家を買った後には、どんな費用がどの程度かかるのか。住宅ローン返済をはじめ、家や土地の所有者にかかる税金、マンション所有者にかかる管理費等の費用について解説しよう。
住宅ローンの返済期間は一般的に最長35年。その範囲内で大体20年~35年を選択する人が多いようだ。この期間中ローン返済は毎月休みなく続く。また、ボーナス時加算を利用する場合、年2回のボーナス返済月には「通常の毎月返済額+ボーナス時加算額」分の返済となる。このように長期間にわたるローン返済を無理なく行うため、家の購入を機に、家計管理をしっかり行う習慣をつけることが大切だ。
ローン返済には、毎月の定期的な返済のほかに、「繰り上げ返済」という方法もある。繰り上げ返済したお金は、すべて「元金の返済」になるので、返済した分の利息を節約できる。繰り上げ返済は早い時期に行うほど効果が大きいが、ローンの種類や金融機関ごとに独自のルールがある。今からチェックして計画的に行おう。
固定資産税・都市計画税は、家や土地など不動産の所有者にかけられる税金(市町村税)。税額は、市町村が「土地」と「建物」の「固定資産税評価額」を決め、それに一定の税率をかけて計算される。毎年1月1日時点の所有者に、4月ごろに納税通知書が送られ、そこに書かれた期日までに納めるのが一般的。一括で納めるほか年4回の分納もできる。
「住宅用地」の場合、固定資産税・都市計画税ともに一定の軽減措置がある。また、新築マンションなど(※1)を購入する場合は新築後5年間、新築一戸建ての購入または、一戸建てを新築する場合は、新築後3年間、建物部分の固定資産税額が半額に軽減される(※2)。なお、固定資産税評価額は3年ごとに見直され、建物は築年数も配慮して評価額が算出される。このため、一般的には年を経るにつれ評価額は徐々に安くなり、税額も減っていく。
※1 3階以上の耐火、準耐火構造の住宅
※2 認定長期優良住宅の場合、軽減措置の期間は「新築マンション7年間、新築一戸建て5年間」(詳しくは、長期優良住宅/固定資産税・都市計画税)
マンションの建物・土地は、各所有者が自由にできる「住戸内(専有部分)」と、所有者みんなで共有する「共用部分」の2つに分けられる。管理費は、この共用部分の清掃や、設備の管理、そしてこういった業務を取り仕切る「管理会社」の報酬などに充てられるお金だ。管理費は住戸の専有面積に応じて決められ、同じマンションであれば広い住戸のほうが高くなる。また、地域、マンションの規模(総戸数や階数)、共用施設、管理サービスの内容によって金額が異なる傾向があり、一般的なファミリータイプの物件の場合、月当たり1万円~2万円台が目安となる。
マンションの建物の老朽化を防ぐためには、建物の定期的な点検と修繕が必要だ。管理費とともに毎月支払う「修繕積立金」は、こういった修繕に備えて積み立てておくお金。積立金額が不足すると、修繕を行うときに一時金が必要になることもあるので注意しよう。修繕積立金の額は、物件ごとに「長期修繕計画」を定め、それに基づいて決められている。新築当初は月当たり6000円~7000円台が目安だが、築年を経たマンションは1万円を超える物件も少なくない。数年後に修繕積立金の値上げをする前提で長期修繕計画を立てているケースもあるので、現地やモデルルーム見学の際に、「長期修繕計画」も見せてもらおう。
マンションの敷地内駐車場が有料の場合、支払った駐車場代は何に使われるのか。まず、駐車場の点検・修繕など維持費用に使用し、余った分はマンション全体の「管理費」または「修繕積立金」とするケースが多い。このほか、専用庭やルーフバルコニー付きの住戸が支払う使用料も、管理費か修繕積立金のどちらかに充てられるのが一般的だ。
マンションの共用部分の維持管理は、管理費や修繕積立金で行われるが、住戸内(専有部分)の壁紙やフローリング、水まわり設備などの維持管理は、所有者が自分で行う。一般的にマンションの内装や設備は、築10年~20年にかけて、徐々に修繕や取り替えが必要になってくる。その都度修繕するのか、まとめてリフォームをするのか考えて、計画的に費用の準備をしておこう。
一戸建ても、長い目で見れば修繕費用は必要になってくる。例えば、キッチンやお風呂などの水まわりの交換には200万~300万円ほどが必要。外壁や屋根の修繕にも、100万~200万円の費用がかかる。10~15年程度の周期でまとまったリフォームに対応できるよう、計画的に費用の準備をしておこう。