外壁や屋根を含む家全体のリフォーム、リノベーションをするなら、塗装で外観の色をがらりと変えてしまうのも楽しいもの。とはいえ、どんな色にすればいいのか、屋根と外壁の色の組み合わせをどうすればいいのか迷ってしまいます。
そこで、塗装で失敗しないおしゃれな、かっこいい色選びのポイントなどを一級建築士のYuuさん(本名:尾間紫さん)に、外壁の塗料についてはさくら事務所のプロホームインスペクターで一級建築士の安富大樹さんに話を聞きました。

記事の目次
外壁の塗り替えは新しいわが家に出会えるチャンス
一戸建ての外壁は定期的な塗装のし直しが必要
一戸建てを購入、建築した後は、家を長持ちさせ、安心・快適に暮らすための定期的なメンテナンスが必要になります。外壁の塗り替えもそのひとつ。外壁は、雨や風、雪、気温の変化、紫外線などにさらされる過酷な環境下にあるため、長年そのままにしておくと外壁材の表面に施工されているコーティング材(塗膜)が劣化し、見た目が悪くなるだけでなく、内部に水が入り込み建物にダメージを与えてしまう可能性も。10年〜20年に一度は、再塗装をすることで外壁を保護し、美しい外観を保つことができます。
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外壁の塗り替えを楽しもう
外壁の塗り替えには費用がかかります。選ぶ塗料のグレードや家の規模などによって相場は変わりますが、一般的な2階建ての場合で60万〜150万円(足場代別)からが目安。定期的にまとまった出費があることを考えると、「外壁の塗り替えは大変……」と重たい気持ちになってしまうかもしれません。
でも、「外壁の再塗装はメンテナンスとして必要なだけではなく、外観の色を変更することで新しいわが家に出会えるチャンスでもあります」とYuuさんは言います。
「外壁や屋根の色は、外観の印象を決めるものです。再塗装では、その色を大きく変えることができます。10年、20年に一度しかない、貴重なチャンスといえますね。今の外観の色が気に入っていて、同じ色で再塗装をするのも良いのですが、イメージの違う色を選んだことで、『新しいわが家に出会えてうれしい』とおっしゃる方も多いんですよ。次はこんな色にしたい!という思いをあたためている方もいらっしゃいます。そんなふうに、外壁の塗り替えをぜひ楽しんでいただきたいです」(Yuuさん、以下同)
10年、20年たてば、外壁の色のトレンドも変わっています。また、施主の好みも変わっていきますし、さまざまな住宅を目にすることでセンスが磨かれていることもあります。今の自分がすてきだと思える外壁の色に、楽しみながら変えてみることがおすすめです。
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外壁の色で、家の印象はどう変わるのかを比較
家のイメージは、外観のデザインや玄関ドアのデザイン、外壁の素材など複合的な要素によって決まります。外観デザインやドア、外壁材はそのままで、外壁の色が変わるだけでも、家の印象は変わります。
下は濃いグレーの屋根と薄いアイボリー系の外観という配色の、シンプルな外観の一戸建て。この家のデザインはそのままで、外壁の色だけを変えた場合に、印象はどう変わるかを見ていきましょう。

同系色で濃淡が違うだけでも印象は変わる
外壁の色を変えてみたいけれど、あまりに違う色にする勇気が出ない、ドアや門扉との配色が合うかも不安、という場合は、今の外壁と同系色で濃いめの色や、逆に薄い色を選ぶだけでも家の印象は変わります。
下のイラストは、前出の薄いアイボリー系の外壁をベージュに変更した場合のイメージ。塗り替え前はスッキリとした印象ですが、ベージュに変更することであたたかみのある外観の印象になっています。
色選びに自信がないから同じような色になりそう。でも、せっかく塗り替えをするなら、少しは家のイメージを変えてみたいという人は、今とは色の濃さが違う色にするだけでもイメージチェンジを楽しめそうです。
逆に色の濃さは同じくらいでも、違う色を選ぶことでも印象は違います。例えば、薄いアイボリー系から薄いグレー系にすると、ベージュを選んだ場合とは印象の異なるシンプルでキリッとした外観になりそうです。


濃さも系統も違う色で印象が大きく変わる
今の外壁の色とは全く違う色に塗り替えれば、家の雰囲気はガラリと変わります。白や薄いアイボリーの外壁を、濃いグレーや紺色、ブラックなどに変えると、外観デザインによって重厚感が出せたり、都会的な雰囲気になったり。下のイラストは、薄いアイボリー系の外壁を、くすんだ濃い緑色に変更したもの。落ち着いた「和」のイメージのある外観に生まれ変わっています。
家を建ててから年月がたつことで暮らす人も年齢を重ね、落ち着いた外観や「和」を感じさせる外観、重厚感のある外観が好みになっていることもあるでしょう。注文住宅を建てる時のような気持ちで、好みの外壁の色をゼロから選ぶのもおすすめです。


