キッチンは間取りや配置、形状などにさまざまな種類があります。リフォームやリノベーションのプランニングを進める前に、どのようなタイプのキッチンが自分にとって使いやすいのかを考えましょう。種類別のキッチンのメリットやデメリット、キッチン選びのポイントなどを一級建築士のYuuさん(本名:尾間紫さん)に聞きました。

記事の目次
進化を続けるキッチン。リフォームで新しくすると何が変わる?
対面型キッチンは、よりオープンになる傾向
かつて、台所は茶の間から見えない独立した空間になっていました。しかし、今は一戸建てもマンションも、キッチンはダイニングやリビングとつながった対面型が人気です。
「対面型キッチンが登場し人気になったのは20〜25年くらい前から。当時すでに対面型が登場していましたが、キッチンは隠すものという意識があったため完全にオープンではなく、コンロ前など一部が壁で仕切られ、シンクや作業スペースの上には吊り戸棚が設置されたハーフオープンなタイプが主流でした。キッチン全体は外から見えにくく、でも調理をしながらリビング・ダイニングにいる子どもの様子は見られるというスタイルです。それが、より開放的な空間が求められるようになり、またキッチン本体の収納力がアップすることで、吊り戸棚のない、よりオープンなキッチンが見られるようになりました」
また、キッチンのデザインの変化によって、心置きなくキッチンをオープン化できるようになりました。
「例えば、ひと昔前のキッチンはカウンターの天板が厚くて、端に丸みがあり、『いかにもキッチン』という印象でした。今は、人造大理石の天板がより薄く美しくなり、インテリアとして楽しめる家具のようなデザインを選ぶことができます」
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収納力のある全面引き出しタイプが主流
最近のシステムキッチンの収納の主流は、収納力のある全面引き出しタイプです。
「システムキッチンが主流になっていた20年ほど前から、高級なキッチンでは引き出しタイプの収納が登場していました。ただ、今のように全面引き出しではなく、例えばコンロの下は引き出しでも、シンクの下は観音扉といったパターンも。まだ手が届きにくい高級品だったのですね。30年以上前になると、引き出しタイプはカトラリーやキッチンツールなどを収納する小さなものはついていましたが、大きな収納スペースは観音扉を開け閉めしていました。コンロやシンク下には大容量のスペースがあるにもかかわらず、収納に生かしきれていなかったと言えます」
現在は、各メーカーから、さまざまな工夫で収納力があり、ものの出し入れもしやすいシステムキッチンが提案されています。メーカー各社のホームページや、ショールームをチェックしてみるのがおすすめです。
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材質の進化でお手入れもしやすくなっている
最近のシステムキッチンは材質の向上で汚れにくくなり、お手入れもしやすくなっています。
「20年ほど前の人造大理石の天板には、変色しやすい、シミがつきやすいものがありました。今は品質が向上し、丈夫で汚れにくくなっています。キッチン本体の中の棚板なども、昔は湿気でカビが生えやすかったり、黒ずんで腐ってきたりといったケースもありましたが、今は水に強い素材が使われていることが多くなっています」
今使っているキッチンに特に不便を感じていなくても、リフォームやリノベーションで最新のキッチンに変更すると、デザイン性や機能性が進化していることを実感するでしょう。

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キッチンの間取りはオープン型と独立型の2種類
キッチンは「間取り」「キッチンの配置(向き)」「キッチンの形」によって、使い勝手が異なります。それぞれにどんな種類があるのかを知っておきましょう。
オープン型のキッチンの特徴は?
キッチンは間取りによってオープン型のキッチンと独立型のキッチンがあります。オープン型のキッチンは、キッチンとリビング、ダイニングが一つの空間になっているもの。下のイラストのような対面型キッチンでも、壁に向いているキッチンでも、リビングやダイニングと空間を共有していればオープン型のキッチンです。
「食が暮らしの中心になっているケースが多い今、オープン型のキッチンは人気です。かつては、『つくる』ことと『食べる』ことは別でしたが、今は『つくりながら食べる』『みんなでつくって、みんなで食べる』というように、つくると食べるの距離が近づいています。そんなスタイルに合うのがオープンなキッチンです」

