ガルバリウム鋼板の屋根にリフォームする費用相場。 ほかの屋根材との比較とメンテナンス方法

屋根に葺く屋根材として人気の高いガルバリウム鋼板。新築だけでなく、リフォームで屋根を別の屋根材からガルバリウム鋼板に葺き替え・重ね葺き(カバー工法)する人も多いようです。なぜガルバリウム鋼板の人気が高いのでしょうか。ほかの金属屋根とガルバリウム鋼板屋根とは何が違うのでしょうか。一級建築士の柏崎文昭さんに話を伺いました。

ガルバリウム鋼板の屋根

ガルバリウム鋼板はサビや腐食に強い建築材です(写真/PIXTA)

記事の目次

ガルバリウム鋼板とは

ガルバリウム鋼板とは、屋根材や外壁材として使われる金属材です。どんな特徴のある屋根材・外壁材なのでしょうか。まずはガルバリウム鋼板とは何か?からおさえておきましょう。

ガルバリウム鋼板とは、屋根材や外壁材に使われる金属材

ガルバリウム鋼板の「鋼板(こうはん)」とは、板状に加工された鋼(はがね)のこと。鋼とは、いわゆる鉄を指します。

昔は鋼板の中でも、屋根や外壁によくトタンが使われていました。トタンは亜鉛でメッキされた鋼板です。ただし、トタンはサビやすいというデメリットがありました。そこでサビにくい鋼板として1970年代に開発されたのがガルバリウム鋼板なのです。

アルミニウムや亜鉛などからなる合金で守られたガルバリウム鋼板は、サビや腐食に強く、下記のようなメリットがあるので、屋根材だけでなく、外壁材にもよく採用されています。

ガルバリウム鋼材のメリット

ガルバリウム鋼板は、サビにくいだけでなく、下記のようなメリットもあります。そのため屋根や外壁に人気の建築材になっています。

耐用年数が長い

屋根や外壁は常に雨や風にさらされる場所です。そのため屋根材や外壁材には耐久性に優れていることが重要な要素になります。

ガルバリウム鋼板は、耐久性が長くて耐熱性にも優れるアルミニウムの性質と、亜鉛による犠牲防食作用(先に亜鉛が腐食することで素地の鉄の腐食を防ぐ)をあわせもっています。

「そのため一度施工すると、しっかりメンテナンスさえすれば25年〜40年はもちます」(柏崎文昭さん、以下同)。

軽量なので耐震面で有利

地震の際、屋根が重いほど建物が大きく揺れやすくなります。大きく建物が揺れれば、それだけ建物の損傷が大きくなるので、屋根はできるだけ軽いほうが理想的です。

ガルバリウム鋼板は、ほかの屋根材と比べて非常に薄いため、軽量です。例えば瓦屋根と比べると、ガルバリウム鋼板屋根の重さは約10分の1です。

「屋根のリフォーム方法の1つに『重ね葺き(カバー工法)』がありますが、ガルバリウム鋼板は軽いため、既存の屋根材に上張りする屋根材としてもよく利用されています」。

加工しやすい

ガルバリウム鋼板は金属なので、自由自在に加工しやすいという特徴があります。

「加工しやすいので、棟(屋根の頂部)がいくつもある複雑な形状でも合わせやすい屋根材です。また屋根を半円状に湾曲させたり(ムクリ)、その逆に反らせたり(反り)することもできるので、住宅のデザインに合わせて葺きやすい屋根材です」。

ガルバリウム鋼板のデメリット

メリットがある一方で、頭に入れておきたい下記のようなデメリットもあります。施工後に後悔しないよう、確認しておきましょう。

断熱性が低い

金属は熱を伝えやすい素材です。そのためガルバリウム鋼板を含む金属素材の屋根は、ほかの素材の屋根材(瓦や化粧スレート)と比べると、それ自体の断熱性能は低くなります。

「しかし、瓦屋根や化粧スレートの屋根も、屋根材だけで住宅の断熱性能を高めることはできません。たいていはガルバリウム鋼板を含めて、どの屋根材でも屋根に断熱材を入れます」

