平和の願いを込めて、歌い続ける――Juice=Juice・段原瑠々の広島愛

インタビューと文章: 小沢あや 写真:飯本貴子 

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心に響く、力強い歌声が印象的なJuice=Juice・段原瑠々さん。

幼少期から熱狂的なカープファンの彼女は、2019年9月にはMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島で、試合前の国歌斉唱という超大役をつとめました。

16歳でデビューするまで住んでいた地元・広島のことや、平和への想いをじっくり振り返ります。

広島銘菓「もみじ饅頭」へのただならぬこだわり

――  広島で開催されるコンサートの楽屋で、毎回もみじ饅頭を行商のごとく配り歩く段原さんの姿が印象的です。

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もみじ饅頭を手に先輩の楽屋挨拶するのが段原さんの恒例行事)

段原瑠々さん(以下、段原):せっかく広島に来てもらっても、観光は出来ないですよね。お仕事を頑張るハロプロのみんなに、少しでも広島を味わってもらえればと思って。もみじ饅頭、リハーサルの合間に食べるのにもぴったりなんです。本当は牡蠣も食べてもらいたいんですけど、なかなか難しいですからね。みんな毎回、美味しく食べてくれるのでうれしいです。

――  パッケージがちょこちょこ違いますけど、どこのメーカーさんのを配っているんですか?

段原:たくさん買って、組み合わせて配っています。基本は「にしき堂」さんの「もみじ詰合せ 錦もみじ」。こしあん、粒あん、チョコ、おもち、おいも、チーズクリームと、6種類も入っているんですよ。

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もみじ饅頭業者の方ですか……?

――  好みに合わせて選べるの、うれしいですね。

段原:夏・冬と年2回コンサートがあるので、珍しいものや限定アイテムも取り入れています。冬はバレンタイン感覚で冬季限定の「メープルチョコレート」。これも「にしき堂」さんので、もみじ饅頭がチョコレートでコーティングされているんです。しっとりした「生もみじ」も美味しいです。

――  季節感を取り入れる気遣いが優しい……想像するだけで、美味しそうです。

段原:ちょっと変化球を加えたいときは「香月堂」さんの「生キャラメルもみじ」。毎回いろんなもみじ饅頭を配っているので、だんだん「去年はこの味なかったよね? 新しいやつ?」とか、みんなに気がついてもらえるようになってきました(笑)。

――  段原さんのおかげで、ハロプロ内のもみじ饅頭への理解が深まっているんですね。宣伝大使……!

段原:みんなブログにアップしてくれるから、メンバーと同じ味を買って帰るファンの方も多いです。みなさんに地元の味を楽しんでもらえて、うれしいですね。

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話しているうちに、ジェスチャーがもみじ饅頭に寄ってきた段原さん

4歳で球場観戦デビューしたカープファン

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――  段原さんは、小さなころから球場に通う、熱狂的カープファンですよね。

段原:カープは、広島のアイコン。テレビでもいつも試合が中継されているし、父が生粋のカープファンなので、私も大好きになりました。市民球場時代からずっと家族でカープを観に行っていました。初観戦は、4歳くらいのとき。前田智徳さんの1番のユニフォームを買ってもらって、とてもうれしかったのを覚えています。球場は、周囲の人との交流もうまれるし、みんなでひとつになれるのが最高で。

――  昨年は試合前の国歌斉唱という超大役をつとめましたね。どんな気持ちでしたか。

段原:マネージャーさんからお仕事の話をいただいたときは、衝撃でした。「いつかやってみたい」と思っていたけれど、目標というよりは夢で、まさか叶うとも思っていなかったんですよ。即家族に電話で報告したんですけど、家族も信じられなかったみたいです。菊池涼介選手がとくに好きなので、当日は33番のユニフォームを着て歌いました。

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――  試合観戦時、段原さんがいつも食べる「球場グルメ」はありますか?

