住宅性能評価書とは。評価を受ける流れや評価されるメリットを解説/住まいのお金・制度のマニュアル#31

公開日 2023年07月26日
住宅性能評価書とは。評価を受ける流れや評価されるメリットを解説/住まいのお金・制度のマニュアル#31
住宅性能評価書とは。評価を受ける流れや評価されるメリットを解説/住まいのお金・制度のマニュアル#31

住宅の性能を専門家が評価し、分かりやすく表示する制度

住宅性能表示制度とは、新築・中古住宅の性能を専門家が評価して、分かりやすく表示する制度のこと。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、国に登録した専門機関の評価員が、共通の評価方法で性能を確認する。評価結果は等級や数値などで分かりやすく表示され、住宅性能を比較するときの指標の一つとなっている。

<住宅性能評価書>
評価の結果は住宅性能評価書として交付される。

●新築住宅
設計書などをもとに評価する「設計住宅性能評価書」と、建物の施工段階・完成段階の調査も行う「建設住宅性能評価書」がある(建設住宅性能評価は、設計住宅性能評価を受けた住宅のみ受けられる)。

●中古住宅
住宅の劣化状況などを専門家が目視等で評価し、「現況検査・評価書(建設住宅性能評価書)」が交付される。

<住宅性能評価の受け方・住宅性能評価付き住宅>
「住宅性能評価機関」として国に登録した専門機関に依頼する(新築一戸建ての場合10万円~20万円の費用がかかる)。

●建売住宅、注文住宅、中古住宅
購入者が不動産会社(売主)や建築会社等に相談したうえで、住宅性能評価を依頼することが多いが、不動産会社等が費用を負担して住宅性能評価を受け、「住宅性能評価書付き住宅」として販売するケースもある。

●マンション
新築マンションは、不動産会社が費用を負担して住宅性能評価を受け、「住宅性能評価書付き住宅」として販売する。なお、住宅性能表示制度は義務ではないため、住宅性能評価書がないマンションもある。この場合、購入者が独自で住宅性能評価を受けることはできない。中古マンションの場合も、事前に管理会社などに相談する必要がある。

<住宅性能評価を受けるメリット>
品確法に基づく住宅性能評価書(新築及び既存)を取得すると、地震保険料の割引が受けられる。また、住宅性能評価書(新築の場合は建設住宅性能評価書)が交付された住宅は、購入後にトラブルなどが生じたとき、国が指定する住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)に紛争処理を申請できる。紛争処理機関は裁判によらずあっせんや調停、仲裁を行う機関で、紛争処理の申請手数料は1件あたり1万円だ。

10分野(中古は9分野)の性能が評価・表示される

住宅性能表示制度で表示される住宅性能は、新築住宅の場合は以下の10分野。このうち、(1)と(3)(4)(5)の4分野については表示が必須な項目で、他の分野は売主などが任意に選択して表示できる。

【住宅性能表示制度の評価項目】
★=必須項目 無印=選択項目(評価のない物件もある)
(1)構造の安定(耐震性能など)★
…耐震等級(最高等級3)など
(2)火災時の安全(耐火性能など)
…耐火等級(最高等級3または4)など
(3)劣化の軽減(構造躯体の耐久性能など)★
…劣化対策等級(最高等級3)
(4)維持管理・更新への配慮(配管のメンテナンス性能など)★
…維持管理対策等級(最高等級3)など
(5)温熱環境(省エネルギー性能)★
…断熱等性能等級(一戸建て/最高等級7、マンション/最高等級5)など
(6)空気環境(化学物質の低減)
…ホルムアルデヒド発散等級(最高等級3)など
(7)光・視環境(日照、採光、通風など)
…単純開口率、方位別開口比
(8)音環境(遮音性能)
…重量床衝撃音対策等級(最高等級5)など
(9)高齢者等への配慮(バリアフリー性能)
…高齢者等配慮対策等級(最高等級5)
(10)防犯(防犯性能)
…開口部の侵入防止対策

