アスファルトシングル屋根とは?特徴やリフォームの方法を解説

アスファルトシングルは施工方法が比較的簡単で、値段も手頃なことから、DIYが盛んなアメリカやカナダなどの住宅の屋根に広く採用されている屋根材です。日本でも、アスファルトシングルは新築建売住宅などを中心に採用されていることが多い屋根材ですが、リフォームの場合は塗装にするか、カバー工法にするか、葺き替えるかなどの選択肢があります。今回は千葉を中心にリフォーム実績が豊富な、作新建装の習志野店店長で二級建築施工管理技士・一級塗装技能士・住宅塗装診断士でもある伊林さんにアスファルトシングルの特徴やアスファルトシングル葺きの屋根のリフォームの方法などについてお話を伺いました。

アスファルトシングルの屋根

アスファルトシングルで葺き替えた屋根(画像提供/ツボイ

記事の目次

アスファルトシングル屋根とは

アスファルトをガラス繊維基材に浸透させたものの表面に、石粒などを付けたシート状の屋根材がアスファルトシングルです。軽量で薄く、柔らかいシート状であることから扱いやすいという特徴があります。

「アスファルトシングルは価格が手頃な上、施工がスピーディーにできるため工期も抑えられます。他の屋根材に比べ、イニシャルコストが抑えられるということで、新築時に屋根材として選ばれることも少なくありません。新築建売住宅などにも屋根材としてよく採用されています」(作新建装・伊林さん、以下同)

ニチハのアスファルトシングル「アルマ」を施工した屋根

ブラウンのアスファルトシングル屋根

アスファルトシングルは軽くて柔らかいシート状の屋根材。カラーバリエーションも豊富。(画像提供/カナジュウ・コーポレーション

アスファルトシングルの耐用年数

アスファルトシングル葺きの屋根は10年に1度はメンテナンスを

アスファルトシングルに限らず、どんな屋根材を葺いた屋根でも、定期的なメンテナンスは必要です。何年くらい使用できるのかという耐用年数については、施工されている場所や環境などにもよりますが、アスファルトシングルの場合は10年程度で1度メンテナンスを考えるのが安心といいます。

「アスファルトシングルは表面に石粒がついている屋根材ですが、長く紫外線などにさらされることで、表面の石粒が取れていきます。20年程度放っておいても問題がないというケースもありますが、表面の石がなくなってくると、素材自体の劣化のスピードが早まります。屋根材に穴が開いたり、ひび割れを起こしたりしてしまうと、その下にある防水シートにも影響が出てしまいます。石粒の剥がれを防ぐという意味で、10年程度たったら塗装などのメンテナンスを検討するのが安心です」

なお、10年というのはメンテナンスのタイミングの1つの目安ではありますが、苔(コケ)や藻がたくさん生えていたり、剥がれや反り返りなどが起きている場合は、できるだけ早く補修などを行うようにしたほうがよいそうです。

塗装の道具を手に持つ職人のイメージ

適切な時期のメンテナンスが重要(画像/PIXTA)

アスファルトシングルのメリット

アスファルトシングルには「価格が安い」「軽い」「施工が簡単」というメリットがあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

価格が安い

アスファルトシングルは他の屋根材よりも比較的価格が安く、イニシャルコストを抑えられるというメリットがあります。アスファルトシングルの商品はさまざまあり、メーカーによって価格には幅がありますが、施工にかかるトータルコストはガルバリウムなどの金属系の屋根材の場合と比較すると、7割〜8割程度に抑えられるイメージとのこと。家を建てたり、リフォームを検討したりする人にとって、他の屋根材よりもコストを抑えられるという点は、アスファルトシングルの大きな魅力の一つです。

住まいにかかる費用の見積書のイメージ

費用を安く抑えられるのはうれしいポイント(画像/PIXTA)

軽量で地震時の不安を軽減できる

地震に備え、屋根材は軽いものが良いと考える人も少なくありません。もちろん、建築基準法によって、屋根の重さに耐えうる耐震構造が確保されているため、瓦屋根など、重たい屋根の住宅だからといって、耐震性能が低いというわけではありませんが、新耐震基準になる前に建てられた古い家などの場合、重たい瓦屋根に対して、家の構造が弱いというケースもあります。その場合は、屋根を軽くすることが、住まいの耐震性能を上げる方法の一つとなるため、特にリフォームの際には屋根材の重さも気になるポイントの1つになるでしょう。

「アスファルトシングルは軽量なので、屋根への負担はかなり抑えられます。商品によって重さは違うので一概には言えませんが、例えば、スレートと比較するとアスファルトシングルの重さは半分程度、瓦と比較すると、5分の1〜6分の1程度です」

