一戸建ての外壁は塗装の塗り替えなど定期的なメンテナンスが必要です。塗装費用はいくらくらいかかるものなのか、相場は何に左右されるのか、助成金や補助金、火災保険の対象になるのか、見積もりの注意点や依頼先の選び方など、一戸建てを持つ人すべてに役立つ情報を紹介します。さくら事務所のプロホームインスペクターで一級建築士の坂 瑞貴さんに話を聞きました。

記事の目次
外壁塗装にかかる費用の相場は?
外壁塗装は、家の美観を保つだけでなく、建物を雨風や紫外線から守るために欠かせないメンテナンスです。しかし、いざ塗り替えを検討すると「費用の目安がわからない」「家の大きさや形で金額がどう変わるのか知りたい」と迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、外壁塗装にかかる費用の相場や、費用を左右する要因について解説します。
外壁塗装は家を長持ちさせるために必要な出費
一戸建ては新築後も家を長持ちさせるために、定期的な点検をし、傷んでいるところの修理や交換、古くなった住宅設備の交換などのメンテナンスやリフォームが大切です、外壁もその一つ。家を所有している限り外壁塗装は定期的に必要で、その度にお金もかかります。
外壁塗装の費用相場
外壁塗装の費用は、住宅の規模や外壁材、使用する塗料の種類によって変わりますが、総床面積120m2程度の一戸建てであれば、90万〜140万円前後が一つの目安になります。この金額には、足場工事や高圧洗浄、下地補修、コーキングの打ち直し、塗装作業一式が含まれることが多く、標準的な塗料を用いた場合の相場といえます。
一方で、フッ素塗料や無機塗料など耐久性の高い塗料を選択すると初期費用は上がりやすい傾向です。ただし、塗り替えの間隔が長くなるため、結果として長期的なメンテナンス費用を抑えられるケースも見られます。
人件費の相場
外壁塗装にかかる費用の中でも、人件費は全体の約40%を占めるといわれています。塗装工事は機械での対応が難しく、下地処理や塗装の多くを職人の手作業に頼るため、どうしても一定の人件費が発生します。
一般的な一戸建て住宅では、職人2〜3人が数日から10日ほどかけて作業を行うのが標準的です。その分の費用が加算されるため、見積金額にも大きく影響します。極端に安い見積もりが提示された場合は、適正な人件費が確保されていない可能性もあるため、作業内容や工程について事前にしっかり確認しておくことが大切です。
足場代にかかる相場
外壁塗装を行う際には、安全性と施工品質を確保するために足場の設置が欠かせません。その費用は全体の中でも大きな割合を占める項目の一つです。
相場は1m2あたり1000〜1500円程度とされており、総床面積120m2前後の住宅であれば20万〜30万円程度が目安となります。足場代には、組立・解体作業のほか、飛散防止ネットや安全対策費用も含まれるケースが一般的です。また、外壁と屋根を同時に工事することで、足場の設置を一度で済ませられ、トータルの費用を抑えられる可能性もあります。
外壁塗装の費用を左右するポイントは?
外壁塗装にかかる費用は、施工する一戸建てのデザインや状況、使用する塗料のグレードなどによってさまざまです。ここでは、外壁塗装の費用は何によって違いが出るのかを見ていきましょう。
外壁塗装にかかる費用の内訳と割合は?
