屋根は常に外気にさらされ、経年変化で劣化しやすい部分です。時が経つと見栄えが悪くなるだけでなく、屋根の劣化は雨漏りの原因にもなります。
屋根リフォームは住まいを長持ちさせるためにも定期的に行うことが大事です。ここでは3種類の屋根リフォームの方法を紹介するとともに、いつどんな場合にどの方法を選ぶべきなのか、また、それぞれの屋根リフォームの費用相場、実例も紹介します。
さらに、屋根リフォームで得られる補助金についても紹介しましょう。
記事の目次
屋根塗り替えリフォームのやるべき時期(耐用年数)と費用相場
屋根のリフォームには、以下の方法があります。
1. 塗り替え
2. 重ね葺き(カバー工法)
3. 葺き替え
これらの中で塗り替えは最も安価で手軽にできる方法です。そこでまず屋根塗り替えについて説明しましょう。
屋根塗り替えリフォームが必要な屋根材とは
塗り替えは屋根材によっては不要な場合もあります。
よく用いられている屋根材の特徴と塗り替えが必要かどうかを知っておきましょう。
【塗り替え不要】
・瓦(粘土瓦・陶器瓦)
日本の家で古くから用いられている屋根材です。粘土を焼き締めてつくるので、粘土瓦や陶器瓦という言い方もされます。瓦はいぶして銀色にするか、釉薬(ゆうやく)を用いて彩色しています。いぶしたものや、釉薬で彩色した瓦は色あせも劣化もしないので塗り替えは不要です。
【塗り替えが必要】
・化粧スレート(彩色スレート)
セメントに繊維素材を混ぜて強度を上げ、割れにくくした薄く平たいスレート状の製品です。もともと工場で塗装した製品なので、経年変化で色あせするとともに、撥水性がなくなるので水が染み込みやすくなります。そうなると塗り替えが必要です。色の耐久性は製品のグレードによっても多少異なります。
本物の石を使った天然スレートは一般的にはあまり用いられていませんが、石材なので瓦と同じく塗装の必要はありません。
・セメント瓦
セメントを固めて瓦状にしたものです。見た目は本物の瓦のようでもありますが、実はこれも塗装製品なので経年変化で色あせし、塗り替えが必要になります。
・鋼板
カラー鉄板(トタン屋根)やガルバリウム鋼板が代表的で、周期的に塗り替えが必要です。
以上のように、一般的な屋根材は伝統的な瓦を除いて塗装の必要なものが多いです。
屋根塗り替えリフォームをやるべき理由とは
瓦を除く塗装製品の屋根材は色あせするので美観上問題が出ます。塗り直すことで元のきれいさを取り戻せるとともに、塗膜によって雨、風、日差しなど厳しい外気から守られることになり、屋根材そのものを長もちさせることができます。
それだけでなく、塗り直す前には屋根の点検を行います。必要な場合は補修や交換を行うので、屋根材の割れやずれを原因とする雨漏りを防ぐことにもなります。
塗装が不要な瓦屋根についても割れやずれなどの点検は必要です。
屋根塗り替えリフォームは、美観の復活と同時に屋根材の耐久性も上げて、かつ雨漏りを未然に防いで家を長持ちさせることにもつながるなど、メリットが多いです。
逆に屋根材の劣化を放置しておくと、屋根材の寿命が短くなります。そればかりか雨漏りの原因になり、家の寿命を短くすることにもなります。
屋根塗装は大事なことなので、自宅のメンテナンススケジュールに入れて、そのための資金も準備しておきましょう。
屋根塗り替えリフォームの耐用年数とやるべき時期
屋根の塗り替えはどれくらいの間隔で行えばいいのでしょうか。化粧スレートなど製品によっては長期間色あせしないことを売りにしているものもありありますが、一般的には10年くらいで色あせします。
塗り直さないで放置しておくと、やがて屋根材そのものが劣化し、塗り直しでは対応できなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
屋根の点検を兼ねるという意味でも10年を目安にするのが妥当でしょう。化粧スレートやセメント瓦など塗装製品は全て同様に考えていいと思います。鋼板は種類によって異なり、トタン屋根は5年程度、ガルバリウム鋼板は20年程度で再塗装が必要です。
屋根材によって適切な塗料を選ぶ必要もあるので、時期が来たら屋根リフォームの実績が豊富なリフォーム会社に相談しましょう。
屋根塗り替えのプロセス
屋根の塗り替えは以下のプロセスで進みます。
・足場工事を行い、家の周囲を養生シートで囲む