施工方法が簡単

アスファルトシングルは、軽いシート状の屋根材のため、運搬も加工もしやすい素材です。DIYでも用いられるくらい扱いやすく、施工性が良いことから、ほかの屋根材を用いるケースよりもスピーディーな工事が可能です。

「施工する人数や屋根の形によっても工期は変わるものですが、施工が難しくない四角い屋根で比較すると、アスファルトシングルはスレート屋根の3分の2〜2分の1程度の日数で施工が可能です」

カッターやハサミのイメージ

アスファルトシングルはカッターや金バサミでも裁断でき、加工がしやすい(画像/PIXTA)

アスファルトシングルのデメリット

アスファルトシングルにはコストや軽さ、施工性などの面でメリットがある一方、デメリットもあります。

経年で表面の石粒が剥がれてくる

アスファルトシングルは表面に石粒が施されている屋根材です。石粒は圧着されているものの、年月とともに少しずつ剥がれていきます。表面の石粒は雨や紫外線からアスファルトシングルを保護しているため、石粒が剥がれ落ちることで、アスファルトシングルの劣化は進みます。

「石粒が剥がれることでアスファルトシングルの劣化が進み、穴が開いたり、ひび割れたりしてしまうと、屋根材の下の防水シートが雨や紫外線にさらされることになります。防水シートまで劣化してしまうと、雨漏りなどにもつながるため、そうならないうちにメンテナンスをしていくことが重要です」

水が停滞しやすいため、苔やカビが発生する可能性も

アスファルトシングルの耐久性などを高めている表面の石粒ですが、その石粒のため、アスファルトシングルの表面はザラザラとした質感になっています。ザラザラと凹凸のある表面になっていることで、表面がなめらかな屋根材よりもアスファルトシングルは雨水が停滞しやすく、日が当たりにくい部分などには苔やカビが生えてしまうことがあります。

「日に当たれば水は蒸発しますし、施工したばかりの段階では苔が生えやすいということもありません。ただし、長い間メンテナンスもせずに放置しておくと、特に北側の屋根に施工したアスファルトシングルには苔が生えてしまうことがあります」

苔が生えたアスファルトシングルの屋根

日に当たらない北側の屋根などは、放置しておくことで苔が生えてしまうことも(画像/PIXTA)

施工できる地域が限られる

アスファルトシングルは、商品によっては積雪地域には施工できないものもあります。施工できる商品であっても、雪が多い地域の場合は、つららが落ちたり、雪下ろしの際に、スコップなどが屋根材に当たってしまうリスクがあります。アスファルトシングルは、瓦や金属屋根とは違い薄いシート状の素材のため、雪の季節に表面を破損してしまうことがないよう注意が必要です。

雪おろしに使うスコップのイメージ

積雪地域の場合は施工できないアスファルトシングルもあるので、リフォーム会社などによく相談をするようにしましょう(画像/PIXTA)

アスファルトシングルとほかの屋根材との比較

アスファルトシングルにはさまざまなメリット・デメリットがあると紹介しましたが、屋根材を選ぶ際は、アスファルトシングルの特徴だけでなく、そのほかの屋根材と比べて、どのような違いがあるのか、理解した上で選びたいものです。ここからは、金属屋根、スレート、瓦などとの比較から、アスファルトシングルの特徴を見ていきましょう。

アスファルトシングルと金属屋根の比較

ガルバリウム鋼板

軽くて耐久性が高い金属屋根は、新築からリフォームまで、幅広く採用されています。中でも、ガルバリウム合金でメッキ加工されたガルバリウム鋼板は屋根のみならず、住宅などの外壁材としてもよく用いられる外装材です。

「ガルバリウム鋼板はメンテナンスまでの期間が長く、20年〜25年くらいのタイミングで塗装をするというのが一般的です。メーカー保証も錆や穴が開くなどについては20年〜25年、色あせについても20年の保証がついている商品もあります。

価格については、アスファルトシングルよりも高くなるので初期費用はかかりますが、20年程度は特に塗装などのメンテナンスをしなくても済むということを考えると、長い目で見るほどコストメリットが感じられる屋根材です」

価格については、アスファルトシングルのほうがガルバリウム鋼板よりも安く抑えられますが、ガルバリウム鋼板のほうが長持ちをするというのは見逃せないポイントです。初期費用を抑えたいのであればアスファルトシングルに軍配が上がりますが、メンテナンス費用も視野に入れると、長い目で見たときにガルバリウム鋼板の方がお得になる可能性があります。