ですから屋根としての断熱性能として考えると、ガルバリウム鋼板の屋根もほかの屋根も、大きな差があるわけではありません。

また、遮熱性能の高い塗料を用いたガルバリウム鋼板や、ガルバリウム鋼板に断熱材を組みあわせるなど、ガルバリウム鋼板の屋根材自体の断熱性能を高めるような商品も登場しています。

防音性が低い

軽量なので耐震性に有利な反面、薄いゆえに遮音性はあまり高くありません。そのため、屋根に断熱材や吸音材を敷いて遮音性を高めるような工事が必要になります。

サビに注意が必要

ガルバリウム鋼板はサビにくい金属材ですが、やはり素材の元は鉄ですから、サビないわけではありません。特に海に近いエリアの場合、海風で塩分が運ばれて建物に付着しやすいので、腐食やサビのリスクは考えておく必要があります。

もし海の近くに住んでいて、ガルバリウム鋼板の屋根を検討するなら、最近はフッ素塗膜など、より機能の高い塗装が施された商品もありますし、ガルバリウム鋼板自体の耐久性を高めた商品も登場していますから、そうした商品を検討するとよいでしょう。

また、海から遠いといっても油断は禁物です。例えば台風などでモノが飛ばされてきて屋根に傷が付いた場合、そこから少しずつサビていくことがあります。また、高温多湿な状況下ではガルバリウム鋼板に含まれる亜鉛が酸化して表面に白い斑点のように現れる白サビが発生することがあります。

こうしたサビを放置しておくと、次第にサビが広がってしまい、全面的な塗り替えが必要になってしまいます。

そのため、点検をかねて定期的なメンテナンスを行いましょう。少々のサビであればメンテナンス時にサビを取り、その部分を再塗装する程度で済みます。

ガルバリウム鋼板の屋根リフォーム方法と費用の目安

ガルバリウム鋼板は、メンテナンスさえ怠らなければ長持ちする屋根材です。ここでは、定期的なメンテナンス方法や、劣化により必要になったガルバリウム鋼板の屋根リフォームの方法を紹介します。

ガルバリウム鋼板の屋根リフォーム方法は「塗り替え」「重ね葺き(カバー工法)」「葺き替え」の3つ

既にガルバリウム鋼板の屋根を葺いている場合、屋根のリフォームをするなら「塗り替え」「重ね葺き(カバー工法)」「葺き替え」の3つの方法があります。

ガルバリウム鋼板の屋根の傷みがたいしたことがなければ「塗り替え」を行います。塗り替えは定期的に行う必要がありますが、この時同時に屋根の状態を確認します。その際に、再塗装では傷みを修復できない場合、「重ね葺き(カバー工法)」か「葺き替え」を検討します。

「塗り替え」時期の目安と費用相場

「屋根材には主に『瓦』『化粧スレート』、そしてガルバリウム鋼板を含む『鋼板』がありますが、この中で、表面が塗装されている塗装製品は、定期的に塗料を塗り直す必要があります。これが『塗り替え』です。塗り替えることで色あせた見た目の美しさを復活させ、塗膜によって再び日差しや雨などから屋根材を守り、屋根材そのものを長持ちさせることができます」。

具体的には「瓦」以外は、塗り替えが必要になります(瓦の中でもセメントを固めて瓦状にした「セメント瓦」は塗装製品ですから、塗り替えが必要です)。

ガルバリウム鋼板も塗装製品ですから、定期的に塗り替えが必要です。「耐用年数の長いことがガルバリウム鋼板のメリット」と、一見相反するように聞こえるかも知れませんが、ガルバリウム鋼板の耐用年数が長いというのは、きちんとメンテナンスすれば25年〜40年はもつ、ということなのです。

「再塗装は屋根の点検もかねています。台風などの強風で何かモノが当たって傷が付き、そこからサビが発生するなど、思わぬ傷ができているかも知れません。それに表面の塗膜自体は日差しや雨風で劣化して、次第に色があせてきますから、美観上の問題もあります。そのため、ガルバリウム鋼板でも定期的に塗り替えたほうがよいのです」。

ただし、ガルバリウム鋼板は化粧スレートよりも塗り替え頻度が低くて済みます。化粧スレートの塗り替えの目安が10年に1回のところ、ガルバリウム鋼板は15年に1回です。