外壁を塗装するための費用には、塗料などの材料費のほか、施工する職人さんの人件費、足場代、諸経費などがかかります。総費用に占めるそれぞれの割合は下のグラフが目安になります。

材料費は塗料やシーリングなどの塗り直しに必要な材料、人件費は施工する職人さんにかかる費用、足場代は足場の材料や設営費用、諸経費は廃材処分費用や事務手数料などさまざまな出費が含まれます。
「どの項目に何が含まれるのかは、リフォーム会社によって異なります。最近は人件費が高くなり、費用に占める割合が大きくなっているのが特徴です」
外壁塗装は施工するm2数で費用は違ってくる
塗装をする外壁の面積が大きくなるほど、塗料などの材料や職人さんの手間がかかるため費用は高くなります。
つまり、家が大きいほど外壁の塗装費用はアップします。
「外壁の施工面積は『延床面積×1.7』が目安。シンプルな形の2階建てなら、この計算式に塗料のm2あたりの単価を掛けることでおおよその塗装工事の費用がわかります」
同じ床面積でも家の形で施工面積が異なり費用が変わる
床面積が同じでも、家の形によって外壁の面積は異なります。
施工する外壁の面積が小さいのは、凹凸のないシンプルな形の家。図で比べてみましょう。上の図は4つの四角形を凹凸なく組み合わせた図。下の図は4つの四角形を少しずらして配置した図。これらを真上から見た家の形とすると、下の図の方が、外壁に当たる外枠の線が長くなるのがわかります。外壁の量が多くなるほど、そこに塗る塗料が増えますし、足場の量も多くなります。つまり、材料費や工事費がアップするというわけです。


サイディングかモルタルかで費用が異なる
既存の外壁の種類も外壁の塗装費用を左右します。外壁材にはさまざまなものがありますが、よく見かけるのはモルタルとサイディングです。
モルタルは、一般的にはセメントに砂(細骨材)を混ぜ、水を加えて練り合わせたもの。外壁だけでなく、土間や階段の仕上げ、門や塀の仕上げなどにも使われます。
サイディングは板状になっている外壁材のこと。金属系の材料を使った金属系サイディングや、セメント質や繊維質などを原料にした窯業系サイディングなど材料によってさまざまなバリエーションがあります。サイディングの外壁は、板状のサイディングとサイディングの間にシーリング材を充填してつないでいます。
どちらも表面にコーティング剤(塗膜)が施工されており、紫外線や雨水から建物を守っています。
「サイディングをつなぐシーリング材は、紫外線などの影響で劣化し、隙間から雨水が入るなど建物に悪影響を及ぼすことがあります。ですから、サイディングの塗膜を塗り替える際に、シーリングを撤去して施工する打ち替えをするのが望ましいのです。その費用が発生するので、モルタルの外壁塗装に比べて、サイディングの外壁塗装の方が金額は高くなりがちです」


雨どいやシャッターボックスの数で金額が異なる
外壁には雨どいやシャッターボックス、換気口などの付帯物があります。これらも外壁と同じように風雨にさらされ、紫外線を浴びています。保護するために外壁と同じように塗装を行うのが一般的。
「付帯物のあるなしで塗装費用が大きく変わるわけではありません。ただし、雨どいの長さやシャッターボックスの数などによっては金額はアップします」

外壁の劣化状況によってリフォーム工事の方法や金額が異なる
外壁がどれくらい劣化しているかによって、最適な工事方法は違ってきます。長年、メンテナンスをせずに放置していると、塗膜を塗り直すだけでは状態が改善せず、サイディングの張り替えやモルタルの塗り直しをした方がよいケースもあります。その場合、既存の外壁の撤去・処分費用のほか、新しい壁材の材料、工事の手間が増えて工期が長くなる分、人件費もアップします。
「どの程度の工事が必要かは状況によってさまざまです。外壁が少しだけ腐食してきている、といった程度ならその部分だけの張り替えや補修、という方法もありますし、それを機会にすべて張り替えてしまおうということになる場合も。モルタルのひび割れも軽微なヘアクラック程度ならそのまま塗装のし直しで済むこともありますし、幅が0.5mm〜1.0mmといったひび割れだと補修が必要になります」
リフォーム会社に状態をよくチェックしてもらい、修繕方法を話し合うことが大切です。
塗り替え後のデザインによって費用が異なる
