雨どい修理の方法と費用相場。業者の選び方と費用を抑えるコツ

雨どいの修理や交換は、いくら費用がかかるのでしょうか。雨どいの交換はDIYでも可能? それとも屋根に上るから業者に依頼すべき? 修理や交換など、雨どいのリフォームについて詳しい、さくら事務所のプロホームインスペクター、山野井靖さんに教えてもらいました。

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雨どい修理の方法と費用相場。業者の選び方と費用を抑えるコツ

記事の目次

雨どいとは

そもそも雨どいはどんな役割があるのでしょうか。修理する前におさらいしておきましょう。

雨どいは雨水から建物の劣化を防ぐためのもの

雨どいの役割は、屋根に降った雨水を効率的に集めて、下水道や地面に流すことで、雨水による建物の外壁や基礎などの劣化を防ぐことです。

「もしも雨どいがなければ、屋根に降った雨が外壁にしたたり流れます。直接当たる雨に加えて、屋根からも雨水が次々と流れてくるのですから、外壁は劣化が進んでしまいます。さらに劣化によって外壁にヒビが入れば、そこから雨水が浸入して、外壁の内側にある建物の躯体を傷めてしまうでしょう」(山野井さん、以下同)

また、外壁だけでなく、雨どいは建物の基礎部分も雨水から守っています。

「雨どいで集められた雨水は下水道や、染み込んでも問題のない地面に流します。もしも雨どいがなければ、屋根から外壁を伝わってきた雨水が、そのまま建物の基礎の表面を伝わり、その足元の地面に浸透します。基礎の周りに水が溜まり続ける状態が続けば、基礎がやがてひび割れ、そこから雨水が浸入して基礎を傷める恐れがあります」

こうして基礎が劣化すれば、建物が傾く可能性がありますし、地震などで崩れる恐れもあります。このように、雨どいは雨水から建物の劣化を防ぐ重要な役割を果たしているのです。

雨どいの役割

雨どいがないと、屋根から雨水が外壁に流れ落ち、さらに基礎にも伝わり、外壁や基礎を傷めてしまいます

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雨どいの部品名

雨どいはたくさんの部品で構成されています。修理する際に「どこが壊れているのか」など、施工会社とのやりとりの際に部品名が出てくることがありますが、素人が部品名を覚えるのは困難です。そこで、ここでは、覚えておくと役立つ部品4つに絞って名称とその役割を紹介します。

●覚えておくと便利な雨どいの部位名とその役割

雨どいの部位の名称

名称 役割
軒樋(のきとい・のきどい) 屋根の軒先に取り付けられた、横向きの樋。屋根に降った雨水を集めて、集水器へと流す。
縦樋(たてとい・たてどい) 建物の壁面に屋根から地面に向かって縦に取り付けられる樋。集水器で集められた水を地面へと流す。
集水器 軒樋から流れてきた雨水を集め、縦樋へ流す。
支持金具 軒樋や縦樋を建物に固定する金具。

雨どいの素材とメリット・デメリット

雨どいにはどんな素材があるのでしょうか。雨どいの修理や交換をする前に確認しておきましょう。
雨どいといえば、半円状のプラスチック(塩化ビニール樹脂)素材を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

「確かに20年以上前は、そうした雨どいが主流でした。しかし、最近はだいぶ変わってきています」

現在、雨どいに用いられている主な素材は下記の5種類があります。

  • 塩化ビニール樹脂
  • ガルバリウム
  • ステンレス
  • アルミニウム

それぞれのメリット・デメリットや耐用年数は下記の通りです。

塩化ビニール樹脂

●メリット
  • 価格が安いので設置や修理コストを抑えやすい
  • 軽量なため、建物の屋根や外壁にかかる負荷を軽減できる
  • 引っ張られたり曲げられたりするのにある程度強いので、風や積雪に耐えやすい
  • 長年雨どいに用いられてきたこともあり、色やサイズのバリエーションが豊富。そのため住宅のデザインに合わせて選びやすい
  • 他メーカー製品でも規格が同じことが多く、交換がしやすい
●デメリット
  • 紫外線や熱に弱く、紫外線に長時間当たっていると劣化して、ひび割れしてしまう
  • 紫外線による劣化を防ぐため表面に塗装が施されているが、定期的に再塗装する必要がある
●耐用年数
  • 一般的なタイプで15年〜20年程度。最近は20年以上の商品もある