↓
・屋根材の補修(必要な場合)を行う
↓
・高圧洗浄をして屋根の汚れを落とす
↓
・屋根材の付着物をていねいに除去するなど下地調整
↓
・屋根塗装(下塗り、中塗り、上塗りの3回程度)
屋根塗装リフォームの費用相場と工期
屋根塗装リフォームの費用相場は、屋根の面積(家の大きさに比例する)や屋根形状によっても違ってきますが、シンプルな切妻屋根で下屋(下の階の屋根)がない場合、おおよそ以下のとおりです。
・屋根塗装/約60万円~70万円(足場費用含む、延床面積120m2程度の木造総2階建ての場合)
屋根塗装の工期は1週間~10日程度です。
屋根重ね葺き(カバー工法)リフォームのやるべき時期(耐用年数)と費用相場
次に屋根重ね葺きについて説明しましょう。屋根重ね葺きはカバー工法ともいわれますが、文字どおり既存の屋根材の上に重ねて新しい屋根材を施工する方法です。
新築後どれぐらいのタイミングで重ね葺きが必要なるのか、費用相場はどれぐらいなのかを見ていきましょう。
屋根重ね葺き(カバー工法)リフォームとは? メリット、注意点は
屋根重ね葺きリフォームとは、既存の屋根材を撤去せずにその上に、防水シートを張ったうえで新しい屋根材を取り付ける方法です。後で紹介する葺き替えとは違って屋根材を撤去しないので環境に負荷を与えることがありません。
また、アスベストを含む古い屋根材も解体しないので、その時点でのアスベストの飛散を避けられます。
重ね葺きをすると屋根材そのものが新しくなるので、屋根の見栄えが新築時と同等になります。また、重ね葺きの際に防水シートも新しく施工し直すので、防水効果のアップも期待できます。
注意したいのは、既存の屋根材が化粧スレートや鋼鈑の屋根材のように平らなものでないと重ね葺きはできないこと。陶器瓦やセメント瓦のように波打っている形状だと重ね葺きはできません。
また、屋根が二重になることから重量が増すのも注意したいところ。耐震性に影響することもあるので、重ね葺きする屋根材は、ガルバリウム鋼板のように軽量なものを選ぶのが一般的です。
屋根重ね葺き(カバー工法)リフォームの耐用年数とやるべき時期
屋根重ね葺きリフォームを行うのは塗装では対応できないほど屋根材の劣化が進んだとき、また部分的な補修では対応できない場合です。あまり劣化が進みすぎるとすでに雨漏りが発生している可能性があり、カバー工法でも対応できません。
一般的には築20年目~30年目あたりが目安となります。
屋根重ね葺き(カバー工法)ができない場合とは
前述のように波打った形状の瓦の上には重ね葺きはできませんが、それ以外の要素で重ね葺きができないのは、屋根材の下地まで劣化が進んでいる場合です。
リフォーム会社に点検してもらい、下地に問題があるようなら重ね葺きは避けましょう。
しっかり点検をしないで重ね葺きをしてしまうと、ただ劣化を覆い隠すだけになり、雨漏りで家の耐久性を損なうことになりかねないので要注意です。信頼できるリフォーム会社や実績豊富な屋根工事の専門会社に点検してもらうのがよいでしょう。
屋根重ね葺き(カバー工法)リフォームの費用相場
屋根重ね葺きの場合は、上に施工する新規の屋根材のグレードなどで左右されます。
一般的には古くなった化粧スレートの上にガリバリウム鋼板を重ねて施工するのが一般的なので、それで費用の目安を示します。
アスファルトルーフィング(防水シート)の施工、軒先水切りや換気棟、コーキングなどの必要な工事を一切含めて、屋根重ね葺き費用の相場は約100万円~200万円(足場費用含む、延床面積120m2程度の木造総2階建ての場合)です。
屋根重ね葺きの工期は屋根塗装と同様に、1週間~10日程度です。塗装と同様、住みながらでも工事はできます。
屋根葺き替えリフォームをやるべき時期(耐用年数)と費用相場
屋根葺き替えは、築20年超~40年超(化粧スレートなど)、50 年超(瓦屋根の場合)などの古い家で行われる屋根リフォームです。
屋根材を撤去し、屋根材が載っていた野地板も撤去し、下地からやりなおすリフォームです。屋根リフォームの中では最も大掛かりなものとなり、費用も一番高いです。
瓦をガルバリウム鋼板に葺き替えた例
屋根葺き替えリフォームとは? メリット、注意点は
屋根葺き替えは、既存の屋根材を撤去し、屋根材の下地となる野地板を施工、新しい防水シートを敷いた上に新しい屋根材を施工します。