オープン型キッチンのメリットは?
・開放感がある
オープン型キッチンの大きなメリットは開放感。ダイニングやリビングを見渡すことができ、窓から庭や外の景色が見えれば、気持ちよく料理ができます。採光がよいため、明るいキッチンになるのも良いところです。
・家族や来客とコミュニケーションをとりやすい
キッチン、リビング、ダイニングが一つの空間なので、料理をしながら家族や来客と会話がしやすいのがメリットです。
・子どもを見守りやすい
料理をしながらダイニングやリビング、隣接する居室が見渡せれば、子どもの様子がわかって安心。キッチンが壁側に向いているタイプでも、子どもの気配を感じやすく会話がしやすいと言えます。
・空調のコントロールをしやすい
「リビングやダイニングに設置したエアコンの冷気・暖気がキッチン内にも届きやすいので、快適に料理ができます」
・家事効率の良い動線にしやすい
「間仕切りがないため、配膳や後片付けといった家事効率が良い動線計画が立てられます」
・バリアフリーにも対応しやすい
車椅子でも動きやすい間取りにしやすいなど、バリアフリーに対応しやすくなります。
オープン型キッチンのデメリットは?
・キッチンの内側がリビングやダイニングから見えてしまう
ワークトップの上や食器棚、冷蔵庫などがリビングやダイニングから見えやすいのが難点。生活感を出したくない場合は、デザイン性の高いシステムキッチンや家電、食器棚を選ぶこと、収納力を上げ、出し入れがしやすい工夫をしながら整理整頓を忘れないことが大切。
・音やニオイが広がりやすい
水の音や炒めものの音、換気扇の音などがリビングやダイニングにいるとうるさく感じることがあります。リフォームの際は、水はねの音を抑える静音シンクや、稼働音が静かな換気扇を検討するといいでしょう。また、揚げ物や炒め物をしたときのニオイが室内に広がるのが気になる人もいます。
・水や油がダイニングにはねやすい
洗い物の水や料理の油は意外に遠くまで飛ぶもの。対面型のキッチンの場合は、こまめな掃除が必要です。
独立型のキッチンの特徴は?
独立型のキッチンは一つの空間になっているタイプ。ダイニングやリビングからは独立しています。出入口は1カ所なのが一般的です。

独立型のキッチンのメリットは?
・料理に集中しやすい
家族のいるリビングやダイニングと別空間になっているため、料理に集中しやすいメリットがあります。
・家電や収納棚を置きやすい
壁に囲まれているため、食器棚や家電を置く棚などを置く場所を確保しやすい点がメリットです。
・ニオイや音、水や油のはねが広がりにくい
ダイニング、リビングと壁で仕切られているため、ニオイや音、調理で出る油汚れなどがキッチン外に広がりにくく、オープン型よりも掃除の手間が軽減されます。
・キッチンの内側が人目につきにくい
キッチンの中の様子がリビングやダイニングから見えにくいため、急な来客にも慌てずにすみます。
独立型のキッチンのデメリットは?
・キッチンの外の人とコミュニケーションをとりにくい
壁で仕切られているため、ダイニングやリビングにいる家族や来客と会話ができず、人によってはさびしく感じることがあります。
・配膳や片付けの動線が長い
カウンター越しに食器を手渡しできるオープン型キッチンに比べると、独立型キッチンは配膳や片付けの際に必ず出入口を経由するため動線が長くなってしまいます。
・冬寒く、夏暑くなりがち
キッチン専用のエアコンを設置する家はそう多くはないため、リビングやダイニングのエアコンの冷気や暖気が届かず、冬は寒く、夏は暑い空間になりがちです。
オープン型と独立型、それぞれどんな人に向いている?
キッチンを使う際に何を重視するかによりますが、オープン型は開放感を重視する人、家族や子ども、来客の様子がわかりコミュニケーションが取れることを重視する人に向いています。独立型は料理に集中したい人、キッチンの中を見られたくない人に向いています。
カウンターのタイプでコミュニケーションの取りやすさが異なる
同じオープン型のキッチンでも、カウンターの形状によって使い勝手が異なります。リビングやダイニングに面したキッチンの壁が立ち上がった「ステップ対面式キッチン」は、料理をしたり片付けたりする手元を隠しながら、子どもの様子を見守りたいというニーズに合ったタイプです。