塩化ビニール樹脂製の雨どい

手頃な価格で耐久性の高い塩化ビニール樹脂製の雨どいです(画像提供/パナソニック「ハイ丸 105・75」)

ガルバリウム

●メリット
  • アルミニウムや亜鉛などでメッキされた鋼板(鉄製の板)のため、サビにくいなど耐久性が高い
  • 金属製の雨どいの中では軽量なため、建物の屋根や外壁にかかる負荷を軽減できる
  • 金属製らしいシャープな見た目が魅力のひとつ
  • 最近は価格も下がってきて選びやすくなっている
●デメリット
  • サビにくい素材だが、やはり素材の元は鉄のため、サビないわけではない。特に海に近いエリアの場合、海風で塩分が運ばれて建物に付着しやすいので、腐食やサビのリスクは考えておきたい
  • サビを抑えるために表面は塗装されているので、定期的に再塗装が必要
●耐用年数
  • 20年〜30年程度

ガルバリウム製の雨どい

耐久性の高いガルバリウム製の雨どいです。シャープな見た目が魅力の1つで、写真のブラックのほかシルバーやホワイトなどカラーバリエーションも豊富です(画像提供/タニタハウジングウェア「HACO/H6号」)

ステンレス

●メリット
  • サビや腐食に強く、耐久性の高い。そのため、他の素材よりメンテナンス費用を抑えやすい
  • ステンレス独特の輝きは、建物の意匠性を高める
●デメリット
  • 価格が高い
●耐用年数
  • 30年程度

ステンレス製の雨どい

ステンレス製雨どいは公共施設など大きな建物に採用されることが多いのですが、住宅向けもあります。(画像提供/タニタハウジングウェア「ビルステン デカノキ」)

アルミニウム

●メリット
  • ステンレス同様、サビや腐食に強く、耐久性の高い
  • 軽量なため、建物の屋根や外壁にかかる負荷を軽減できる
●デメリット
  • ステンレスより安価だが、他の素材よりは価格が高い
●耐用年数
  • 20年〜30年程度

アルミニウム製の雨どい

耐久性の高いアルミニウムやステンレス製雨どいは、主に公共施設や工場など大型施設に用いられます(画像提供/タニタハウジングウェア「ビルアルミ デカノキ」)

●メリット
  • 独特の輝きで、きらびやかな雰囲気を演出できる
  • 経年によって青緑色に変化するのも楽しみの1つになる
●デメリット
  • 価格が高い
  • 基本的にサビに強いが、最近の酸性雨によって穴が空くことがあるので、定期的なメンテナンスが欠かせない
●耐用年数
  • 30年程度

銅製の雨どい

内面に耐候性に優れたステンレス鋼を備え、外面は純銅を原子間で熱融着させたハイブリッド雨どい。銅ならではの風合いを長い間楽しめる雨どいです(画像提供/タニタハウジングウェア「SusCu(サスク)雨とい」

雨どいの素材の選び方

5つの素材のうち、一般住宅の雨どいとしてよく用いられるのは「塩化ビニール樹脂」と「ガルバリウム」です。他の素材に比べて安価な点が選ばれている理由です。

一方で比較的価格の高いステンレスやアルミニウムは、主に公共施設や工場などでよく使用されています。また銅は同じく銅の屋根を葺いた神社仏閣などでよく採用されています。

