。新たな名義人となる人に返済能力がない場合は審査に通らず、借り換えをすることができません。

「共有名義のローンの場合、借り入れ時は夫妻の収入を合算して審査をしています。

余裕のある借入額で物件を購入していた場合は大丈夫かもしれませんが、収入合算をしてギリギリの金額を借り入れているケースもあるでしょう。その場合、どちらか一方の名義でローンを借り換えるとなると、収入も1人分になるので、審査に通らない可能性があります」

単独ローンで、名義人を変更するために借り換えを行う場合も、新たな名義人に借入額に見合う返済能力がなければ、審査に通らない可能性があります。共働きで、新たな名義人になる方にも十分な収入がある場合は借り換えによる名義人変更を検討することは可能ですが、片方が専業主婦・主夫などの場合は、新たな名義人の返済能力の部分で懸念があります。新たに就職先が決まっているなど、借り換えが可能なケースもありますが、このような場合は借り換えによる名義変更は難しいことが多いでしょう。

借り換え後の家計が苦しくなることもある

「借り換えによる名義人変更ができたとしても、収入に対して返済していく金額があまりにも大きい場合、家計が回らなくなるというリスクもあります」

離婚をして収入状況などが変わる中、物件と借入額を維持するということは、家計にしわ寄せが来るのは当然です。

売却による精算ではなく、借り換えによる名義変更を選択するのであれば、その物件に住み続ける場合の家計についても、十分に考えておく必要があるでしょう。

家計のやりくりのイメージ
(画像/PIXTA)

借り換えには費用がかかる

住宅ローンの借り換えには印紙代や融資手数料、ローン保証料、火災保険料、団体信用生命保険料などさまざまな諸費用がかかります。諸費用の総額は金融機関や借入額によって異なりますが、少なくとも借入額の3%程度はかかると考えておきましょう。

また、住宅ローンの借り換えをする際には家の名義変更もする必要があり、登記費用や司法書士に依頼する場合はその報酬など、こちらにもさまざまな諸費用がかかります。

これら諸費用の支払いには現金が必要になることもあるので、借り換えをする場合は費用の心づもりもしておきましょう。

借り換えには書類の準備も必要

借り換えをする場合は、新たな契約のためにさまざまな書類の準備も必要になり、取得先も異なる書類を複数そろえる必要があるため、準備には手間がかかります。

例えば、次のような書類が必要になります。

  • 借り換える人の本人確認書類
  • 源泉徴収票や健康診断書
  • 住民票
  • 課税証明書
  • 離婚協議書等のコピーなど

借り換えによって、金利など条件が悪くなることも

借り換えによって住宅ローンの条件が良くなることもありますが、悪くなることもあります。

通常は金利の状況などを見て、今よりも有利な条件になるように借り換えを行うことが多いと思いますが、離婚による借り換えの場合は、離婚という理由とタイミングで借り換えができるかどうかが最優先事項となるでしょう。

今よりも悪い条件になっても、借り換えをしなければならないという状況であれば、借り換えによって、毎月返済額や総返済額がアップするという可能性についても考えておかなければなりません。

借り換えによる名義変更は、離婚後の家計を見据えて検討を

住宅ローンを借り入れたときには、将来離婚をすることは想定していないことがほとんどでしょう。住宅ローンの返済途中に離婚をするとなっても、原則、住宅ローンの名義人を変更することはできません。

取るべき手段は、自己資金か売却益による一括完済か、借り換えによる名義変更などになりますが、いずれのケースも、まずは住宅ローンを借りている金融機関への相談が必須です。

金融機関に相談した上で、借り換えによる名義人変更という選択をする場合、新たな名義人で借り換えができたとしても、その後の返済で家計が苦しくなるということも考えられます。

離婚などで家計状況が変わる場合、住まいや借入額をそのままに、本当にその後の生活を維持していけるかどうか、借り換えによる名義変更をする場合は、将来を見据えて慎重に検討するようにしましょう。

まとめ

住宅ローンの名義変更は原則できない

離婚する場合、借り換える人に返済能力があれば、住宅ローンを借り換えることで名義変更を行うこともある

離婚時には借り換えによる名義変更のほかに、売却による精算という手段もある

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構成・取材・文/島田美那子
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