「再塗装は、まず部分的にぷつぷつとしたサビの部分をはがしとるなど、ケレン清掃を行い、下地処理をして塗装を施します。たいていの場合はハシゴで作業できるため、足場の費用は不要です」。

費用の目安は、使用する塗料によって異なりますが、建築面積120m2前後の2階建て・屋根面積100m2前後の住宅の場合、約50万円が目安です。

塗り替え

ガルバリウム鋼板の屋根を含め、塗装されている屋根材は定期的な塗り替えが必要になります。

「重ね葺き(カバー工法)」時期の目安と費用相場

「重ね葺き(カバー工法)」とは、既存の屋根材を撤去せず、その上に防水シートを張り、そこに新しい屋根材を取り付ける方法です。

「屋根材が二重になるため、屋根が重くならないように新しい屋根材には軽量なものにしますが、その点ガルバリウム鋼板は軽量なので適材です。また、重ね葺き(カバー工法)は、後に述べる『葺き替え』よりも安くすむので、既存の別の屋根材からガルバリウム鋼板に変えたいという人が検討しやすいリフォーム方法です」。

屋根の重ね葺き(カバー工法)リフォームは、塗り替えや、部分的な補修では対応できないほど屋根材が劣化した時に行います。一般的には築20年目〜30年目あたりが目安になります。

しかし、下地まで傷んでいる場合は重ね葺き(カバー工法)リフォームは避けましょう。なぜなら、「下地の劣化は雨漏りの原因になりかねませんが、それを覆い隠すように重ね葺き(カバー工法)してしまうと、のちに雨漏りの原因の特定が難しくなります。そうなればかえって費用が増えてしまいます」。そのため、重ね葺き(カバー工法)リフォームを検討する際は、下地の状態まで含めてしっかりとリフォーム会社に点検してもらう必要があります。

屋根材がガルバリウム鋼板の場合、塗り替えを2回ほどやって30年以上経ったら、重ね葺き(カバー工法)を検討、というサイクルが目安です。

重ね葺き(カバー工法)リフォームの費用の目安は、建築面積120m2前後の2階建て・屋根面積100m2前後の住宅の場合、約100万円です。

重ね葺き(カバー工法)

重ね葺き(カバー工法)では、既存のガルバリウム屋根に防水シートを敷き、その上に新しいガルバリウム鋼板を葺きます。

「葺き替え」時期の目安と費用相場

「葺き替え」とは、屋根の下地からやり直すリフォームです。防水シート等や下地が傷んでしまい、雨漏りが発生するほど屋根が劣化して、重ね葺き(カバー工法)リフォームでは対応できない場合に行います。

「まず既存の屋根材をすべて撤去し、屋根材の下地となる野地板を施工します。その上に新しい防水シートを張り、新しい屋根材を取り付けます」。

「この時、もしも屋根を組んでいる構造材が傷んだり腐食している場合は、その部分の構造材の交換や補強が必要ですし、雨水を入れないための隙間を埋める板金工事などが生じるので、さらに費用が膨らみます」。

ガルバリウム鋼板の屋根で、葺き替えを検討する時期の目安としては30年超が目安です。

リフォーム費用としては一番高くなり、新たにガルバリウム鋼板に葺き替える場合、リフォームの費用の目安は、建築面積120m2前後の2階建て・屋根面積100m2前後の住宅の場合、約150万円です。

葺き替え

葺き替えは、既存の屋根材や防水シート、野地板(下地材)をすべて取り払い、いちから屋根を葺き直すリフォーム方法です。

屋根リフォームの改修方法は、塗り替え、重ね葺き(カバー工法)、葺き替えの3種類。費用相場や実例、補助金も紹介!

