三重県志摩市とヤバTとの“癒着”のひみつ「バンドマン連れて、来週も志摩に行く予定です」

取材・構成: 生湯葉シホ 編集: 小沢あや(ピース株式会社) 撮影: 武石早代

メジャーデビュー10周年イヤー爆走中のロックバンド・ヤバイTシャツ屋さん。2024年からは3年連続で「志摩スペイン村」を貸し切ったワンマンライブ・フェスを開催し、大成功を収めています。
今年1月には志摩市観光大使にも就任。プライベートでも志摩市を頻繁に訪れるというメンバーのこやまたくやさん・ありぼぼさん・もりもりもとさんの3人に、志摩スペイン村でのライブの思い出や志摩のお気に入りスポットについて、たっぷりお話を伺いました。

幼少期からの「志摩スペイン村」愛が実り、志摩市観光大使に

―― ヤバTのみなさんは今年、志摩市観光大使に就任されました。どんな経緯だったのでしょう?

こやまたくやさん(以下、こやま):僕ら2024年から3年連続で、志摩スペイン村を貸し切ってライブをさせてもらってるんですよ。そのライブの中の企画でラジオの公開収録をしたんですけど、ゲストに志摩市長がいらっしゃってて。話の流れでFM三重のアナウンサーの方が「ヤバイTシャツ屋さん、志摩の観光大使なんてどうですか?」と振ってくれて、志摩市長も「ぜひやってほしいです!」って言ってくださったんですよね。

ありぼぼさん(以下、ありぼぼ):そのときはまあ、話の流れでって感じだったよな?

こやま:だからほんまに任命していただけるとは思ってなかったんですけど、ちゃんとその後、正式に話をいただいて。志摩市の観光大使、いつかやりたいとはずっと言ってたんですけど、こんなに早く実現するとは思ってなかったですね。

―― こやまさんは幼少期から志摩スペイン村に足繁く通っていたとか。

こやま:スペイン村、大好きなんですよ。小学生の頃は夏休みになるたびに親に連れられて行ってたから、園内のキャラクターと一緒に撮った写真とかも実家にたくさんあるし。僕が子どもの頃は「アドベンチャーラグーン」っていう伝説のアトラクションがあって、これがめっちゃ好きで何回も乗ってましたね。湖の上を船がぐるっと一周して、最後は急流滑りみたいになるっていう、めちゃくちゃおもしろい乗り物で。いまでもファンは多いと思います。あれ復活してほしいなあ。

で、中学生、高校生になると今度は友達みんなでスペイン村に行くようになり、最終的にはヤバTのメンバーと一緒に行くようになって。

―― 「CDの特典映像収録のために志摩スペイン村に行きたい」という理由から、8thシングルは『スペインのひみつ』というタイトルにされたんですよね。

こやま:そう、ユニバーサルのお金で行きたいわと思って(笑)。でも関西圏の人からしたらスペイン村って修学旅行とかでも行くし、馴染み深い場所なんちゃうかなと思います。

ありぼぼ:私も小さい頃に何度か遊びに行ったんですけど、並ばないでアトラクションに乗れるからすごい快適やなって思ってましたね。あと、関西に住んでるとテレビでスペイン村のCMソング(『きっとパルケエスパーニャ』)がほんまにしょっちゅう流れるから、その印象も強くて。

こやま:関西の子どもは全員歌えるからな。ドラえもんのアニメが始まる前とかにめっちゃCM流れてた記憶がある。

―― こやまさん、ありぼぼさんは関西出身ですもんね。もりもりもとさんは静岡・浜松出身ですが、志摩スペイン村に行ったことはありましたか?

もりもりもとさん(以下、もりもと):浜松出身だと「浜名湖パルパル」っていう、また別の遊園地のCMソングを聞いて育つんですよ(笑)。だからスペイン村はずっと行ったことがなくて、2019年にメンバーとCDの特典映像収録のロケで行ったときが初めてでした。でも、一回行っただけで志摩が大好きになりましたね。園内は楽しいし、何を食べてもおいしいし。

そのときにスペイン村の村長(社長)さんたちとお話しする機会があって、「ここでライブがやりたいです」という僕らの思いを伝えさせてもらって。そこから癒着が始まり、2020年はコロナ禍の影響で開催できませんでしたが、2024年からは実際に毎年ライブをさせてもらっているっていう、本当にうれしい状況ですね。

コロナ禍でのライブ延期を経て、志摩が「約束の地」になっていった

―― 当時、「志摩スペイン村でライブがしたい」と思ったのはなぜだったんですか?