ツートーンカラーで色選びを楽しむ
外壁を1色ではなく、2色で仕上げるのも楽しいものです。下のイラストは薄いアイボリー1色の外壁を、薄いグレーと濃いグレーのツートーンカラーの外壁に変更したもの。やさしい雰囲気の外観の一戸建てが、グレーの濃淡2色に変わることで、スタイリッシュな雰囲気に変わることがイメージできます。
2色を使う場合、主に1階部分と2階部分の上下で色分けをする方法や、イラストのように外観デザインの凹凸に合わせてタテに塗り分ける方法があります。上下で色を分ける場合、1階部分を濃い色にすると安定感や重量感を感じさせる外観になり、タテに色分けをする場合は選ぶ色によりますがスタイリッシュな雰囲気を出しやすくなります。


好きな色でわが家の個性を表現する
外壁用の塗料は白やベージュ、グレー、ブラウンなどのオーソドックスな色以外にもさまざま。塗料メーカーからバリエーション豊富な色が出されていますし、好みの色をオーダーすることも可能です。塗り変えに使いたい色があるなら、その色を使ってみることで満足度もアップします。
例えば、下のイラストは薄いアイボリーのオーソドックスな外壁の色を、濃いブルーに変更したもの。最近はリフォームの工法の進化で、サッシの変更も思うより手軽にできるようになっています。このケースでは白いサッシに変更することで、青と白の配色がおしゃれな外観になりました。
屋根が三角屋根の家なら外壁を濃いブルーに塗り替えて、サッシだけでなく「破風、鼻隠し」などの屋根の縁取り部分も白にしてアクセントにすると、北欧の住宅をイメージさせるかわいらしい外観になります。
ほかにも淡いサーモンピンクや薄い黄色の塗料でかわいらしい外観にするなど、自分のイメージを叶える色選びをするといいでしょう。外壁の色だけでなく、外観デザインによっても印象が違ってきますから、わが家に似合う色を探すのも楽しいですね。


外壁の色を変えるタイミング
10年〜20年周期が本当にベスト?
外壁の色を変えるなら、メンテナンスのための塗り替え時に行うのが一石二鳥。外壁のメンテナンスは10年〜20年周期ともいわれますが、実際にはケースバイケースです。
「外壁は使われている塗料や、塗膜を劣化させる紫外線や雨などの当たり方で、建物によって状態が異なります。外壁塗装は10年おきがいいとよくいわれていますが、塗料の品質や状態によってはもっと長持ちするケースもありますし、少し早めに塗り替えたほうが良いケースもあります。大切なのはその見極めです。塗り直しが必要な状態になる一歩手前で塗り直すのが安心です」
外壁の塗装の色選び、こんな失敗をしがち!? 回避策は?
家の外観を変えることができる外壁の塗り替えは、楽しいもの。でも、外壁の色選びに失敗してしまうと、次の塗り替えの時期まで気に入らない外観のまま我慢して過ごすか、どうしても気になるなら費用をかけて塗り直しをすることになります。そこで、ありがちな失敗を紹介。Yuuさんから、失敗しないためのアドバイスもいただきました。
見本で見た時と完成後のイメージが違う
外壁の塗り替えの際には、厚紙や外壁材に実際の塗料を塗った色見本を見て選ぶのが一般的です。その見本でイメージした色と、塗装が終わった後のわが家の色が、大きく違うということがあります。
「見本と完成後のイメージが違うというのは非常に多いケースです。小さなサンプルで見ると、色は濃く、暗く見えます。しかし、その色を大きな面積に塗るとサンプルで見たときの印象よりも鮮やかに明るく見えます。外壁の塗装でよくあるのが、淡いグレーやブルーを選んだつもりだったのに、塗装が終わったら白い外壁に見えること。そのほか、深いベージュを選んだはずなのに、少し明るい黄色になったとか、くすんだグリーンを選んだつもりが明るくクリアなグリーンだったというケースもあります」