「重ね葺き(カバー工法)」か「葺き替え」を選ぶポイント

基本的に重ね葺き(カバー工法)リフォームで十分対応できるなら、葺き替える必要はないでしょう。先述の通り、点検で下地等に何も問題がなければガルバリウム鋼板を重ね葺き(カバー工法)することができます。

ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法

屋根材の中では比較的耐用年数が長いガルバリウム鋼板ですが、定期的なメンテナンスは必要です。その方法とは、上記で説明した「塗り替え」になります。

「15年に1度のサイクルで、塗り替えと同時に屋根の点検を行うとよいでしょう。また、もし施主が屋根を目視できる機会があり、その際にガルバリウム鋼板の屋根に白い粉っぽいものが表面に目立っていたら、リフォーム会社に一度点検してもらうことをおすすめします。この『白い粉っぽいもの』は、赤サビが出る兆候だからです」。

白い粉っぽいものであれば、洗って擦り落とし、その部分を再塗装することで赤サビの発生を防ぐことができます。

「そのほかにも、小さな傷やピンホール(塗装面に生じる、針でつついたような小さな穴)からサビが生じることもあります」。

白い粉っぽいものは、屋根を目視できる状態であれば、素人でも確認できますが、こうした傷やピンホールは、やはり屋根に上がって確かめる必要があります。そのためリフォーム会社による定期的な塗り替え&点検は欠かせないのです。

ガルバリウム鋼板の色の選び方。人気の色は?

ガルバリウム鋼板は、塗装製品ということもあり、カラーバリエーションが豊富です。そのため屋根材と外壁材に用いて自分好みの住宅にしやすい素材として人気があります。また、ガルバリウム鋼板の金属的なシャープでクールな見た目を活かし、建物をシャープでモダンな印象にしやすくなります。

外壁とのカラーコーディネートも重要ですが、建物をシャープでスタイリッシュに見せるために、屋根には黒やネイビー、ブラウンといった濃い色が好まれているようです。

「ただし、濃い色は熱を吸収しやすいため、しっかり屋根に断熱材を入れるなど対策が欠かせません。一方でシルバーや白といった淡い色なら熱を反射しやすく、建物のデザインや外壁材とのコーディネート次第ではシャープでスタイリッシュに見せることができますから、検討してみてはいかがでしょうか」。

なお、ガルバリウム鋼板の葺き方は、棟(屋根の頂点)から軒先までタテ方向に1枚で葺く「縦葺き」と、軒先と水平に張る「横葺き」の2種類あります。同じ屋根形状でもガルバリウムの葺き方次第で住宅の見た目の印象が変わります。さらに屋根と外壁の色をそろえるかそろえないかだけでも変わります。

もしもどのような色がいいか、葺き方がいいか迷うなら、リフォーム会社や建築家に相談して、可能であればシミュレーションしてもらったり、スケッチを描いてもらって検討するといいでしょう。

ガルバリウム鋼板とほかの屋根材との違いは?

ガルバリウム鋼板の主な特徴は上記で述べた通りですが、ほかの屋根材と比べてどうちがうのでしょうか。下記で確認しておきましょう。

ガルバリウム鋼板とほかの屋根材との違い

先述したように、屋根材は主に「瓦」「化粧スレート」「鋼板」の3つがあります。ガルバリウム鋼板は鋼板を代表する屋根材です。

「ガルバリウム鋼板は、瓦ほどの耐用年数はありませんが、メンテナンスさえ怠らなければそれに近い年数をもたせることができます」。

メンテナンス面では、瓦は塗り替えが不要です。ガルバリウム鋼板と化粧スレートは定期的にメンテナンス(塗り替え)が必要ですが、その頻度は、化粧スレートが10年に1回程度なのに対し、ガルバリウム鋼板は15年に1回程度で済みます。

一方価格は、製品やグレードにより異なりますが、一般的には高い順に瓦>ガルバリウム鋼板>化粧スレートになります。

3つの屋根材に比較をまとめると、下記の通りです。

●屋根材の比較
屋根材 耐用年数 メンテナンスの目安 価格(3つで比較した場合)
50年以上 大きな地震の後には確認が必要 高い
化粧スレート 20年前後 10年に1回程度の頻度で塗り替えが必要 安い
ガルバリウム鋼板 25年〜40年 15年に1回程度の頻度で塗り替えが必要 中程度

ガルバリウム鋼板以外にはどんな屋根材がある?