外壁の塗り替えはメンテナンスとして必要なものですが、外観の配色やデザインを変更するよい機会でもあります。モルタル仕上げの外壁の一部をサイディングに変更するなど、デザインを大きく変える場合には、既存のモルタル材を撤去するなど工程が増えるため、単に塗り直しをするよりも費用は上がります。また、複数の色で塗り分ける場合、塗料のロスが出ることになれば材料費が増えます。
塗料の種類やグレードで費用が異なる
使用する塗料の種類やグレードによって、外壁塗装の費用は異なります。比較的安価なアクリル系塗料と、フッ素塗料など耐久性の高い塗料とでは、工事費用に差が出ます。延床面積120m2程度の一戸建て住宅では、足場工事や補修、コーキング打ち直しを含めた外壁塗り替え費用は、約90万円〜140万円が目安です。
延床面積120m2程度の一戸建て住宅を想定した、塗料グレード別の費用と耐用年数の目安は次のとおりとなります。
| 塗料のグレード | 主な塗料 | 耐用年数の目安 | 費用目安(延床120m2) |
|---|---|---|---|
| 低価格帯 | アクリル系 | 約5〜7年 | 約90万円前後 |
| 中価格帯 | ウレタン・シリコン | 約8〜12年 | 約100万円〜120万円 |
| 高価格帯 | フッ素・無機系 | 約15〜20年 | 約120万円〜140万円 |
耐久性の高い塗料は初期費用が高くなりますが、塗り替え周期が長くなり、長期的なコストを抑えられる場合があります。費用だけでなく、耐用年数とのバランスを考えて選ぶことが大切です。
外壁塗装の塗料は種類によって特徴がさまざま
外壁塗装に使われる塗料には、アクリル・シリコン・フッ素・ラジカルなどさまざまな種類があり、それぞれ価格帯や耐久性、機能面に違いがあります。塗料選びは見た目だけでなく、メンテナンス周期や総コストにも大きく影響する重要なポイントです。ここでは、代表的な塗料の特徴や違いについて解説します。
外壁塗装の塗料の種類
外壁を塗り直す際の塗料には複数の種類があり、それぞれ特徴が異なります。まずは、主な種類を知っておきましょう。
・アクリル塗料
主成分にアクリル樹脂が使われている塗料。耐久性の低さから現在、外壁の仕上げ用塗料としてはあまり使われていません。
・ウレタン塗料
アクリルポリオール樹脂を主な材料に使われている塗料。以前は外壁塗料としてよく使われていました。現在は、外壁にはあまり使われず、木部の塗装やベランダなどの防水工事などに使われています。
・シリコン塗料
シリコンが含まれた合成樹脂が主成分の塗料。硬い塗膜を形成する性質があり、防水性や撥水性に優れています。汚れにくい点や、紫外線にも劣化しにくい耐光性、高い耐熱性なども特徴で、現在、外壁や屋根の塗装に多く使われています。
・ラジカル塗料
塗料が劣化すると外壁の表面にチョークのような粉が出てきます。この劣化の因子を「ラジカル」といいます。ラジカル塗料はこのラジカルの発生を抑える成分を配合した塗料。主成分は樹脂。耐久性の高さから外壁の塗装によく使われるようになっています。
・フッ素塗料
フッ素樹脂が配合された塗料。太陽光や風雨、温度の変化などの厳しい気候にも耐える耐候性や耐久性に優れている点が特徴。ほかの塗料に比べて費用は高くなりますが、耐久性が高いので塗り直しまでの期間を長く取れるため、コストパフォーマスには優れています。費用をかけても、長持ちさせたいという人に向いている塗料です。
・遮熱塗料
高い日光反射率を持つ塗料。商品によって原料はさまざまです。塗装面に当たる日差しの熱の吸収を抑制することで、建物内部に熱が進入するのを抑え、家の中の温度の上昇を抑えることで光熱費の削減効果が期待できます。耐久性が高い点もメリットですが、価格は高めになります。
・光触媒塗料
塗料に含まれた酸化チタンが太陽の光に反応し、汚れを分解。雨が当たることで汚れが流され塗料を塗った外壁や屋根などの美観が保ちやすいのが光触媒塗料です。耐久性の高さも大きなメリットですが、ほかの塗料と比べると価格は高くなります。
外壁の塗料の種類別に耐久性や価格を見てみよう
外壁塗装に使われる塗料について、具体的な耐久年数や価格帯の違いなどをまとめました(現在、あまり使われていないアクリル塗料は省いています)。

最近、使われている塗料の主流
外壁の塗装をするなら、雨や紫外線に強く、一度塗装をしたら長期間塗り直しが不要になるグレードの高い塗料がいいはず。でも、高機能で高耐久性の塗料は価格も高めになります。そのため、多くのリフォーム会社では、機能と価格のバランスを考えて塗料の種類を選びます。坂さんによれば、最近はラジカル塗料がよく使われているそうです。
外壁の塗り直しをしなければどうなる?