「最近はガルバリウム製の人気が目立ちます。ひと昔前と比べて価格が下がり、今では塩化ビニール樹脂製とあまり変わらなくなっているのが人気の理由でしょう。また、屋根や外壁にガルバリウムを採用する人が多くなりましたが、それに合わせて雨どいもガルバリウムにしたほうが見栄えは良いですからね。そういう理由もあると思います」。

では、今後はガルバリウム製の雨どいが増え続けるのか?といえば、そうとは言い切れないようです。

「従来主流だった塩化ビニール樹脂製の雨どいも、技術の進化で、耐用年数が20年〜35年という商品も出てきました。ですから、ガルバリウムか塩化ビニール樹脂のどちらが良いかは一概には言えません」

パナソニックのアイアン

芯材にスチールを採用し、表面を高耐候性の特殊樹脂で覆うことで、プラスチックの「腐食しない」「耐久性が高い」メリットと、スチールの「強度が高い」メリットを両立させた軒どい(画像提供/パナソニック「アイアン」)

また、雨どい選びは素材だけでなく、形状も重要です。下記で詳しく見てみましょう。

雨どいの種類(形状)

かつては半円状が当たり前だった雨どいの形状ですが、素材同様、こちらも20年以上前から主流の形状が変わっています。メーカーによって名称は異なりますが、軒樋の形状は大きく「半丸型」と「角形(箱型)」の2つに分けられます。

半丸型

半丸型雨どい

半丸型の断面図
●メリット
  • 形状が単純なため、比較的価格が安い
  • 昔からあるため、規格が統一されていて、メーカーが異なっても交換がしやすい
●デメリット
  • 角形(箱型)と比べて、一般的に排水量(雨どいが流せる水量)が少ない
  • 支持金具が外側に付くので、台風などで外れやすい点

パナソニックのアイアン丸

従来のスタンダードな形状である、半円型の雨どいです。屋根の軒先を隠さない形状のため、屋根の美しさを引き立てやすくなります。写真は芯材にスチールを用いて、表面を高耐候性の特殊樹脂で覆った雨どいです。(画像提供/パナソニック「アイアン丸 120・105」)

角形(箱型)

角形の雨どい

角形の断面図
●メリット
  • 断面図を比べると分かるように、同程度のサイズの半丸型に比べて、排水量が多い
  • 支持金具が内側に付いているので台風などでも外れにくい
●デメリット
  • 商品によって形状が異なるため、一部のパーツを交換する場合は、支持金具も含めて同一商品のパーツに交換する必要がある

パナソニックのパラスケア

断面図が縦長のタイプや、上が広くて下が狭いタイプなど、角形(箱型)のカタチはさまざま。写真はシンプルな箱型形状の例です。写真は芯材にスチールを用いて、表面を高耐候性の特殊樹脂で覆った雨どいです。(画像提供/パナソニック「パラスケア U105」)

雨どいの形状の選び方

従来の半丸型と比べて角形(箱型)は、上の図を見るとわかるように、断面積が大きいのが特徴です。そのため、半丸型より多くの雨水を一度に流しやすくなります。これが「排水量が多い」という意味です。特にゲリラ豪雨など、短時間に大量の雨が降った場合は、半丸型よりも角形や変形角形のほうがリスクを低減できます。

また、角形はシャープな形状のため、モダンな建物に合わせやすいというメリットもあり、意匠性を高めたものがたくさんあります。

パナソニックのArchi-spec TOI AG120

屋根と軒先が一体化してシャープな印象になるよう、形状や取り付け方などが考えられた、デザイン性の高い角形の雨どいです。金属製(55%アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板)の雨どいです(画像提供/パナソニック「Archi-spec TOI AG120」)

「ゲリラ豪雨や線状降水帯といった言葉を頻繁に聞くようになった昨今、排水量は雨どいを選ぶ際に重要な要素でしょう。排水量は、半丸型よりも角形(箱型)が多く、角形(箱型)も商品によって排水量が異なります。どのタイプや商品が良いかは、施工会社に相談して決めてもいいですし、雨どいのメーカーに問い合わせると、地域にあった排水量の雨どいを教えてくれるはずです」