一方、最近の人気は、カウンターに段差のないフラット対面式のキッチン。キッチンの反対側からも手伝いがしやすく、料理をしている人との会話もしやすい点で、ステップ対面式キッチンよりも、さらにコミュニケーションのしやすさがアップします。

キッチンの配置は壁付け型と対面型の2種類
キッチンの配置(向き)も使い勝手に違いが生まれます。壁付け型のキッチンと、対面型のキッチンでは、それぞれにどんな特徴があるでしょうか。ここでは、LDKが一つの空間になったオープンな空間の場合の、壁付け型と対面型のキッチンを比べてみましょう。
壁付け型のキッチンの特徴は?
壁付け型のキッチンとは、シンクやコンロのあるキッチン本体が壁に接するように配置されているタイプです。オープン型のキッチンの場合は、振り向けばダイニングやリビングの様子を見ることができます。

壁付け型のキッチンのメリットは?
・LDKの床面積を有効に使える
壁付け型はキッチンとダイニングのスペースを共用することができます。そのためダイニングとキッチンをコンパクトにおさめれば、リビングを広くとることができるなど、好みに応じて床面積の有効活用がしやすくなります。
・料理に集中でき、家族との会話もスムーズ
壁に向かって料理に集中することもできますし、振り返れば家族や来客との会話もしやすい点がメリットです。
壁付け型のキッチンのデメリットは?
・冷蔵庫や食器棚を置く場所が少ない
キッチン本体が壁面に接しているため、オープン型で壁付けキッチンの場合は、冷蔵庫や食器棚を置ける壁面が少なくなります。横幅の大きなシステムキッチンにしたい場合は要注意です。
対面型のキッチンの特徴は?
対面型キッチンは、キッチンがリビングやダイニングに向かって配置されているタイプです。料理や洗い物をしながら、家族との会話や、子どもの様子の見守りがしやすく人気があります。

対面型のキッチンのメリットは?
・開放感がある
キッチンに立ったとき、ダイニングやリビング、窓の外などが視界に入り、開放感があるのが大きなメリットです。
対面型のキッチンのデメリットは?
・壁付け型に比べて家事動線が長くなる
料理をダイニングに運んだり、食後に食器を戻したりといった家事動線が壁付け型に比べると長くなります。
・吊り戸棚を設けると通風や採光に影響する
間仕切りのない対面型の場合は問題ありませんが、吊り戸棚を設けた場合は採光や通風に影響したり、リビングのエアコンが届きにくくなったりするケースがあるので注意しましょう。
壁付け型と対面型、それぞれどんな人に向いている?
「壁付け型はLDKが狭い家でリフォームをする人や料理に集中したい人にいいですね。空間を広くするために、対面型からあえて壁付け型にリフォームをすることもあります。対面型は料理をしながらのコミュニケーションや子どもの見守りを重視する人に向いています」
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キッチンの形状の種類は主に6種類
キッチン本体はカウンターの形状や、壁との位置関係などによって大きく6種類あります。どれを採用するかによってコンロ、シンク、作業スペースの配置が異なり、冷蔵庫や食器棚のレイアウトにも影響します。それぞれに使い勝手が違いますから、自分にとって使いやすいのはどのタイプか考えてみましょう。
I型キッチンとは?特徴やメリット、デメリット、どんな人に向いている?
I型キッチンは、コンロとシンク、作業スペースが一列に並んだタイプです。後述するペニンシュラ型やアイランド型も同様なのですが、ここではオープン型キッチンで壁に向かって配置されるキッチンをI型とします。
「オープンなキッチンでI型キッチンを選ぶ場合に重要になるのがデザインです。ダイニングやリビングからキッチン全体が見えるため、キッチンのデザインが空間のインテリア性を大きく左右します。キッチンによってすてきな空間にできるので、デザインをよく吟味して選ぶといいですね」

