独特の風合いが人気のモルタルの床。リフォームで取り入れてみたいものの、メリット・デメリットや費用の相場など、どんなものか分からず決断しにくい……。
そんな人は、この記事でのインプットがオススメ。モルタルの床について、リフォーム会社のアートリフォームの谷口直也さんに教えていただきました。
床リフォームの工法と費用相場。無垢材・複合フローリング・カーペット・タイル・畳を張り替え

記事の目次
モルタルとは
モルタルは、セメントをベースとした建築材料です。セメントに砂と水を混ぜてつくります。なめらかで加工性が高いため、仕上げ材として使われることが多いものです。
一方、同じくセメントをベースにしているコンクリートは、セメントに砂と水と砂利などの骨材を混ぜた建築材料です。骨材が混ざることで強度が高いことから、建物の構造材に使うことが多いです。粘性が高いため、加工の自由度は低くなります。
見た目が似ているモルタルとセメントですが、内装リフォームで活躍するのは、モルタルなのです。
| 材料 | 主な使われ方 | |
|---|---|---|
| モルタル | セメント+砂+水 | 外装・内装の仕上げ材 |
| コンクリート | セメント+砂+水+骨材(砂利など) | 躯体などの構造材 |
モルタルの床はどこに使う?
モルタルの床がよく使われるのは、玄関や土間、リビングの一角に設けたインナーテラスといった、外と内の間にあたるような部分です。最近だと、玄関から靴のまま直接入れる、廊下兼収納といった感じのパントリーなどの床に使われることもあります。
「住宅では少ないものの、店舗では天井や壁の仕上げ材として使われることもあります。加工がしやすい特性があるため、洗面化粧台などの造作に使われることも多いです」(谷口さん、以下同)

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モルタルの床のメリットは?
床の内装材としてよく使われるモルタルの、優れている点を確認していきましょう。
デザイン性が高い
無彩色のモルタル。その印象は、都会的、スタイリッシュ、クール、未来っぽさ、ミニマリスト、インダストリアル、無骨といった無機質系のおしゃれな雰囲気を持つものが多いと思います。一方で、
「モルタルは植物や木材など温かみのある素材、真鍮などの金属など、組み合わせた異素材を引き立てることも得意です」
また、モルタル自体はプレーンなため、エキゾチックやオリエンタルといった個性の強いインテリアにも合わせやすく、汎用性が高い使い勝手の良い素材といえます。

仕上げの自由度が高い
モルタルはなめらかな左官素材なので、加工のしやすさが魅力のひとつです。形が決まっている建築材料は、敷き詰める床の広さや形により無駄が出てしまいますが、モルタルは、必要な分だけ用意して塗っていくため無駄になりにくく、曲線などにも対応しやすいという特徴があります。
表面をツルっと冷たい感じに仕上げたり、コテやハケを使ってあえてムラやスジをつけて手作業のぬくもり感を残したりとさまざまなデザインを楽しむことも可能です。表面に手仕事の跡があると、光の加減で陰影ができるので、無機質な床に表情が生まれます。あえて水分量を抑えてて乾燥した感じにする、といった仕上げ方も可能です。
「特に、ほかの素材にはないモルタルならではの魅力としては、壁や床一面全体をひとつづきのシームレスな仕上がりにできることといえるかもしれません」
また、モルタルの加工のしやすさを活かし、リフォームの記念に家族の名前や手形を残したり、「welcome」などのメッセージを入れたりすることも可能です。石やタイル、ビー玉などを使って、「わが家らしさ」を楽しんだりすることもできます。モルタルは自由度の高い素材なので、リフォーム会社にやりたいことを相談してみるとよいでしょう。