また、ガルバリウム鋼板とアスファルトシングルでは、価格や耐用年数だけでなく、見た目も異なります。ガルバリウム鋼板は金属特有のシャープでスタイリッシュな印象を好む人にはピッタリの屋根材です。一方で、アスファルトシングルは表面の石粒の質感が特徴的で、シート状の柔らかい素材のため、曲線のある屋根にもマッチします。

ガルバリウム鋼板の屋根が人気の理由は? メリット・デメリットや費用相場、ほかの屋根材との比較、メンテナンス方法を紹介

ガルバリウム鋼板の屋根

ガルバリウム鋼板の屋根

シャープな印象のガルバリウム鋼板の屋根。頑丈で台風にも強い(画像提供/作新建装

石粒付き金属屋根(ジンカリウム鋼板)

金属屋根の中には、アスファルトシングルのように表面に石粒がついたものもあります。石粒付き金属屋根はガルバリウム鋼板のような金属屋根に石粒をコーティングしたもので、コーティングされていない通常のガルバリウム鋼板よりもさらに耐久性や断熱性に優れている屋根材です。

「ジンカリウム鋼板などの石粒付き金属屋根は、商品にもよりますが、メーカー保証が30年ついているものもあります。30年が経過した後は塗装が必要になる可能性が高いですが、ジンカリウム鋼板が施工されるようになってからまだ歴史も浅いため、実際に30年経過して、必ずメンテナンスが必要になるかどうかは未知数な部分もあります」

石粒付き金属屋根もアスファルトシングルより価格は高くなるため、イニシャルコストはかかります。一方で、ガルバリウム鋼板以上にメンテナンスサイクルは長いため、こちらも長い目で見るとコストメリットが高い屋根材といえます。

石粒付き金属屋根

ジンカリウム鋼板の屋根

ジンカリウム鋼板の屋根は石粒の風合いを感じられるため、ガルバリウム鋼板の屋根とはまた異なる印象(画像提供/伸和

アスファルトシングルとスレートの比較

スレート屋根は薄い板状の屋根材で、コロニアル、カラーベストなどの商品名でも呼ばれます。アスファルトシングルはイニシャルコストが抑えられるという点が大きな魅力の屋根材ですが、スレートも比較的価格が安く、さまざまな建物の屋根に採用されている屋根材です。

また、スレート屋根はアスファルトシングルよりは重さがあるものの、瓦などと比べると軽い屋根材です。価格を抑えた軽い屋根材という点で、アスファルトシングルとスレートは、よく似た特徴のある屋根材といえます。

「30年ほど前のスレートにはアスベストが使用されていたため強度が高く、20年くらいメンテナンスをしていなくても大丈夫というケースも少なくありませんでしたが、現在流通しているスレートはアスベストが使用されていないものになるため、強度は以前のものよりも低くなっています。今のスレートであれば、メンテナンスサイクルはアスファルトシングルと同程度で、10年が目安になります」

スレート屋根

塗装したスレート屋根

価格が安く、軽いスレート屋根。メンテナンスサイクルも10年程と、アスファルトシングルとは類似点も多い(画像提供/カナジュウコーポレーション

アスファルトシングルと瓦の比較

一般的に瓦とは粘土を焼いてつくられる瓦で、粘土瓦や陶器瓦と呼ばれるものです。古くから日本の多くの建物の屋根材として使われていて、デザイン的に和風の住宅との相性が良い屋根材ですが、洋風の建物にも合うような色や形の洋瓦もあります。

アスファルトシングルと比較すると、まず大きな違いはその重量です。瓦の重さはアスファルトシングルの5倍以上もあり、見た目も重厚感があります。

「構造的に瓦を使用しても大丈夫な建物でも、リフォームで重たい瓦に替えたいという要望はあまりありません。屋根が重たいと、地震時に建物の揺れの振り幅が大きくなるということで、最近ではリフォームで、できるだけ屋根を軽くしたいと考える方が多くなっています」

なお、デザイン的に瓦を採用したいけれど、軽さも重視したいという場合は、粘土瓦よりも軽いスレートの瓦や金属瓦といった選択肢もありますが、素材が異なるため、粘土瓦とは特性が異なります。

また、瓦は焼き物なので耐久性が高い屋根材です。災害などで割れたりした場合は補修や点検が必要ですが、塗装などのメンテナンスを頻度高くする必要はありません。長く使える屋根材なので、既存のものを一旦下ろして、再度同じ瓦で屋根を葺く、葺き直しというリフォームも可能です。