外壁の塗装は、家の外観を美しく保つだけでなく、紫外線や雨風から建物を守る大切な役割を担っています。しかし、塗り直しを先延ばしにすると、劣化が進み、雨漏りや構造材の腐食といった深刻なトラブルにつながる恐れがあるため注意が必要です。ここでは、外壁の塗り直しを怠った場合に起こりうる影響について解説します。
外壁塗装をしないままでいるとどうなる?
外壁の塗装は定期的に必要で、毎回お金もかかります。住宅ローンの返済や固定資産税などの税金、子どもの教育費などさまざまな出費がある中、家のメンテナンス費用も、となると家計に大きな負担だと思う人もいるでしょう。もしも、外壁塗装をしなければ、どのような影響があるのでしょうか。
「外壁材に塗られている塗膜は、人間でいえば日焼け止めのようなもの。人間の肌と同じように、外壁も紫外線の影響を受けると劣化してしまいます。劣化することで美観上の問題も発生しますし、雨水や湿気を吸い込みやすくなることで外壁に問題が発生します。外壁に入り込んだ水が冬に凍って外壁に割れができたり、モルタルやサイディングが内側から膨らんできてしまったり。ひび割れも起きやすくなります」
外壁の内部に水が入り込むと躯体の腐食が進み、住まいの寿命が短くなってしまいます。
外壁塗装は何年おきがいい?
外壁の塗装は何年おきに塗り直せばよいのでしょうか。
「最近は塗料の性能も上がっているため、外壁の塗り直しは、私は12〜13年おきくらいでいいと思っています。しかし、紫外線に当たる屋根は外壁よりも劣化が早く、塗り直しの周期は8〜10年おきくらいが妥当。外壁も屋根も足場を組んで塗り直しをするなら、一度にやってしまった方が費用も手間もかからないと考えれば、外壁と屋根の塗り直しは10年に一度がよいのではないでしょうか」
ただし、最近建てられた一戸建てや、最近、外壁の塗り直しや屋根の張り替えをした家の場合は、耐久性の高い塗料を使っていることで、今後のメンテナンスのサイクルが延びていくことが期待できます。

実例1:外壁塗装と屋根塗装を実施。永く暮らせる住まいへリフォーム
外壁塗装を含むリフォームをした一戸建ての実例を紹介しましょう。
築25年の一戸建てを、風雨や紫外線から守り、耐久性を伸ばすために外壁・屋根塗装を実施。屋根や外壁だけでなく軒天や破風まで丁寧に塗装し、タイル貼り部分は高圧洗浄。雨樋は全取り換えを行っています。愛着のある外観を変えることなく、末永く暮らせる住まいになりました。(情報は施工当時のもので、現在の費用等とは異なる場合があります)

※リフォーム内容は契約時のもの。費用は概算。建物の状態や契約時期によって費用は変動します。掲載した費用、工事内容などはあくまでも参考としてください。
外壁塗装のコストを下げる方法はある?
外壁塗装は定期的に必要なメンテナンスとはいえ、m2単価や足場代、人件費などが重なり、まとまった費用がかかります。ただし、工事の進め方や依頼先、塗料の選び方を工夫することで、コストを抑えることも可能です。ここでは外壁塗装のコストを下げるための具体的な方法について解説します。
外壁塗装と屋根塗装を同時にする
家を長持ちさせるためにも定期的な外壁の塗装は必要。そのための経済的な負担が大きくならないようにするためにも、費用が不要な工事などは避けたり、上手に施工の依頼をしたりすることでコストを抑えるといいでしょう。
コストを下げるための方法の一つが、外壁塗装以外のリフォーム工事も予定しているならまとめて依頼してしまうことです。例えば、費用を節約するために今年は外壁塗装、来年は屋根塗装、とバラバラの時期にリフォームをすると、その年にかかる費用は安くなるかもしれませんが、二つのリフォーム工事に共通する足場代などの費用は、毎回かかることになります。一度にまとめることで足場代や諸経費を抑えられ、結果として割安にできます。
外壁塗装の施工時期をずらすことで比較的割安な価格になることがある
外壁塗装など外回りの工事は台風や梅雨の季節以外に工事が集中する傾向があります。工事が少ない時期は、リフォーム会社によっては比較的割安なキャンペーンを実施することがあるので安く施工してもらえる可能性も。ただし、お天気が悪い日が続くことで工期が延びるケースがあります。足場で囲まれることで採光が悪くなることにストレスを感じる人は要注意です。