見本の色と塗料の色が異なっている、というわけではありません。これは、同じ色でも面積の大きな面で見る方が、彩度も明度も高い色に見えるという現象によるもの。色の濃さや明るさが違って見えてしまうのです。
彩度とは色の鮮やかさの度合いを示すもの。明瞭な色は「彩度が高い」といい、くすんだ色は「彩度が低い」といいます。明度とは色の明るさの度合いを示すもの。例えば、明るい黄色や白など「光の反射率が高い色は明度が高く」、紺色や濃いグレーなど「光の反射率が低い色は明度が低い」といわれます。
下の図は明度と彩度の度合いによって、色がどう変化するかを表したもの。くすんだ緑色の明度と彩度が上がると、明るい緑色になることがわかるかと思います。
そのほか、光の当たり方や、外壁の凹凸などでできる影による見え方の違い、周辺の景観の色との対比などによっても、見本で見た時と違う印象の外壁に仕上がることがあります。

では、色見本で選んだ色と違うイメージの仕上がりにならないようにするには、どうすればいいのでしょうか?
まずは大きめの見本を見せてもらうこと。色見本帳などには手のひらに乗るくらいの小さなサイズの見本が並んでいますが、A4サイズほどの大きさに一色ずつ塗られた見本帳もあります。
「大きめの見本を作ってもらう方法もあります。また、色は見本帳の中から選ぶのが一般的ではありますが、好みの色を作ってもらうことも可能です。外壁の色は雨の日や晴れの日、太陽の光の当たり方によっても見え方が違いますから、実際の外壁に試し塗りをしてもらうのもいいでしょう。なお、サンプルの制作や試し塗りに費用がかかるか、かかるとすればいくらなのかを事前に確認するようにしてください」
玄関ドアやサッシと合わなかった
「新しくなった外壁と、玄関ドアやサッシが合わないというケースも多くあります」
これは、玄関ドアやサッシの色と合わない場合もあれば、玄関ドアやサッシの古さが目立ってしまうという失敗の場合もあるそう。
「築年数の古い一戸建ての玄関ドアやサッシはブロンズ色のものもあります。これは、ほかの色との合わせ方が意外に難しい色です。比較的新しい一戸建てなら、玄関ドアやサッシは白やブラック、ステンカラー(グレー)が多く、どんな外壁の色にも合わせやすいといえます」
ブロンズ色の玄関ドアやサッシをそのままで外壁の色だけ変更するなら、白やベージュのほかに、サンドなどのアースカラーや和を感じさせる深い緑、濃いグレーも似合います。ポイントは落ち着いた暖色系を選ぶこと。白やブラック、ステンカラーなど最近のサッシに多い色はさまざまな色が似合うので、既存の外壁とは違う色の塗料を選んでみるのもいいですね。
また、古さが目立つ玄関ドアやサッシの場合は、費用はかかりますが、思い切って新しいものに交換する方法も。サッシや玄関ドアの性能を向上させるメリットも得られます。
「ドアやサッシだけでなく、玄関まわりのタイルなどとのコーディネートも忘れないことが大切です。色を変更しない部分とのバランスを考えて外壁の色を選ぶようにしましょう」
汚れが目立ちやすくなった
以前は気にならなかったのに、塗り替えをしてから外壁の汚れが目立つようになるというケースがあります。
「空気中のホコリや雨で跳ねた泥などの汚れが目立ちやすい色というのはあります。汚れが目立ちやすいのは淡いブルー系の外壁。また、真っ白な外壁も細い筋のような黒い雨筋が目立ちやすく、黒い外壁にはホコリや花粉などの白っぽい汚れが目立ちます」
汚れが目立たない外壁にするには、汚れが目立ちにくい色を選ぶこと。
「目立ちにくいのはベージュ。そのほかアイボリーやグレー、ブラウンなどです。このような色を選ぶか、こまめに手入れをすることです」
色あせが目立ちやすい
紫外線にさらされる外壁は、選ぶ色によっては色あせがしやすくなります。色あせがしやすいのは赤や黄色の外壁。色あせを避けるには、ベージュや白、薄いグレーなどの外壁にするのがおすすめです。
周囲の風景から浮いてしまう
周囲の家とは大きく違う色を選んで、わが家だけが目立ってしまうということがあります。でも、それを失敗と取るかどうかは考え方次第。
「周囲と同じ色は嫌、という方もいれば、目立ちたくないという方もいて好みはいろいろです。周囲から浮いてしまっても、その外壁の色が好みならそれでいいと思います。ただし、ご近所からよく見える外壁があまりに奇抜になってしまうのは避けたいものです。また、建売住宅が並ぶタウンなど、外壁の色も含めてトータルで街並みをデザインしている地域もあります。ご近所や周囲の風景とのバランスを考えて色選びをするのがいいでしょう」
外壁と屋根の色が合わなかった
「屋根は濃いグレーやブラック、濃いブラウンなどオーソドックスな色を選ぶことが多いので、外壁と屋根の色の組み合わせでの失敗はあまり心配しなくて大丈夫では、と思います。それよりも、ドアやタイルなど色を変更しない部分と外壁の色のバランスに注意することが大切です」
最近人気の屋根、外壁の色は?
家の外観デザインに流行があるように、屋根や外壁の色にも時代によって流行の色があります。外壁や屋根の塗り替えを考えているなら、色選びの際には今の人気色も検討してみましょう。
人気の屋根の色は?
以前は赤い屋根や白い屋根などもよく見かけましたが、最近は少なくなってきています。
「赤は色褪せがしやすいですし、白は汚れが目立ちます。最近人気なのは、ブラウン、グレー、ブラック。ちょっとカッコいいスタイリッシュな外観に似合う色が人気です」
落ち着いていてオーソドックスな色でもあるため、さまざま外壁の色と合わせやすい点も魅力です。
人気の外壁の色は?
屋根の色がオーソドックスなブラウン、グレー、ブラック系なら、外壁の色の選択の幅は広がります。とはいえ、外壁の人気色もシンプル。
「白、ベージュ、アイボリー、グレージュ、グレーが外壁の人気色。最近はブラックの外壁もよく見かけるようになりました」
人気なのは汚れが目立ちにくく、屋根の人気色と同様にオーソドックスな色。シンプルで洗練された外観デザインが人気なように、外壁の色も奇抜さのない落ち着いた色が好まれているようです。