- キッチンのデザインで空間のインテリア性を高めることができる
- ダイニングとの距離が近く家事動線が効率的
- ダイニングやリビングのスペースを広く取れる
- キッチン交換のリフォームならコストを抑えやすい
- 料理に集中しやすい
- オープン型の場合、キッチンの様子が丸見えになる
- ダイニングやリビングにいる子どもの様子を常に見守ることが難しい
- 収納を設置する壁面が少ないため、収納の確保が難しいことがある
I型キッチンはどんな人に向いている?
壁に向かって設置されるI型キッチンは、料理に集中したい人に向いています。また、ダイニングやリビングを広く使えるようリフォームしたい人に向いています。
II型キッチンとは?特徴やメリット、デメリット、どんな人に向いている?
II型キッチンはシンクとコンロのあるワークトップが分かれて、2列になっているタイプ。2列型、セパレート型とも言われます。
「今、とても人気のあるタイプです。それぞれの作業スペースを確保しやすいので複数人で料理がしやすく、シンクとコンロが横並びの配置よりも、移動距離が少なくて家事動線が効率的です。II型キッチンにするには床面積にゆとりが必要でしたが、最近はコンパクトなタイプも登場して選択肢が増えました」

- 作業スペースが広く、複数人で料理がしやすい
- シンクとコンロが近く、調理中の移動距離が短い
- 間口を広く取りやすく、ワークトップの並びなどに収納スペースを確保しやすい
- 価格が高くなりやすい
- 食材をシンクからコンロに移動させる際などに床が汚れやすい
- 基本的にはある程度広い面積が必要になる
II型キッチンはどんな人に向いている?
複数人で料理をすることが多い人に向いています。また、食材を切ったりする作業スペースやキッチン内の収納スペースにゆとりが欲しい人にも向いています。
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L型キッチンとは?特徴やメリット、デメリット、どんな人に向いている?
L型キッチンはワークトップがL字型になっているタイプ。コンロとシンクが90°の位置にあるため、調理中の移動距離が短くてすみます。

- シンクとコンロの距離が短く作業効率がいい
- 作業スペースのコーナーになった奥の方や、下の空間がデッドスペースになりやすい
- 本体の面積が大きいため、I型から交換する場合はキッチンの床面積を広くする必要がある
L型キッチンはどんな人に向いている?
L型キッチンの特徴は、作業効率の良さ。テキパキと料理をしたい人に向いています。
ペニンシュラ型キッチンとは?特徴やメリット、デメリット、どんな人に向いている?
ペニンシュラとは英語で半島のこと。つまり、ペニンシュラ型キッチンとは、キッチンの片側が壁に接していて、そこから突き出した半島のような形状になっているものです。コンロは壁側で間仕切りに壁やガラス板が設けられているタイプ、間仕切りのないオープンなタイプがあります。食器棚や冷蔵庫はキッチンの背面に置かれるのが一般的です。
「ペニンシュラ型は出入口が1カ所。ここを塞ぐことでキッチンへの出入りが制限できるという特徴があります。ベビーゲートやペットゲートを付ければ、小さなお子さんや、犬や猫などのペットがキッチンに立ち入るのを防ぐことができます。また、ダイニングやリビングと一つの空間でありながら、キッチン本体が低い間仕切りとなるため空間の分け方をコントロールしやすいと言えます。最近はテーブルをまっすぐつなげたレイアウトも人気です」

- 吊り戸棚を省略することで開放感のある空間にできる
- キッチン本体がさりげない目隠しとなり、リビング、ダイニングから内側を隠すことができる
- キッチン本体の位置でダイニングやリビングの広さを調整できる
- 吊り戸棚を設けない場合は収納量確保のための工夫が必要
ペニンシュラ型キッチンはどんな人に向いている?
出入口が1カ所のペニンシュラ型のキッチンは、開放感がありつつ、キッチンの空間としての独立性も感じられます。キッチンは「どちらかというとオープンな方がいい」という人に向いていると言えます。
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アイランド型キッチンとは?特徴やメリット、デメリット、どんな人に向いている?
アイランド型キッチンは、壁に接していないキッチンのタイプのこと。食器棚や冷蔵庫はキッチンの背面に置かれることが多いのはペニンシュラ型キッチンと同様です。
「アイランド型は出入口が2カ所あるため、複数人での料理がしやすい点が特徴です」
例えば、シンクで食材を洗っている人がいるときに、後ろを通らずにキッチン内に入ってコンロの前に立てるなど、複数の人がスムーズに動くことができます。

