低炭素住宅とは、住宅の断熱性能などを高めるとともに、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入などによって、住生活による二酸化炭素の排出を抑える住宅。
ZEH水準適合住宅(ZEH水準住宅・ZEH住宅)や省エネ基準適合住宅など、ほかの省エネ住宅とどこが違うのか?また、低炭素住宅が優遇される住宅ローンや、減税制度、補助金制度も紹介しよう。
低炭素住宅とは、CO2(二酸化炭素)排出を抑制するための対策が取られているとして、都道府県または市(区)の認定を受けた住宅のこと(認定低炭素住宅という)。都市の低炭素化を促進して、低炭素・循環型社会の構築を図ることを目的に、2012年12月に低炭素住宅の認定制度がスタートした。
ZEH(ゼッチ)とは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称。
「住宅の断熱性能や省エネ性能などの大幅な向上」と「太陽エネルギーなどの導入」により、空調や給湯、照明、換気などの消費エネルギー(一次エネルギー消費量)が正味ゼロまたはマイナスとなる住宅のこと。断熱性能や一次エネルギー消費量の削減量について一定基準を満たすほか、再生可能エネルギーの導入などの要件がある。
省エネ基準適合住宅は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」に定められた「省エネ基準」に適合する住宅のこと。外皮(住宅の外壁や屋根・窓など)の断熱等性能基準と一次エネルギー消費量基準の2基準がある。
建築物省エネ法の改正により、2021年4月から建築士に対し「一戸建て住宅等の設計の際、省エネ基準への適否を建築主に説明すること」が義務付けられた。このため注文住宅の建築はもちろん、新築住宅の購入でも省エネ基準適合住宅かどうかが確認しやすくなっている。
2025年4月から建築基準法の省エネ基準が引き上げられ、「省エネ住宅(省エネ基準適合住宅)」が一般的な住宅になる。さらに、その5年後の2030年には、建築基準法の省エネ基準は「ZEH水準」まで引き上げられる予定だ。
認定低炭素住宅やZEH水準住宅、省エネ基準住宅などについて詳しく
低炭素住宅に認定されると住宅に関する税制の優遇が受けられる。特に優遇幅が大きいのが「住宅ローン控除」。
一般住宅(省エネ基準適合住宅)の最大控除額273万円に対して、認定住宅は455万円と182万円も高く設定されている。
また、2022年度からは、認定低炭素住宅のほか「ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」も住宅ローン控除の優遇措置の対象となった。これから家を買うなら、両住宅も選択肢の一つになりそうだ。
住宅ローンを利用せず認定住宅を購入する場合などには、所得税から最大65万円が控除される「投資型減税制度(認定住宅等新築等特別税額控除)」が利用できる(※)。
このほか、家屋の登記にかかる登録免許税の税率が、以下のように引き下げられる(2027年3月31日までに取得)。
住宅ローンについては、長期固定金利型の【フラット35】が、認定低炭素住宅など一定基準を満たす住宅を対象にした「【フラット35】S(金利Aプラン)」を用意している。このローンは、当初5年の間、【フラット35】の基準金利より年0.5%金利が引き下げられるメリットがある。
※ 取得した住宅に2025年12月31日までに入居する場合
低炭素住宅に認定された住宅(認定低炭素住宅)は、「子育てエコホーム支援事業」「地域型住宅グリーン化事業」など、国の補助金の対象になる。また、東京都や横浜市など、一定の水準を満たす省エネ住宅の購入・新築やリフォームに対する補助金制度のある自治体もある。住まいのある自治体の制度もチェックしておこう。
【2024年度版最新】住宅購入や建築の住宅補助金、減税、住宅ローン補助制度
「グリーン住宅ポイント制度」は、一定の省エネ性能をもつリフォーム等をした場合、商品や追加工事と交換できるポイントがもらえる制度。新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ経済回復策の一つとして導入された。
対象は、2020年12月15日~2021年10月31日に契約した、一定の省エネ性能を持つ「新築住宅購入・住宅の新築・中古住宅購入+リフォーム・自宅のリフォーム」など。申請受付は2021年12月15日で終了している。
「次世代住宅ポイント制度」は、「環境」「安全・安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革」に資する住宅の新築・リフォームが対象の制度。税率10%で一定の性能を有する住宅を取得した人が、さまざまな商品と交換できるポイントがもらえる。申請受付は2020年8月31日で終了している。