外壁塗装の依頼先は地域密着型で自社施工の会社を探す
受注した工事を自社のスタッフで施工する自社施工の会社は、工事を社外の会社に発注する中間マージンが発生しない分、割安な価格が実現できます。すべてが自社施工とは限りませんが、地域密着型で長年営業している工務店やリフォーム会社には、自社施工や割安な価格で工事を引き受けている会社が見られます。身近に、そのような会社があれば問い合わせたり、見積もりを依頼してみるといいでしょう。
外壁塗装の塗料はオーバースペックにならないようにする
フッ素系塗料や光触媒塗料などは耐久性は高いですが、コストも高くなります。
「数年後に建て替えや売却を考えている場合、光触媒塗料やフッ素塗料といったハイグレードな塗料を使うのはオーバースペックになります。解体まで5年程度ならシリコン塗料にするなど、住んでいる間のための塗料でよいと思います。売却を考えている場合も、買主に安心していただくためにも、きちんとメンテナンスをしていた方がいいでしょう。買主の方が好みの色への塗り替えを計画されるかもしれませんから、一般的な塗料でよいのではないかと思います」
増築や減築、外壁の種類によって外壁塗装が不要な場合がある
「タイルやレンガの外壁は、基本的には塗料を塗るリフォームは不要です。また、増築や減築で新しく壁を設けた場合、既存の壁が塗り替えをしてまだ1〜2年程度であれば、外壁全体の塗り直しは必要ないと思います。新規の外壁だけあえてアクセントをつけるために、既存の外壁とは違う色を塗るという方法もあります」
実例2:増築部の外壁は、既存部分と差が出ないように仕上げてコストダウン
築20年の住まいをより快適・便利な家にしようとリフォーム。1階を増築し、水回りを移動することで仲間と集えるLDKとゆとりの浴室、ルーフバルコニーを実現しています。増築部の外壁は、既存部分と差が出ないように仕上げ、家全体の塗り直しを不要にすることで手間やコストが抑えられました。

※リフォーム内容は契約時のもの。費用は概算。建物の状態や契約時期によって費用は変動します。掲載した費用、工事内容などはあくまでも参考としてください。
外壁塗装リフォームは見積もりを取って適正な費用を知る
外壁塗装の費用は、塗料の種類や家の形状、劣化状況などによって大きく変動します。相場を調べただけでは、わが家の適正価格を把握するのは難しく、見積もりの取得が欠かせません。ここでは、外壁塗装リフォームの見積もりを取る際のポイントや確認すべき内容について解説します。
複数社に見積もりを依頼して費用の目安を確認する
外壁塗装の費用は工事内容や使用する塗料などの材料、家の規模、そして地域によって適正な価格が違ってきます。近隣で行われた外壁塗装の費用は、おおまかな目安にはできても、わが家でいくらかかるかは、リフォーム会社に外壁の状態を確認してもらい、打ち合わせをして、はじめて詳しい金額が出てきます。
希望の外壁塗装がいくらでできるのか、まずはリフォーム会社に見積もりを出してもらいましょう。複数の会社に依頼して、比較検討する相見積もりにすることで、それぞれの会社から提示された金額が妥当なものなのかも確認できます。
外壁塗装の相見積もりを取るときの注意ポイント
複数の会社に見積もりを依頼する際は、同じ条件で依頼することがポイントです。塗り直しをしたい範囲、どのような塗料を使ってほしいか、同時に行う別のリフォームはあるかなど、条件を揃えることで、上がってきた見積もりの比較検討がしやすくなります。
内容を確認するときの注意ポイント
各社から提示された見積もりを確認する際、金額以外にどこに注意すればいいのでしょうか。
「見積書の金額が『一式●●万円』という記載だけで、工事の詳細を明確にしていない場合は注意が必要です。お願いしていた施工がされていないなど、あとでトラブルになりかねません。誠実なリフォーム会社であれば、提出される見積書には外壁の面積、雨どいの長さ、雨戸の枚数なども明記されて、どういう塗料を何回塗るのか、塗料は何缶発注するのかなど、詳細が記載されています。工事完了後には、使用した塗料の缶の写真の提出をする会社もあります」
工事内容と工事の方法、使用する材料の種類や数量などが明確になっているかを確認しておきましょう。
外壁塗装のリフォームで助成金や補助金、火災保険は使える?