野地板は屋根材を載せる合板ですが、既存の野地板を一部補修してそのまま用いる場合もありますが、傷みや腐食が進んでいることが多いので撤去して交換することになるでしょう。
さらに屋根を組んでいる構造材が傷んだり、腐食していたりする場合もその交換や補強を行います。併せて、雨水を入れないための隙間を埋めるなど各種の板金工事も伴います。 費用が高くなるのは、既存屋根材の撤去や下地、小屋組みまで影響し、工事の工程が増えることによります。
屋根の葺き替え時期は、相当に屋根が傷んでいて雨漏りなどのおそれがあるときです。屋根を葺き替えると屋根が下地や構造材から新しくなるので、雨漏りなどのおそれがなくなります。また葺き替えに使える屋根材は制約がありません。
新たに屋根工事を行うので、屋根材は何でもありです。屋根形状を変えることも可能です。
ただ葺き替えに多く見られるのは、重い瓦屋根を鋼板などの軽量な屋根材に変えるケースです。屋根を軽くすることで、地震時の揺れを軽減でき、耐震性が確保されます。
注意点としては、費用が多額になることと工期が長くなることです。葺き替え費用は重ね葺き(カバー工法)の1.3倍から1.5 倍程度かかります。
また工期は、塗装や重ね葺きが長くても10日程度なのに対して、葺き替えは15日~20日程度、既存の状態によっては1カ月以上かかることもあります。
葺き替え工事もほかの屋根リフォームと同様に住みながらでも大丈夫です。室内の大規模工事ほど騒音もしませんし、シートをかぶせて養生をします。
大規模リフォーム時に屋根の葺き替えも行うというケースだと、リフォームの内容や規模によっては仮住まいが必要になることもあるでしょう。
屋根葺き替えリフォームのやるべき時期
屋根葺き替えリフォームをやるべきタイミングは、屋根下地が傷んで雨漏りが発生するほど屋根が劣化したときです。なるべくそれ以前に点検してもらい、その兆候があったら、補修または葺き替えをしましょう。補修で済むのか、葺き替えが必要かは、リフォーム会社や屋根工事の専門会社にていねいに現場を点検してもらって、的確な方針を立ててもらいましょう。
一般的には屋根の葺き替えは、築20年~50年(屋根材による)あたりが目安になると思います。
屋根葺き替えリフォームの費用相場
屋根の葺き替えは瓦屋根から鋼板屋根材への交換が多く、そのケースで費用相場を見ていきます。
鋼板屋根材や防水シートなど材料のグレードにもよりますが、約150万円~300万円(足場費用含む、延床面積120m2程度の木造総2階建ての場合)程度をみておかなければなりません。
屋根葺き替えの工期
屋根葺き替えは、塗装や重ね葺き(カバー工法)と比べて、工程が多いので工期が長くなります。塗装も重ね葺き(カバー工法)も1週間から10日ぐらいで済むのに対して、屋根葺き替えの工期は、下地を交換する場合には2週間~3週間程度をみなければなりません。
雨が多かったり、屋根内部の補修箇所が多い場合は、3週間以上かかることもあります。住みながらできるとはいえ、受験勉強をする子どもがいる場合などは、時期を考慮して日程を決めるのがよいでしょう。
屋根リフォームは外壁とまとめてやると割安になる
屋根リフォームを行うには足場を組み飛散防止のため養生シートで家全体を囲む必要がありますが、これは外壁リフォームも同じです。屋根、外壁をそれぞれ別の時期に行うと、足場工事費がそのつどかかってしまいます。
タイミングを揃えて一度に行えば足場工事は一度で済みます。足場工事は約25万円~35万円かかるので、その1回分がおトクになります。
外壁の塗装がその時点ではまだ不要だったりする場合でもコーキング材(サイディングのつなぎ目を埋めている材料)の取り換えを行うなど、時期を揃えてやるべきことをやっておきましょう。外壁のコーキングも浸水を防止するのに大事な措置ですが、それを行うのにも足場は必須です。
屋根リフォームの実例とかかった費用
屋根塗装/苔が目立ってきた化粧スレートを塗装で一新
化粧スレートは工業製品で色あせします。この場合は築14年目の化粧スレートの色があせてきただけでなく、表面に苔が生えてきたため塗装を決断したケースです。
塗料は耐久性の高い無機塗料を採用し、ついでに雨樋も塗装し、屋根まわりを一新しました。併せて劣化が心配だった外壁のコーキングも打ち替えました。一度の工事で必要な外装メンテナンスを適切に行いました。