ガルバリウム鋼板と他の屋根材との違いを理解する上でも、ほかの屋根材について確認しておきましょう。

●瓦

瓦屋根

日本の伝統的な屋根材である瓦。海外にも粘土を固めて、無釉薬で素焼きした「洋瓦」があります(写真/PIXTA)

瓦は日本の家で古くから用いられている伝統的な屋根材です。粘土を焼き締めて造ります。日本以外でも瓦を使った住宅はあります。

「日本の瓦(和瓦)の多くは波を打ったような形をしています。また、いぶして銀色にするか、釉薬(ゆうやく)を用いて彩色します。釉薬は瓦に塗って焼くことで、溶けて表面でガラス質になり、耐久性を高めます」。

そのため塗料とは違い、いぶした瓦も釉薬を使った瓦も色あせの心配がなく、耐久性も高くて50年程度はもちます。

ただ瓦は重いので、必要に応じて柱や壁を強化するなど、住宅の耐震性には注意が必要です。

●化粧スレート

化粧スレートの屋根

化粧スレートが葺かれた屋根。化粧スレートは厚さ5mm前後で、瓦よりも軽く加工しやすい屋根材です(写真/PIXTA)

「一般の住宅に屋根材として用いられるスレートは『化粧スレート』や『人工スレート』などと呼ばれるもので、セメントを主原料に繊維素材を混ぜて板状にした屋根材です」。

本来の「スレート」とは薄い板状の粘板岩のことを指しますが、こちらは上記と区別するため「天然スレート」と呼ばれています。天然素材を使うため、化粧スレートよりも高価です。ちなみに西洋では古くから用いられていて、東京駅にも天然スレートが使用されています。

一方、化粧スレートは塗装で彩色された製品なので、日差しや雨などで色あせし、次第に撥水性がなくなります。そのため定期的な塗り替えが必要になります。

一方で、3つの屋根材の中では比較的安価で、塗装製品のためカラーバリエーションも豊富なのがメリットです。

●ガルバリウム以外の金属材
鋼板とは板状の鋼材(こうざい)のこと。また鋼材とは鉄により強度を持たせた合金です。つまり、鋼板とは鉄より強い鋼を板状にした建築材ということです。

「それまでは、鋼板といえばいわゆる『トタン』でした。トタンは鋼板を亜鉛でメッキした亜鉛メッキ鋼板です。さらに亜鉛メッキ鋼板を塩ビでコーティングした塩ビ鋼板があります。いずれも、比較的安価なのが特徴です。

また、銅板も伝統的な屋根材の1つで、神社仏閣によく用いられます。ただ、高価であることと、経年劣化で緑青色や黒色に変色しやすいことから、一般住宅ではあまり用いられません」。

ほかにはステンレス鋼板があります。ステンレスは鉄を主成分とした合金で、キッチンのシンクでよく採用されているように、サビないことが大きな特徴。何しろ、ステンレス(stainless)は「サビない」という意味ですから。

そのためガルバリウム鋼板より耐久性の高いのですが、価格は、ガルバリウム鋼板と比べると約2倍する高価な屋根材です。

●ガルバリウム鋼板自体も進化している
ガルバリウム鋼板が開発されてから既に50年以上経っていますから、性能も進化しています。まずガルバリウム鋼板を保護する塗装も、フッ素塗装や厚膜塗装といった、より耐久性の高い塗装が施された商品もあります。

また、ガルバリウム鋼板に天然石をコーティングした屋根材や、ガルバリウム鋼板自体に断熱材を備えた屋根材などもあります。これらは遮音性が高まることが特徴の1つです。

このように、ひと言でガルバリウム鋼板といっても最近は種類がさまざまありますので、施工前にどんな商品があるのか、調べておくとよいでしょう。

●天然石をガルバリウム鋼板に吹き付けた屋根

T-ルーフシリーズ

ガルバリウム鋼板に天然石を吹き付けた屋根材。30年間塗装が不要で、色や形状のバリエーションがあります(写真提供/LIXIL「T-ルーフシリーズ」)