段原:「ぶっかき氷」が定番です。カープ坊やのイラストが描いてある袋入りのかき氷なんですけど、暑い日に食べると本当に美味しくって。会場に、かき氷を売ってくれるお姉さんが歩いてるんですよ。200円でお手ごろなので、つい買っちゃいますね。

――  カープ愛が伝わって、最近は球団関連のお仕事も増えていますよね。

段原:応援歌『それ行けカープ』をカープファンの芸能人が歌うリレー企画があって、ついに2020年版に選んでいただけたんですよ。ラッキーセブン(7回の攻撃)のときに球場でも映像が流れるから、地元の方が観てくださるのだと思うと、感慨深くって。

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段原:地元とカープが大好きなので、幸せなお仕事でした。中学校の同級生から「瑠々ちゃん、見たよ!」って連絡をもらったのも本当にうれしかったですね。球技は苦手なんですけど、いつか始球式もやってみたいです。

広島の良さ

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――  上京してから改めて感じている、広島の良さは?

段原:自然と都会感が、両方楽しめるところ。山も、海も、商業施設も文化遺産もある。夏なら、レンタカーを借りて海沿いを走るのも最高です。よく、家族でも出かけに行きます。宮島に向かう路面電車に乗って、風景を眺めるのもいい。時間に余裕があって、ちょっと遠出するなら、瀬戸大橋のサイクリングコースがおすすめです。車で行って、乗り換えられるので。

――  コンサートの帰りや出張時など、サクッと広島を満喫したい人におすすめのスポットはありますか?

段原:中区新天地西公園の近くにある「お好み村」に行って欲しいです。20店舗以上のお好み焼き屋さんがあるスポットなんですけど、中でも「あとむ」のお母さんには昔からとてもよくしていただいています。楽屋にも、差し入れをくださるし、コンサートにも遊びに来てくださる。Juice=Juiceファンの聖地みたいになってるお店です。

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Juice=Juiceオフィシャルインスタグラムより

地元の人たちも、優しいです。よく「広島弁って怖い」って言われるんですけど、みんな怒ってないですよ(笑)。トーンが低めで、強そうに聞こえる方言ですけど、「〜じゃ」って、おじいちゃんみたいで本当に可愛いなって。

地元のこと

――  段原さんが生まれ育ったのは、どんな街ですか?

段原:私の地元は広島の中心地にもアクセスしやすいエリアなんですけど、自然が豊かでした。近くに山があるから、小さなころにはみんなで秘密基地をつくって遊んでいましたね。

――  改めて、地元のおすすめグルメは?

段原:「むすびのむさし」のおむすびが大好きです。広島県内に多数店舗があって、球場でも売ってます。私のイチオシメニューは「若鶏むすび」。大きなおむすびと唐揚げがセットになっているんです。付け合わせの生キャベツもうれしいんですよね。

――  帰りの新幹線で食べるのもよさそうですね。

段原:「出野水産」の「あなご竹輪」も大好き。大きめの竹輪で、あなご感がすごいんですよ。広島駅でも売っているし、手軽に買えるのでお土産におすすめです。子どもから大人まで、みんな竹輪大好きじゃないですか?

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竹輪の可能性を疑わない、まっすぐな段原さん

段原:あとは、「櫟」の「kunugiワッフル」。20種類以上の味があって、私は紅茶とかチョコバナナが大好き。ひとくちサイズで、つまみやすいので、よく買っています。

広島時代のこと

――  段原さんが広島アクターズスクールに通い始めたのが、小学校1年生のとき。小さなころから、「歌手になりたい」と強く思っていたのでしょうか。

段原:いえ、もともとは歌手やアイドルになりたいなんて考えたこともなかったんです。昔から、とにかく人見知りが激しくて、発表会や誕生日会でも「自分に注目が集まるのが恥ずかしい!」と引っ込んじゃうタイプの子どもでした。母が心配して、スクールに入れてくれたんですよ。

――  最初は、習い事感覚だったんですね。

段原:そうなんです。でも、レッスンを受けるうちに、どんどん歌とダンスが大好きになっていきました。小学校3年生のときに「歌手になりたい」という夢が明確になりました。

――  広島アクターズスクール出身で活躍しているアーティスト、たくさんいらっしゃいますね。先輩の存在も大きかったのでは?