雨どい修理・交換の費用相場

雨どいの修理・交換は、本来は素材と形状、部位、修理する範囲によって費用が異なります。また、施工会社によっても異なりますから、なかなか一概にいくらくらい、とは言えません。

そこで、ここでは「雨どいの修理が必要になったら、どれくらい費用がかかるのだろう」という、おおよその目安として「角形(箱型)の、部位を問わず、素材別の費用」を紹介します。

あくまでも目安ですので、リフォームする前に必ず施工会社から見積もりをもらうようにしましょう。

●「角形(箱型)」雨どいの素材別の修理・交換(1m)費用の目安
素材 費用の目安(1m)
塩化ビニール樹脂 約3000円〜5000円
ガルバリウム 約4000円〜5500円
ステンレス 約1万1000円〜1万3000円
アルミニウム 約8000円〜1万4000円
約1万円〜1万1000円
※上記は材料費+工事費の目安です。足場代は含んでいません。

「修理の範囲によっては足場を組む必要があります。その場合、足場の費用としてプラス20万円〜30万円みておきましょう」

また、雨どいを丸ごと交換したいという人もいるでしょう。例えば30坪の一戸建ての住宅の雨どいの長さはだいたい40mです。その場合、集水器などパーツによって価格は異なりますが、「上記の金額×40m+足場の費用(20万円〜30万円)」を費用の目安にしてリフォームを検討するとよいでしょう。

雨どい修理はDIYできる?

開いた穴をふさぐだけとか、割れた部品を取り替えるだけなら素人でもできそう、と思うかもしれませんが、果たして雨どいはDIYで修理できるのでしょうか。

手が届く範囲の小さな割れやヒビはDIY可能?

「まず、雨どいの修理や取り替えは高所で行うことがほとんどです。範囲が広い場合は足場を組む必要があります。素人がハシゴを使って慣れない作業を行うのは危険ですから、やはり避けるべきです」

また、空いた穴や割れた箇所に防水テープを張るだけなら、とつい考えてしまいがちですが「テープが本当にしっかり密着して、水が漏れないのであればテープでの補修もできますが、どうしてもテープから水が染み出たり、テープの劣化で漏水する可能性があります」。

破損した雨どい

破損部分を防水テープなどでとめたとしても、いずれテープから水が染み出たり、テープの劣化で漏水してきます。早めに施工会社に修理してもらったほうが賢明です(画像/PIXTA)

もしテープから漏水すれば、漏れ流れてくる水によって支持金具が劣化して、外壁などを傷め、そこから雨水が浸入してしまいます。ですから、穴や割れをふさぐのではなく、部品を丸ごと交換するのが一般的です。

「その際、例えば軒樋であれば1/5000の傾斜をつけるなど、専門知識が必要になってきます。傾斜は商品によっても異なります。また支持金具を取り付ける際には、外壁に防水処理をしなければなりません。さらに、どんな排水量の部材をどこにどう使って雨水を流すのか、といった専門的な設計も必要です」。

このように、一見簡単に見える雨どいの修理でも、実は素人には難しいのです。たとえ雨どいが割れただけだとしても、プロに任せたほうが安心でしょう。

「素人でできるとすれば、手の届く範囲の塗装でしょう。塩化ビニール樹脂やガルバリウムは表面を保護するために塗装されていますが、経年劣化などで塗料が剥げると、そこに穴が開いてしまう危険があります。そのため定期的な塗装が必要になります」。

塗料はホームセンターなどでも入手できる場合があります。ただ、手の届く範囲だけに塗装の劣化があるとは考えにくいので、やはり専門業者に定期的な点検をお願いし、必要に応じて塗装してもらうほうがよいでしょう。