ありぼぼ:最初はもう、シンプルに興味だけだったと思うんです。自分たちがスペイン村大好きだから、「ここでライブしてみたいな、したらどうなるんやろ?」くらいの感じで。

こやま:ほんまに軽い気持ちやったもんな、当時は。でも、本当なら2020年の3月に開催予定だったスペイン村でのライブが延期になってしまって。

―― コロナ禍で延期になり、ようやくリベンジ公演が実現したのが2024年だったわけですね。

こやま:そうですね。コロナ前ってやっぱりバンドシーン全体が元気やったから、ライブのチケットも基本、即完売してたんですよ。でもコロナ禍になってからは一気にライブの動員も色々な面で難しくなって、公演中止から4年が経って、改めてスペイン村で2日間のワンマンをやろうとなったときに、ライブ2週間前になっても2日目の公演のチケットがまだ売れ残ってる状態やったんです。

こやま:やっぱり志摩って関東圏からはちょっと遠いから、お客さんはみんな「ライブが終わったあと帰れないんじゃないか」って言ってて。でも僕らは「ライブは17時に終わるんで、絶対帰れます!」って宣伝しまくって(笑)。テレビに出させてもらったときも「チケットまだ1600枚残ってるんです!」ってわざわざ言ったりもして。それでなんとか売り切れたんですけど、「これを売り切らないと次のスペイン村のライブができひん」っていう不安はありましたね。

ありぼぼ:でもいま思うと、2020年にそのままライブが開催されてたら、単発企画で終わってたかもしれないなって。延期になったライブをいつか絶対に成功させたいっていう思いがあったから、年月を経るごとに私たちの気持ちもお客さんたちの気持ちもどんどん盛り上がっていって、志摩が「約束の地」みたいになっていったんやと思います。

こやま:距離はあるけど、一度ライブに来てくれた人たちは、ここでやる意味があるってことをみんなわかってくれたんやと思うんですよね。

ワンマンライブが去年からは1日はフェスっていう形になって、出演者も増えたし、コラボグルメやコラボアトラクションも増えたから、志摩に来てくれる人たちもぐっと多くなって。今年に関しては、「人が多すぎて回るのが大変です」って言われたんですよ。1年目はあんなにチケット売れへんかったのに(笑)。いや、ほんまにありがたいですね。

ありぼぼ:来てくれた人たちがみんな忙しそうにしてるのがうれしいですね、私は。「1日じゃ足りひん!」って、前乗りして志摩に来てくれる人も増えて。

もりもと:僕らもスペイン村でのライブのときはいつも前乗りして、アトラクションに乗ったりして園内で遊ぶんです。子どもたちと写真を撮ったり、スペイン村のキャラクターみたいに手を振ったりして過ごすあの時間は、本当に夢みたいに幸せな時間ですね。

バンドマンと行く、定番の伊勢・志摩・鳥羽の旅行プラン

―― 伊勢志摩エリアには、プライベートで訪れることもありますか?

ありぼぼ:最近は撮影でもよく行ってるし、プライベートでもみんな遊びに行ってるよな?

こやま:僕、来週も行く予定です。バンドマンを連れて。普段はドラマチックアラスカや超能力戦士ドリアンなど、友達のバンドマンと一緒に行くことが多いんですけど、今後はもっといろんな人たちを連れて行きたいですね。

子どもの頃はスペイン村だけやったけど、大人になってからは志摩のいろんなとこに行くようになりました。志摩の人がほんまにみんなやさしいから、行くたびに感動してます。

―― バンドマンのみなさんと旅行するときは、どんなルートで観光するんですか?

こやま:1日目はとりあえず、スペイン村に行きますよね。で、敷地内にある「ひまわりの湯」っていう温泉に入るんですよ。ここがサウナもついてて、露天風呂の景色も最高で。

ありぼぼ:ひまわりの湯はほんまに最高! あそこ、中でお土産の入浴剤も買えるんですよ。うちの入浴剤、最近ずっとひまわりの湯やな。

こやま:で、温泉で汗を流したら、夜はスペイン村のホテルの中のレストランで食事して。スペイン村ってパエリアのイメージが強いからみんなそっちに気を取られがちなんですけど、和食もめちゃくちゃうまい! 和食も洋食もどっちも、三重の海の幸が最高なんですよ。伊勢湾産の伊勢海老とか、三重の郷土料理の「てこね寿司」(タレに漬け込んだ赤身魚ののったちらし寿司)とかも食べられるし。

志摩に泊まった翌日は、伊勢・鳥羽まで足を延ばしますね。伊勢のおかげ横丁で食べ歩きをしたり、鳥羽水族館に行ったり。電車で行くなら「まわりゃんせ」っていう伊勢・志摩・鳥羽をお得に巡れる乗り放題パスポートがあるので、それを持ってると鳥羽水族館にもスペイン村にも入れます。4日間使えるので、ほんまにおすすめです。

―― お得な情報まで、ありがとうございます。さすが志摩市観光大使です。

こやま:で、最終的には鵜方駅近くの「小粋」っていう日本料理屋さんにみんなで行く。

ありぼぼ:小粋、めちゃくちゃうまいよな。実はこの前もメンバー3人で行ったんです。やっぱり三重って海鮮が最高で。ここは志摩市のブランド牡蠣の「的矢かき」が食べられるんですけど、牡蠣がとんでもなくでっかくて。

こやま:タコもめっちゃでかいよな。この間もみんなでタコ食い尽くしたな。

ありぼぼ:うまかった~。私、シメの明太巻きも好き。

こやま:最後は小粋でたらふくご飯を食べて帰る。これがいつもの定番ルートですね。

クラフトビール、鰻、伊勢うどん……伊勢志摩の絶品グルメ

―― ほかにも、志摩でおすすめのお店やお気に入りのスポットは?