段原:そうですね。立派な額に入った先輩方の写真がたくさん並んでいたのを、ずっと眺めていました。Perfumeさんも、鞘師(モーニング娘。OGの鞘師里保)さんの存在も、とても大きかったです。私、鞘師さんに憧れてモーニング娘。のオーディションを受けたので。

デビューが見えず、諦めそうになったときも支えてくれた家族

――  オーディションを経て、ハロプロ研修生になったのが2013年。上京せずに、広島からレッスンに通っていたそうですね。

段原:月2回、東京に通っていました。移動中もビデオを観ながら、ずっとダンスを勉強していましたね。「新幹線にダンススタジオとカラオケ車両があればいいのに!」と思うくらい、移動時間も惜しかったです。

――  距離があるだけに、学業との両立はとても大変だったのでは。

段原:東京に泊まることもあったけど、広島までは4時間以上かかるし、始発で帰っても1時間目の授業に間に合わないんです。でも、友達が私の分まで授業ノートをとっておいてくれて、なんとか勉強とレッスンの両立ができました。本当に、同級生と先生には恵まれていたと思います。周囲の支えがなかったら、続けられなかったです。

――  みんなが、段原さんの夢を応援してくれたんですね。

段原:私は研修期間が長くて、なかなかデビューができなかったので、不安な面もありました。高校受験のときは、本当に悩みましたね。東京で一生懸命レッスンを受けていたけれど、結局広島の学校を受験しました。

――  夢が叶わなかった場合の人生のことも、考えていたんですね。

段原:そうですね。志望校を選ぶときも「お姉ちゃんと同じ学校に受かったら、制服もお下がりもらえるし、お金がかからないかな?」「公立のほうがいいかな?」とか、色々考えました。ずっとレッスンの送り迎えをしてくれた両親に負担をかけたくないなと思って。

――  ずっと応援してくれているご家族にも、相談を?

段原:「もう辞めたい」と母に泣きついたこともありました。「じゃあ辞めれば?」って言われたのを覚えています。あまりにあっさりした返答だったので、「悔しい!」と思って、続けられました。負けず嫌いな私の性格をわかっているからこそだったのかもしれません。

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親子の絆を感じるエピソード

広島時代、毎回レッスンの送り迎えをしてくれた両親には、感謝の気持ちでいっぱいです。私だけでなく、家族も大変だったし、「なかなかデビュー出来なくて申し訳ないな」という気持ちもありました。今は、家族にも恩返ししたいです。

平和教育を通して学んだこと

――  段原さんが「広島に育てられたな」と感じていることはありますか?

段原:平和への想いですね。広島の公立小学校と中学校では、毎年8月6日が平和学習の日になっているんです。今は先生方の勤務時間の課題もあって、実施しない場合もあるみたいなんですけど、私の時は夏休みにみんなで集まっていました。

――  登校日があるんですね。

段原:校外学習でも、みんなで広島平和記念資料館に行くし、世界平和への想いは強いです。小さなころから、千羽鶴を折ったり、戦争を経験された地元の方がお話してくれたりする機会も多くて。だんだん語り手さんが減っているけれど、受け継いでくださったことを、これからの世代にもしっかり伝えていきたいなと考えています。

――  ハロー!プロジェクトにも、「地球」単位でものごとを捉えた、平和と愛をテーマにした楽曲が多くありますよね。

段原:そうですね。歌を通しても、平和の大切さを伝えられることができたらいいなと。広島で活躍している音楽ユニット「Mebius(メビウス)」さんの『8月の空』という曲があるんです。原爆と平和をテーマにした楽曲で、私も大好きで。とても大きな夢ですけど、私もいつか、広島の歌を歌えたらいいなと考えています。Juice=Juiceとして、広島グリーンアリーナ(広島県立総合体育館)でコンサートもやりたいです。

――  大きな野望ですね。

段原:自分の歌を通して、誰かにポジティブな影響を与えられるお仕事は、とても素敵だと思うんです。すごく限られた人にしかできないことだからこそ、自分が歌手になれたことが本当にうれしい。だからこそ、これからも精一杯やっていきたいです。

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お話を伺った人:段原瑠々

段原瑠々

2001年5月7日生まれ。2013年にハロプロ研修生入りし、2017年Juice=Juiceに加入。Instagram  オフィシャルブログ

聞き手:小沢あや

小沢あや

コンテンツプランナー / 編集者。音楽レーベルでの営業・PR、IT企業を経て独立。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」連載中。SUUMOタウンに寄稿したエッセイ「独身OLだった私にも優しく住みやすい街 池袋」をきっかけに、豊島区長公認の池袋愛好家としても活動している。 Twitter note