雨どい修理の費用を安く抑える方法

雨どい修理の費用を抑える方法は、主に2つあります。

ヒビや割れを見つけたら早めに修理しておく

雨どいは、雨水による建物の外壁や基礎などの劣化を防ぐ役割を果たします。ですから雨どいにできたヒビや割れを、1箇所だからいいやと放っておくと、そこから雨水によって建物の外壁や基礎などを傷めてしまいかねません。

もしも外壁が傷んで、そこから雨水が建物内に侵入すると、建物の躯体などが傷んでしまいます。しかも、このような雨水の侵入は外から見ただけでは分かりにくく、建物内のどこかに雨漏りの跡がでるようになってようやく気づく、ということが往々にしてあります。

雨漏りの原因が雨どいにあると、すぐに特定できればまだいいですが、たいていは雨漏りのあった部分の壁を剥いだりするなど、調べるだけでも費用がかかります。原因が特定できた後も、修復箇所が雨どい以外にも及びますから、リフォーム費用が高くなります。

このように、早期に雨どいの修理を行うことは、費用を安く抑えることにつながるのです。

雨どいの確認

早めの修理が、後々の出費を抑えることになります。屋根や外壁の定期的なメンテナンスの際に、あわせて雨どいもチェックしてもらいましょう(画像/PIXTA)

屋根や外壁工事と同時に行う

雨どいの修理は、足場を組むことが多くあります。同じように、屋根や外壁工事も足場が必要です。足場を組むには約20万円〜30万円かかります。

「ですから、屋根や外壁の工事と一緒に、雨どいも点検・修理したほうが効率的です。特に、屋根と外壁と同時に、雨どいもガルバリウムを選べば、定期的なメンテナンスも時期が一緒になるので、足場を1回組むだけでよくなります」。

屋根と外壁、そして雨どいを一緒に点検・修理することで、工事費を抑えやすくなります。

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雨どいが壊れる原因とその対策

雨どいが壊れる原因には何があるのでしょうか。雨どいが壊れないようにするためにも、主な原因と、その対策方法を確認しておきましょう。

ゴミが詰まる

「雨どいに落ち葉や、風で飛んできたゴミや土ぼこりなどがたまったり、さらには鳥が巣をつくったりすれば当然雨水が流れにくくなり、雨どい本来の役割を果たせません」。

軒樋の落ち葉などをそのまま放置しておくと、集水器や縦樋にも流れ込んで詰まってしまいます。そうなると、軒樋や集水器、縦樋も修理・交換が必要になり、さらに修理費用がかかります。

そうならないためには、落ち葉やゴミが詰まっていないか定期的に確認しなければなりませんが、たいていははしごを立てかけないと見えません。

「下からでも、雨の日にある程度は確認することができます。例えば軒樋から雨水が滴りおちていないか、縦樋ではなく、外壁を雨水が流れていないかなどです」。

雨どいに溜まる落ち葉

近くに落葉樹がある場合、風に乗って落ち葉が飛来し、どうしても雨どいにたまります。また、風によってビニール袋などのゴミが飛んでくることもあります(画像/PIXTA)

もしも、ゴミがたまっていそうだと思ったら、早めに施工会社に確認してもらうとよいでしょう。

また、最近は軒樋の落ち葉対策グッズや落ち葉よけを備えた雨どいもあるので、ホームセンターや雨どいメーカーなどのホームページなどで調べてみることをおすすめします。

パナソニックの落ち葉よけネット

軒どいに備えるだけで、落ち葉を弾きつつ、雨どいには雨水のみ落ちる、網状&ドーム型の専用品です。対応する商品なら既存の雨どいでも設置可能(画像提供/パナソニック「落葉よけネット」)

経年劣化

昔ながらの塩化ビニール樹脂製雨どいは、日差しや気温の変化で膨張と収縮を繰り返すため、次第に傷んでいきます。また支持金具は、錆びると雨どいを支えるのが難しくなります。