リフォームでほかの屋根材をガルバリウム鋼板に変える方法と費用の目安

現在、ガルバリウム鋼板とは別の屋根材を使っていて、リフォームでガルバリウム鋼板に変えた場合、どのようにすればよいでしょう。

屋根材を変えるには「重ね葺き(カバー工法)」と「葺き替え」がある

屋根材を変える方法は「重ね葺き(カバー工法)」と「葺き替え」があります。

「重ね葺き(カバー工法)」とは既存の屋根材を撤去せず、その上に防水シートを張り、そこに新しい屋根材を取り付ける方法です。

一方「葺き替え」は、屋根の下地からやり直すリフォームです。

「化粧スレート」からガルバリウム鋼板に変える方法と費用の目安

化粧スレートからガルバリウム鋼板に変える場合、「重ね葺き(カバー工法)」か「葺き替え」のどちらかになります。

まず、重ね葺き(カバー工法)を行う場合、屋根の下地が傷んでいないことが大前提となります。

「そのため、必ずリフォーム会社に一度屋根の状態を点検してもらってから、重ね葺き(カバー工法)を行うかを判断しましょう」。

既存の化粧スレートからガルバリウム鋼板を重ね葺き(カバー工法)する場合は、下記のような工事内容になります。

まず既存の屋根材に備わっている雪止めなどの板金等を外し、化粧スレートの屋根に破損がないか、フラットになっているかを確認。その後、必要に応じてフラットにしてから施工します。もし凹凸が多い場合は、合板を使うなどしてフラットにします。その上から防水シートを張り、ガルバリウム鋼板を取り付けます。

化粧スレートにガルバリウム鋼板に重ね葺き(カバー工法)するリフォーム費用の目安は、ガルバリウム鋼板の上にガルバリウム鋼板を重ね葺き(カバー工法)する場合とほぼ同じで、建築面積120m2前後の2階建て・屋根面積100m2前後の住宅の場合、約100万円です。

一方、化粧スレートからガルバリウム鋼板に葺き替えるリフォームの場合は、下記のような工事内容になります。

まず既存の化粧スレートとその下にある防水シートを撤去します。その後に屋根材の下地となる野地板の状態を確認し、傷んでいる部分を張り替えるなど修復します。

「ただし、葺き替えを検討するタイミングであれば、野地板も経年なりに劣化しているのが多いので、たいていはすべて張り替えます」。

その後新たに防水シートを張るなど防水工事を施し、ガルバリウム鋼板を取り付けます。

化粧スレートからガルバリウム鋼板に葺き替えるリフォームの費用の目安は、建築面積120m2前後の2階建て・屋根面積100m2前後の住宅の場合、約150万円です。

「瓦」からガルバリウム鋼板に変える方法と費用の目安

凹凸の多い瓦の場合、重ね葺き(カバー工法)ができませんので、必然的にガルバリウム鋼板に変える方法は「葺き替え」のみとなります。

「瓦や防水シートをすべて撤去し、新たに野地板を張ることから下地を作り、新しい防水シートを張り直してガルバリウム鋼板を取り付けます」。

瓦からガルバリウム鋼板へ葺き替えるリフォーム費用の目安は、建築面積120m2前後の2階建て・屋根面積100m2前後の住宅の場合、約200万円です。化粧スレートより高くなるのは、瓦の廃棄費用がかかるほか、化粧スレートの場合よりも下地の調整に手間がかかるためです。

屋根勾配・形状によっても葺き替え費用が変わる

葺き替えは屋根のリフォームの中でも大がかりな工事になりますので、重ね葺き(カバー工法)よりも費用はかかります。また、屋根面積が広いほど費用が必要になりますし、屋根の勾配がきつかったり、屋根形状が複雑な場合など、難しい作業が増えるほど費用が膨らみがちです。

そのため、上記の費用はあくまでも目安と考え、必ずリフォーム会社に屋根を見てもらった上で見積もりをもらって検討するようにしましょう。

「また既存の屋根材が化粧スレートの場合、ガルバリウム鋼板を重ね葺き(カバー工法)する方法がありますが、いくらガルバリウム鋼板が軽量とはいえ、屋根材を二重にすれば従来と比べて重くなります。そのためガルバリウム鋼板を重ね葺き(カバー工法)にしても住宅の耐震性に問題がないか、やはりリフォーム会社に相談するようにしましょう」。

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ガルバリウム鋼板の屋根リフォームの実例

ガルバリウム鋼板の屋根はどのように仕上がるのでしょうか。施工事例で見てみましょう。

ガルバリウム鋼板の平葺きの施工例

ガルバリウム鋼板の平葺きの施工例

化粧スレートからガルバリウム鋼板の平葺き屋根に葺き替えた施工例(写真提供/松本巧舎)