- 出入口が2カ所あり、回遊動線になるため人の行き来がスムーズ
- キッチンに出入りしやすく子どもも調理に参加しやすい
- 車椅子を使用する際、行き止まりがないためスムーズに動ける
- 吊り戸棚を設けない場合は収納量確保のための工夫が必要
- 壁から離して設置して通路幅を確保する分、広めの床面積が必要になる
アイランド型キッチンはどんな人に向いている?
複数の人がスムーズに動けるアイランド型キッチン。料理をつくりながら家族と会話をしたり、客を招いて「つくる」「食べる」を楽しむなど、キッチンがLDKの中心的な場となるライフスタイルの人に向いています。バリアフリーにしたい人にも向いています。
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U型(コの字型)キッチンとは?特徴やメリット、デメリット、どんな人に向いている?
U型(コの字型)キッチンは、シンクやコンロ、作業スペースがキッチンの中央を囲むようにU字(コの字)型にレイアウトされたタイプです。体の向きを変えるだけで、切る、洗う、加熱するといった動作に移れるため、家事の効率が良い点が特徴です。

- 囲まれているため独立感があり落ち着いたスペースになる
- キッチンに高級感が生まれる
- 料理中の動きがスムーズ
- 設置するには広めのスペースが必要になる
- L字型になった奥のスペースがデッドスペースになりがち
U型キッチンはどんな人に向いている?
キッチンに立ったときにカウンターやシンク、コンロで三方を囲まれているため、オープン型の場合でも独立感があります。そのため、料理に集中したい人に向いているタイプです。また、LDKの広さにゆとりのある家でリフォームをする場合も向いています。
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使いやすいキッチンの種類は?重視したいポイントから考えよう
キッチンの種類はさまざま。オープン型にするか独立型にするか、壁付け型がいいのか対面型がいいのか。そして、キッチンの形はどのタイプがいいのか。いろいろあって迷ってしまいますが、選択肢が多いということは、自分にぴったりのキッチンに出合いやすいということ。自分が何を重視するのかを考えながら、キッチンリフォーム、リノベーションのイメージを固めていきましょう。
重視したいポイント別に考える、相性の良いキッチンの種類
・家族で料理をしたい
複数人で料理がしやすいII型やアイランド型が、家族でキッチンを使いやすいタイプです。
・来客が多く、食事を大勢で楽しみたい
つくる人も食べる人も、コミュニケーションをしながら食事を楽しむのなら、オープン型のキッチン。なかでも、II型やアイランド型はみんなでつくる際もスムーズ。人と人の距離感を縮めやすいのは、キッチンカウンターがフルフラットなタイプがいいでしょう。
なお、来客は多いけれど、料理をしているとこはあまり見せたくない、つくるのは一人で、という場合は、独立型のキッチンや、ほどよくキッチン内を隠せるペニンシュラ型、独立感のあるU型キッチンが向いています。
・パンやお菓子をつくるのが趣味
生地を伸ばす、成形するなど、パンづくりやお菓子づくりには、広い作業スペースが必要です。II型のキッチンのほか、壁付け型のキッチンにアイランドタイプの作業台を組み合わせたり、ダイニングテーブルを作業スペースに使ったりも一つの方法です。
・料理はできるだけ短時間で済ませたい
シンクとコンロの距離が短く調理の効率がいいのはII型やL型、U型のキッチン。独立型のキッチンや壁付け型も料理に集中しやすく短時間での調理につながります。
・キッチンの収納スペースや家電の置き場所を多く確保したい
壁面が多い独立型のキッチンは食器棚や家電を置くカウンターを確保しやすいタイプです。対面型も背面の壁に収納を設置すれば容量の確保がしやすくなります。II型キッチンもワークトップに食器棚やカウンターを設置しやすいタイプと言えます。
・リノベーションを機にリビング・ダイニングスペースをできるだけ広くしたい
オープンで壁付け型のキッチンならキッチンとダイニングを共用でき、リビング・ダイニングを広くとることができます。また、ペニンシュラ型もテーブルとの接続方法の工夫で、リビングを広くとるようにすることも可能です。
自分にとって使いやすいキッチンは、ほかにもさまざまな選択肢があります。何を重視したキッチンにしたいのか、それを実現するためにはどんなプランが向いているのか、家族で話し合いながら選んでいくのがおすすめです。
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キッチンをリフォームする際に気をつけたいことは?
キッチンのタイプの変更や位置の移動には制約がある
リフォームでキッチンを新しくする際、サイズや形が同じタイプに交換する場合はスムーズです。しかし、壁付け型のI型キッチンをL型キッチンやII型キッチン、アイランド型キッチンなどに変更する場合は、これまでキッチンスペースとして使っていた面積よりも、広いスペースが必要になります。その分、リビングやダイニングが狭くなりますから、LDKの床面積にあまりゆとりのない場合は要注意です。
また、マンションの場合、キッチンを移動する際には床下の排水管から共用排水管へ水が流れるための勾配が必要になります。床下に十分な高さの空間がなく勾配がとれない場合は、キッチンの移動ができない、または、床を上げる工事を行うなどの必要が出てくるなど制約があります。また、管理規約で水回りの位置の移動が制限されているケースもあります。
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キッチンのデザイン性や照明プランにも注目
最近のキッチンは、インテリアとしてもおしゃれなデザインのものが増えています。
「キッチンカウンターの天板が薄く、軽やかな印象のものが多くなっているので、キッチンを選ぶ際には、カウンターのエッジの薄さや素材などデザイン面にもぜひ注目してください。また、キッチンがオープンな空間になっているので照明も重要です。昔は吊り戸棚の下に手元を照らすための蛍光灯が付いていたりしましたが、今はペンダントタイプの小さな照明器具が天井から下げられたりしています。照明プランにも注目してリフォームをすると、よりいいキッチンになると思います」