外壁塗装の費用は決して安くはなく、少しでも負担を軽くしたいと考える方も多いでしょう。自治体の助成金・補助金制度や、火災保険の適用条件によっては、工事費用の一部を補填(ほてん)できる可能性があります。ここでは、外壁塗装に使える公的制度や火災保険の活用方法について解説します。
外壁塗装への助成金や補助金制度が自治体にないかをチェック
外壁の塗装への助成金や補助金は自治体によって対応がさまざま。住んでいる市区町村で、住宅リフォーム資金への助成金や、省エネ住宅へのリフォームの補助金の制度はないかを確認しましょう。市区町村役場の代表電話に電話をして、住まいに関する助成金や補助金について知りたいと告げれば、該当部署につないでもらえます。
外壁塗装で助成金や補助金を利用する場合の注意点
外壁塗装リフォームに対する助成金や補助金の制度は、自治体ごとに大きく異なります。省エネ対策として遮熱塗料の使用が条件になる場合もあれば、一般的な塗装工事でも対象となることがあります。また、以下のような条件が設けられていることも少なくありません。
- 一定額以上の工事費用が対象となる
- 地元の施工業者に依頼する必要がある
- 所有者であることや税金の滞納がないこと
このように、居住する地域や工事内容によって適用の可否が異なるため、制度の有無や対象要件を事前に確認することが重要です。
さらに、補助金・助成金には年度ごとの予算上限が設定されており、申請が多数に達すると募集が締め切られることがあります。こうした事情からも、募集時期や申請期限を把握し、早めに手続きを進めておく必要があります。加えて、多くの制度では工事の着工前に申請が必要とされているため、スケジュール管理にも注意しましょう。
活用を検討する際は、各制度の条件や申請手順に詳しいリフォーム会社へ相談することで、手続きを円滑に進められます。
なお、補助金の制度は毎年見直されることも多く、前年の情報がそのまま今年度にも適用されるとは限りません。最新の情報を確認したうえで、自身の状況に合った制度を活用しましょう。

外壁塗装のリフォームで火災保険は使える?
火災保険に加入しているなら、火災だけでなく、台風などによる風災、落雷など自然災害による被害も保険での補償の対象になります。例えば、「強い風で飛んできた物が外壁に当たって外壁が破損。塗装での補修が必要」といったケースです。契約内容によって、保険の適用範囲や補償対象となる損害額の下限が決まっていますから、火災保険の内容を一度確認しておきましょう。なお、地震が原因の被害は、火災保険では補償されないので注意しましょう。
火災保険を利用する場合の注意点
自然災害による外壁の破損を塗装で補修する場合、大切なのは破損した箇所を写真に撮っておくこと。次にリフォーム会社に損害状況の調査をしてもらい、塗装工事の見積書を作成してもらいましょう。保険金額の審査のために必要なダンドリです。また、自分で補修をしてしまうと火災保険の対象外になることがあるので要注意です。スムーズに保険金を受け取るためにも、火災保険の申請について知識のあるリフォーム会社に依頼すると安心です。
なお、保険金を請求できるのは、被害が発生してから3年以内が一般的。しかし、時間が経つと、外壁の被害の原因がわかりにくくなり、保障対象だと証明しにくくなります。被害に遭ったらリフォーム会社だけでなく、保険会社への連絡も速やかに行いましょう。
外壁塗装の費用はどうやって払う?ローンを借りられる?