中古住宅(既存住宅)では、建物の現況(不具合や劣化の有無など)が評価されるほか、「地震などに対する強さ」、「柱や土台などの耐久性」、「配管の清掃や取り替えのしやすさ、更新対策」、「省エネルギー対策」などの9分野が対象となる(すべて選択項目)。

住まいのお金・制度のマニュアル
  1. 5-1. 家を買う・購入手続きと費用
  2. 新築住宅を買うときの購入手続き、費用と支払時期を解説
  3. 中古住宅を買うときの購入手続き、費用と支払時期を解説
  4. 土地を買って家を建てるときにかかる費用と支払時期を解説
  5. 家のリフォーム・増改築の流れ、かかる費用と支払時期を解説
  6. 5-2. 家を買う予算(購入予算)を決めておこう
  7. マイホームの予算の決め方。住宅資金(現金)と住宅ローンから考えよう
  8. 家が高くて買えないときはどうする?購入予算の見直しポイントを解説
  9. 5-3. 住宅ローン、銀行の選び方・選択方法
  10. 住宅ローンは金利タイプに注意!固定型・固定期間選択型・全期間固定型の特徴
  11. 住宅ローンの種類とは?民間ローン、【フラット35】などの特徴を解説
  12. 融資実行日、決済日など、住宅ローンのチェックポイントを解説
  13. 5-4. 住宅に関する資金計画の立て方
  14. 住宅ローンの資金計画。返済額、金利タイプ、返済期間、住宅資金から考えよう
  15. 3000万の住宅ローンはどう返す? 利息・金利・期間から返済計画を建てよう
  16. 5-5. マイホーム・住宅購入後にかかるお金と節約テクニック
  17. 住宅ローン返済、固定資産税、都市計画税など住宅購入後にかかるお金
  18. 住宅ローンの繰り上げ返済とは。仕組みや事例を解説
  19. 住宅ローン控除のための確定申告とは。申告期間や流れ、必要書類など
  20. 5-6. 家を買う・購入する前に知っておきたい住まい関連の諸制度
  21. 印紙税とは。不動産売買契約や金銭消費貸借契約(ローン契約)時の注意点
  22. 登録免許税とは。課税対象や税率、軽減措置の要件について解説
  23. 不動産取得税とは。税額の計算方法や軽減措置の要件について解説
  24. 固定資産税・都市計画税とは。小規模住宅用地や一般住宅用地の軽減措置を解説
  25. 住宅購入時の消費税のポイント。課税されるのは建物部分、軽減措置を解説
  26. 住宅ローン控除とすまい給付金を解説。要件や手続き、控除率・限度額など
  27. 住宅購入資金の贈与のポイント。非課税枠の金額と要件、相続時精算課税など
  28. 買い替え時に使える、譲渡損失の繰越控除とは。住宅ローン控除との併用も
  29. 長期優良住宅とは。認定基準の概要、住宅ローン控除などの優遇措置を解説
  30. 低炭素住宅とグリーン住宅ポイント制度・次世代住宅ポイント制度とは
  31. リフォームで受けられる減税。リフォーム促進税制、住宅ローン減税など解説
  32. 定期借地権とは。地代・敷金・権利金・解体準備費用などのコストを解説
  33. リフォーム瑕疵保険とは。保険加入の流れや支払い対象などを解説
  34. 既存住宅売買瑕疵保険とは。保険加入の流れや支払い対象などを解説
  35. 瑕疵担保責任とは。契約不適合責任との違い、新築・中古それぞれの注意点
  36. 環境性能表示制度とは。評価項目や自治体ごとの独自制度を解説
  37. 住宅性能評価書とは。評価を受ける流れや評価されるメリットを解説
  38. 【フラット35】リノベなど、中古住宅購入+リフォームができる住宅ローン
  39. 【フラット35】Sとは。プラン・金利や利用できる住宅の性能基準を解説
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