もりもと:クラフトビールの醸造所の「志摩醸造」も最近よく行きます。ここは僕らのコラボビールも造らせてもらったところなんですけど、醸造所に併設されているお店(「Craft Beer Stand SHIMA」)では造りたてのビールがサーバーから飲めて。

ありぼぼ:めっちゃおいしかったよね!

もりもと:あと、鰻屋さんもうまかったですよね? 鰻もでっかいけど、大盛りにするとご飯もとんでもなくボリューミーで。

ありぼぼ:炭火焼きの鰻が食べられる「東山物産」ね。

こやま:うわ~、鰻食べたなってきた! あと、鵜方駅近くの「うがたファミリープラザ」の中に入ってる「杉の子」も大好き。杉の子、メニューに伊勢うどんがあるんですけど、ふつうの伊勢うどんのほかに「焼き伊勢うどん」も選べるんですよ。あれがめちゃくちゃうまかった。

ありぼぼ:あと、旅行で来たときは伊勢まで足を延ばして「豚捨」に行きました。ここは精肉屋さんがやってるお店で、ランチで牛丼とコロッケを食べたんですけど、コロッケがとにかくおいしかった! 伊勢だと、「焼鳥にかわ」の焼き鳥もめちゃくちゃ好きですね。

―― みなさん、伊勢志摩のグルメを堪能されているんですね。

こやま:どこに行ってもうまいし、あと、お店の人がやさしいねんな。みんな歓迎してくれはるよな?

ありぼぼ:本当に。フェスの時期なんか特にいっぱい人が来て大変やろうに、「いまファンの人たちが来て、伊勢うどん売り切れたわ~」ってみんなうれしそうに言ってくれる。やさしい人ばっかりですね。

志摩が「毎年帰れる場所」になる人を、ひとりでも増やしたい

―― ここまでいろいろ伺いましたが、あえてひと言で伝えるとしたら、志摩の魅力はどんなところでしょうか?

こやま:いま言ったことそのままやけど、一番は人のよさですかね。何回も行ってるのに、志摩で嫌な気持ちになったことって1回もないもんな。

ありぼぼ:うん。志摩の人たちって本当にみんなやさしいんですけど、その人柄をつくってるのってやっぱりあの空気なんかなって思います。空気が澄んでてめちゃくちゃ綺麗だから、それも心の余裕につながってるのかもって。
バンドが急にフェスを開催し始めたら何か言われるんじゃないかって、私たちも最初は思ってたんです。でもまったくそんなことなくて、志摩のみなさん、本当に大歓迎してくれてるんですよ。フェスの時期になるといろんなお店がヤバTの曲流してくれはったりして、そういうのが本当にうれしいですよね。

こやま:そうそうそう。あったかいですよね。だからお客さんはお客さんで、志摩に行ったらぜひどんどん観光して、経済を回してほしい。

―― 今後、ヤバTのみなさんが志摩で実現させたいことはありますか?

ありぼぼ:今回は志摩醸造さんとビールを造らせてもらったりしたので、そういうコラボがどんどん広がっていったらうれしいですね。グルメに限らず、志摩の名産品とか、いろんなものをPRしたい。

もりもと:僕、地元のお店にポスターを貼りに行きたいんですよね。やっぱり地元の方にももっとフェスに来てほしくて。
あと、志摩で個人的に行ってみたいのが「志摩グリーンアドベンチャー」。ここ、まだ行けてないんですけど、近いうちに絶対に行こうと思ってます。志摩市ってほぼ全域が「伊勢志摩国立公園」に含まれているくらい自然豊かなところなんですけど、ここはいろんなアトラクションやグランピングが楽しめる場所だと聞いてるので、志摩の自然が堪能できそうだなって。

ありぼぼ:ここもどうせなら、ユニバーサルのお金で行きたいですよね(笑)。うちらがまたCDの特典映像で行ったら、お客さんもきっと足を運んでくれると思うから。

―― では、次のシングルは『グリーンアドベンチャーのひみつ』に……。

ありぼぼ:こやまさんが小さい頃スペイン村に家族で毎年行ってたみたいに、志摩のことを「毎年帰れる場所」って思ってくれる人がひとりでも増えたらうれしいよな。私たちのフェスがその理由のひとつになれたらいいなって思います。

お話を伺った人:ヤバイTシャツ屋さん

ギター・ボーカルのこやまたくや、ベース・ボーカルのありぼぼ、ドラムス・コーラスのもりもりもとによる3ピースロックバンド。2013年、大阪芸術大学のサークル仲間で結成され、2016年にメジャーデビューを果たし、現在メジャーデビュー10周年イヤー中。

編集:小沢あや(ピース)