外壁塗装の費用は数十万円から百万円を超えることもあり、支払い方法に悩む方も多いでしょう。現金一括での支払いが難しい場合でも、クレジットカード払いやリフォームローンの活用など、選択肢は複数あります。ここでは、外壁塗装の費用の支払い方法やローン活用のポイントについて紹介します。
現金で支払う
外壁塗装リフォームのみの費用なら数十万円のため、現金で支払うケースも多いでしょう。一括で振り込むか、金額が大きい場合は、施工前と施工後に2〜3回に分けて振り込むことも。
分割の割合は会社によって異なりますが、着工時5割、引き渡し時5割の2回払い、着工時3割、中間時4割、引き渡し時3割の3回払いなど。着工前にまとまった金額を用意しなければならず慌てる、ということのないよう、事前に支払い方法や分割割合などを確認しておくことが大切です。
なお、一括前払いや着工時の支払いの割合が8割など、施工をする前に大きな金額を要求された場合は要注意です。お金を振り込んだあとにリフォーム会社と連絡が取れなくなった、倒産してしまったといったケースもあります。
クレジットカードで支払う
クレジットカードでの支払いに対応しているリフォーム会社もあります。振り込み手数料がかからず、カードによってはポイントが付くメリットが。分割払いが可能かはリフォーム会社に確認しておきましょう。
住宅ローンなどのローンを借りる
住宅ローンからリフォームの資金を借りることは可能です。しかし、一般的な住宅ローンを新たに借りるのは、外壁リフォームのみの場合、借りる金額が大きくないわりに、借り入れ申し込みの手間や事務手数料がかかります。現在、住宅ローンを返済中なら、リフォーム費用と住宅ローンの残りをあわせた住宅ローンに借り換えができないかを金融機関に相談してみましょう。返済中の金融機関以外に相談することもできます。
そのほか、住宅ローンよりも金利は高めですが、使い道自由のフリーローンを借りて支払うという選択肢もあります。
分割払いやローンを利用する場合は、毎月の返済が家計の負担にならないよう分割回数や返済期間を選ぶことが大切です。

外壁塗装リフォームの流れと工期は?
外壁塗装リフォームは費用だけでなく、「どのような流れで進むのか」「工事期間はどれくらいかかるのか」も事前に把握しておきたいポイントです。足場の設置や高圧洗浄、下地補修、塗装工程など、工事中は日常生活に一定の影響が出ることもあります。スケジュールを理解しておくことで、安心して工事に臨みやすくなるでしょう。ここでは、外壁塗装リフォームの一般的な流れと工期の目安について解説します。
外壁塗装の一般的な流れを知っておこう
一戸建ての外壁を塗り直す外壁塗装は下のような流れで行われます。工期は8〜10日程度です。
・近隣への挨拶
着工前に近隣へリフォーム内容や工期をお知らせします。リフォーム会社の担当者が近隣を訪問してくれます。今後のご近所づきあいのことも考えると、施主も可能であれば挨拶に同行するのが望ましいといえます。ただし、最近は共働き世帯が多いこと、見知らぬ人の訪問は嫌がられることなどから、ご挨拶は文書の投函のみにするケースもあります。
・足場の設置・養生
建物の周囲に足場を設置。窓ガラスや庭の植栽など、洗浄の際の汚れや塗料が付きそうな箇所は養生シートで覆います。換気のためなどで開閉したい窓がある場合は事前に相談しておきましょう。
・高圧洗浄・下地調整
高圧洗浄機で塗装面に付いた汚れや埃、劣化しや塗膜などを取り除きます。その後、下地のひび割れなどの劣化部分を補修します。
・下塗り
下地に浸透し補強する役割を持つシーラーを下塗りします。
・仕上げ
下塗り、乾燥を経て、仕上げの塗料を2〜3回塗ります。
・付帯工事
雨どいやシャッターボックス、換気フードなどの付帯物の塗装を行います。
・完了検査
塗装が終わったら、仕上がりの状態や塗り残しはないかなどを施主とリフォーム会社が確認します。
・足場や養生シートの撤去
完了検査で問題がなければ足場を解体し、養生シートを片付けて工事は終了です。
外壁塗装の人気色は?塗料選びでおしゃれな外観にもできる
年月とともに劣化した外壁は、塗り直すことで美観を取り戻せるだけでなく、家全体の印象もガラリと変えることができます。特に人気色や配色の工夫によって、住まいをよりおしゃれに見せることも可能です。ここでは、外壁塗装で選ばれている人気色の傾向や、塗料選びのポイントについて紹介します。
外壁塗装で人気なのはどんな色?