DATA
リフォーム費用:約63万円(足場工事費含む)
リフォーム内容:屋根・雨樋塗装、外壁シーリング打ち替え
築年数:14年
工期:約2週間
設計・施工:山商リフォームサービス
屋根塗装/遮熱効果のある塗料で塗装
経年変化で色あせてきた化粧スレートの屋根を遮熱効果のある塗料で塗装しました。
下地処理をした後、下塗り、中塗り、上塗りの 3回塗装でていねいに仕上げています。
遮熱効果により、屋根裏の断熱性が向上し、2階の部屋が過ごしやすくなりました。
DATA
リフォーム費用:約80万円(足場工事費含む)
リフォーム内容:屋根塗装
築年数:約16~20年
工期:約2週間
設計・施工:松本巧舎
屋根重ね葺き(カバー工法)と塗装/2階は重ね葺き、1階の屋根は塗装も
築年数30年で化粧スレートの屋根はかなり劣化していました。それをガルバリウム鋼板の新しい屋根材で重ね葺きを行い、見栄えを一新しました。また、1階の下屋部分も重ね葺きと塗装を併用し、外観が見違えるようになりました。
DATA
リフォーム費用:約205万円(足場工事費含む)
リフォーム内容:鋼板屋根材で重ね葺き、一部塗装そのほか
築年数:30年
工期:約3週間
設計・施工:山商リフォームサービス
セメント瓦からガルバリウム鋼板に葺き替え
築38年で雨漏りがするようになったセメント瓦を全面葺き替えしました。
使用した屋根材は軽量なガルバリウム鋼板です。
屋根の重さが軽くなり、耐震性も向上しました。
DATA
リフォーム費用:約145万円
リフォーム部位:屋根葺き替え
工期:11日
築年数:38年
設計・施工:優・創建
トタン屋根をガルバリウム鋼板で葺き替え
DATA
リフォーム費用:約115 万円
リフォーム部位:屋根葺き替え
工期:7 日
築年数:40年
設計・施工:優・創建
屋根リフォームで使える補助金や助成金
屋根リフォーム単独での補助金は多くはないですが、以下のようなものがあります。
該当する場合はお住まいの自治体などに問い合わせて検討しましょう。
瓦屋根の強風対策で国から補助金
近年、台風により瓦が脱落するなどの被害が発生していますが、このような被害を防ぐためには瓦を屋根に緊結することが大事です。
新築住宅に関しては2022年から瓦の留め付け方法に関する基準が強化されました。
それに伴い既存住宅では瓦屋根の葺き替えを行って強風対策をした場合に活用できる補助制度が開始されています。
対象は人口密集地域で基準風速32m/秒以上の区域などとなっています。該当しそうな場合は補助制度の有無をお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
補助金は瓦屋根の耐風診断に上限3万1500円/棟、基準に適合しない瓦屋根を所要の耐風性能を有する屋根に葺き替える場合に上限55万2000円/棟となっています。
補助対象 | 補助限度額 |
---|---|
瓦屋根の耐風診断 | 上限3万1500円/棟 |
瓦屋根を台風性能を有する屋根に葺き替え | 上限55万2000円/棟 |
または地域防災計画等で地方公共団体が指定する区域
長期優良住宅化リフォームを行った場合
長期優良住宅化リフォーム補助金は、屋根だけの補助制度ではありませんが、住まい全体をリフォームして、耐震性と劣化対策、省エネルギー性などの要件が満たされた場合に補助金が出ます。
屋根工事は耐震性の向上に含まれ、軽量な屋根への葺き替えなどが対象になります。
補助額は最大100万円/戸(三世代同居対応改修工事を実施する、若者・子育て世帯または既存住宅を購入後リフォームする場合は限度額を50万円加算)
なお、より基準の厳しい認定長期優良住宅型は最大200万円/戸(同様の加算あり)となります。
長期優良住宅化リフォームは、大規模リフォームでないと一定の性能向上を確保できないので、リフォーム費用も多額になります。
屋根の葺き替えにとどまらず住まい全体をリフォームしたい場合にオススメの制度です。
リフォーム後の住宅性能 | 補助限度額 |
---|---|
一定の性能向上が認められる | 上限100万円/戸 |
長期優良住宅(増改築)に認定 | 上限200万円/戸 |
長期優良住宅化リフォームについて詳しくはこちらのページをご覧ください。
災害時、屋根リフォームに火災保険は使える?
