住宅性能表示制度とは、新築・中古住宅の性能を専門家が評価して、分かりやすく表示する制度のこと。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、国に登録した専門機関の評価員が、共通の評価方法で性能を確認する。評価結果は等級や数値などで分かりやすく表示され、住宅性能を比較するときの指標の一つとなっている。
<住宅性能評価書>
評価の結果は住宅性能評価書として交付される。
●新築住宅
設計書などをもとに評価する「設計住宅性能評価書」と、建物の施工段階・完成段階の調査も行う「建設住宅性能評価書」がある(建設住宅性能評価は、設計住宅性能評価を受けた住宅のみ受けられる)。
●中古住宅
住宅の劣化状況などを専門家が目視等で評価し、「現況検査・評価書(建設住宅性能評価書)」が交付される。
<住宅性能評価の受け方・住宅性能評価付き住宅>
「住宅性能評価機関」として国に登録した専門機関に依頼する(新築一戸建ての場合10万円~20万円の費用がかかる)。
●建売住宅、注文住宅、中古住宅
購入者が不動産会社(売主)や建築会社等に相談したうえで、住宅性能評価を依頼することが多いが、不動産会社等が費用を負担して住宅性能評価を受け、「住宅性能評価書付き住宅」として販売するケースもある。
●マンション
新築マンションは、不動産会社が費用を負担して住宅性能評価を受け、「住宅性能評価書付き住宅」として販売する。なお、住宅性能表示制度は義務ではないため、住宅性能評価書がないマンションもある。この場合、購入者が独自で住宅性能評価を受けることはできない。中古マンションの場合も、事前に管理会社などに相談する必要がある。
<住宅性能評価を受けるメリット>
品確法に基づく住宅性能評価書(新築及び既存)を取得すると、地震保険料の割引が受けられる。また、住宅性能評価書(新築の場合は建設住宅性能評価書)が交付された住宅は、購入後にトラブルなどが生じたとき、国が指定する住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)に紛争処理を申請できる。紛争処理機関は裁判によらずあっせんや調停、仲裁を行う機関で、紛争処理の申請手数料は1件あたり1万円だ。
住宅性能表示制度で表示される住宅性能は、新築住宅の場合は以下の10分野。このうち、(1)と(3)(4)(5)の4分野については表示が必須な項目で、他の分野は売主などが任意に選択して表示できる。
【住宅性能表示制度の評価項目】
★=必須項目 無印=選択項目(評価のない物件もある)
(1)構造の安定(耐震性能など)★
…耐震等級(最高等級3)など
(2)火災時の安全(耐火性能など)
…耐火等級(最高等級3または4)など
(3)劣化の軽減(構造躯体の耐久性能など)★
…劣化対策等級(最高等級3)
(4)維持管理・更新への配慮(配管のメンテナンス性能など)★
…維持管理対策等級(最高等級3)など
(5)温熱環境(省エネルギー性能)★
…断熱等性能等級(一戸建て/最高等級7、マンション/最高等級5)など
(6)空気環境(化学物質の低減)
…ホルムアルデヒド発散等級(最高等級3)など
(7)光・視環境(日照、採光、通風など)
…単純開口率、方位別開口比
(8)音環境(遮音性能)
…重量床衝撃音対策等級(最高等級5)など
(9)高齢者等への配慮(バリアフリー性能)
…高齢者等配慮対策等級(最高等級5)
(10)防犯(防犯性能)
…開口部の侵入防止対策
中古住宅(既存住宅)では、建物の現況(不具合や劣化の有無など)が評価されるほか、「地震などに対する強さ」、「柱や土台などの耐久性」、「配管の清掃や取り替えのしやすさ、更新対策」、「省エネルギー対策」などの9分野が対象となる(すべて選択項目)。