瓦は10年ほどでメンテナンスが必要になるアスファルトシングルと比べると、長く同じものを使い続けることができる屋根材ですが、長く使い続けられる一方で、価格に目を向けると、アスファルトシングルやほかの屋根材よりも高くなります。コストメリットを感じるためには、長い目で考える必要があります。

瓦屋根

修繕リフォームを行った瓦屋根

耐久性が高く、長持ちする瓦屋根。アスファルトシングルよりも価格は高く、重たいのが特徴(画像提供/ダイク

後悔しないアスファルトシングル屋根のリフォーム方法

今住んでいる家の屋根がアスファルトシングルの場合、どのようなリフォームができるのでしょうか。塗装、カバー工法(重ね葺き・かぶせ工法)、葺き替えなど、それぞれのリフォーム方法について見ていきましょう。

塗装

劣化が進んだ屋根材に塗装はNG

アスファルトシングルは施工から10年ほどのタイミングでメンテナンスするのが安心ですが、10年のタイミングで多くの人が選択するメンテナンス方法は塗装だそうです。

しかし、30年目など、年月がたったアスファルトシングルの場合は、塗装によるリフォームが難しいケースもあります。

「30年目以降などのタイミングになると、屋根材の下の防水シートが弱っていることがあります。弱っている防水シート上にある屋根材の上に、職人が乗って歩き回りながら塗装作業をすると、既存の屋根材がアスファルトシングルなどの薄い屋根材の場合は若干たわんでしまいます。そのときに、屋根材を止めている釘が防水シートやその下の野地板を貫通して、釘穴が広がってしまうことがあり、釘穴が広がってしまうと、それが雨漏りの原因になることがあります。

塗装をすることによって屋根材を紫外線などから守ることはできますが、塗装をしたからといって、雨漏りを防ぐことができるということではありません。劣化した屋根材の場合、メンテナンスをしたすぐ後に、雨漏りが発生するということもあるので、劣化した屋根材への塗装は避けたほうがいいでしょう。

また、塗装を行う場合は高圧洗浄で屋根をきれいにする作業をしますが、高圧洗浄をすることで、表面の石粒が過剰に落ちたり、アスファルトシングルが割れたり、切れたりする場合は、塗装に適していない状態のため、そのような場合はカバー工法か葺き替えをおすすめします」

選ぶ塗料に注意

アスファルトシングルの場合は、塗装に使える塗料の選択肢が他の屋根材のケースよりも限られるということがあります。

「塗装で使う塗料には大きく分けて、油性と水性のものがあり、屋根の塗装にはどちらのタイプも使用しますが、アスファルトシングルの場合、使える塗料は水性の塗料です。さらに、アスファルトシングルは、表面に石粒がつけられていて凹凸があるという特性上、水性塗料の中でも使用できる塗料が限られます。

また、アスファルトシングルの場合、艶あり塗料を塗ってしまうと、下から見たときに石粒によって光の反射の角度がバラバラになりムラに見えてしまうため、艶消し塗料を使います。経験のない業者などがアスファルトシングルの特性を理解しないまま艶あり塗料で塗装を行ってしまうと、見栄えが良くない仕上がりになってしまう可能性があるので注意が必要です」

ただ塗るだけであればどのような塗料でも塗ることはできますが、美観の回復や、石粒の剥がれを抑えて長持ちをさせるというリフォームの目的を考えると、屋根材に適した塗料を選ぶ必要があります。アスファルトシングルの塗装を行う際には、アスファルトシングルに適した塗料の中から選択する必要があるため、アスファルトシングルの塗装の経験がある施工業者に相談するのが安心です。

塗装を行ったアスファルトシングル屋根

塗装によるメンテナンスを行なったアスファルトシングル屋根

ホコリや苔を洗浄後、遮熱塗料を3回塗りで仕上げたアスファルトシングル屋根(画像提供/オリエンタルホームサービス

カバー工法(重ね葺き・かぶせ工法)

塗装のほかに、既存の屋根材を残したまま、その上に新しい屋根材をかぶせて葺くカバー工法(重ね葺き・かぶせ工法)というリフォーム方法もあります。

塗装の場合は既存の屋根材をそのまま使用することになりますが、カバー工法であれば、新しい屋根材をかぶせて施工するため、屋根材自体を新しくできます。前述したように、屋根材の劣化が進んでいる場合は、塗装によるメンテナンスが効果的ではないこともあるので、施工から20年、30年などが経過したアスファルトシングル屋根の場合は、屋根材を新しくできるカバー工法を選択したほうがいいケースもあります。