住宅ローンを組んだときなどに加入する火災保険には一般的に火災のほか風災の補償が含まれています。つまり台風などで屋根がめくれてしまったなどという被害は火災保険の補償対象になります。
いくら補償されるかは被害の度合いによるので保険会社の査定が必要です。その際に被害箇所の写真と修理見積書が必要ですが、それらはリフォーム会社あるいは屋根工事の専門会社がやってくれます。台風などで屋根が強風による被害を受けたら、まずリフォーム会社などに相談してみましょう。
屋根リフォームの会社選び、注意点
屋根リフォームを思い立ったときに、どういう会社を選べばいいのでしょうか?
選ぶときに参考にするべきポイントを紹介しましょう。
会社選びは実績を重視して
一口にリフォーム会社といっても得意分野はさまざまです。どんな種類のリフォームもそうですが、まずはその会社の実績を調べましょう。会社紹介サイトを見る、そのうえで気になる会社があったら、その会社のホームページを見てみましょう。
ホームページを見るときは、リフォーム事例を見て屋根リフォームの実績がどの程度あるのかをチェックしましょう。
自分がやりたいリフォームが屋根だけなのか、そのほかのリフォームも考えているのかによっても会社の選び方が違ってきます。屋根だけなら屋根工事専門の会社もあります。屋根だけでなくいろいろなリフォームを考えているなら、今後のことも考え、総合的に対応できる会社がよいでしょう。
いずれにしてもこれはという会社が見つかったら、実際に現場を見てもらいましょう。担当者がどの程度の調査をするかによってもその会社の信頼度が測れます。屋根なら屋根に上がって調査する、写真を撮るなどを行うのが原則です。
現場を見てもらってからさらにいろいろ相談してみましょう。話をする中で、その会社のことがわかってきます。その上で見積もりをもらって、その内容を検討することが大事です。
見積もり明細をチェックして判断
見積もりはどのような工事をいくらで行うのかを書類に記したものです。
工事を依頼する前には必ずもらっておくべきものです。
屋根塗装リフォームの見積もり例を以下に挙げましたが、ここでは工事の明細がきちんと書かれていることに注目してください。
このように、ほぼ工事の順番に工事名が列記され、それぞれの工事名には工事内容と工事面積、m2当たりの単価と金額がきちんと出ているのが正しい見積書です。
工事項目もなく、「屋根塗装一式いくら」の見積もりは信用できません。工事名称が書かれていても工事する面積や単価が書かれていないものもだめです。
下記のように、ここまでの明細があれば複数の会社から見積もりをとって比較することもできますし、わからない点を質問することもできます。このような明細のついた見積もりが出ない場合は、検討する会社から外したほうがよいでしょう。
名称 | 内容 | 数量 | 単位 | 単価(円) | 金額(円) |
仮設工事 | |||||
---|---|---|---|---|---|
足場工事 | くさび式 | 200 | 架m2 | 900 | 180,000 |
シート養生 | メッシュシート | 200 | 架m2 | 500 | 100,000 |
屋根工事 | |||||
高圧洗浄 | 水洗い | 70 | m2 | 200 | 14,000 |
下地調整 | 板金部 | 20 | m2 | 150 | 3,000 |
さび止め | 板金部 | 20 | m2 | 1,000 | 20,000 |
下地調整 | 付着物除去 | 70 | m2 | 500 | 35,000 |
屋根塗装 | シリコン系塗料3回塗り | 70 | m2 | 2,500 | 175,000 |
縁切り | タスペーサー | 70 | m2 | 300 | 21,000 |
小計 | 548,000 | ||||
諸経費 | 40,000 | ||||
消費税 | 58,800 | ||||
合計 | 646,800 |
屋根リフォームの方法と費用のまとめ
屋根リフォームには屋根塗り替え、屋根重ね葺き(カバー工法)、屋根葺き替えの3種類の方法があり、やるべきタイミングも費用も大きく異なることがおわかりいただけたでしょうか。
手軽にできる屋根塗装は約10年目に行い、20年目、30年目には屋根の状態によって重ね葺き(カバー工法)や葺き替えも検討しなければなりません。
築年数が古くなるほど、やるべき工事が大掛かりになるので、費用も高くなります。
塗装や点検を怠らないことで、屋根をいい状態に保て、高いコストを払わず、引いては家を長持ちさせることになります。
家の寿命にも係わる屋根リフォームですから、信頼できるリフォーム会社を見つけておき、早め早めに相談することが大事です。
構成・取材・文/林直樹 イラスト/長岡伸行
監修・試算協力/柏崎文昭(甚五郎設計企画)