環境性能表示制度とは、一戸建てやマンションの省エネルギー等に関する性能(環境性能)について、自治体が制定した一定の評価基準に基づいて建築物を評価する制度。環境性能表示制度のある自治体では、不動産会社や建築会社は基準に沿って販売物件を評価し、その結果をホームページや広告に表示することを義務づけられる。対象となるのは一定規模以上の建物で、省エネ性・耐久性・緑化などの項目ごとにランク付けし、数値やマークによって表示されるケースが一般的だ。
自治体による環境性能表示制度の大多数は、一般財団法人住宅・建築 SDGs 推進センターが運用する「建築環境総合性能評価システム(CASBEE)」に基づいて、「省エネルギー性能」「敷地外環境への配慮」などの評価項目が定められている。また、「室内の快適性」や「まちなみ・景観への配慮」なども含めた総合的な建物の品質を評価する自治体や、地域性や政策などに合わせてCASBEEを一部修正した評価制度を制定する自治体もある。
例えば、大阪市の制度「CASBEE大阪みらい」では、延床面積2000平米以上の新築建築物に対し、市が定めた基準に基づく建築物の総合的な環境評価の届出を義務付け、その結果を市のホームページで公表している。一方、延床面積2000平米未満の新築・増改築などについては任意で届出ができ、その場合は、建築物の環境性の表示を広告等に掲載できる。
評価項目は「CO2削減、みどり・ヒートアイランド対策、建物の断熱性、エネルギー削減」のほか、「太陽光発電設備またはその他再生エネルギー利用設備の導入の有無」などだ。さらにこれらをまとめた総合評価もあり、共通のラベルに5段階評価で分かりやすく表示されている。
また、東京都では独自の基準に基づく「マンション環境性能表示」を行っている。該当するマンションは東京都が定めた基準を基に「建築物環境計画書」を届出、マンションの販売・賃貸広告に環境性能が表示される。
表示される項目は「建物の断熱性、設備の省エネ性、再生エネルギー設備・電気、維持管理・劣化対策、みどり」の5項目で、共通のラベルにいずれも3段階で表示される。
届出義務の対象となるのはマンション用途の延床面積が2000平米以上の分譲または賃貸マンション。2000平米未満のマンションについても、任意で建築物環境計画書を提出し、広告等に環境性能表示を付けることができる。