お手入れがラク
モルタルの床は表面がなめらかで固いため、掃除や手入れは簡単です。ただし、水を通しにくいだけで、基本的には水を吸収する素材であるため、加工せずに水の多い場所で使うと、変色や黒ずみが出てしまいます。
「水まわりなどで使用するためには、撥水加工や防水のための塗装を施します。耐水性向上の処理をすれば、丈夫な上に水に強くなるため、汚れが付きにくく、ブラシでゴシゴシ水洗いもできるようになります。」
土間など、半分外のような使い方をする場所では、メンテナンスの楽さが大きなメリットになるでしょう。
耐火性がある
モルタルは、建築基準法の防火材料の中でも、最も高い性能である「不燃材料」に認められている素材です。そのため、薪ストーブを配置する土間やテラスの床をモルタルで仕上げるのは理にかなった使い方といえます。
モルタルの床の実例紹介。おしゃれなインテリアのベースに
モルタルの床に興味をもったきっかけは、すてきな施工実例に出合ったから、という人は多いのではないでしょうか。モルタル床は、カフェやショップのようなおしゃれなインテリアスタイルのベースにもってこいです。
玄関やテラスなど、外と同じように使う場所に採用されることが多いですが、リビングなど部屋全体に採用する場合もあります。
実例を見てみましょう。
アウトドアの基地になるモルタルの土間
近年注目されているプランに、広めの玄関土間があります。コンパクトになりがちな住宅事情から、2WAY、3WAYとフレキシブルに空間を使うスタイルにマッチします。広めの土間は、玄関として以外にも、収納や作業場といった形で重宝するでしょう。子どもにとっては天候を気にせず外と同じように遊べる場所になります。
趣味のアウトドアグッズのメンテナンスや植物の世話といった、外のものを扱う空間の床には、汚れても簡単にキレイにできるモルタルの床は重宝します。

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リビング全面に敷いたモルタル床
インテリアの中で、大きな面積を占める床は、空間の印象を決めるキーのひとつ。モルタルの床は、シンプルさやシャープさなど、スッキリとした雰囲気が好みであれば、なめらかで光沢が出るような仕上げ方を、モルタル自体の存在感をあげて雰囲気を出したいなら、手仕事がうかがえるざっくりした仕上げ方を相談するとよさそうです。
また、無機質なモルタルのグレーの中では、色や素材の質感が際立ちます。例えば、モルタル床の部屋にウッディな家具や雑貨を多めに配置すれば、木質の温かみが強調されてナチュラルな雰囲気をつくれます。
モルタルの床でつくれる雰囲気は意外にたくさんあるので、単に「モルタル床がすてきだと思う」と伝えるだけではイメージが共有しにくいことも。プランナーと相談の際には、写真などを見ながら好みのスタイルを共有していくのがオススメです。


モルタルを使った造作
加工性が高いモルタルは、床以外に使っても有能な建築材料。防水加工を施して洗面化粧台やキッチンを造作したり、壁付けのベンチを造作したりすることも可能です。強度があるため、重さがかかる部分の造作にはうってつけです。


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モルタル床のデメリットは?
おしゃれな雰囲気になり、加工しやすいモルタルですが、デメリットもあります。事前に知った上で選べるようにしましょう。
ひび割れしやすい
モルタルは経年劣化によりひびが入りやすい素材です。主な原因は、モルタル自体の乾燥による収縮や建物の揺れです。建物は常時細かな振動をキャッチしているため、大きな地震がなくてもひびが入ることがあります。
細かいひびであれば、補修材を使ってDIYでメンテナンスすることも可能です。あまり神経質にならず“ひびは入るもの”とゆったり構えられる人に向く素材かもしれません。
もしひびが気になってモルタルの導入を迷う場合は、ひび割れがしにくい加工について事前に相談してみましょう。
冬場は冷たい
モルタルの床は、夏はひんやりとして気持ちいいのはメリットといえるかもしれませんが、冬はかなり冷たく感じます。玄関のように短時間使う場所なら問題ありませんが、リビングのように長く過ごす場所の場合は、断熱対策をしっかり取り入れましょう。
床暖房は、施工可能なタイプもありますが、リフォーム会社によっては扱いがないケースもあるので事前に相談を。暖房器具としては薪ストーブとの相性は良いでしょう。

