住宅ローン控除とは。要件や手続き、控除率・限度額などを詳しく解説/住まいのお金・制度のマニュアル#20

最終更新日 2025年04月09日
住宅ローン控除とすまい給付金を解説。要件や手続き、控除率・限度額など/住まいのお金・制度のマニュアル#20
住宅ローン控除とすまい給付金を解説。要件や手続き、控除率・限度額など/住まいのお金・制度のマニュアル#20

住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて家を取得(購入・新築・増改築やリフォーム)すると、10年または13年間、各年の住宅ローン年末残高の一部が「所得税」から控除される制度。控除期間や控除額は、新居への入居時期や物件の種類、所得税額などによって異なる。

「住宅ローン控除額」の計算方法

各年の住宅ローンの控除額は、下のように「年末ローン残高」に一定の「控除率」をかけて計算される。

「各年末ローン残高の限度額」「控除率」「控除期間」は、住宅の種別や性能、入居時期などによって異なる。下表を見て確認しよう。

(1)各年の控除額を計算

  • 各年末のローン残高(例:4000万円)×控除率(0.7%)=1年分の控除額(最大28万円)

(2)各年の所得税額と控除額を比較

控除額が所得税額を上回る年は「控除額=所得税額」となり、控除しきれない額の一部は、翌年度の住民税から減額される。

  • 控除額が所得税額より少ない場合
    →(1)で計算した控除額が所得税から控除される。13年間の控除合計額は最大364万円(28万円×13年)
  • 控除額が所得税額以上の場合
    →その年の所得税はゼロとなる。控除しきれなかった額(控除額-所得税額)は、翌年度の住民税から控除される(控除額の上限は、課税総所得金額の5%または最高9万7500円の小さいほうとなる)。

住宅ローン控除の控除率・限度額・控除期間

住宅ローン控除額計算の基礎になる「各年の住宅ローン年末残高の限度額」や「控除期間」は、購入する住宅の種類などによって異なる。さらに、2024年度の税制改正では、子育て世帯や若者夫婦世帯の新築住宅購入(建築)について、住宅ローン控除の控除額が優遇されることになった。

→増改築・リフォームの住宅ローン控除について詳しくはリフォーム減税

住宅ローン控除の控除率・年末ローン残高の限度額・控除期間(2024年1月1日~2025年12月31日に入居する場合)

一定水準を満たす住宅…新築住宅(購入・新築)/買取再販住宅(宅地建物取引業者が一定の増改築をして販売する中古住宅)
世帯構成(※1) 住宅種別 年末ローン残高限度額 控除率 控除期間
子育て世帯(※2)、若者夫婦世帯(※3) 認定住宅(※4) 5000万円 0.7% 13年
ZEH水準省エネ住宅 4500万円
省エネ基準適合住宅 4000万円
その他の世帯 認定住宅(※4) 4500万円 0.7% 13年
ZEH水準省エネ住宅 3500万円
省エネ基準適合住宅 3000万円
中古住宅の購入等
世帯構成等 住宅種別 年末ローン残高限度額 控除率 控除期間
いずれの世帯も同じ 省エネ基準適合住宅等(※5) 3000万円 0.7% 10年
一般住宅(※6) 2000万円
※1 住宅ローン控除の申請者が表記の世帯に所属する場合
※2 19歳未満の子(親族)を扶養する世帯
※3 夫と妻の両方または片方が40歳未満の夫婦世帯
※4 認定長期優良住宅認定低炭素住宅
※5 新築住宅等・買取再販住宅の対象住宅と同じ
※6 一定の省エネ水準に満たない中古住宅・買取再販住宅、新築住宅
新築は2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または2024年6月30日までに竣工した住宅のみが対象となる(50m2未満の新築住宅は前者のみが対象)

東日本大震災被災者の住宅ローン控除の特例

2022年度の税制改正により同特例の適用期限も、2025年12月31日の入居まで延長された。

2024年1月1日~2025年12月31日までに取得した住宅に入居する場合の控除率は0.9%だ。

新築住宅・買取再販住宅の場合、控除期間は13年、対象となる住宅は上表の新築住宅と同じ「認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅等)・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅」の3種類。

各年末の住宅ローン残高の限度額は世帯構成によって異なり、「子育て世帯・若者夫婦世帯(上表の新築住宅等の条件と同じ)/5000万円」「その他の世帯/4500万円」となる。

中古住宅などの場合、控除期間は10年、各年末の住宅ローン残高の限度額は、いずれの世帯も「3000万円」だ。

住宅ローン控除の主な要件と手続き

住宅ローン控除は、本人が居住する住宅の新築、購入、工事費が100万円を超える増改築、一定条件を満たす省エネ・バリアフリー改修などに適用される。

ここでは、2022年1月1日~2025年12月31日に取得した住宅に入居する場合の主な要件を紹介。
住宅の面積や購入者の年収、住宅ローンの借入期間などに条件があるのでチェックしておこう。

→増改築・リフォームについて詳しくはリフォーム減税

住宅ローン控除の主な要件

  • 住宅の床面積(登記簿面積)が50m2以上(※1)
  • 中古住宅は、一定の耐震基準(新耐震基準)に適合している住宅(1982年1月1日以降に建築された住宅は新耐震基準に適合するとみなす)
  • 新築住宅等は、一定の省エネ基準を満たすこと(※2)
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること(※3)
  • 社内融資等の場合は利率が0.2%以上のもの
  • 控除を受ける年の合計所得金額が2000万円以下であること
  • 住宅を取得後6カ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
  • 居住の年の前2年、後3年の計6年間(※4)に、それまで住んでいた住宅の売却等により「3000万円特別控除」や「特定居住用財産の買換え特例」などの適用を受けていないこと

※1 合計所得年収1000万円以下の人が、2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅(認定住宅は2024年12月末まで)を取得する場合は、床面積40m以上50m未満でも控除の対象となる
※2 2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または2024年6月30日までに建築された住宅は除く
※3 一定条件を満たす省エネ・バリアフリー改修の場合、住宅ローンの返済期間は「5年以上」。控除期間も5年間となる
※4 2020年3月31日以前に住宅を売却した場合は、居住した年とその前後2年ずつの計5年間

住宅ローン控除の手続き

住宅ローン控除の適用を受けるには、入居の翌年の3月15日までに税務署に確定申告をしなければならない。給与所得者の場合、確定申告が必要なのは1年目のみ。2年目以降は勤務先の年末調整で手続きすればOKだ。

→詳しくは住宅ローン控除等を受ける場合の確定申告のやり方は?

なお、控除期間中に転勤で本人が住まなくなった場合、国内での単身赴任で家族がその住宅に居住する場合は、引き続き控除が受けられる。それ以外の転勤の場合は住宅ローン控除が中断されるが、控除期間中に再入居した場合はその年(その年に賃貸に出していた場合はその翌年)から控除を再開できる。

住まいのお金・制度のマニュアル
  1. 5-1. 家を買う・購入手続きと費用
  2. 新築住宅を買うときの購入手続き、費用と支払時期を解説
  3. 中古住宅を買うときの購入手続き、費用と支払時期を解説
  4. 土地を買って家を建てるときにかかる費用と支払時期を解説
  5. 家のリフォーム・増改築の流れ、かかる費用と支払時期を解説
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