外壁塗装リフォームはメンテナンスに必要なだけでなく、年月とともに汚れてしまっていた外観を美しくよみがえらせたり、以前とは違う色の外観にしたりできます。
「色選びで多いのはホワイト系やベージュ系といったオーソドックスな色。今の外壁と同じように仕上げてほしいというリクエストが多いですね」
現在の外壁とは違う色や、部分的に色を変えておしゃれな配色にするのも外壁塗装リフォームの楽しみです。
「一面だけネイビーなどのアクセントになる色を使ったり、凹凸のある外観なら突き出している部分だけ違う色にしたりすることもあります。そのほか、同じ色でもツヤありや少しマットな塗料がありますから、好みで選ぶといいでしょう」
実例3:壁の塗装を一新し、以前とは印象が異なる古民家スタイルの家に生まれ変わったリフォーム
一般的な木造住宅を古民家風の住まいに大改装。外観ももちろん古民家を意識したデザインです。屋根を入れ替え、壁の塗装は濃いグレーに一新。以前とはまったく印象が異なる住まいに生まれ変わりました。

※リフォーム内容は契約時のもの。費用は概算。建物の状態や契約時期によって費用は変動します。掲載した費用、工事内容などはあくまでも参考としてください。
実例4: 間取りや設備、サッシ、外壁・屋根を一新して安心・快適な住まいに
築27年で老朽化しており、安全面にも不安があった一戸建て。間取りや設備、サッシなどを入れ替えたほか、耐震補強も実施。屋根はカバー工法、外壁は塗装によって老朽化による傷みを解消しています。

※リフォーム内容は契約時のもの。費用は概算。建物の状態や契約時期によって費用は変動します。掲載した費用、工事内容などはあくまでも参考としてください。
外壁塗装の依頼先はどう探す?
外壁塗装の費用や塗料選びと同様に、信頼できるリフォーム会社や施工会社をどう選ぶかも重要なポイントです。訪問販売への対応や、見積もりの比較方法、地域密着型業者の選び方など、事前に知っておきたい注意点があります。ここでは、外壁塗装の依頼先の探し方と選定時のチェックポイントについて紹介します。
外壁塗装の訪問販売は断ること
外壁塗装リフォームの依頼先はどうやって探せばいいのでしょうか。
「避けた方がいいのは飛び込み営業で、『近くで外壁の塗装をしていて、こちらのお宅の外壁が目に入った。塗り直した方がいい』などと突然訪問してくる人です。実際はまだ塗り直す必要はないケースもあります」
また、強盗や空き巣の下見のためにリフォーム営業を装うケースもあります。不審な訪問には対応しない、敷地に入れないことが重要です。
知り合いのクチコミや付き合いのある工務店に相談
依頼先は、外壁塗装をしたことがある近所の人や知り合いからの評判のいいリフォーム会社や、過去にわが家のリフォームを頼んだことがあるリフォーム会社に問い合わせたり、現在の住まいを建てた工務店などに相談したりするといいでしょう。インターネットで探す場合は、クチコミだけを参考にするのではなく、その会社のオフィスを訪ねて会社の雰囲気や対応を確認することが大切です。
依頼先がなかなか見つからない場合や探す時間が取れない場合は、リフォームアドバイザーが相談にのるスーモカウンターリフォームの利用も検討してみましょう。リフォームの相談や悩みをアドバイザーがサポートするほか、予算や希望にあわせたリフォーム会社を無料で紹介してもらえます。相談だけでもOKで、紹介された会社であればお断りの代行もしてもらえます。
一戸建ては適切なメンテナンスを行うことで建物を長持ちさせられます。外壁の塗装の塗り替え時期が来たら、複数のリフォーム会社に見積もりを依頼。提案されたリフォーム費用やリフォーム内容を比較検討しましょう。
イラスト/土田菜摘
さくら事務所。大手リフォーム会社にて営業・設計・施工管理、大手ハウスメーカーにて営業・設計に従事した後、リフォーム会社を設立。リフォームや注文住宅の設計・施工に従事。リフォーム・新築・インスペクションを含めて1000件以上の現場実績を持つ。
さくら事務所では、リフォーム・リノベーション工事チェック・完成検査を行うホームインスペクションのサービスも用意している。
広告制作プロダクション勤務後、フリーランスのコピーライターに。現在は主に、住宅ローンや税金など住宅にかかわるお金や、住まいづくりのノウハウについての取材、記事制作・書籍編集にたずさわる。