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技術で仕上がりに差が出る
モルタルは左官材のため、職人の腕で仕上がりに差が出ます。そのため、モルタルの事例を多く取り扱っているなど扱いに慣れた会社に依頼するのがオススメです。
音が響きやすい
硬い素材であるモルタルは、音が響きやすくなります。金属など硬いものでまとめたシンプルなインテリアの場合は、気になることも。インテリアにカーテンやソファなど布製品の家具が多ければ音を吸収してくれるので、あまり気になりません。
集合住宅でたびたび問題になる階下へ響く足音やドアの開閉音については、床下の工事次第。遮音材で対策してあれば、モルタルだから問題になるということはありません。
「ただし、マンションの場合は、規約で床材の遮音等級の制限を設けていることが多いです。特に遮音材を入れられない直床の場合は、モルタルの使用ができません。事前にマンションの管理規約や使用細則を確認しておく必要があります」

マンションリフォームの費用相場。注意点やおしゃれな実例を紹介!
硬く滑りやすい
モルタルの床は硬く、転ぶと危険です。小さな子どもや高齢者がいる家庭には不向きな素材です。
モルタル床のリフォーム費用相場
モルタルの床を選んだ場合、ほかの建築材料に比べてリフォーム費用はどうなのでしょうか?一般的なリビングの広さ13~14畳の想定で目安を教えてもらいました。
| 建築素材 | リフォーム費用相場 | 工期目安 |
|---|---|---|
| モルタル | 30万円~ | 2日 |
| フローリング材 | 20万円~30万円 | 2日 |
| タイル | 40万円~ | 3~5日 |
| フロアタイル | 15万円~ | 1日 |
| クッションフロア | 10万円~ | 1日 |
モルタルやタイルの施工には、専門の職人が必要です。対して、フローリング材や塩化ビニール素材のフロアタイルは、ほかの部分を担当する内装の職人が施工します。そのため、人件費や工期の面で費用が抑えやすくなります。
「おしゃれで人気のモルタルですが、モルタルに近い見た目になるグレーのフロアタイルがあります。モルタルは材料が重く、搬入が大変なので工期に影響する場合があります。また、左官職人の絶対数が少ないことが費用に影響することもあります。そのため、おしゃれに仕上がり、気軽に取り入れやすいモルタル調のフロアタイルは人気があります」
進化系の薄塗りモルタル(マイクロセメント)に注目
モルタルの一種で、樹脂が混ざっている製品もあります。例えば、代表的な製品である「MORTEX(R)」(モールテックス(R))は、樹脂を少量含みながらも鉱物成分を主体としています。
普通のモルタルよりも接着性と柔軟性があり、以下の点で優れています。
- 薄く塗ることができる
- 水滴を通過させない
- ひび割れしない(硬化時の収縮による)
また、顔料を混ぜてさまざまな色をつくることができるので、デザインの自由度も高い素材です。「Wax Concrete」と呼ばれる光沢のある表面に仕上がりますが、塗り方でエイジングしたような風合いを出すことも可能です。
薄く塗れるので、キッチンカウンターや洗面化粧台などの設備の仕上げ材のほか、テーブルなどの家具、床、壁、屋外など、さまざまな場所に施工することが可能です。
なお、薄塗りモルタルは施工に技術がいるため、扱いに慣れた会社を選ぶことが大切です。

まとめ
この記事では、モルタルの床のメリットやデメリット、リフォーム費用の目安などをお伝えしてきました。おしゃれな空間がつくれると注目を集めるモルタルは、経年で起こるひび割れを“味”として楽しめる人に向いた素材ですが、ひびが気になる人もぜひ進化系のモルタルでおしゃれな空間づくりを楽しんでみてください。
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構成・取材・文/竹入はるな