築40年と老朽化で雨漏りの心配があったため、屋根をリフォームすることに。、化粧スレートからガルバリウム鋼板に葺き替えました。

【DATA】
リフォーム費用:180万円(概算)
リフォーム部位:屋根
住宅種別:一戸建て
築年数:40年
設計・施工:松本巧舎

ガルバリウム鋼板を重ね葺き(カバー工法)

ガルバリウム鋼板を葺き重ね(カバー工法)

化粧スレートにガルバリウム鋼板を重ね葺き(カバー工法)した施工例(写真提供/ダイク)

点検した際に化粧スレートの屋根が凍害(スレート内の水分が長年に渡り凍結と融解を繰り返すことで起こる劣化)を起こしていることが判明。このままでは雨漏りの心配があったので、ガルバリウム鋼板の重ね葺き(カバー工法)を施しました。

【DATA】
リフォーム費用:196万円
リフォーム部位:屋根
住宅種別:一戸建て
築年数:築40年
設計・施工:ダイク

瓦からガルバリウム鋼板へ葺き替え

瓦からガルバリウム鋼板へ葺き替え

セメント瓦からガルバリウム鋼板へ葺き替えた施工例(写真提供/優・創建)

以前からしっかり手入れをしてきたセメント瓦でしたが、経年などでどうしても傷みがでてきて、雨漏りも心配になりました。そこで屋根のリフォームを行うことに。この先の建物の耐震工事も考慮して、軽量で耐久性のあるガルバリウム鋼板に葺き替えました。

【DATA】
リフォーム費用:135万円
リフォーム部位:屋根
住宅種別:一戸建て
築年数:38年
設計・施工:優・創建

まとめ

ガルバリウム鋼板は、屋根材でも外壁材でも人気の建築材。高い耐久性が人気の一因ですが、メンテナンスフリーだと勘違いされることもあるようです。しかし、ガルバリウム鋼板には定期的な塗り替えなどメンテナンスは必要。「サビにくい」のであって、決して「サビない」わけではないのですから。

とはいえ、塗り替えの頻度も15年に1回程度で済みますし、しっかりメンテナンスさえしておけば、重ね葺き(カバー工法)リフォームが必要になるのは30年〜40年後。長く付き合うことができます。

重ね葺き(カバー工法)の際は、下地が傷んでいると、その劣化を覆い隠すことになりかねませんから、しっかりとした点検が必要です。もし下地が傷んでいるなら葺き替えるようにしましょう。

ガルバリウム鋼板ではない屋根材から、ガルバリウム鋼板へ変えたい場合、既存の屋根材によってリフォーム方法が異なります。既存の屋根材が化粧スレートなら、重ね葺き(カバー工法)と葺き替えの2つが選べます。

重ね葺き(カバー工法)の場合、まずは下地材が傷んでいないことが最低条件です。また、屋根が二重になって重くなるので、建物の耐震性に問題がないかの確認をした上で重ね葺き(カバー工法)するようにしましょう。もう一つの方法、下地材からやり直す葺き替えもできます。ただし重ね葺き(カバー工法)よりも費用がかかります。

既存の屋根材が瓦の場合、重ね葺き(カバー工法)はできないので、葺き替えのみとなります。化粧スレート→ガルバリウム鋼板と比べて費用はかかりますが、瓦と比べてガルバリウム鋼板なら屋根が軽くなるので、耐震性の面でも有利です。

いずれの工法を選ぶにしても、リフォーム会社に相談して自分の家にあった屋根リフォームを提案してもらいましょう。

【2024年版】リフォームで使える補助金と減税制度。対象のリフォーム・リノベーション、補助金額や申請方法・期限は?

取材協力・監修/一級建築士 柏崎文昭さん(甚五郎設計企画)
構成・取材・文/籠島康弘
イラスト/KAZMOIS

執筆・取材/籠島 康弘
雑誌「カーセンサー」編集部を経てフリーライターに。中古車からカーシェアリング、電気自動車までクルマにまつわる諸々の記事執筆を手がける。最近は住宅雑誌の記事も執筆していて、自分が何屋なのかますます分からなくなってきた。