外壁、屋根の色選びで後悔しないためのポイント
好みの色が自分でもわからなかったり、選んだ色が完成後に好みの外観イメージになるのか不安だったり。外壁や屋根の色選びはなかなか難しいものです。一度塗り直してしまうと、次の塗装まで数年〜10数年ですから、後悔は避けたいもの。そこで、色を選ぶ際に知っておきたい主なポイントを紹介しましょう。
住宅展示場見学や街歩きで好みの色を探す
ハウスメーカーの住宅が並ぶ住宅展示場や、さまざまな家が立つ住宅地は、外壁や屋根の色についての自分の好みが見えてくる場所です。
住宅展示場の見学では、最近のトレンドといえる色を感じたり、竣工からまもない時期の外壁の色を確認できたりします。住宅地では外観デザインと色の相性も考えながら歩いてみるといいでしょう。
「好きな色を見つけたら、その場所を覚えておくといいですね。後日、塗り替えを依頼するリフォーム会社に伝えると、色のイメージを共有することができます。私の経験でも、とある学校の外壁の色がすてきだというお客様がいらっしゃったので、見に行ったことがありました」
SNSなどWEBで好きな外観の色を探す
最近は、建てた家やリフォーム後の家をSNSで公開している人も珍しくありません。また、ホームページに施工例を掲載しているリフォーム会社も多くあります。好きだな、すてきだなと思う外観の色を探してみましょう。
SUUMOのサイトでもリフォームの実例を部位別にみることができます。
「お住まいのエリア」を選択し、マップ右上の「掲載実例数」をクリックし、「一戸建て」で絞り込んで、好みの外観を見つけましょう。
リフォーム会社の施工例を見せてもらう
外壁や屋根の塗り替えを依頼するリフォーム会社が決まっているのなら、その会社の施工例の実物や写真を見せてもらい、その中から使いたい色を選ぶのがおすすめです。施工した会社ですから、どの塗料を使用したのかが明確。塗り直しが完了したら、思っていた色と違った!ということが防げる安心感があります。
シミュレーションサイトで配色を考える
色選びがなかなか進まない場合は、配色のシミュレーションがおすすめ。現在の住まい全体を写真に撮って、画像編集ソフトで外壁と屋根の色を変更してみるとイメージがしやすくなります。
もっと手軽にできるのは、塗料や外壁材のメーカーなどがホームページ上で提供している外観や外壁材、塗料のカラーシミュレーションです。実際に塗り替えをするわが家の外観とは異なりますが、雨樋(あまどい)やサッシなどの色も選ぶことができたり、ツートンカラーなど複数の色を使ったシミュレーションができたりするシミュレーションサイトもあります。どんな色を選ぶといいのか、具体的なイメージが作りやすくなるでしょう。ただし、具体的な塗料や外壁材の品番が掲載されていても、パソコンの画面では実際の色とは異なることが多くあります。あくまでも全体的なイメージを把握するための目安としましょう。
好みの色が見えてきたら玄関ドアやサッシとの相性もチェック
玄関ドアやサッシ、ベランダの手すり、雨樋などリフォームやリノベーションで変更しない部分とのバランスも重要です。好みの色が絞りこめてきたら、その色と、変更しない部分の色の相性はどうかもチェックしましょう。
経験豊富なリフォーム会社に相談する
街歩きや施工例のチェック、SNSなどで好みの外観の色を決めたら、その色を実現するにはどの塗料を選べばいいのでしょう。小さな見本と実際の外壁では色が違って見えますし、日差しの当たり具合や時間帯でも目で感じる色は変化します。使用する塗料の色は自分だけで決めてしまわずに、依頼先のリフォーム会社に相談するのが安心です。
エリアによって外壁や屋根の色にルールがある場合も