こういった経年による劣化により、雨どいが割れたり、外れると、雨どいの役割を果たせなくなって結果的に建物を傷めてしまいます。

雨どいは、主に素材によって耐用年数がありますが、それを目安に新しい物と交換したり、塗装をやり直すようにしましょう。

雨どいの劣化

一般的な塩化ビニール樹脂の雨どいは紫外線による劣化によって、ひび割れなどが発生します。また支持金具が錆びると雨どいを支えられなくなり、雨どいが外れて落ちたり、適切に排水できなくなります(画像/PIXTA)

もしも、今後雨どいを交換する予定があるなら、バンドレスタイプを選ぶというのも、1つの方法です。バンドレスタイプとは、バンド(支持金具の一種)の腐食や劣化によって、雨どいが外れるということがないのがメリットです。

「従来からアルミ製雨どいにはバンドレスタイプがありましたが、最近は塩化ビニール樹脂製にもバンドレスの商品があります」。

バンドレスタイプは、見た目がスッキリするというメリットもあります。一度検討してみてはいかがでしょうか。

風や雪

雨どいは台風や突風によってゆがんだり、風で飛ばされたものが当たって破損する場合があります。

また、屋根に積もった雪の重みが雨どいにかかると、雨どいがゆがんだり、破損する危険があります。

そのほか、雹(ひょう)によって破損することもあります。

突風が吹いたり、大雪や雹が降った後は、屋根や外壁はもちろん、雨どいも確認して、もしゆがみや破損があれば早めに修理するようにしましょう。

「降雪地帯など地域特性によって選ぶべき商品がありますので、施工会社に相談したり、メーカーに問い合わせるなどして、対策を検討するといいでしょう」。

パナソニックのマルチカバーパナソニックのマルチカバー

積雪による雨どいの破損を防ぐカバーもあります。スチール製の芯が入っているので積雪150cmの荷重にも耐えられ、降雨強度160mm/hの豪雨でもあふれずに雨どいへ水を流してくれます(画像提供/パナソニック「マルチカバーI型・II型」)

雨どいの訪問修理には注意

大きな台風や大雪、雹などはニュースになります。最近はそれをネタに「先日の大雪で家に損傷がないか、この辺を回っている」といって、屋根や雨どいの修理を促す訪問修理が増えています。

屋根や雨どいの破損などは下から見えにくいことが多く、最悪の場合は、必要のない修理を促して高額な料金を請求される恐れがあります。

そのため、大きな自然災害があっても、決して見知らぬ訪問修理業者には点検を依頼せず、よく知っている施工会社や、その住宅を建てた工務店、あるいは第三者の専門家(ホームインスペクターや建築士)にインスペクションを依頼するようにしましょう。

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まとめ

台風や集中豪雨、大雪など、自然災害をきっかけに、初めて雨どいの破損に気づく人も多いでしょうが、修理費用を抑えるためにも、日頃から雨どいの様子に注意しておきたいものです。

なぜなら雨どいは、雨水を効率的に集めて下水道や地面に流すことで、建物の劣化を防ぐ役割があるからです。もしも建物に雨水が浸入してしまうと、雨どいの修理だけではすまなくなります。

とはいっても、下から見て雨どいの不具合を見つけるのは限界があります。屋根や外壁の定期的なメンテナンスを行う際に、雨どいも一緒に点検してもらうとよいでしょう。

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取材協力/さくら事務所 山野井靖さん
一級建築士、日本ホームインスペクターズ協会 公認ホームインスペクター
構成・取材・文/籠島康弘 イラスト/ふじや

執筆・取材/籠島 康弘
雑誌「カーセンサー」編集部を経てフリーライターに。中古車からカーシェアリング、電気自動車までクルマにまつわる諸々の記事執筆を手がける。最近は住宅雑誌の記事も執筆していて、自分が何屋なのかますます分からなくなってきた。