マイホームの買い替えをするために家を売ったけど、買ったときより安くしか売れなくて損してしまった……。マイホームの買い替えでこのような「譲渡損失」が生じた場合、所得税や住民税が軽減される制度がある。これを「買い換え時の譲渡損失の繰越控除(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」という。
この制度は、家を売った年の所得税を計算する際、「給与所得や事業所得から譲渡損失を控除できる」というもの。売った年の所得より譲渡損失が大きいときは、控除しきれなかった分を翌年以降に繰り越し、最長3年間(トータルで最長4年間)にわたって控除できる。なお、この制度は所得税だけでなく、翌年分の住民税(所得割分)にも適用される。例えば、給与所得が600万円で、譲渡損失が1000万円発生した場合、売った年は所得600万円から損失のうち600万円分が控除となり所得はゼロに。所得税と翌年の住民税もゼロになる。さらに売った翌年は、所得600万円から前年控除できなかった損失400万円が控除され、その分所得税も減税となるのだ。
なお、マイホームの売却のみを行う場合も「譲渡損失の繰越控除」の制度があるが、買い替え対象の制度とは譲渡損失の計算方法や適用条件などが異なるので注意しよう。
「買い換え時の譲渡損失の繰越控除」の主な適用要件は以下の通り。同制度は、「住宅ローン控除」との併用もできるが、譲渡損失との相殺によって所得がゼロになった年は住宅ローン控除が適用されないので注意しよう。
「譲渡損失の繰越控除」の適用を受けるためには、売った年分の所得税について「確定申告」をしなければならない。また翌年以降、繰越控除を受ける場合も確定申告が必要だ。なお、同制度は2025年12月31日までに売却し買い替える住宅について適用される。