自分の好みの色に塗り直しができるのが、持ち家の一戸建ての大きなメリット。ただし、気をつけたいのは地域やタウンによる色の規制です。街の景観を守るための条例がある地域や、分譲時にデザインされた街並みを守るため建築協定があるタウンなどでは、住宅の外壁や屋根の色に一定のルールがあることも。塗り直しを検討しているわが家のエリアはどうなのか、確認しておくことが大切です。
塗料の性能のチェックも忘れずに
外壁や屋根の塗料にはさまざまな種類があり、種類によって耐久性などの性能に違いがあります。塗り直しでは色選びも大切ですが、まずは種類によって性能がどう違うかを知り、塗料を選ぶことが大切です。
塗料の色を決める成分は?
まずは塗料が何でできているかを簡単に説明します。塗料を構成しているのは下の表のように「顔料」「樹脂」「添加剤」「溶剤」。このうち、外壁材を覆う塗膜になるのが顔料、樹脂、添加剤。そのうち、色を付けるのが顔料です。
| 顔料 | 水や油、一般溶剤に溶けない粉末。着色または無色の粉末で、塗料の「色」となるのは着色顔料 |
|---|---|
| 樹脂 | 塗料の主成分で、アクリル塗料、シリコン塗料、アクリル塗料などの塗料の種類を決定する |
| 添加剤 | 防サビや防カビ、防腐などの機能を塗料に加えるもの |
| 溶剤 | 樹脂などの希釈のために使われるが、揮発性のため蒸発する |
塗料の種類によって耐久性や性能が違う
塗り替えで色を選ぶ際、同じような色でも材料費が異なる場合があります。材料費の差は、見積もりに入っている塗料のグレードの差です。
塗料は下の表のように、アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料、遮熱塗料、光触媒塗料があります。
「現在、耐用年数の短いアクリルの塗料はほとんど使われていません。実際に使われているのはウレタン系かシリコン系で、最近は耐候性、防汚性に優れたシリコン系が主流です」(安冨さん)
外壁のメンテナンスやリフォームを依頼した場合、多くのリフォーム会社では、一般的なウレタン系かシリコン系の塗料で見積もりが提出されるでしょう。
価格は高いですが耐久性も高く、長期にわたって塗り替えが不要になるのは光触媒塗料です。
「定期的なメンテナンスが必要になるのは外壁だけではありません。長期間、塗り替えが不要になるからと外壁だけ耐用年数の長い塗料を選ぶのはもったいないなと個人的には思います」(安冨さん)
自分が何年周期で塗り替えを検討しているのか、今後、建て替えや増築、減築などの工事を予定しているのかなど、リフォームやメンテナンスの時期と塗料の耐久性のバランスを考えて選ぶことも大切です。

一戸建てを所有している限り、定期的なメンテナンスが必要な外壁や屋根。せっかくお金をかけて塗装のし直しをするなら、外観の色を変える楽しみを味わってみるのもおすすめです。
取材協力/Yuuさん(本名:尾間紫
取材協力/安富大樹さん
構成・取材・文/田方みき イラスト/土田菜摘
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日本ホームインスペクターズ協会 公認ホームインスペクター。大手リフォーム会社にて、木造一戸建て住宅リフォームの営業・設計・工事監理に従事。工務店で新築木造住宅の設計を経験し、設計事務所設立。木造住宅を中心とした新築・リフォームの設計及び監理を行う。一級建築士、既存住宅状況調査技術者、マンションリフォームマネジャー、福祉環境コーディネーター2級。
広告制作プロダクション勤務後、フリーランスのコピーライターに。現在は主に、住宅ローンや税金など住宅にかかわるお金や、住まいづくりのノウハウについての取材、記事制作・書籍編集にたずさわる。