また、カバー工法の場合は既存の屋根材はそのまま残すため、元々施工されているアスファルトシングルを撤去する手間がかかりません。コストも工期も抑えながら屋根材を新しくできる改修方法です。

「施工から10年のタイミングではそれほど劣化が進んでいないことが多く、メンテナンスをする場合は塗装を選択するのが一般的です。しかし、20年以降のタイミングになると、1度塗装をしたという方や、まだ1度もメンテナンスをしていないというケースが混在しています。それまでのメンテナンス状況によっても屋根の状態は異なるので、アスファルトシングルの状態によっては塗装ではなく、カバー工法によるリフォームを検討する方もいらっしゃいます。

なお、カバー工法の場合は、既存のアスファルトシングルの上に新しいアスファルトシングルをかぶせるという方もいらっしゃいますが、カバーする屋根材は金属屋根を採用するケースが多いです。ガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板などは耐久性が高いことに加え軽いので、カバー工法で使用しても屋根への負担を抑えることができます」

アスファルトシングル屋根を金属屋根でカバー

カバー工法で施工されたガルバリウム鋼板の屋根

築30年以上の劣化がひどかったアスファルトシングル屋根をカバー工法できれいに。新しい屋根材はガルバリウム鋼板を採用しました(画像提供/ひまわり塗装

カバー工法でアスファルトシングルを施工

アスファルトシングルをカバー工法で施工した屋根

カバー工法で施工したアスファルトシングル屋根。アスファルトシングルは旭ファイバーグラスの「リッジウェイ」(画像提供/ダイク

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葺き替え

カバー工法は既存の屋根を残したまま、新しい屋根材をかぶせるリフォーム方法ですが、既存の屋根材を剥がしてから新しい屋根材を葺く、葺き替えという方法もあります。

「葺き替えの場合は、既存のアスファルトシングルを剥がして撤去してから新しい屋根材を施工するため、剥がす手間やゴミ処分費用がかかります。

また、30年以上たったアスファルトシングル屋根の場合などは、既存の屋根材を剥がすと、野地板が傷んでブカブカと沈み込むような状態まで劣化していることもあります。そのような状態の場合は、板を張り直してから屋根材を葺くため、もはや新築するときと同じような作業になります。

雨漏りをしている屋根の場合でも、カバー工法は既存の屋根材の上に防水シートを敷いてから新しい屋根材をかぶせるため対応可能ですし、葺き替えはカバー工法よりも費用や工期がかかるため、どうしても葺き替えがいいというケース以外はカバー工法を選択するのが一般的です。

中には、古くなった屋根材を内側に残したままにするのが嫌ということで葺き替えを検討する方もいらっしゃいますが、見積もりをすると、カバー工法と費用を比較して、カバー工法を選択されることが多いです」

葺き替えの場合は、屋根材の下の防水シートや野地板まで一新できるというメリットはありますが、その分費用は高くなり、工期も長くなります。瓦屋根など、カバー工法が難しいケースの場合は葺き替えになりますが、既存の屋根がアスファルトシングルの場合は、カバー工法によるリフォームの方が葺き替えよりも主流だそうです。

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部分的な補修

剥がれなどを放置することが雨漏りの原因に

塗装やカバー工法、葺き替えなどは屋根全体のリフォームになりますが、アスファルトシングルが部分的に剥がれたり、反り返ったりということが起きている場合は、その部分だけでもすぐに補修を行うのが安心です。

「アスファルトシングルの場合、根本は釘で留めていますが、接着剤を使用して施工するので、年月とともに接着剤の劣化などによって剥がれたり、浮いたり、反り返ったりということが起こることがあります。また、台風などの影響でシート状のアスファルトシングルが部分的に剥がれてしまうこともあります」

アスファルトシングルが部分的に剥がれてしまうと、内側の防水シートが紫外線にさらされることで劣化し、ひいてはその下の野地板の腐食などにつながります。屋根が雨水の侵入を防げなくなると、雨漏りなどになるので、不具合がある場合は、部分的なものであっても、なるべく早く補修するようにしましょう。

雨漏りが発生している天井のイメージ

雨漏りが起こる前に、早めの補修が肝心(画像/PIXTA)

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アスファルトシングルは手頃な価格やその軽さが魅力の屋根材ですが、金属屋根や瓦屋根よりもが劣化スペードは早いため、計画的にメンテナンスをしていくことが大事です。長い年月何もせずに放置してしまうと、雨漏りなどに悩まされることがあるかもしれません。適切なタイミングで塗装やカバー工法などでリフォームを行っていきましょう。

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⚫︎取材協力
株式会社作新建装

構成・取材・文/島田美那子