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ショールーム見学で使いやすくイメージに合うキッチンに出合おう
写真や動画ではわからない使い勝手を確認
リフォームのプランを決める前に、キッチンのショールームへ出かけることで自分に合ったキッチンを選びやすくなります。
「実際の使い勝手は、写真や動画ではわからないもの。そのキッチンが自分に合っているものなのか、付いている機能は本当に必要なのかを確認することが重要です。ショールームでは、自分がこだわる部分をぜひチェックしてください。例えば引き出し収納の中にしまいたいものが入るか、排水口の掃除はしやすいか。ショールームにはお鍋やお皿も用意されていますから、それを使ってエアクッキングをしてみるのもおすすめです。キッチンは長く使うものですからお手入れのしやすさ、カウンターの手触りなども確かめるといいと思います」
プランニングのスタート前でも見学はOK
キッチンなど住宅設備のショールームへの見学は、具体的なリフォームプランが決まる前でも役に立ちます。
「リフォームを考えたら、まずはショールームへ行ってみることをおすすめします。今、どんな商品やプランが人気なのかが見えてきます。新商品をチェックしたり、イメージをふくらませたりすることで、リフォームを具体的に考えやすくなります。キッチンの価格の相場もわかります」
リフォームの内容や依頼するリフォーム会社が決まっていなくても、リフォームを検討中ですと受付で伝えれば見学することはできます。ただし、商品についての説明を希望するなら事前に予約をして行くようにしましょう。
キッチンは間取りやレイアウト、形状などさまざまな種類があります。リフォームでキッチンを変更するなら、自分にとって使いやすいキッチンを選びましょう。そのためには、自分がキッチンに重視することは何かを考え、ショールームで実物を見ながらイメージすることが大切です。
取材協力/Yuuさん(本名:尾間紫
構成・取材・文/田方みき
イラスト/土田菜摘
システムキッチンメーカー10社の人気商品とリフォーム価格を徹底比較!実例紹介も!
広告制作プロダクション勤務後、フリーランスのコピーライターに。現在は主に、住宅ローンや税金など住宅にかかわるお金や、住まいづくりのノウハウについての取材、記事制作・書籍編集にたずさわる。